マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート   作:みみずくやしき

138 / 141
パート97 さよならは、また会う明日のために

 

 鏡屋敷に入ったあと、最初に出迎えたのは使い魔たちだった。

 バクのようなヤツにキャンバスで出来たヤツ、瀬奈とは到底結びつかない存在を杖で両断して突き進む。

 

 鏡の魔女の結界の中は叩いて壊したテレビみたいに色がチカチカとして目が痛い。

 だってのに前に入った時よりも単純な通路が、もはや瀬奈みことという人格さえ失わせて単なる魔女に近づけているみたいで、最後の希望さえ見失いそうだった。

 

 たとえ記憶が生んだ人格で、滅びを求める存在であっても、瀬奈は瀬奈だ。

 一緒に影の世界へ堕ちる覚悟をしていてもさ、せめて……瀬奈のまま、一緒に消えたいんだ。

 

 単なる自己満足だと言われたら、そうなんだろう。

 過去を過去と捨て去って鏡の魔女を倒せばいい。綺麗さっぱり忘れ去ってこの後の世界を生きていくのが、もっともらしい生き方なんでしょ? 命は尊いってさ。

 

 ……あっは、そんなのゴメンだね。

 

 あたしは結局、過去の亡霊なんだ。父親に殴られて、施設でイジメられて、魔女と戦うようになって……ほんとならこんなに長生きしてなかったと思う。どっかで死んでたはずだ。

 

 それがどういうわけか偶然が巡り巡って今に至る。ちょっとばかりの幸福の延長は、永遠には続かない。

 

 瀬奈をひとりにしたくない。だから一緒に消える。

 でも、くれはを悲しませたくもない。だから記憶から消える。

 

 それでいいんだ。くれはと違ってあたしらは罪を犯した悪者だから、裁かれなきゃならない。報いを受けなきゃいけない。

 

 まるで真逆のことを頼むようだけど、あたしらのことは夢だと思って、くれははこの先の未来に生きてよ。

 

 ――そう、覚悟してたのにさ。

 

「ぐっ……っ、こんの……――って、くれは!?」

「……良かった、無事だったのね」

 

 結界の最深部に遅れてやってきたあいつは、そんな悲しみと諦めを打ち払うかのようにそこにいた。

 

 見えない攻撃を突破しようと足掻いたあたしの傷だらけの身体を抱きしめて、あたたかな温もりが伝えられる。たったそれだけで理解した。固く結んだままだった口角が上がるのを止められなかった。

 

「それはこっちのセリフだっての――」

 

 あとに続けようとした言葉はこらえきれなかった気持ちをぶつけるものはずだった。

 

「ってなにこの人数……いや、あんたのその姿は……?」

 

 ただ、先に疑問が口に出る。

 

 くれはの姿は今までの緑と黒の衣装から、赤と白の見覚えがないものに変わっている。強いて言えば、ウワサを憑依させてアリナと戦った時の姿に似ている気がした。

 もっとも、詳しいことを質問してもこいつが理解しているとは思えず、そのまま飲み込む。

 

 それにこの人数だ。10人、20人……50人? いいや、もっと。こんな大人数揃えてきたわけ?

 ラピヌはなにが楽しいのかあたしらの周囲をぐるぐると回っているし、どいつもこいつもなんだか微笑ましい目で見てくるし調子が狂う。

 

「帆奈嬢、話している時間はありません。あなたのそのダメージ……この不可視の攻撃が原因のようですね」

 

 付いてきていたペレネルの言葉に返事する気がしなくて、ただ頷いた。

 

 ここで延々と足止めを受けていたのはそれらが理由。

 道連れにするのがわかってるみたいに透明の壁に阻まれて先に進めず、"その手段"を使えなかったんだ。

 

 無理やり割ろうとすれば見えないなにかが身体を傷つけたけども、あたしの気力を削いで押し返す意図の読めるものだった。どれだけ傷つこうと突破方法を探していたのは、むしろそれが原因に決まってる。

 

 だってほら、まだそこに、あたしを認識する瀬奈がいる。

 こいつらが来てから攻撃が激化してる。結界で防がれる音が豪雨のように響く。本気で敵対したらこうなんだもの。絶対手加減してた。

 

 これだけの魔法少女がいるんだ。それからはあっという間だ。

 

 攻撃の正体はガラスだと掴めた。透明な壁を壊す手筈もある。それに固有魔法の組み合わせでなにかやったらしく、全身に魔力が漲っている。魔女化の恐れなく全力で立ち向かえる。

 

 ……もしかしたらと、暗闇に光が灯る。

 

 もしかしたら、瀬奈ひとりを倒す方法も、あたしらふたりが影の世界に堕ちる方法も、選ばなくていいかもしれない。

 

 問題はその準備ができるかってことなんだけど……ああ、いっつもそうだ。

 

 くれはの持つカトラスは赤色と白色の花で彩られていて、そこに宿る力が示しているじゃないか。

 

「……あっは、あんた、本当に吹っ飛んでるよ。それでこそ、だけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふげっ!」

 

 横を走っていたラピヌが、影絵の弾丸を受けて吹き飛んだ。

 だけどみすみす受けたわけじゃない。真っ先に気づいて、あたしらを庇うように前に出た結果だ。

 

