マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート   作:みみずくやしき

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パート98 結ぶ永久の彩り

 

 実はもう1戦あったRTA、はーじまるよー。

 

「ま、まさか……!」

 

 ラピヌお姉さまが借りてきたウサギのようにうろたえ始めてしまいました。

 ああ~ん? 海浜公園のクソデカ鏡になにがあるって言うんだい!

 

 くれはちゃんアイで遠方を確認。デカすぎる鏡はここからでもよく見えますね。

 視認してみると、笑顔で迎えてくれたのはよわよわ魔女ではなく、ラスボスでしかも蛾っぽい。両腕にぶっとい砲台2本付けちゃってさぁ……すごいんだぜ?

 

「お母さま……」

「ウソでしょ!? あたしらが見たのはもっと芋虫みたいな……」

「いいえ、帆奈嬢……アレは間違いなく――イザボー・ド・バヴィエール。600年前タルトが倒した女王(ラ・レーヌ)の黄昏、その本体よ……!」

 

 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!

 

 そうだよ! あれラ・レーヌの黄昏だよ!

 頭部にちょこんと乗ってる手の玉座にイザボーの肉体が座ってんだよなぁお前見ろよこれなぁ! この崇高な姿(ミヌゥ並みの感想)よぉなぁ!?

 

 なんで? なんで? なんで? なんで出現したの?

 フラグ阻止したじゃーん! フランスで阻止したし、今だって、ちゃんと進行してるじゃーん! この超難易度! フラグまでイカれてるんじゃないだろうな!

 

 ……ア!(超速理解)

 

 あれです。『伝説の終わり、光の果て』でラピヌを追っかけたのでミヌゥの策略をケアできてません。

 

 そしてくれはちゃんはバッチリとラ・レーヌの黄昏の存在を覚えており、瀬奈みことにソウルジェムハッキングを受けたため記憶が流失。存在を知った鏡の魔女が呼び出したのでしょう。

 

 神浜市に舞い降りる滅びよくばりセットの中に封入され最後の最後で大復活。ラスボスお代わりのご注文で戦うことになってしまう別パターンということでした(散々)。ドウスッペ……ドウスッペ……。

 

 既に結構ヤバいんですが、全身を襲うこの世の終わりみたいな台風……なんか見覚えありますよねぇ。

 第一部の魔法少女たちが騒がしくなってますし、特にほむらちゃんなんかソウルジェム割って過去に戻ったとき並みの絶望の表情。

 

「そんな、ワルプルギスの夜がまた……?」

「……大丈夫だよ、ほむらちゃん」

 

 奇怪な笑い声と共に海の向こうからワルプルギスの夜まで再エントリー! もう十分だ……もう十分だろう!

 

 もちろんラ・レーヌの黄昏同様本物は既に倒しているんですが、『魔女たちのパラドクス』で過去の魔女が鏡を通って神浜に来ていたのと同じです。行けるってことは、来れるってことなんじゃないかな?

 なお、通れさえすれば平行世界からも来ます。なんやこのチート能力……。

 

 敵だけでなく味方が来る可能性もあるんですが、悲しいけどこれ、ハードモードなのよね。そういうのはありません。

 

 ここからが最終章の正念場。未だ倒してないラスボスの魔女が2匹、使える戦力は神浜だけ。今いる魔法少女だけで勝つんだよオウ!

 

「瀬奈っ、まさか鏡の魔女が……」

「た、たぶんそう! 私がいなくても動くことはできるから、倒しきってなくて残った魔女の身体だけでも神浜を滅ぼそうと……!」

 

 あっふーん……。

 鏡の魔女の身体はもはやガタガタどころかボロボロ。腕が一本しかない魔女の末路。だって言うのに、制御する瀬奈みことが外れても元気に進行中。逃げんじゃねぇよ!

