マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート   作:みみずくやしき

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パート100 いつか素敵な未来で

 

「私って、世間的には死んでるよね?」

 

 鏡の魔女との戦いから数日。

 ソファでぐだぐだしていた瀬奈は、朝一番にそんなことを言い出した。

 

「そりゃそうでしょ。共同墓地だけどお墓だってあるし、仏壇もあったし……」

「だから私が外を出歩くのって危険じゃないかな~ってね、ちょっと思ったの。うっかり昔の知り合いに遭遇したら驚かれちゃうよね」

「確かに……」

 

 どうしよ、その辺のことなんにも考えてない。まさか瀬奈から指摘されるなんて思いもしなかった。

 

 ずっと家にいてってのも酷だ。よく似た別人ですって言い訳するのも無理があるし、もし出会っちゃったら『暗示』で忘れてもらうしかないか?

 

「……ふっ」

「あっ笑われた!? 真剣なのにー」

「違う違う、瀬奈のことじゃなくて」

 

 だって、忘れてもらうしかないか、だってさ。

 邪魔なら躊躇いなく使ってたはずなのに、相手の事情を気にするなんてずいぶんと普通になったもんだよね。

 

 誰よりも早く起きて登校の準備してたのは学校で用事があるからだし、そんな生活するなんて思ってもみなかった。

 

 起こしちゃった瀬奈だって、今や服装はジャージ。色んな服が似合うと思うのに、これが一番しっくり来るんだって言う。

 

「そうだ帆奈ちゃん、忙しいって朝ごはん食べてかないつもりでしょ。ちゃんと食べなきゃダメだよ! ちょっと待ってくれればもやしスープ作るけど……」

「瀬奈ぁ……もっと色々食材使っていいんだよ?」

「くれはちゃんもそう言ってるけど、なんだか癖になっちゃって」

 

 小麦粉でお団子を作ったり、パンの耳でラスクを作ったり、瀬奈はそういうのが得意だ。

 その理由はもうよく知っている。贅沢できるんだから反動でやってもいいのにさ、人間不思議なもんだね。

 

 でも、それでいいんだとも思う。

 瀬奈は瀬奈のやりたいようにやってくれればいい。縛り付けるものも、押し付けるものも、なにもない。ただただありのままの姿でいられるんだから。

 

 それを瀬奈はどう思ってるかはわからないけど――

 

「じゃ、行ってくる」

 

 玄関から出ても、あんまり心配はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このお屋敷みたいな家に住み始めて思ったことは色々とあった。

 

 私の部屋は大きいし、ベッドはふかふかだし、帆奈ちゃんが言ってた通りお風呂なんてとっても広い。『暗示』を使ってホテルに泊まってたらこんな感じだったのかなぁ。

 

 あと、冷蔵庫は本当にメロンだらけだった。

 主に帆奈ちゃんが買ってきてるその他の食材はあるにはあるんだけど、私にとってはメロンだらけの光景が宝箱を見てるみたいだったんだ。

 

 遠く離れたその世界は、普通の魔法少女だった頃も望めば魔法で手に入れられたはず。

 なのにしなかったのは……うん、なんでだろうね? 今となっては考える理由もないし、気にすることじゃない。

 

 帆奈ちゃんは今日は朝早く出て行ったけど、普段はちゃんとみんなで朝ごはんを食べる。普通に三食食べられるだけじゃなくて、友達もずっと一緒にいることがなんだかワクワクだ。

 

「みこと、起きてたの」

 

 そんなことを考えていたら、くれはちゃんが姿を現した。

 既に南凪の制服を着ていて、綺麗な容姿には一切の乱れがない。眠そうな雰囲気もなくて、すっかり準備万端って感じだ。見た目はね。

 

「帆奈ちゃんが早く出かけるからってドタバタしてたから」

「そうだったかしら。メロン、食べてけばいいのに」

 

 こういう時くれはちゃんが言うのは、メロンはメロンでもメロンパンのこと。

 離れてた時間は長くても、変わらないものは確かにあって、ちゃんと理解できるんだ。

 

「サヴァ?」

「おはよー」

 

 ただ、ラピヌちゃんと並んで来たイザボーさんはよくわからない。 

 だってフランス語喋ってるんだもん。起きて出会うとサバって言ってくるから、鯖が好きなのはわかるけど。

 