「……私はこいつを倒す! くれはと帆奈は行って!」

「ラピヌ……」

 

 傷を負い血を流しながらも、その目はやる気に満ち溢れていた。

 出会った頃を考えたら、こいつが守って味方するなんてありえないだろう。

 

 彼女の視線を受けてあたしたちはまた走りだす。

 

 出現した鏡の魔女の本体は、エンブリオ・イブやワルプルギスの夜のような巨体と、それ以上の魔力を持っていた。

 身体から生えた四つの腕はひとたび薙ぎ払えばそれだけで必殺の攻撃になる。なのに影絵の銃の掃射に、株分けの鏡の魔女までもが攻撃を仕掛けてくる。

 

 ……うん、わかってる。

 道連れなんて甘い言葉が許される相手じゃなかった。こんなの、あたしひとりじゃ一番魔力の反応が強い頭部に近づけすらしない。こうして走り抜けることなんてできなかった。

 

 かと言ってあたしとくれはの2人だけでも無理だ。

 知り合いを集めて、10人規模になっても届かない。

 

 だが、今はどうだ。

 それこそくれはが一度でも出会ったことのある魔法少女――100人を超す魔法少女が揃っている。そいつらが4つの腕を抑えて、株分けの鏡の魔女を引き付けて、頭部までの道を作り上げているんだ。

 

 なんのためかって……ただ、あたしとくれはを、瀬奈に出会わせるため。

 

 最終的な目的は変わらずとも、これだけの人間が形になっていない希望を信じている。それを、このあたしも背負っている。

 

 想像もできなかった重荷に今さら胸がざわめいた。

 信じられる? いてもいなくても変わらない、世界から見捨てられたような人生を送ってきたのにさ、こんな立場になってるんだよ。

 

 重荷には違いないのに不思議と緊張はなくて、やり遂げないといけない責任感とからしくないものを感じてる。

 魔法少女に成り立てのあたしが見たらなんて思うか。場違いな思考をして、走りながら自嘲的に笑った。

 

 あるいは、思い残しをなくしたかったのかもしれない。

 これからやろうとしてることは、保証もなにもない"思いつき"なんだから。

 

 しばらく進むと、真っ白い魔女の空間に、黒のドレスを纏った人物が立っているのが見えた。

 

「……そっか、ふたりして、私を止めようとするんだ」

 

 あの頃と変わらない、良く通る綺麗な声だった。

 あたしの目の前に姿を現した時と一切の変化なく、幻影の瀬奈がそこにいる。

 

 あたしらを見る表情は、怒りでも諦めでもなく、柔らかな微笑み。

 鏡の魔女の大きな魔力の圧と、変身したあたしらが武器を構えていなければ、落ち着いた喫茶店で話しているかと錯覚する静けさだ。

 

「そうよ、みこと。私たちはあなたを止めに来た」

「んふふっ、優しいなぁ……止めるだけで済ませるなんて。殺したほうが楽なのに、考えてくれてるんだ」

「あたしらが殺すわけないでしょ」

 

 今さら言うまでもない。わかりきったことだ。

 それでもなお聞いてくる言葉の節々に棘があり、魔女の側面が垣間見える。

 

「うんうん、ふたりならそう言うよね。でも……素直に従うつもりもないの。ほら、見て?」

 

 どこからか現れた鏡の破片には、鏡の魔女と戦う他の魔法少女たちの姿が映っていた。

 

「あの人たちはそうじゃないでしょ? だから抵抗して、無意味さを思い知らせるの。全部最後は絶望で終わるって」

 

 もしも事情を知らなかったら、瀬奈みことのことを誰も知らなかったら、その時はきっと、あいつら全員で寄ってたかって殴りつけてたに違いない。

 

 だけど、そうじゃないんだ。

 あたしらがここで対話してることが、なによりの証明だ。

 

「それに、こんな苦しめる世界は台無しになったほうがいいんだよ。もう泣く必要も選ぶ必要もないの。また一緒にいようよ」

「……違うよ、瀬奈」

 

 そんな素敵な計画、昔のあたしだったら喜んで協力しただろうね。

 

 だけどさ、この世界にはキラキラしたものがあるんだ。誰かといられる平和で穏やかな何気ない日常が、こんなにも輝いてるなんて知らなかったよ。壊すことに拒否感が出るなんてことも。

 

 ……他でもないあんたが声をかけてくれたから、すべてが始まったんだ。

 教えてくれたのは、瀬奈なんだ。

 

「そんな悪意がまかり通ったら、あたしらが感じてきた嫌なことも不条理も肯定することになる。受けて当たり前のものだったなんて言いたくない」

「そうかな? だから、滅ぼすんだよ。希望で終わることを信じてるの?」

 

 重ねてきた罪は帳消しにはならない。

 

 もしもくれはがいなかったら、もっと早く瀬奈の存在に気づけただろう。

 その時は、あたしが敗れるところを瀬奈に見せたに違いない。絶望に堕ちてしまっては敗北するだけって教えることを、最期の手向けにしたはずだ。

 

 それもひとつの正解だ。否定する気なんてない。瀬奈のために行動できて、最高の終わり方ができたのなら心の底から満足できる。

 

 だけど、今は別の終わり方を。

 気づくのが遅かったからこそできる方法で、瀬奈に証明してみせる。この世界は不条理だけでできてないってことを、今度はあたしらが教えてやるんだ。

 

「あたしは、そんな世界に瀬奈を置いておきたくない」

「私も、そんな世界に帆奈ちゃんたちを置いておきたくない」

 

 だから最初、あたしは一緒に消えることを選んだ。残されたくれはの前からも消えようとした。

 

 結局、瀬奈も同じだ。こんな世界にひとりでいたくない。かと言って、あたしらをふたりきりで悲しみの中に留まらせることでも許せないんだろう。

 

 じゃあ、くれはは?