 

 ということで、これが正真正銘のラストバトル。

 残る『鏡の魔女』の身体、『ワルプルギスの夜』、『ラ・レーヌの黄昏』のスーパー大決戦です。1体でも強いのにバッカじゃねぇの!? どうしてこうなってしまったのか、コレガワカラナイ。

 

 しかしヒュアデスの暁くんはどこ……? ここ……?

 ラスボス枠で言ったら魔女化カガリも同じなんですが、今回はいないみたいですね。いてもこのメンバーなら簡単ですけど。

 

 なんせ相手は一度は倒された魔女たち。再生怪人は弱いってお約束がもちろん適用されるわけです。同じ方法で倒せますし、あの頃よりもパワーアップした力、見せてやるぜ!

 

 と、なるはずなんですが、相手が大問題。

 

「あの時みたいにういが希望を集めて、やちよさんに渡して撃てればいいんですが……」

「難しいわね。落ちてきた羽根が強化してくれたからできたようなものよ。今の私が受けきれるかどうか。それにチャージしている間にあのもう片方の魔女に襲われたらひとたまりもない」

「なーなー、だったら先に倒せばいいだろ? オレがズガーンってやれば」

「……できないんだよ、それ」

 

 対ワルプルギスの夜はあの時のように羽根の力がないので束ねた一撃が撃てず大ピンチですし、実情を知ってる帆奈ちゃんの顔は真っ青。そりゃそうでしょうねぇ。

 

「ラ・レーヌの黄昏は、とある願いにより魔法少女からの攻撃は一切効きません。どれだけ強力な攻撃を持とうと、あなたたちが魔法少女である限り……倒すことができないのです」

「……冗談でしょ」

 

 その通りイザボーは耐性据え置きの無敵状態。超ハイスペックなタルトver2でさえ太刀打ちできなかったので、魔法少女な以上勝ち目はありません。そして打倒できるファイナルタルトもとっくの昔にこの世界から退場済み(絶望)。

 

 対イザボーに関しては、現代神浜なので魔女の力を持つドッペルなら戦えはしますが……みゃーこ先輩の『軽忽のドッペル(Cyan)』は周囲に強烈な毒をバラまきますし、このみちゃんの『緑化のドッペル(Heidesommer)』はあらゆる有機物を分解する酵素を保有しており、触れた者はことごとく腐って分解されるという凶悪さ。彼女たちのような存在がいるので、下手にドッペルを使うと出現するだけで味方に大損害を与えかねません。

 

 それにまだ鏡の魔女の結界があるので自動浄化システムは適用外。犠牲上等の作戦もそもそも使用不可。

 じゃあどうしろっていうんだよ! 救いは……救いは、ないんですか!?

 

 この世に救いが無いならば、俺が救いになればいい(至言)。

 

 本来は鏡の魔女→ラ・レーヌの黄昏→ワルプルギスの夜と順番に倒していくのが正解ルートなんですが、そんな時間がかかることやってられないので、三方面作戦で一気に倒します。

 

 まずは知力高めの結菜さんに相談してみましょう。

 解決策が出るまではペレネル先生とアリナ先輩に結界を張って守っていてもらいます。二重の意味でベリーハードだヨネ。

 

「そうねぇ……私たちが出せる更なる力はキモチの腕輪じゃないかしらぁ。私が使った時は暴走してしまったけれど、4つであれだけの力が出たのよぉ。もし、8つすべてを使えば……」

 

 はい来た! 即座にフラグ立てるなんてさすが結菜さんっす!(一般通過煌里ひかる)

 

 以前も解説しましたが、元々エンブリオ・イブであるキモチの石は、大元であるういちゃん、制御する小さなキュゥべえ、腕輪を装備してベースになるいろはちゃんが使えば、合体してパーフェクトキモチフォームに変身することができます。

 

 実は変身に複雑な条件は必要ありません。要素が揃ってさえいれば、誰かが合体できることに気づけばフラグ成立。やろうと思えばキモチの石が出揃う第4章で出現させて無双もできるらしいっすよ?

