マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート   作:みみずくやしき

140 / 141
パート99 星に願いを

 

 

 ワルプルギスの夜。

 それは一般には超巨大台風と認識され、魔法少女にとっても災害と称される強大な魔女。

 結界を持たずに移動する姿はまさしく規格外の存在であり、一度倒されたにせよ、奇跡あっての出来事だ。

 

 同じく、ラ・レーヌの黄昏はかつてフランスを闇へと突き落とした最凶の魔女。

 自らの領土とばかりに広げる巨大な結界は格の違いそのものであって、魔法少女からの攻撃など一蹴する。

 

 その2体を呼び出した鏡の魔女も、手傷を負いながらいまだ圧倒的な体躯と腕の1本は健在。巨大な鏡への逃走を許せば、隠遁の性質をもってなお滅びの復讐を行うだろうことは想像に難くない。

 

 されど、規格外の魔女が揃う絶望を前にして、魔法少女たちは立ち向かっていた。

 

 もとより正義感が強い者、守りたいものがある者。それだけでなく、手を貸す義理は本来ないはずだが、友がいるから戦う者など、様々な目的を抱えて滅びに抗っている。

 

 ワルプルギスの夜を引き付けているのはエンブリオ・イブと同等のキモチの力を纏った環いろは。マギウスの計画が示していた通り、その役を担い、他の魔法少女たちへの注意をそらすことができるだろう。

 

 それ以外の魔法少女たちのほとんどは、リボンや糸、鎖、ツタなど拘束できる魔法で鏡の魔女を足止めしながら果敢に攻め続けており、確かにその呪いを剥がしつつある。

 

 残るはラ・レーヌの黄昏。

 魔法少女には傷つけられぬという絶対の防御をウワサ化で崩してもなお、破壊力と空を飛ぶアドバンテージは健在。そこに挑む魔法少女たちの数は少なかったが、確かな目的を持って戦っていた。

 

 それらの様子を、佐鳥かごめはペレネル・フラメルの結界に守られながらしかと記録していた。

 

「……みなさん、諦めてない。いろはさんみたいにキモチの力があるわけじゃないのに、それでも戦ってる」

「いつだってそうよ。英雄はひとりだけじゃない。共に戦う人物と支える人物、希望を願う者たちすべてが一体となって世界を変えていくのですから」

 

 ペレネルはこの場に、古いフランスでの出来事を思い出していた。

 人と人は因果で結ばれるもの。繋がりが新たな可能性を生む。かの聖女も彼女だけの因果だけで戦ったわけではなく、人々の希望を求める心の力を纏めたのだ、と。

 

 ペレネルは、懐かしむように、未来を見るように、続けた。

 

「私は知ってます。我が夫ニコラから学び、タルトが体現したひとつの真実――本当の奇跡がこの世界にあることを。そして、それを起こすことができるのは人の心。数多の魔法少女と絆を結び、歩んできたあなたを、信じています」

 

 視線の先にあるのは――ラ・レーヌの黄昏に対峙する、帆秋くれは。

 

 花が飾られたロングベール。

 ふわりと広がる純白のドレス。

 それらは今一度ウワサを纏いし証拠。三対六枚の炎の翼で空に浮かび、銀の直刀と紅白の花で装飾されたカトラスの2つを構えていた。

 

 されど、そこに並び浮かぶ姿がもう1つある。

 

 戴くのはトナカイの頭部。

 背負うのは光背のように配置されたトナカイの脚部。

 浮かぶデスマスクと合わせて生物の尊厳を無視して散りばめたようなその姿は、邪悪であれど、確かに輝きを宿している。

 

 それはまさしく、ウワサを纏いしアリナ・グレイであった。

 

「……あなたまで手を貸してくれるとは思わなかった」

「言ったヨネ。そうやって抗いバーンナップする姿……命の炎こそアートなワケ! ま、"それ"を使うまではアリナが守ってあげるカラ」

「お礼は言うわ。やっぱり、あなたのこと好きにはなれないけど」

「オーケー、アリナもお前はベリーノイジー。ライクとか言われたらデリートしたくなるヨネ」

 