 

「みこと、私たちは戦いに来たわけじゃないの」

 

 くれはは、選べない。

 選べないからこそ、そうじゃない道を最後まで探すんだ。どこまでも欲張りで、自分勝手なヤツだよ。

 

「絶望で終わるとか、希望で終わるとか、今はそんなのはいい。始まりにすら立ってない。私はまだ、"ほんとうのあなた"を見ていない。だから、取り戻しに来たのよ」

 

 ……あっは、感化されたあたしも同じか。

 

「ごめんね、殺したくないの。でも、殺すしかなくなっちゃった……あれ、違うよね、滅べば幸せになれるんだから……合ってる……」

 

 鏡の魔女から感じる魔力が高まる。

 マズい。人格が魔女に傾いてる。あの頃の瀬奈の姿をしていても、性格も考え方もおかしくなりつつあるんだ。

 

 記憶から派生した人格とはいえ、根本にあるのは同じはずだ。"想い"の瀬奈が存在していたのと同じ理由で、曖昧になろうと確かにそこにいる。

 

 ただ……こうなったら、いつまで持つかわからない。

 完全に魔女に塗り潰されてしまえば、それは本当の魔女化と変わらない。

 

「んふふっ……本気で行くよ、くれはちゃん、帆奈ちゃんっ!」

 

 ……どちらにせよ、鏡の魔女と戦闘になることは変わりない。

 

 あたしのもうひとつの作戦はここからが問題だ。実際に相対してみたら、この魔力量を持つ相手と戦うことがどれだけバカげてるかよくわかる。だけど、瀬奈が瀬奈であるうちに、どうにかして()()()()()()()()()

 

「なら私も本気で止める」

「どうやって? 鏡の魔女ってすごいんだよ、こうやって他の世界から魔力を……あ、れ……?」

「止めた」

「……え?」

「だから、あなたをこの世界に止めた」

 

 くれはがなにを止めたのかはまったくわからない。ただ、結界中に巡る魔力がどんどん霧散していく。鏡の魔女だって無限に魔力があるわけじゃなく、どこからか供給しているのなら……それを止めた?

 

「だからって! このッ!」

 

 今度は不可視の攻撃。それが最初のガラス片だって気づいたのは一瞬でしかなかった。

 だってあいつ、高速移動で全部叩き落したんだ。いくらか当たったようにも見えたけど、くれはの様子に一切の変化はない。

 

「……はは」

 

 暗闇に灯った光が強く輝いていく。

 遠くに見えていたそれが、手が届きそうなほど近くに来ている。

 

「だったら!」

 

 真っ白な地面から伸びた黒い腕がくれはを掴んで、どぷんと地面の中に引きずり込む。

 だけどすぐに紅の光が溢れる。やっぱりなんの外傷もなく、くれはは地面から飛び出した。

 

「……なんで? どうして? 今のはどんな魔法少女でも耐えられるはずがないのに……っ!」

「本気で殺そうとしたのね」

「やることが過激になってきてる……」

 

 さっきの発言の通り、本気で力を振るっている。

 今の攻撃は腕が出現した瞬間、全身で悪寒を感じた。影の世界に入るのとは違う、捕食されて溶かされるような恐ろしさがあった。

 

 瀬奈の表情が険しく激しいものへと変わっている。"鏡の魔女"という存在に今一度成ろうとしている。

 

 攻撃は防げても時間がない。

 本当は『移植』だったなんて固有魔法で記憶を移し替えたそうだけど、魔女と一体化してしまえば、本来の存在に戻っていってしまう。

 

 そうなったら手遅れだ。だからあたしは一人でも鏡屋敷に乗り込んだ。

 

 ……もう少しだってのに。もう少しで、掴めるのに。

 

 あの夕暮れの日と同じく、届きそうで届かない無力感があたしを包む。

 肉体は抜け殻になって、魂は既に魔女化していて、残るのは記憶とそれに基づく人格を持つ精神だけ。それを魔女の絶望に塗り潰されてしまえば、本当に瀬奈みことがこの世界から消滅する。

 

 なにか方法はないかと痛くなるほど考えて――その瞬間、もしかしてと、閃きが過ぎった。

 

「くれはっ! 瀬奈にあんたの魔法を使って!」

 

 過去のフランスであたしが『復元』を使ってあいつらの記憶を取り戻していたとき、くれはも魔法を使っていた。

 あの時は使う意味がわからなかった。たぶん、くれは本人もなんとなくとしか思ってないはずだ。

 