 

「わかりました。私たちがなんとかしてみせます! うい!」

「うん! この子も!」

「モキュ!」

 

 今まで存在感が消滅していたモキュがここぞとばかりに再登場。いやどこにいたんだお前……?

 

 そして2人と1匹が合体。白い衣装と背負う金の羽根がホーリー感ある(インフィニット)いろはちゃんの登場です。空を飛べるし巨大クロスボウから放つ攻撃は強力無比。さすが、8つのキモチを束ねただけのことはある(感嘆)。

 

「……これで!」

 

 ビームをクロスボウからシューッ! 超! エキサイティンッ!

 ガハハ勝ったな! 残る3体を倒してこれで終わりっ!

 

 

 

 

 

 とはいきません。

 

「ウソ、効いてない……?」

「あれだけの魔力だったのよ?」

 

 いろはちゃんもやちよさんも真正面から力押しの傾向があるのでそこがね……。

 

 ∞いろはちゃん最大の問題点は、彼女はドッペルが使用可能であること。

 つまり、この凄い見た目でも彼女は"魔法少女"。ラ・レーヌの黄昏の防御を突破することができません。

 

 しかしそれでも鏡の魔女は吹っ飛んで、ワルプルギスの夜にも少なからずダメージが入る予定だったんですが……全部無傷ですね。ちょっとバグってんよ~。

 

 さては再生強化怪人タイプだなオメー。

 鏡の魔女は鏡の向こう側から魔力を得ることができますが、コピー魔法少女を作成していたようにハードモードではコピー能力も搭載。ラ・レーヌの黄昏の魔法少女耐性をゲットし、ついでに鏡を通ったワルプルギスの夜にも付与したといったパターンです。下振れです。ふざけんな!(迫真)

 

 こうなっては仕方ないので対処します。リカバリーはねぇ、自信あるんですよ!

 

 ラ・レーヌの黄昏を倒して出現元のクソデカ鏡を割れば、耐性獲得もなかったことになるのでその手段を用意しましょう。

 

 よりにもよって現代に現れたこと。それが運の尽きだぜ?

 ヘイねむちゃん! アレやってやんな!

 

「そうだね、魔法少女の攻撃が効かないのなら、僕がウワサを使って攻撃すれば傷を負わせられるだろう。でも生憎、そこまでの戦闘力は僕にない」

「|それにこれ以上ねむが無茶したら脚が動かなくなる|」

「ダ……ダメだよっ!」

 

 ちょ、ちょっとズレてるかな……。

 確かにねむちゃんのウワサ特攻アタックや、桜子ちゃんによるビームサーベル攻撃ならばダメージは入りますが、相手が強大すぎて雀の涙。倒す前にビームを撃たれてゲームオーバーになってしまいます。

 

 じゃあどうするか。やっぱりウワサパワーでしょうねぇ、実践してないから負担わかんないですけど。

 

「じゃあアレを使おう。以前から用意してた方法だけど、まさかこう使うとは思わなかったよ。ウワサ自体はもうある。あとは適用させるための膨大な魔力だけだ。だから灯花……」

「……あーはいはいわかった! 灯花ちゃんが頑張ればいいんでしょー!?」

 

 おう、頑張れよ!(他人事)

 

 灯花ちゃんが先ほどの里見マジックイズパワーシステムで魔力を供給。そしてねむちゃんがウワサを展開。発動終了まではアリナ先輩がなんと喚こうが本気狩る(マジカル)かりんの力技で働かせて守り通すパーフェクト連携。

 三人はどういう集まりなんだっけ? マギウスゥ……(真実)。

 

「く、くみもみんなも変な色になってるよ!? 大丈夫なの!?」

「これは……観鳥さんはあんまり良い思い出ないんだけど、ウワサになった感覚だね。だけど融合とはちょっと違うような」

「|大丈夫、ウワサと融合してるわけじゃない。私と同じになった|」

「桜子さんと同じ? ってことは……」

 

 お前らをウワサに仕立てあげてやんだよ!