 顔を合わせずに言い合ったものの、互いに敵対に意思はなく、その様子は地上から眺めていた魔法少女たちにも確認できていた。

 

「な、仲が良いのか悪いのかわからないの……」

「アリナちゃんもくれはちゃんも似てるのにね。んふふっ、記憶の中にいたからわかるの」

「えぇ……? どこが? 瀬奈たまに変なこと言うからさ……」

 

 御園かりんや更紗帆奈らは地上で成り行きを見守っていた。

 

 先にラ・レーヌの黄昏へと挑んだラピヌや常盤ななか、静海このはたちの一団もまた、その魔力を感じただろう。

 

 彼女たちもあの巨体と真正面からやり合って勝てるとは思っていない。

 鏡の魔女と違って無傷の存在に有効打は少なく、現に攻撃を避けつつ芋虫の脚部を攻撃するので精一杯だ。

 

 しかしワルプルギスの夜と鏡の魔女との連携を妨害するには十分で、傷つきながらも背後の炎を待ち続け、そして――

 

 ごうっ、と著しく魔力が高まった。

 

 ラ・レーヌの黄昏が本体の向きを変えて、大地へと向けていていた砲塔を真っすぐと伸ばす。

 

 その身は知らぬはずだ。いいや、未来のことだ、知る由もない。

 己を両断する聖なる光があることも、その存在が自らを滅したことも、経験したことがない。

 

 だが、ゆらゆらとゆれる玉座の頭部と、インキュベーターのそれによく似た翅の目は、確かに脅威を捉えた。

 

 それは、漆黒の夜空に浮かぶ光だった。

 くれはの右手に握られたカトラスから紅の光が迸る。余剰魔力が稲妻のように炸裂音を響かせて、空間を歪ませている。

 

 左手に握られた銀の直刀を投げ捨てると、カトラスを両手で掴み、構えた。

 

 ――危険だ。

 

 微かに残ったイザボー・ド・バヴィエールの頭脳と、魔女の本能が全力で叫んでいた。

 

 あれは。

 あれこそは。

 

 この身を滅する力だと。

 

『オォオォォォ――!』

 

 心を凍らせる魔女の奇怪な叫び声が、衝撃となって海面を揺らす。木々は折れ曲がり、足元の魔法少女たちが耳を塞いだ。

 

 それは単なる予兆。ひるまなかった目前の魔法少女に意味はない。

 砲塔にエネルギーが収束する。本来は焼きゴテのように叩きつける機構に赤い魔力が渦巻き、轟音と共に一直線に光線が放たれる。

 

 込められた魔力と熱量は桁が違った。

 先ほどまで魔法少女に撃っていたものより遥かに強力であり、直撃すれば山のひとつを割き、その熱で溶解させるだろう。

 

「アハ……!」

 

 だが、緑色をした三重の結界防壁を突破するには至らない。

 空間そのものを盾とする固有魔法が強固に受け止めて、一切を通さないのだ。

 

 元より強力なアリナ・グレイの因果。変じたその身と融合したウワサの力が更なる高みへと押し上げて、彼女らしからぬ、()()()()()というその一点において最強の存在と化している。

 

「さ、見せてヨネ。あなたのブリリアントな輝きを!」

「ええ――」

 

 ――帆秋くれはは本来、"こちら側"の魔法少女ではなかった。

 

 家族を失い、友の二人を失い、かけがえのない後輩を失い、その失意のまま、滅びに手を貸す存在であった。混沌の遺志を継ぎ、鏡の魔女の遣いとして悲しみのままカトラスを振るい、魂を砕かれるだけだった。

 

 だが、このレコードでだけは違う。 

 

 ありえざる行動。紡いだ魔法少女の繋がり。あるいは失敗がもたらした花が、彼女を舞台に立たせた。

 

 かの聖女が完璧なるイレギュラーとして条理を覆したならば、聖女の背に憧れた彼女は純然たるイレギュラー。

 