 だけど、ペレネルが言った今ならわかる。

 『対象確定』が白紙の予言書と同種の力を持つのなら、揺らいで曖昧になっていた人間の歴史を確定させたんだ。記憶っていうのは過去の積み重ね。どっちか定まってなかったから忘れていた。

 

 これも同じだ。"鏡の魔女"と"瀬奈みこと"という、揺らいで曖昧になった瀬奈の精神を確定してやるんだ。それ以上侵食されず、絶望に打ち勝って取り戻せるように。

 

 だけどくれはは、瀬奈に腕を伸ばしたまま真顔を歪ませて言った。

 

「……みことが認識できない」

「できないって、まさか……」

「違う、僅かにはある。でも、掴みきれない……!」

 

 くれはがどんな感覚で瀬奈を留めようとしているのかはわからない。 

 だけど、存在が薄れた精神が、鏡の魔女が宿す数多の積み重ねた呪いに紛れて沈んでいこうとしているのなら、認識できないのも理解できる気がした。

 

 なら、あたしになにができる?

 瀬奈が消えないようにするには――

 

「……瀬奈! あたしさ、喫茶店で苦いコーヒーばっかり飲んでたけど、本当は苦手だし甘いほうが好きなんだよ! シロップだって入れたかったけど、あんたが憧れるなんて言ったからカッコつけたんだ!」

「私はメロンが好きよ」

「あっは、それは知ってるっての! あんた嘘つけないんだから」

「なに? 急に……」

 

 そりゃ呆れるよね。急にこんな話したら。

 

 『暗示』で偽ってたっていうけど、あたしも同じなんだよ。

 でもあの頃の思い出だけは、あたしらにとっての真実で、魔女にはない絶対の記憶だ。

 

 無意味かもしれない。声なんて届かないかもしれない。

 だけどやらないで諦めることができるものか。本当の瀬奈を浮かび上がらせることができるのなら、あたしだって真実をさらけ出してやる。

 

「読んでた本だって1冊読むのに半年もかかってたしさ。オススメの本聞かれなくてよかったよ」

「てっきり頭が良いと思ってたのだけど」

「色々頑張ってたんだよ……あんたたちに良いところ見せたかったし。あんたは良いよね、そういうのなくてさー」

「……んふふ」

 

 ハッとして、瀬奈を見た。

  

「楽しいね。思い出すなぁ……こうやって話したよね」

「瀬奈……」

「ふたりがいるとね、ぼんやりとした闇の中に温かな光が差し込んでくるの。それが憎しみを和らげてくれる気がする。殺そうだなんて思うはずがないのに、おかしくなってるのがわかるの。それは今も私を変えようとしてくる……」

 

 泣いていた。

 幻影のはずの姿は、過去を懐かしむ寂しげな笑顔と共に、頬を濡らしていた。

 

「これがいつまでも持つわけがないよ、いつか私は完全に消え去る……それに、私は魔女なんだから、あの頃には戻れないの。お願い、鏡の魔女を殺して。ふたりと会えないなんて嫌だよ。でも、私が殺すなんてもっと嫌だよ……」

 

 本心を見ている気がした。三人でいたい気持ちが一番で、自分も幸せになりたいはずなのに、それでもなお"友達"を見て言っていた。

 

 魔女としての瀬奈も一緒に魔女になって暮らそうなんて言ってたんだ。なのに押し殺してまであたしらに生きてと伝えるなんて、相当な我慢をしている。

 

 ……でもさぁ、それをあたしらが素直に受け取るわけないじゃん。友達なんだから。

 

「それは違うわ。言ったでしょう、取り戻しに来たって」

 

 ね? あんたもさ、帆秋くれはは諦めが悪くて自分勝手だってよく知ってるでしょ?

 

「私はもう一度あなたの手を取りたい、一緒にいたい。またあの喫茶店で、三人の日常を楽しみたい。あの時掴み損ねた手を、言ったさよならを――取り戻したいの!」

 

 ――そうだ。

 

 あたしたちには、大きな目的なんてない。

 そこに上下はない。グループ同士の関係もキモチの腕輪も魔法少女至上主義なんてのも、関わりない。

 瀬奈は大東、あたしは水名、くれはは南凪、東西問題とか、関係ない。

 

 ただ、そう。帆秋と瀬奈がいて、あたしは初めて笑えたんだ。そこに更紗帆奈がいたんだ。

 

「あたしも……最初は利用してやろうとか思ってたけど! あの時間は本当に大切で、楽しかったんだ! 大好きだったんだ!」

 

 くだらない言い合いをして、怒られて、笑って、みんなはこんな世界に生きてるのかなって、少し寂しくなって。

 

 すべてが変わってしまっても、変わらないものがあるのなら。変えちゃいけないものがあるとしたら。それは、この想いだ。虐げられてもなお輝き続けるあの日の思い出だ。

 

 だから、世界にはまだキラキラとしたものが残っているんだって、もう一度届けてやるんだ。偽りでも真実には違いない。あたしに声をかけてくれたように――!

 

「みこと!」

「瀬奈!」

「くれはちゃん、帆奈ちゃん……でも、もう魔女なのに……」

「だからなに!」

 

 魔法少女は魔女になる。それは不可逆の真実で、知った者は絶望する。

 だからグリーフシードを集めて死を遠ざけて、避けるために自動浄化システムを生み出した。

 

 だけど、あたしたちはなんだ?