 

 ねむちゃんが発動させたのは、『魔法少女がウワサになってしまうといううわさ』。

 ウワサはなんでもアリなので、発動さえすればこんなこともできます。ズルい……ズルくない?

 

 本来は悪夢を見せるひめなの仕掛けを解除するために使うのですが、"魔法少女"判定をすり抜けられるため、あらゆるギミックを無視できます。

 ミヌゥの願いはあくまでも魔法少女からの攻撃を防ぐもの。ファイナルタルト同様、魔法少女から逸脱すれば何の意味も成しません。

 

 なお、他の手段としてはドッペルが使用可能であればペレネル先生の『錬金のドッペル(Heremes Trismegistus)』で高位の次元からの介入を要請してなんとかしてもらったり、あらゆるものや概念を崩壊させるかのこの『綻びのドッペル(Broderie)』で解除したりと結構対策はあります。意外な子がとんでもない能力持ってるので要チェックだぜ。

 

「さすがにキモチの力を纏ってるいろはお姉さんたちまでは干渉できなかった。灯花が魔力を回すけども、どうにか時間を稼いで」

「うん……任せて。ワルプルギスの夜はそっちに行かせないから!」

 

 とまあ、これで全員で戦闘可能になりました。

 ∞いろはちゃんにワルプルギスを引き付けてもらっている間に、特殊防御発生源のラ・レーヌの黄昏を倒さないといけないのですが……。

 

 あっそうだ。おいラピヌァ!

 

「ダメだっ! お母さまを倒すって言うのなら、先に私がお前らを殺す!」

 

 (家族が大切なのに戦うなんて展開になったら)当たり前だよなぁ? 今まで味方だったのに敵対するなんて悲しいなぁ……。

 

 鏡の魔女戦でやることは済んだので実際用済み。楽しかったぜぇお前との家族ごっこォ! とばかりにド畜生行為を働いてもいいんですが……周囲の魔法少女の目があるねんな……。

 申し訳ないがここに来て仲間割れはNG。そんなことでロスしたくないんだよなぁ。

 

「くれは、お前……」

 

 ご覧ください! そこでこのカトラス!

 これ使い方簡単です。倒すわけじゃなくて、ラピヌお姉さまの魔法を用いてお母さまを元の姿に戻すだけ(屁理屈)。大丈夫だってヘーキヘーキ。パパっとその願い、叶えてやるぜ!

 

 まあちょうど不滅の肉体は頭部に乗ってるので、倒したらあのイザボーが現代に復活してしまうことでしょう。

 タイマーストップ後のことだからなんの問題ですか? なんの問題もないね。

 

 ここで倒したらタイムパラドクスが発生するだろ! いい加減にしろ! とか、鏡を壊したらお母さま消えるんだけどそれは大丈夫なんですかね……。とかいう問題も、面倒ごとの一切を無視する『対象確定』パンチでスルー。歴史が正しい状態になってもそのまま存在します。ラピヌお姉さまが現代にいるのと同じです。

 

「久しぶりだけど、瀬奈……戦える?」

「んふふっ、大丈夫。こんな状況だけどね、また一緒に魔法少女できて嬉しいから頑張っちゃう!」

「いやいや無理しなくていいから。くれはもなんとか言ってやってよ」

 

 せなみこは『暗示』を再使用可能になったのは強いんですが、もう相手はレジストする魔女しかいないので使い所さんがないんですよねぇ。信頼度的にも大人しくしてて、どうぞ。

 

 では突撃ー! ……ああーん? 

 こんなところで表示が……あッ覚えた! くれはちゃんがやっとマギア覚えた! 遅すぎるだろ最終決戦だぞお前オォン!?

 

 で、ねむちゃんは何の用だい!