 たった一度でも、人は天に手が届く。

 帆秋くれはにとって、その一度は、過去も未来もどんな世界でも、ただこの瞬間のみ。"特別な魔法少女"は、これっきりでいい。

 

 これは、闇を打ち払う力ではない。

 仇敵を滅する力でも、世界を救う力でもない。優しさで包む力でもなく、歴史を変える力でさえもない。

 

 ただ、目の前にある大切なものを掴む力。

 誰しもが望む、天に輝く光の体現。一瞬の煌きにすべてを懸けた最終最後の形。

 

 明日の希望と誰かの願いを、この世界に止める(とどめる)力なのだからッ!

 

「わかってる。剣の柄は強く握りすぎない……」

 

 カトラスの炎が白く、眩い輝きを放ちだす。いつしか槍のような長さを持ち、とめどない輝きが溢れ出す。 

 

 くれはは深く息を吸い、心を落ち着けた。

 なにを己のカタチとすべきかは、もうわかっている。

 

 光そのものではなく、闇がなければ輝けず。ただ、幼い日に夢見たことが、なによりも合っていると思えたのだから。

 

 それは――

 

「"ラ・エトワール(星よ)"ッ!!」

 

 明日を照らす紅の光と、強く輝く白い夢の光。ふたつの輝きが空を駆ける。

 

 あまねく世界は照らせずとも、どんなに真っ暗でも。星明りは進むべき道と方向を示してくれる。いつだって導いてくれる。そう、心から信じた希望の証。

 

 この一撃は外れることはない。効かぬことはない。必ず、思い描いた明日へと届く。

 

 ゆえに、容易にラ・レーヌの黄昏を貫き――滅びを、終わらせたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――綺麗。

 

 夜空を駆ける光に対して感じたのはそんな感想で、魅入られてしまったのか、ペンを動かす手が止まった。それだけ待ち望んでいたもので、焦がれたものだった。

 

 あれだけ強大な魔女が姿を消していく。魔法少女じゃない私でもわかるほど全身を押し付けていた圧がなくなって、気が楽になる。

 

 一角を崩した勢いは波紋となって広がっていって、魔法少女たちの勢いが目に見えて上がった。

 

 鏡の魔女は多くの魔法少女たちの頑張りで打ち倒された。元々くれはさんの攻撃で弱っていたんだ。完全な状態ならともかく、瀬奈みことさんが抜け出た今の鏡の魔女なら倒せる。

 

 ワルプルギスの夜は、ういちゃんの『回収』がみんなの希望を集めて、いろはさんが撃ち出すことで絶望が祓われた。前に現れた時とはやり方がちょっと違うけど、こうやって倒したんだって。

  

「はぁ……勝った勝った。ま、当然の勝利だけどにゃー」

 

 後方にいた魔力供給を担当している魔法少女たちが私たちの元まで来ると、先頭にいた灯花ちゃんがそんなことを言った。

 

 よっぽど魔力を回していたのか、勝ち誇りつつもぜぇぜぇと肩で息をしていたけれど、その姿は嬉しそう。近くにいろはさんが降りてくると元気に駆け寄っていった。

 

 これですべて解決。

 鏡の魔女の出現から始まった出来事も終わり。もう私たちを困らせることはなにもない。

 

 

 

 そう、思っていたの。

 

 

 

 魔女を倒しても、全員が集まって来ても……魔法少女たちの姿はウワサのままだった。

 

 「これいつ戻るんだ?」とプロミストブラッドの樹里さんが真っ先に言ったのが皮切りだったと思う。ざわざわと騒めき始めて、誰もがこの状況がいつまで続くかと気にし始めた。

 

 もちろん、この現象を起こしたねむちゃんに視線が集まった。

 キモチの変身を解除したいろはさんがじっと見ると、ねむちゃんが口を開く。

 