 

 奇跡を願い、運命と条理を覆した魔法少女だ。

 なら、不可逆なんてものになんの意味がある。覆せないなんて誰が決めた。

 

 肉体は抜け殻。魂は魔女化。記憶は消滅。

 逆に言えば、抜け殻になった肉体と、魔女化していない魂と、本来なら消えてしまう記憶とそれに基づく人格を持つ精神があれば――元に戻せるじゃないか。

 

 ラピヌが魔女から元に戻ったのを見た瞬間、もしかしたらと妄想にすぎない思いつきが生まれた。

 だけどそれらを用意する手段はないし、それにラピヌの固有魔法は自分に作用するもの。既に魔女化してる相手に使えるわけがない。

 

 だってのに、今、全部あるんだよ。

 それでもと縋り付いて足掻き続けて、偶然と奇跡が混じり合って手段が揃ってる。

 

 肉体。

 

 普通は魔女化したら抜け殻がそこに残る。瀬奈の身体も、今は火葬されて大東の共同墓地に眠ってる。既に存在しない。

 

 だけど、ないなら作ればいい。

 

 ある時、昴かずみという魔法少女がねむと桜子の二人と話している場面を聞いた。自分はとある魔女化した魔法少女のクローンで、魔法で作られたのだと。

 ……その後、すぐにその関係してるやつに話を聞きに行った。夏休みの間、あすなろ市に足を運んでたのも詳しく知りたかったからだ。

 

 だいたい、桜子だって実体を持つ魔法で作られた存在だ。人間の肉体ひとつ、魔法で作れないわけがない。

 

 実際に手段を手に入れたのはペレネルの目的を知って協力関係になってからだ。

 錬金術っていうのも魔法と同じ。ホムンクルス……とかいうので肉体ぐらい作れる。賢者の石の研究でずっといるんならちょうど良かった――あたしが影の中に収納しておけば、周囲の影響も受けないしね。

 

 魂。

 

 これは偶然にも出会った紅晴結菜と藍家ひめなの存在で手段は思いついた。ラピヌの魔法を『対象変更』で相手に作用させるか、『合成』で魔女にくっつけてそのまま倒せばいい。

 ただ、協力してくれるとは思えなかったし、魔女にくっつけられるかもわからなかった。実際、あたしだけじゃ鏡の魔女を倒せないだろう。

 

 ……そこで、くれはだ。

 なんにも言ってないのに、あのカトラスにはラピヌの魔法と『対象変更』が『合成』されている。姿が変わった今のくれはの力は未知数で、もし倒せれば……同じ結果を得られる。

 

 そして、記憶。

 

 肉体と魂が戻っても、人格が魔女のままじゃイザボーと同じだ。記憶に基づく人の歴史がその人間を作り上げるのだから、見た目だけ同じの別人になる。

 

 それは、瀬奈自身が解決していた。

 『移植』という固有魔法が、魂から人格を引き剝がして消滅せずに存在している。今あたしらが話している相手だ。

 

「くれは」

「ええ、止めた」

「……ふたりとも、なにを」

「だから、こいつが言ったじゃん」

 

 そうだとも、あたしらが目指してるのは文字通り、()()()()()()()()()()()()

 

 ありえないとキュゥべえが言うのなら教えてやればいい。インキュベーターが求めた感情の意味と、希望や絶望なんてわかりやすい枠組みを超えた人の心を。

 

 そうだとも。この世界には救いがないなんて証明をさせるものか。

 あたしらが受けてきた理不尽を認めてなるものか! 

 

 エントロピーだかなんだか知らないけどさ、宇宙を救う力があるのなら、目の前の親友ひとりぐらい救えて当たり前だろうが――!

 

「あんたの魔法、借りる! ()()()――!」

 

 作った身体を影から出して、『上書き』の固有魔法を発動させる。

 選んだのはくれはの『対象確定』。あたしが瀬奈の人格を確定させ続けて、くれはには自由に動いてもらう。

 

 その意図を一瞬で理解したのか、くれははあの紅の稲妻を発して、魔女の頭部へと跳んでいった。

 紅の一閃。目にも止まらぬ空中を駆けるそれが次第に増えていく。そのたびに鏡の魔女の発する圧力が減っていく。はは……なにあれ、タルトかってぐらい強いじゃん。

 

 ならあとは、あたしが維持し続けるだけだ。

 急にコピーして使えるのかって心配はない。

 

 だってこの魔法の本質は、止める(とめる)滞留の力じゃない。

 想いを止める(とどめる)対流の力。過去と現在で立ち止まる停滞じゃなく、明日へ向かうための進む力。……今のあたしが、それを使えないわけがないんだよ!