 

「ところで、くれはお姉さんさえよければあのウワサを使うけれど――」

 

 嬉しいですね、ええ(本音)。マギア覚えてからver.Final化という想定してた強化パターンとは異なりますが、くれはちゃんは対鏡の魔女以外だと戦力が落ちるので強化してもらってええぞ! ええぞ!

 

 せっかくなのでウワサの力込みでぶつけるので今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、まさか……!」

 

 最初に感じたのは懐かしさだった。

 ミヌゥがまだ小さかった頃、いや、それよりも前の温もりとは違うけれど、どこにいても感じられた、もう離れてしばらく経つ魔力を感じた。

 

 実際の時間にしてみたら600年もあるんだっけ。

 とにかく、どうにか過去に行く方法を探さないと無理だって思ってたそれが間近に現れたことが、私に大きな喜びをもたらすと共に、納得がいく出来事だったんだ。

 

 あの時……真っ白な煉獄とかいう場所で、ミヌゥは言っていた。

 

『ほんの少しだけ、垣間見えた可能性に賭けてみても良いかと思っただけですわ。策は複数用意しておくのが当然ですから』

 

 そう宣言したからには、私とコルボーの前に姿を現した意味が必ずある。

 

『ひとつだけ言伝を。『私の願望は必ず成就する』と――あの、緑色の魔法少女に伝えておいていただければ……』

 

 ああ、ああ、そうか!

 ミヌゥは侍女に願わせて未来を見られる力を持ってた。"垣間見えた可能性"って、そういうことだったんだ。

 

 今、この世界に、()()()()()()()()()()()()――!

 

 とても大きな鏡から現れた姿は、前に見た芋虫に近い姿じゃない。

 だってあれは単なる足。いくつも存在するたった一部にすぎない。

 

 本物は、それに連なって天高く飛ぶあの姿!

 大きな羽根を広げて、二つの砲塔を携えた成虫! 手の形をした頭部に座るお母さまがなによりの証拠!

 

「お母さま……」

「ウソでしょ!? あたしらが見たのはもっと芋虫みたいな……」

「いいえ、帆奈嬢……アレは間違いなく――イザボー・ド・バヴィエール。600年前タルトが倒した女王(ラ・レーヌ)の黄昏、その本体よ……!」

 

 そうだ、畏れろ。跪け。お母さまは強いんだ。

 

 砲塔から禍々しい光線が放たれたのがその証拠。

 聖女が倒したなんて今でも信じられない。轟音と共に大地を抉り取るそれを受け止められるやつなんていないんだ。

 

 ……あれ、でも……なんで私のほうに飛んできてるんだろう?

 

「アリナ先輩っ!」

「結界を私に合わせてください」

「なんでアリナが――ああ、やらないとデッドエンド? チッ、まだアリナの作品は完成してないんですケド……!」

 

 バチバチと嫌な音が鳴り続けて、真夜中なのに昼みたいに明るくなる。

 白い結界と緑の結界の巨大な二重構造が光線を受け止めた。それはたくさんいる私たち全体を覆い隠して、外側の暴風もすべて遮断していた。

 

 それを鬱陶しく思うと共に、変な感情が浮かび上がった。

 こいつらが死ななくて良かったって安心? 私が狙われたって恐怖? 思うはずのない感情が心を占める割合が増えるたび、おかしくなっていく。

 

 環いろはが変身したすごい魔力の攻撃すら弾くお母さまは誇らしい。

 だけど同時に、ああ――と、落胆と恐怖が湧いてくる。

 

 私はラピヌ。コルボー、ミヌゥの姉で、イザボー・ド・バヴィエールの娘。

 それは絶対に変わらない真実で、誇るべき事実。一切の曇りなくそう言える。そうだとも、だから私は今を生きている。

 

 他のヤツらは単なる遊び道具で、侍女を大切にすることだってあるけれど、壊れたら取り換えるぐらいにしか思ってない。

 