「ウワサが起こすのは現象にすぎない。たとえば転ばせるウワサがあったとして、ウワサが消えたところで転んでケガをしたという事実は変わらないわけだ」

「ねむちゃん、ひとつ聞きたいんだけど……元に戻す方法は考えてなかったの?」

「……こればっかりは申し訳ないとしか釈明できない」

「ぷぷーっ! ねむがお姉さまに怒られてる~!」

「灯花だって賛同してたじゃないか」

「ふ、二人とも……お姉ちゃんは怒ってないと思うよ?」

 

 とは言っていたものの……ウワサとして動いている以上、人間の肉体を維持するのには限界があって、桜子さんみたいな肉体を全員に与えるのも膨大なエネルギーが必要らしい。

 

 いつまで維持できるかもわからないし、つまりは戻さないと大変なことになる。

 やらなきゃラ・レーヌの黄昏の防御を突破できなかったとはいえ、とんでもない事態になってたんだ。

 

「たぶん、環いろはならなんとかできると思うけど」

 

 一歩前に出たのは、瀬奈みことさんだった。

 

「鏡の魔女として他の世界を覗いてた時にね、自分の固有魔法は『治癒』じゃなくて『巻き戻し』だって言ってた世界があったの。傷が治ったのは時間を戻していたからだって」

「ええっ!? 私そんなことできるんですか!?」

 

 いろはさん本人はまったく気づいていないようだったけど、それが本当ならなんとかなる。

 

 他に手段もないし、時間もないのだからキモチの力を使って全員に一気に使ってみると、いろはさんはまたあの姿に変身した。

 

 だけど、いの一番に止めたのは灯花ちゃんとねむちゃんだった。

 

「ちょっと待って! いくらキモチの力でも無理だよ! 魔法少女の根源の力はドッペルと同じで、そんな大人数相手に使ったら魂に負荷がかかるんだよー!」

「くれはお姉さんの無茶のし過ぎでドッペルの悪影響はよくわかってる。同じことが起きるとしたら、それは……お姉さんの魂が擦り切れて、良くて存在が曖昧になるか、悪くて消えてしまうか……」

「とにかく! せっかく4人一緒になれたのに消えちゃうなんてやだから!」

 

 頭の良い二人が言うことだもの、その結論は間違ってないんだと思う。

 

 私もいろはさんとういちゃんが消えることは嫌だ。

 その気持ちはみかづき荘の人たちはもっと強くて、病院でずっと一緒にいたという灯花ちゃんとねむちゃんにとっては、身を引き裂かれることと同じなんだろう。

 

「うん、でもね……」

 

 だからこそ、いろはさんがそう言うことも予想してたんじゃないかな。

 

 いろはさんもういちゃんも一度決めたことを曲げない芯の強い魔法少女。ああ見えてすごい頑固だって、やちよさんが言っていたことを思い出す。

 

「マギウスの翼のみんなの想いを無視してういを取り戻した時と同じ……かもですね。でも、みんなを助けられるなら私が犠牲になってもいいんです」

「うん、わたしも考えたの。イブだった頃にやってきたことの償いができるならって……それに、お姉ちゃんと一緒なら怖くない」

「……それは、違います」

 

 私の口からそんな言葉が飛び出た。

 

「自己犠牲は尊い行為かもしれません。誰かのためにその身を捧げられるのは愛かもしれないけれど、私はそんな結末は嫌なんです……」

 

 欲張りで非現実的でも、いろはさんたちが生きるのも、みんなを助けるのも、どっちも選びたい。

 

 それは受け身のまま流されるんじゃない私の本心だ。

 涼子さんやくれはさんに関係する色んな人の話を聞いてきて、残された人に悲しみを与える行為でもあるとも思ったから、大勢の前で真っ向から自分の意見を伝えられた。

 

 気づけば、隣にくれはさんが立っていた。

 

「ええ、あなたたちが良くても、私が良くない」

 

 彼女の表情は、真顔じゃない。

 

「みかづき荘に泊まりに行った時、ういに聞いたわ。どんな将来がいいのかって、未来のことを話したじゃない」

「それってわたしが進路希望を書かなくちゃいけなかった時の……」

「世界はまだ続いてく、あなたたちの明日もそこにある。だから、犠牲なんて出させない。大人になれない悲しさはいらない! もう嫌なのよ、誰かが消えて終わるのは――!」

「でも、方法が……」

 