 

「嘘っ、鏡の魔女が、どんどん……!」

「だから言ったじゃん、あたしらは――ぐ、あぅ!」

「帆奈ちゃんっ!?」

 

 バチバチと魔力が弾ける。尋常じゃない消費に筋肉か血管か、身体のなにかが千切れていく。全身が引きちぎられそうなほど痛い。魔力が荒れ狂ってるのがわかる。

 心の底から冷えた絶望が這い上がってきて、今にも喰われそうだ。あいつ、こんなのをずっと使ってたんだ。

 

「もういい、もういいよ! やめて帆奈ちゃん!」

 

 触れられないのに、瀬奈が必死であたしを止めようとする。

 そりゃそうだ。今のあたしは痛みで立つことすらできなくて、酷い表情になってるだろう。

 

 だけど、ただただ魔法を発動させ続けて、耐えるだけでいいんだ。それぐらいできないでどうする。

 

 たった一度の奇跡はもう使った。なら、この手で掴むしかない。

 だってさ、生まれてからずっとどん底だったあたしが得た、最高の宝物がそこにあるんだ。

 

『私たち瀬奈と帆奈で似てるって言ったでしょ? それでこの人は帆秋。私と合わせたら帆奈だよ? 似た者同士三人で組もうよ!』

 

 それは始まりの言葉で。

 

『わー! くれはちゃんのソウルジェム、そんな色なんだ! いいなー、帆奈ちゃんの衣装とお揃い!』

『……そういうもの?』

『そうそう。ね、帆奈ちゃん――』

 

 隠れてた悲しみを知らなくて。

 

『あれはなんだ……なんで、こんな……手遅れなの……?』

 

 もう二度と、目を逸らさない。

 

『遅いよー。もう帆秋なんか三杯目……ってお前またメロン? いい加減別の頼んだら?』

『結構。だって――』

 

 だって。

 

『あなたたちも同じの頼むじゃない』

 

 あたしたちはいつだって、似てない似た者同士なんだから。

 

「――っ」

 

 異変に気付いた魔女の身体が四本の腕を伸ばしている。

 そのうちの一本があたしに振り下ろされようとして――

 

「はあぁぁぁぁッ!!」

 

 落下した紅の稲妻が、真っ二つに両断した。

 

 だけど、まだだ。

 残る三本に、株分けの鏡の魔女までもが攻めてきている。ラピヌが撃ち抜かれた、銃撃の発射音が耳に響いて、風と共にあたしに飛んでくるのが魔力でわかった。

 

 だけど、目の前で黒いなにかが弾いた。

 カトラス? いいや、違う――防いだのは、あたしの"影"……!?

 

「……そっか」

 

 聞こえないけど、わかる。もう消したのに、どうやってか知らないけど、あたしに力を貸している。「行きなさい」と言って、前に進ませようと。

 

 他のやつらも魔力反応がどんどんこっちに近づいている。ここが最終局面だってわかったんだろう。次々と到着しては、あたしと瀬奈の身体を守ろうと、それぞれ戦い始めた。

 

 だったら! あたしが諦めるわけにいかないだろうがッ!

 

「せ――なぁぁぁッ!」

 

 あたしたちがやってきたこと。

 あたしたちが生きていたこと。

 たとえこの世から消えたって、それだけは、消えないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぷかぷかと意識が浮かぶ。

 真っ暗な空間で、ただただ流れる。

 

 ああ、夢かなこれ、いや……あたし、死んだのかな。

 

 ちょーっと無理しすぎたもんなぁ。ソウルジェムが限界だったかも。

 最後のほう、どうやって魔法使ってたかわかんないし、気力で保ってただけもの。

 

 ……瀬奈を元に戻すと決めたとき、ひとつだけ懸念があった

 どれだけすごい魔法があっても、どれだけあたしらが諦めなくても、それだけじゃダメなんだ。

 

 手を伸ばされる側――瀬奈が本当に必要としていなければ、それは救いでもなんでもない。

 救われるのはあたしたちの心だけで、瀬奈には意地の悪い苦しみをもう一度与えるだけにすぎず、エゴでしかない。

 

 そんな恐れがあったからこそあたしは躊躇っていて、準備をしながらも、一緒に消える不器用なやり方を真っ先に選んだんだ。

 

 うまくいったんだろうか。うん、いっただろう。

 もし死んでたらなんて謝ろうか。ふたりきりにしてゴメンとか? ……って、謝れないか。

 

 そんなことを考えていたら、だんだんと意識がはっきりしてくる。

 寝ている自分の身体の感覚が蘇ってきた。それと同時に、強く安堵した。

 

 そうしてゆっくり目を開けると――くれはと瀬奈が、覗き込むようにあたしを見ていた。

 

「起きた?」

 

 そして気づいた。これ、くれはの膝枕だ。

 

 ゆっくり身体を起こすと、周りにいるたくさんの魔法少女たちがあたしに視線を向ける。

 

 隣には環いろはや調整屋たちがいて、魔法を使ってたんだろうなってすぐわかった。みたまなんて、みっともなく泣きじゃくりながら「良かった」と笑っていて、十七夜を困惑させている。

 

「……ありがとう、帆奈ちゃん」

 

 確かにそこにいる瀬奈が、笑顔でそう言った。 

 

 太陽が堕ち、寂しさの夕方が来て、夜の暗闇に包まれたとしても。

 

 明日は、また来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鏡の魔女を倒すRTA、はーじまるよー。

 

「んふふっ……本気で行くよ、くれはちゃん、帆奈ちゃんっ!」

 

 前口上が終わりここから正面勝負です。ミスったらリセだぞリセ!

 じゃあまず、その力を削がせてもらうぜ?