 そのはず、なのに。

 思い出すんだ。未来に来てからの出来事を。

 

 くれはのことは、戻るまでなんだから利用してやるだけ利用すればいいと思っていた。

 だけど一緒に過ごして同じ時間を共有して……死んで欲しくないって、願うようになっていた。

 

 家族が誰一人いなくて、愛を信じているのに否定されて、それが放っておけなくて。あいつが危険なとこに行くようならついていった。遊びたい気持ちの中に、一時の偽りの姉としての心を抱いて心配だったんだ。

 

 帆奈もそうだ。まるでコルボーとミヌゥを見ているみたいに、あの2人の関係が壊れて欲しくないと思うなんて……ほんと、どうかしてるよね。

 

 それだけじゃない。

 一緒に遊びに行く紗枝も、またあした屋で出会えるようになった潤も、よく言い合いをするフェリシアもあやめも、それを窘めるかこも、全部……大事なんだよ。失いたくないんだよ。

 

 やっぱり、もう一度契約をしてからおかしくなった。こんなこと前なら思わなかった。

 ほんの小さなゴミが身体についたぐらいに思って払ったはずなのに、お母さまと妹たちの領域の近くにいるなんて、どう考えてもおかしいじゃないか。私は。私は……!

 

 ……こいつらの算段が聞こえる。

 お母さまは魔法少女からの攻撃が通らない。だから、ウワサという存在になって倒すそうだ。

 いつの間にか私の身体も極彩色の変な色に輝いていて、ところどころがボヤけ始めた。これがそうらしい。

 

 どいつもこいつも武器を構えて、敵うはずがないのにお母さまと戦おうとしている。

 

 なにかを考えるより先に脚が動いた。

 一番前に飛び出して、振り返って言った。

 

「ダメだっ! お母さまを倒すって言うのなら、先に私がお前らを殺す!」

 

 ……これでいい。

 これで、いいんだ。間違ってるはずがない。

 

「オマエ……くれはのとこのラピヌだよな? お母さまって、あの魔女が?」

「ラピヌちゃん……?」

 

 ひなのとかいう小さいヤツと紗枝が困惑していた。他の魔法少女たちも立ち止まって私を見ている。

 その中から一番最初に近づいてきたのは、やっぱりくれはだった。

 

「ラピヌ、どいて」

「どけるわけない! たとえお前が相手でも――」

 

 今度は殺すと言えなかった。じくりと胸が痛んで、ありもしない罪悪感がせき止めたみたいだ。

 

 これが戦場だったら致命的な隙だったと思う。コルボーなら絶対見逃さない。

 だけどくれはは私に目線を合わせて言った。

 

「私は、誰も死なせないし、殺させない」

「くれは、お前……」

 

 こいつの本気の目ぐらい、もうわかるよ。

 だけど無理なんだ。お母さまを殺させたくない。

 

 こんなことなら、こいつと出会わなければ――

 

 

 いや。

 

 

 一度目は偶然でも、二度目は自分からだった。

 煉獄から戻るとき、ミヌゥが『緑色の魔法少女に伝えて』と言ったから、傍に戻ったんだ。あの時のミヌゥはまるで、私をくれはのもとに送りたかったような、一緒にいさせたかったような。絶対に伝えると頷くと、嬉しそうだったんだ。

 

 ミヌゥは、なにを見た?

 本当に見た未来は――そっか。

 

 そうか。そうか、そうだ! やっぱり、ミヌゥはミヌゥだ!