 どちらも選ぶ、誰もが頭を悩ませていたその手段。

 不思議とくれはさんはそれを持っていると確信があった。

 

 だって彼女は、私が出会うその前からずっと……そうやって色んな人と関わってきたのだから。

 

「結菜、できるわね」

「あなたたちの感覚はよくわかってるわぁ、問題なくできるわよぉ」

「なにを……」

「『巻き戻し』の負荷を『対象変更』で帆秋に押し付ける。どれだけ魂が擦り切れる力でも、『対象確定』なら無視できる……」

「私たちはひとりじゃない。互いに助け合って今までやってきたんでしょう」

 

 そうだ。いろはさんが、ういちゃんと、キモチと、小さなキュゥべえの力を借りて今の姿になっているように、私たちは決してひとりじゃない。それを、ずっとわかっていた。

 

「でもっ、それじゃくれはさんが苦しみます……っ」

「みんなが思う未来には自分もいる。私はそれを教えられたの。だから、約束しましょう。今度は私があなたに伝えるわ」

 

 くれはさんもまた、そう言ったからには違えることはない。

 私も胸を張って言える。大丈夫だって。

 

「……それに、誰かがコアにならないと。自動浄化システムを戻せなくて」

「なら、真なる賢者の石を使いましょう。制御の代替ぐらいできますから」

「ペレネル、いいの?」

「私も気持ちは同じです。二度も誰かに背負わせるつもりはありません」

 

 ひとつ決まれば次の解決方法が見つかって……いろはさんは、困り眉で笑った。

 

「……あはは、すみません、やちよさん。お別れする雰囲気だったんですけど……なんとかなっちゃうみたいです」

 

 きっと、ここまでの出来事すべてに意味があった。

 

 多くの苦しみと悲しみがあって、なければ良かったと思うこともあるけれど、歩んできた道はひとつひとつが足跡となって繋がっている。

 

 その記録を記し続けて、ひとまずのハッピーエンドを迎えることが喜ばしく、同時に、この先の未来に思いを馳せた。

 

 世界が終わるような戦いを繰り広げても、心を揺さぶられる出来事が起きても、時の流れは変わらない。

 

 いつだって水平線から顔を出す太陽が"明日"を連れてやってくる。

 誰にでも平等に、その先が続いていると伝えているみたいに――

 

「……あ」

 

 朝焼けの空を、白い鳥が飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 長かった戦いにケリをつけるRTA、はーじまるよー。

 

 さっそくラストバトルが開始中。

 ∞いろはちゃんにワルプルギスの夜を引き付けてもらっている間、他の魔法少女たちでボロボロの鏡の魔女とラ・レーヌの黄昏をどうにかしましょう。

 

 鏡の魔女は囲んで殴ればそのうち沈みます。

 ご覧ください、神浜と各グループ、そして夢の外伝オールスターズにかかればHPがみるみる削れていくんです!

 

 しかし問題はラ・レーヌの黄昏。

 ウワサになったところでステータスは据え置きですし、特殊耐性が剥がれただけで超強敵なのは変わらず。並みの魔法少女が勝てる相手ではありません。

 

 そして強い魔女はだいたい飛んでるので、空中戦闘の方法がないと無慈悲な足切りを受けます。強い魔法少女は空中を移動できるんだよ(極論)。

 

 タルトみたいにジャンプして文字通りの一撃必殺技を叩き込むなんて力技普通できないので、通常はやちよさんのように武器を展開したり、マミさんみたいにリボンをくくりつけて足場にしたりします。方法は様々。かえでちゃんにツタを伸ばしてもらうのもいいでしょう。

 

「……これで準備完了だ。くれはお姉さんも既にウワサになっているから、以前より馴染むはず」

 

 せっかくなのでねむちゃんが呼び出してくれた『無重力シャボンのうわさ』くんと合体! 第一部以来のくれはちゃんウワサverの登場だぜ!