 

「……え?」

 

 ところでなぜ鏡の魔女はこんなに強いのでしょうか。

 

 それは空間に満ちた魔力の出元が理由。

 浮かぶ鏡が繋がる平行世界からも魔力を回収しているので、無限に近いエネルギーを持つわけですね。

 だいたいこの鏡を残しておくとタイムパラドクスによる過去改変攻撃をしたり、最悪の場合は逃走するので非常に危険です。

 

 ん? 今、平行世界とタイムパラドクスって言ったよね?

 

 いますよね、みなさんご存知、そういう平行世界の干渉や世界改変の影響を完全に防ぐ魔法を持つあの魔法少女。

 

 そう、『対象確定』を持つくれはちゃんであれば、鏡の魔女そのものをこの世界に縫い止めて、一切の外部干渉を断ち切ることができます。魔力が有限になるので弱体化するわけですね。

 

「だからって! このッ!」

 

 おっと最初のガラス片攻撃。これは自分を加速させて一気に叩き落としましょう。

 これに当たると肉体の他に精神にダメージが入るのですが、自分の精神を止めておけば無視できます。いくらかはライフで受けるぜ!

 

「だったら!」

 

 なんと謎の黒い手にくれはちゃんが地面に引き込まれてしまいました。暗い暗い暗い……。

 消化攻撃とでも呼ぶべきこれは、結界内ならどこでも撃てる即退場技です。バランスおかしくな~い? これ連打されたらもう終わりだぁ!

 

 なので自分に向けて『対象確定』。溶けて消えることがなくなるので、あとは加速して内部からぶった切り脱出。 

 

「……なんで? どうして? 今のはどんな魔法少女でも耐えられるはずがないのに……っ!」

 

 ん? 今どんな気持ちや?(煽り)

 

 では、いつもの魔法少女解説最終回。

 

 『帆秋 くれは』は、カトラスを武器とする近距離型魔法少女です。攻撃力と速度に特化した代わりに防御力は紙ですし固有魔法はクソ燃費でまともに扱えません。

 しかし、その真価は対瀬奈みこと特化型魔法少女。『暗示』は『停止』で封じ、鏡の魔女と化した後はすべての行動を『対象確定』でメタれます。後にも先にも、ここ以上の活躍の場面はありません。この戦闘においてのみ、彼女は最強の魔法少女です。

 

 とまあ、実は彼女、最初から対鏡の魔女に特化して構成された超メタ魔法少女です。

 今までのイベントやボス戦はすべて、他の魔法少女に助けを求めればどうにかなるものでした。むしろ、頼る前提にチャートを組んでいます。

 

 しかし、今この時だけは、"帆秋くれは"がいないといけません。

 

 鏡の魔女戦は正面から撃破する以外にも別のルートが存在します。

 その分岐点は『瀬奈みこと』の過去を知っている者がいるかどうか。つまりは本来、更紗帆奈がいることです。今回はくれはちゃんも該当しますけど(ガバ)。

 

 みたまさんが見つけるノートだけでは情報が足りず、東西の問題に翻弄され家族に問題を抱えていた人間という、微妙に根本が異なることしかわかりません。読むとわかる"ある魔法少女"を除いては誰も信頼していなかった……というのがこのルートに入るヒントだぜ。

 

 なのでくれはちゃんが必要なのは別の理由。

 

「くれはちゃん、帆奈ちゃん……でも、もう魔女なのに……」

 

 今の彼女は"鏡の魔女"としての悪意や憎悪の影響を受けた、瀬奈みことであり瀬奈みことでない状態です。

 それでも生前の関係者がいれば姿を現して対話フェイズまでもっていけるのですが、人格まで魔女になりつつあるので話が通じません。

 

 そこで曖昧となったみことちゃんの存在を確定。これ以上の侵食を許さないどころか分離状態にまで近づけられます。

 あとはこれを維持しないといけないのですが……ヘイ帆奈ちゃん! やってやんな!

 

「あんたの魔法、借りる! ()()()――!」

 

 最後の部品を失った鏡の魔女は本能で動くしかなく、行動パターンまでも弱体化。

 となれば全力で殴るだけ……あれ? 影からせなみこの身体が……あっふーん(察し)。

 

 まあいいや。

 強化カトラスフル発動! 鏡の魔女を切り刻めー!

 

 すべての行動が封じられた鏡の魔女はもはやサンドバッグ同然。

 魔力を気にしなくていい今のくれはちゃんは1回の攻撃が8連撃ぐらいになり、ついでに追撃が10発ぐらい入る意味不明な性能してるので勝てます(天下無双)。

 ついでに殴るたびに鏡の魔女を構成する呪いが解け、宿る絶望が元の姿に戻っていくことになり弱体化し続けるので楽勝なんだよなぁ。

 

 こんなことしてる間に、色々と解説しておきます。

 

 まずこのカトラスですが、ひめなに『合成』で魔法を付与してもらっています。

 

 物に『合成』した場合、その効果は長続きしません。

 しかし、ご存知の通りくれはちゃんの『対象確定』はその状態を維持し続け、対象が無機物だと著しく消費魔力が軽減されます。パワーアップした今ならないも同然です。つまり、誰かの固有魔法が宿った武器を使いたい放題です。

 

 そして付与したのはラピヌお姉さまと結菜さんの魔法。

 本来は自分が魔女から魔法少女に戻る魔法ですが、その対象を『対象変更』により相手に変更。倒した魔女を魔法少女に戻すルールも世界観もぶっ壊す最強カトラスが誕生します。身体がなくても入れ物がないだけなので幽霊にはなるでしょう。

 

 鏡の魔女を殴るたびに解呪できてるのは、こいつが数多の呪いを集合させた結晶なので、ひとつひとつが"元に戻っていく"からですね。

 

(……くれはさん、腕が移動してます! 私たちもそっちに!)