 彼女は元の姿でも危険な存在だってことで、ウワサの力で作られた腕輪を付けて変身を制限されている。

 

 ペレネルさん曰く、『真に危険なのは野心。鏡の魔女が存在していれば、迷宮の先に広がる次元さえ手に入れようとしたでしょう』なんてぐらいには危ないんだって。

 庭でティータイムをしてたり、近寄ってきた小鳥を愛でたり、優雅に過ごしてるのを見るとそうは思えないけど、あのすっごい強い魔女だったんだもんね。

 

 今は色々と手配してくれてるそうで、その準備が整うまではとりあえずくれはちゃん家にラピヌちゃんと一緒にいるんだ。

 灯花ちゃんや香春さんにかかれば家の一つや二つ、簡単にどうにかなっちゃうとかすごいよね。

 

「そうだ、私も今日は少し遅くなる」

「ええー、そうなの?」

「夕飯までには戻るけれど」

 

 くれはちゃんが言うなら間違いないんだろうけど、なんだかな。

 

 やっぱり……一緒に行けないのは寂しい。

 離れていた時間が多いからか、そんな気持ちが募る。

 

 私たちって元から別々の学校だけれど、学年も違うふたりが同じクラスにいられるのは羨ましく思うんだ。一緒に暮らせてるだけで幸せなはずなのにね。

 

 それを知ってか知らずか、午後になると、イザボーさんはラピヌちゃんを経由して、海が見えるバルコニーに私を呼び出した。

 

「ほら、こっちこっち。お母さまがいるでしょ?」

「わぁ……」

 

 こういう場所があるのは知ってたけど、格式が高そうで置いてある白のテーブルやチェアに触れるのには勇気が必要だった。

 それをなんともなしに使いこなしている彼女は生まれの良さが垣間見えた。ぜんぜん違う世界の人なんだなぁ。

 

 イザボーさんは私を手招きすると、目の前の席に座らせた。

 そして――

 

「……伝わっている?」

「えっ日本語!?」

 

 普通に理解できる言葉で話し始めたんだ。

 異国の地も言葉も慣れているとかなんとかで勉強したそうだ。数日しか経ってないのに問題なく話せてるなんてすごい。

 

「そう警戒しないで。と、言っても魔女だったんですもの。無理もないわね」

「……今のあなたは?」

「魔法少女よ、あなたと同じ」

 

 変な言い方。私が鏡の魔女になっていたことを知ってるみたい。

 イザボーさんは紅茶を一口飲むと、話を続けた。

 

「少し昔話をしましょうか」

 

 そうして海を見ながら話す物語は軽いものじゃなくて、相槌を打つ以外に挟む言葉を思いつかなかった。私にとっては本を読むのと同じ内容で、歴史を聞くばかりだ。

 

「――インキュベーターの力を手に入れても私の精神は人間のまま……それが最大の誤算だった。この子たちを認識できなくなるほど妄執に憑りつかれ、権勢拡大のためただただ進んでいった」

 

 この人が危険だって言われてるのは知ってるけど、優しげな表情をしてるから話すのは怖くはない。なにより昔話をしてる姿は晴れやかで、そうは思えなかった。

 

「だけど、すべてから解き放たれた今、清々しい気持ちなのよ。こうして穏やかな時間を過ごすのも悪くないと思っているわ」

「コルボーとミヌゥも呼んでピクニックしよっピクニック!」

「そうね……そのために動くのも良いかしら」

 

 家族って、こういうものなのかな。

 互いに愛して愛されて、信頼できるのが当然で。私に欠けていたものをまじまじと見せつけられているみたいだ。

 

 結局なにが言いたいのかがわからなくて、勧められるままに紅茶を飲むだけ。それで時間が過ぎていく。

 

 そしてイザボーさんは、唐突ににこやかな笑みを見せて言ったんだ。

 

「あなたたちの働きのお礼に、助言をしましょう。お腹を空かせて夜を待ちなさい」

「は、はぁ……?」

 

 よく意味がわからなかった。

 ここまで流暢に話せているのだから、覚えたての日本語を間違って使っているというわけでもない。

 

 お腹を空かせるのは悪い意味で慣れていたし、『暗示』を使う必要もなくお腹いっぱい食べられる環境だ。甘んじて太らないようにって忠告してくれてるのかな。

 なんて、その場は思った。

 