 

 ちょうど飛行能力を持ってるコイツがいて良かったですね。

 強化カトラスの加速を用いた高速移動はミスると地面に激突するので、安定性のあるこちらのほうが良いです。里見マジックイズパワーシステムのおかげで魔力切れもないので存分にフルパワーをぶん回しましょう。

 

「わぁ、すごい! 前はアリナちゃんのほうから見てたけど、近くで見るとこんなに綺麗なんだ!」

「今ならあたしの『上書き』も使えるんでしょ? それで色々あったんだからさ」

 

 色々ってなんだよ(本音)。

 

 それはともかく、待ちきれなかったラピヌお姉さまは先に行ってしまったので、ななか組長たちとアザレア組に護衛を任せています。自分から死地に入っていくのか……(納得)。

 

 彼女たちがやられると色々と面倒なのでさっそく行きましょう。

 

 海を挟んでラ・レーヌの黄昏本体が直線上に来る位置につき、射線上に味方がいないことを確認。

 強化カトラスを……あぁん!? お客さぁん!?

 

「アハッ、アリナも来たワケ」

 

 やっべぇアリナ先輩じゃん……戦いたくねぇなぁ……。

 

 なんでこの人勝手にウワサと合体してるんですかね? 第一部の私怨か? 私怨か? くそー、こんな急展開でラ・レーヌの黄昏戦まで持つのかよ!

 

「言ったヨネ。そうやって抗いバーンナップする姿……命の炎こそアートなワケ! ま、"それ"を使うまではアリナが守ってあげるカラ」

 

 あっ味方!? 味方みたいです。最終回でスポット参戦する敵キャラかお前?

 

 第一部で散々苦しめられたホリナ先輩のステータスは敵仕様そのまま。圧倒的な防御力はペレネル先生をも超えて意味不明な領域に突入。さすがにこれだけ高いとラ・レーヌの黄昏の攻撃も軽々防げます。なにが神浜一やお前……魔法少女一や!

 

 ではこちらは悠々と……マギアの発動準備をしましょう。

 

 魔法少女なら誰しも覚えているはずのマギア。くれはちゃんはガバガバな屑運と低ステータスが影響したのかまったく覚えませんでしたがギリギリ間に合いました。

 

 ところで、ウワサと合体するとマミさんのティロ・フィナーレがティロ・フィナーレホーリーナイトになったりするように、バージョン違いの進化を遂げるとマギアは上位版に昇華されます。

 

 これは今まで覚えたマギアのうち、使用頻度が高いものが対象です。

 だいたいは序盤で覚えたマギアの強化版になることでしょう。代名詞の技がパワーアップするのも思い出の技で倒すのもエモいですね。普通のプレイならば好む戦法がわかって面白い程度の要素にすぎません。

 

 しかし、今まで最も使ったマギアという点に着目。

 

 もしも……最終盤でやっとのことで覚えられるマギアや、ある条件を満たしたときにしか覚えられない隠しマギアしか覚えていなかったとしたら?

 

 そう、くれはちゃんのマギアはたったひとつ。

 タルトイベントを終了させて条件を満たし、マミさんに教えてもらった超特殊な単体攻撃のものしかありません。

 

 判明した名称は『ラ・エトワール』。

 タルトの信頼度が高いことや、マミさんと話してたとき『ラ・リュミエール』が候補にあったので影響されたみたいです。

 お前いつからそんな……フランスかぶれになったんだ。巴道場の一門はイタリア語だろオォン!?

 

 なんにせよこいつはその『ラ・リュミエール』を彷彿とさせる超威力。

 元から威力高めの一撃がさらに上がったらどうなるか……怖いですよねぇ。

 

『オォオォォォ――!』

 

 ラ・レーヌの黄昏様、逃げてはダメですよ?

 必死に攻撃してもアリナ先輩が全部防いでくれるのでノーダメージ! お母さまを吹っ飛ばさないように調整して……シューッ!