 

 おっといろはちゃんからテレパシー。

 いろはちゃんもう戦闘は終盤、敵の体力は真っ赤っ赤よ!

 

 しかし鏡の魔女をただ倒すだけでは条件未達成のクリアとなり、なんだか物足りないエンディングに辿り着いてしまいます。レギュレーションからも外れてダメダナ。

 

 真のエンディングを迎える条件とは、瀬奈みことに"奇跡を見せること"。

 突拍子もない条件にえっなにそれは……(困惑)となるのもまあ多少はね?

 

 満たす行動は多々ありますが、今回はラピヌお姉さまの意味不明固有魔法で達成させます。

 鏡の魔女を瀬奈みことに戻せば撃破扱いになりますし、"奇跡を見せる"という条件にも引っ掛かるのでこれで万事OKだわ。

 

 まあ、ただ戻しても幽霊になるので退場と同じなんですけどね。くれはちゃんもverFinalならば命を使い切るので仲良くあの世生きです。

 

 なのでほんとは瀬奈みことを成仏させて終わりっ! だったんですが……帆奈ちゃんが用意してるので戻せちゃうし、ファイナルじゃないのでくれはちゃんは生きてるし大団円。いつしか雨は止み、そこには虹がかかるんだよなぁ……。

 

 というわけでカトラス全開の特殊攻撃でトドメ! 鏡の魔女戦完!

 

「――あ、私……?」

 

 固有魔法コンボも無事に決まり、みことちゃんが復帰。

 このタイミングで神浜魔法少女ファイルを見てみるとステータスの魔女化の演出が消えているのがわかることでしょう。

 

「あ……帆奈ちゃん!」

「帆奈嬢は魔法の使いすぎのようですね。調整屋の方々と、治癒魔法を持ってる魔法少女のみなさん、力をお借りできますか?」

「よっしゃ任せとき。ヨヅル、月出里、みたまも手貸しや!」

「……あの黒いドレスの魔法少女いたっけー?」

「|灯花、それはあと|」

 

 よっぽど疲れたのか帆奈ちゃんがダウンしましたが、単なる疲労なのですぐ目を覚まします。

 

「……ありがとう、帆奈ちゃん」

 

 というかどこだここ! 誰かー! 誰か知ってるー!? 

 

「結界が消えたと思ったらここ……南凪の海浜公園だね。まだ深夜だ」

「どうりで見覚えがあると思ったぞ、急に飛ぶなんて鏡の魔女らしいっちゃらしいが……」

「観鳥さんもひなの先輩も落ち着きすぎですよ! 台風が来たみたいに風は強いし、めぐるなんてどこを実況すればいいのやら……ほら、アレ! あの鏡!」

「鏡ぃ……? 鏡の魔女が倒されたんなら消えるだろ? あ、いや……!?」 

 

 そうだよ(便乗)。

 あとはもうエンディングに一直線のはずなんですが……鏡の魔女の身体まだありますね? あとなんでこんな暴風なんですかね?

 

 それに大きな鏡は残ってますし、そこからちょっと身体が覗いてるのは……。

 

「ま、まさか……!」

 

 いやそんな……冗談はよしてくれ(タメ口)。

 ラピヌお姉さまが騒ぎ出したので今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。

 

 




■今回の内容
 第二部第12章『結ぶ永久の彩り』
 『サヨナラ・ストレージ』(一部分)

■くれはちゃん
 その正体は対鏡の魔女メタ魔法少女。鏡の魔女からしたら理不尽ゲー。
 引きずり込む即死攻撃もガラス片も存在が固定されているため効かない。『対象確定』を全力で自分に行使すれば外部からの干渉をシャットアウトできるので、防御にステータスを割り振る必要なんてなかったんですね。

■帆秋くれは(ver.ablaze)専用メモリア『あの日の喫茶店』
 『対鏡の魔女ダメージアップ[Ⅹ]&『結ぶ永久の彩り』最終Battleで…』
 という効果を持つ、専用メモリアなのにこの時この場面でしか効果を成さない問題の品。

■みことちゃん
 協力プレーで戻ってきた。色んな魔法少女の固有魔法やアイテムの融合存在。
 二次創作! 二次創作です!

■魔女から元に戻せるの?
 結構どうとでもなる。
 願いで文字通り戻したり、疑似的に蘇生させてみたり手段は様々。

■鏡の魔女戦
 殲滅戦形式での戦いのあと、本来は大東区の泉にワープしてもう一度戦う。
 しかし……今回は南凪に移動。そしてこれ難易度はハードモード。

■さよならは、また会う明日のために
 さよならを言えた夕暮れは通り過ぎ、日を跨ぐ。
 常夜などなく、それはまた会う明日へと。バイバイ、また明日。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。