 その意味は、夕方になってやっとわかった。

 

「ただいまー……瀬奈、ちょっといい?」

 

 同時に帰ってきたふたりはどこかよそよそしい。

 というか、くれはちゃんの動きで察することができた。

 

 だって、明らかに隠し事をしてる雰囲気だ。視線があらぬ方向に向いてるし、動きもぎこちない。カクカクしてる。

 あと、持ってるカバンにたびたび顔を向けてるし、絆創膏だらけの手が手持ち無沙汰に動いてて……。

 

「――って、その指どうしたの!?」

「あー、そっちでバレるか」

「これは、その。帆奈と真里愛、まなかにも手伝ってもらったんだけど、うまくできなくて……」

 

 そう言ってくれはちゃんが渡してくれたのは、お弁当箱だった。

 なにが入ってるのかなって見てみると、あったのは不格好なちょっと焦げただし巻き卵。

 

 まさかって思った。食べていいかって聞いたら頷いてくれたから口に含むと、ほんのりとした甘みがあった。

 

「……覚えててくれたんだ」

 

 ちょっと甘めのだし巻き卵は、私の好きな物。

 ぜんぜん料理ができないくれはちゃんが用意してくれた事実が、さらに好物へと押し上げていく。

 

「本気だったんだよ。戻ってきた瀬奈のためになにかできないかって言ってさ。まなかも今回ばかりはずーっと協力してくれてたし。通りかかった時雨はさんざん試作品食べさせられてたし」

「黙ってたのは悪かったわ。驚かせたかったの」

「う、ぅ……」

「瀬奈っ!? そ、そんなにマズかった!?」

「泣くほどだったの」

「おいしい、おいしいの……でも、なんでかな、涙が止まらなくて……」

 

 ……改めて思ったんだ。

 偽りを重ねて空っぽだった私を、そのままの姿で見てくれることがどれだけ幸せかって。真実を受け入れてくれたんだって。

 

 ああ、私はずっと、普通が欲しかったんだ。

 普通の家庭で、普通に学校に通って、普通にクラスメイトと話して、普通にお弁当を食べて……。

 

「私、ここにいていいんだよね……」

「うん」

「ずっと一緒にいてくれるんだよね……」

「もちろん」

「う、うぅ……あ……」

 

 ふたりが必死で助けてくれた時から、そんなことわかってたのにね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、お休みだからって遅く起きてきた帆奈ちゃんは、テーブルの上に並べられた料理を見て驚いた。

 ふふーん、頑張って早起きして、朝ごはんって感じのをたくさん並べたんだ。

 

「えっ、これ作ったの? 瀬奈が?」

「くれはちゃんも手伝ってくれたんだよ。まだ全部は任せられないけど、ほら、お皿並べるぐらいは任せても大丈夫だから」

「扱いが手のかかる妹ね」

「コルボーとミヌゥはもっとしっかりしてるけどねー」

「あっは、確かに!」

「私、一応年上のほうなのだけど……」

 

 みんな笑って、とっても楽しくて。

 おいしくできたかなってご飯を喜んでくれて、なんでもないことが幸せだった。

 

 だからこそ、時間は早く過ぎて行って。

 朝食も終わる間際、スマートフォンで時間を確認した帆奈ちゃんが口を開いた。

 

「っと、そろそろじゃない?」

「そういえば――」

 

 推測通り現代的な呼び出しのインターホンが鳴って、メロンジュースを飲んでいたくれはちゃんが玄関に向かっていく。

 

 その後をついて行くと、たくさんの姿があった。

 えーっと、手帳とペンを持ってるのは佐鳥かごめでしょ。カメラを構えてるのは観鳥令で、マイクを持ってるのは枇々木めぐる。精神だけで動いてた時の記憶もあるから、その辺はちょっと詳しいんだ。

 

「おはようございます、くれはさん」

「多くないかしら」

「いえいえめぐるは実況するだけですので!」

「観鳥さんもただの写真係だよ」

「取材はがんばります……!」

「じゃあ私は」

「くれはさんは後ろに立っててくれるだけで大丈夫です!」

 

 もう、人気者だなぁ。ちょっと妬けちゃうかも。

 

 ……でも、それでいいんだ。

 ああやって色んな人と出会ったから、私たちの今があるんだもの。

 