 

 カンストダメージを叩き出しつつ、強化カトラスから放ったのでラピヌお姉さまの魔法が発動! ラ・レーヌの黄昏、完! 

 タルト! リズ! メリッサ! エリザ! 終わったよ……。

 

 鏡の魔女とワルプルギスの夜は流れ作業なので、じゃ、流しますね……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これいつ戻るんだ?」

「ずっとこのままねぇ……」

 

 のはいいんですが、まだ後処理が残っています。

 そう、なんとこの魔法少女たちを変えたウワサ、緊急事態にしか使わない想定だったのか戻す手段を考えていません。あのさぁ……(呆れ)。(神浜の魔法少女たち全員を勝手に巻き込んで)本当に申し訳ない。

 

 『魔法少女がウワサになるうわさ』を使ったのなら、今から逆の『ウワサが魔法少女になるうわさ』でも作ってもらえばそれで解決しますが、時間がかかるので最速手段を使います。

 

 おう! いろはちゃん『巻き戻し』やってやんな!

 

「鏡の魔女として他の世界を覗いてた時にね、自分の固有魔法は『治癒』じゃなくて『巻き戻し』だって言ってた世界があったの。傷が治ったのは時間を戻していたからだって」

「ええっ!? 私そんなことできるんですか!?」

 

 できるできるできるできる気持ちの問題だってねむちゃんだって申し訳なさそうにしてるんだから!

 

 最終章の最後に急に判明する衝撃の事実。いろはちゃんの魔法の真の効果は対象の時間の巻き戻しでした。

 なんでも今まで起こしていた回復は時間を巻き戻すことで発生していた事象らしいっすよ? 

 

 誰かのソウルジェムを治したり、未来から記憶を送られたりなど、判明に必要なイベントを全部すっとばしたうえ、∞いろはちゃんが鏡の魔女を取り込むとかいうラスボスじみた行動をしないとわからないことですが、性能自体は変わらないのでいつでも使えます。

 

 今回はせなみこが味方側にいるので彼女の口から発覚しました。マギレコ宇宙はひとつだけだって? 宇宙の中に平行世界が複数あるとかじゃないっすか?(適当)

 

「ちょっと待って! いくらキモチの力でも無理だよ! 魔法少女の根源の力はドッペルと同じで、そんな大人数相手に使ったら魂に負荷がかかるんだよー!」

 

 しかし魔法を拡大して使うと消耗するのは当たり前。ドッペル同様、使いすぎると魂がすり減って存在が曖昧になり、まどマギエンドがごとく消滅してしまいます。∞状態でないとそこまで範囲を広げられないのでういちゃんとモキュも道連れです。

 

 なので、まなかちゃんの概念強化版『伝播』で巻き戻しを波及させるか、ひめなの『合成』でひとりひとりに巻き戻しを受け渡して自分に使ってもらうと特に問題なく進行します。ひめなが酷使されるって? なんのこったよ(すっとぼけ)。

 

 しかしそれよりももっと早い手段がこちら。

 

「『巻き戻し』の負荷を『対象変更』で帆秋に押し付ける。どれだけ魂が擦り切れる力でも、『対象確定』なら無視できる……」

 

 結菜さんと愛と友情のタッグ発動! 固有魔法同士のコンビネーション、見せてやるぜ!

 

 くれは、あなたは押し付けられる側です。なるべく耐えて下さいね。途中で退場したら魔法少女たちが路頭に迷ってしまいます。(耐えないといけない人数は)120ぐらいじゃないっすか?

 

 魔力はまたも灯花ちゃんを酷使することで解決……というわけにはいきません。

 自身への『対象確定』でも対応量が多すぎて供給が間に合わず、このままではクリア目前でくれはちゃんが退場してしまうことでしょう。

 

 そこでこれが最後の鍵、おう! かごめちゃん手記出しな!