 

「くれはっ! お前のカトラスでお母さまを元に戻して!」

「それは……傷つけることになるけれど」

「でも、戻るんでしょ? さっき見たもの!」

 

 魂がどうとか肉体がどうとか、そういう難しいことはわからない。だけど私がいないとできないことだ。

 

 ただ、確信があった。

 ミヌゥが見えた未来の一切を否定せずに信じられる気持ちがあった。だって、大切な妹だもの。

 

 話を聞いていたペレネルが前に出て口を開くと、他の魔法少女に説明を始める。

 

「できない……わけではないでしょう。イザボーは魔女でありながら魔法少女でもある存在。半魔女とでも言うべきかしら」

「それってエンブリオ・イブだったわたしみたいな?」

「そうですね。肉体が残っているのはそのため。そして瀬奈みことと同様、魔女の悪意が人格を歪めているのでしょう。もっとも、彼女の持つ野望は元来のものですが……」

 

 そこで口を閉じて、話に入ってきた環ういってやつと、里見灯花ってのと、柊ねむとかいうのを見て言った。

 

「メリットがないわけではありません。イザボーが願ったのはインキュベーターの能力。つまりは、自動浄化システムの根幹をなす力そのものです。もし彼女の力さえ組み込めたのなら……自動浄化システムは、さらなる安定を得るでしょう」

「それがホントならわたくしたちがもう1人いるのと同じだもんね。あっ……もしかして、魔法少女の契約とかもできたりする?」

「ええ。そこにいるラピヌは元々イザボーと契約して魔法少女になっています」

「だったら自動浄化システムは……ううん、魔法少女の契約さえ操れるようになったら……? くふふっ、やることが増えるにゃー」

「むふっ、面白いことになりそうだね。周知も宇宙の意思もエントロピーも、すべてが解決する日が来るかもしれない。僕たちと同じ願いだなんて、運命的だよ」

 

 なんて口々に話し始めてさ、なに言ってるのかわからないから置いてけぼりを食らった。

 とにかくわかったのは、くれはがカトラスを使うことに賛成だってことだ。

 

「じゃあっ!」

「一度できたことは二度できる。奇跡じゃなくて法則になるからね。ところで、くれはお姉さんさえよければ――」

 

 なんだろうな。こうして多くのヤツらと肩を並べてお母さまと対峙するなんて、絶対にありえないと思っていた。

 だけど倒すためであっても、殺すためじゃない。私の願いのため、いつか辿り着ける夢の日への一歩だと思うと、受け入れられた。

 

 ……くれはが言うには、夢っていうのは星なんだって。

 どんなに真っ暗でも、星明りは進むべき道と方向を示してくれる凄いものだとか。

 

 だから今あいつが使ってるのは、こいつらが願う希望を、明日を照らす夢という星に変える――『無重力シャボンのうわさ』。そんな名前のウワサだ。

 

 

 




■今回の内容
 第二部第12章『結ぶ永久の彩り』(一部分)

■最終決戦
 オールスター(ほぼ)全員集合。第二部キャラVSワルプルギスの夜は本来存在しない戦い。
 ついでに難易度アップのためお母さまも招集した神浜まるごと超決戦。

■∞いろはちゃん
 いろはちゃんのいわゆる最終フォーム。あくまでも魔法少女の範疇。
 蝶ですよ感を出しているが、元のエンブリオ・イブがカイコガなのでこちらもそうかもしれない。 

■ラ・レーヌの黄昏(本体)
 芋虫のような姿をしているのはあくまでも構成する一部であり、1体ですら勝ち目がないのに複数存在する。
 これを統制する本体はマギレコ内では直接戦わずシナリオ上でファイナルタルトが撃破。原作でも5ページほどで撃破されているのであまり活躍の場面がない。なので登場。

■アリナ先輩
 実は防御に徹すると神浜通り越して歴代でもトップクラス。
 神浜全域を覆う被膜をさらっと作ったり、原作においては、他のメンバーがキモチや手記に込められた魔力でパワーアップしている中、素のパワーで鏡の魔女の攻撃を結界で防げるなんかおかしいヤツ。

■ラピヌお姉さま
 フランスから引っ張り上げて今まで大活躍してきたので恩返しタイム。
 ラ・レーヌの黄昏VSラピヌというありえない対戦カードが勃発。


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