 

「はい! みなさんがこの本に込めた想いと魔力を今、使います!」

 

 実はこの本、取材の際に魔法少女たちが魔力を込めているので、人数分の魔力タンクとして扱えます。

 本人たちの魔力を使うので『対象確定』の消費も軽減され……最後に自分を普通の魔法少女に戻して終了。いろはちゃんも変身解除して、どうぞ。

 

「……」

「いろは?」

「なんでしょう、消えると思ってたから、こうしてるのが不思議で……やちよさんと普通に話せなくなるんじゃないかって、思ってて……」

 

 あ……やっと、第二部が終わったんやなって……。

 

 いろはちゃんが戻ってくるIFエンドで大団円! 鏡の魔女撃破ルートクリア! 成し遂げたぜ。

 

 そして感動的な雰囲気の後、幕引きとばかりに暗転。待ちに待ったエンディングが始まります。

 

 ……というわけでここでタイマーストップ。

 

 記録は……なんと! 遂に! 今回! ようやく! 

 

 現時点で世界最速! 

 このみちゃん見てるー!? 更紗帆奈! 瀬奈みこと見てるかー!? 観鳥さんありがとう! フラーッシュ!(潜在スキル)

 

 これマジ? チャートに比べてタイムが偉すぎるだろ……さすが、走り切っただけで世界一の長時間RTAなだけはある。

 

 完走した感想は……このチャートガバガバじゃねぇか(自戒)。

 

 第一部後から第二部開始までの期間をスキップすると大幅に短縮できるうえ、面倒なイベントを全部吹き飛ばせたのですが、それが起因して結局リカバリーが必要だったり、もっと詰められる箇所はありました。

 

 というか、くれはちゃんの初期交友関係に瀬奈みことがいた時点で再走を判断すべきなんですよね。お前猪突猛進か?

 

 長時間RTAゆえ多少のガバやミスは見逃さないと完走すらできませんが、結果的に最速記録が出たとはいえもうちょっと賢くなることを、オススメします! 奇跡的にリカバリーできてた箇所が多すぎて綱渡り状態なんだよなぁ。

 

 さて、本RTAはこれで完走しましたが……せっかくなので、記録とは関係なくその後の世界をちょっとだけ映しつつ解説するので今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くれはちゃんの家、楽しみだな。お風呂がとっても広いんでしょ?」

「そうそう、すごいんだ。三人でもぜんぜん広いし、海が見える露天風呂だって付いてるんだから。ベッドもふかふかだしね。欠点は……相変わらずメロンばっかり食べてるのに付き合わされる」

「あー、やっぱり?」

「おいしいのに、メロン」

 

 奇跡みたいなこの時間を嚙み締めるみたいに、あたしたちはただ歩いた。

 その静かさが心地よくて、いつしか視界がぼやけてきた。やっと辿り着いた儚い今が、ありえない夢のように思えて。

 

「そうだ、言ってなかったことがあるんだ」

 

 瀬奈はちょっと前に進んで、煌めく朝焼けの中で振り向いた。

 それはなによりも眩しくて、あの頃のように輝いていて、懐かしかったんだ。

 

「ただいま」

 

 

 




■今回の内容
 第二部第12章『結ぶ永久の彩り』(一部分)

■くれはちゃん(ウワサver)
 第一部で出てきたアレ。ベースがAblazeになっているのでさらにパワーアップ。
 最初にして最後のマギアが『ラ・エトワール』。明日という未来を照らす星の輝き。その一撃のまたの名は『ラ・リュミエール・エトワール(星の光)』。

 今この時だけは、大切なものを掴み取る一番星であれ。

■いろはちゃん
 本来はここで存在が曖昧になって消える。消えなかった。
 ∞いろはちゃんの構成要素にはモキュもいるが、結構な確率で存在が忘れられるうえ出番がない。まあモキュだし……。

■アリナ先輩
 「抗いバーンナップする姿……命の炎こそアートなワケ!」とは実際に言う。
 第一部の頃からそんな感じで走り続けてちょうど火属性なくれはちゃんは実はクリーンヒット。

■RTA
 遂に完走した。第一部開始前から第二部まで走り切ったので最速です(大胆不敵)。
 タイムとは関係ないおまけパートが最後にあるのでもう少しだけお付き合いください。



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。