「じゃあ、行ってくるわ」

「うん、待ってるよ。いってらっしゃい」

 

 そして、こうやって偽りなく日常を過ごせること。

 何気ない挨拶を交わし合える仲であり続けられること。

 

 それがなによりも、嬉しかったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もはやRTAじゃないRTA、はーじまるよー。

 

 やってまいりましたクリア後の世界。

 世界を救ったあとも日常は続いていくんだよね、それ一番言われてるから。

 

 こういう類の例に漏れず、くれはちゃんは最終フォームver.Ablazeのまま。

 普通の魔女ぐらいなら後ろからバッサリアンブッシュ! 一撃で即撃破! よわよわ魔法少女はもう卒業だぜ。

 

 大胆なインフレはクリア後の特権なものの、退場していた場合は無慈悲に来世(2周目)に送られるので、魔法少女には過ぎたパワーを振り回すのも生存していた場合の楽しみですね。鏡の魔女を道連れにするつもりだった? なんのこったよ(すっとぼけ)。

 

 再開地点は……くれはちゃんハウスですね。

 現在のくれはちゃんハウスの住人はイベントボス、敵幹部、ラスボス、ラスボスとこの世の終わりのような構成をしています。

 

 特にイザボー。流れで元に戻しましたが、一国を闇に叩き落として神浜滅亡の危機を何度も発生させたラスボスなんですがそれは大丈夫なんですかね?

 

「ふふ、計画を進めましょう……」

「イーッヒッヒッヒ! 楽しみー!」

 

 野望が透けて見える見える……あっ現代世界を手中に収めようとするのはちょっと待ってもらって……。

 まあこの世界、過去に戻る方法はいくらでもありますし、隠居した彼女たちがいつかコルボーやミヌゥと共に平和な暮らしを送るパターンもあるでしょう。この先どうなるかは現代魔法少女次第です。おう、頑張れよ!(他人事)

 

 そしていつの間にか臨時パーティが編成済み。イカしたメンバーを紹介するぜ!

 

「それで今日なんですが、くれはさんの関係で見て回りたくて」

 

 こちらは第二部の間に信頼度をかなり稼いだかごめちゃん。

 まだ魔法少女になってないのでいつでも『願い』のワイルドカードを切れるのは良いですね、ええ。

 

「ならまずは参京区かな。観鳥さんの仕入れたネタによれば水徳商店街に行けばいるはずだよ」

 

 観鳥さんは第二部でかなり命がピンチでしたね。

 彼女のように普通にやっていたら退場してるキャラがいるとクリア後の世界が少しばかり様変わり。いくみんや潤さん、さくやもいるので関連キャラの雰囲気が段違いだぜ。

 

「ではでは出発といきましょう!」

 

 ンなんだお前!? 

 めぐるちゃんはなんでいるんですかね……。序盤からいつの間にか近くにいたりしましたが、なんだなんだそんなに興味あんのかよお前よ~。

 

 とはいえ今はタイムは宇宙の彼方に投げ捨てているので、彼女が実況していても困ることはなく。同じく実況のよしみで仲良くしておきましょう。

 

 ではいざ参京……の前に、道中通る栄区も見てやるか! しょうがねぇなぁ。

 

 てくてくと進むことしばらく。南凪区の領域を越えると、あの(みなさんご存じ)マジカルアーティストの姿が見えてくることでしょう。

 

「だから、アリナはやらないんですケド」

「えぇ~……? 進まないとあかりに怒られるんだけど~……」

「ああ……フールガールが面倒なこと言ってくる気がするヨネ」

「……なんでしょう、あれ」

「栄のイベントの準備かな。邪魔しちゃ悪い、行こう」

 

 第二部では栄総合学園の魔法少女たちの手を借りることが多かったですね。

 特に由良蛍。第一部から走るときも彼女との信頼度を上げておくとアリナ先輩対策にもなってオススメです。えっ由良家の姉ルートを!? できらぁ!

 

 

 ~少女移動中~

 

 

 うわぁここが水徳商店街ですかぁ、色んなお店がありますねーこんなに揃ってるなんて思わなかったぁ。

 ここがエミリー先生の相談所で、向こうに万々歳があるんだ。あとで、そこに行こうよ。

 

 しかし着席したのはファミレス。序盤のファミレスはしごを思い出すぜ。

 

「無茶ヨ。何人南凪に送り込んでる思うネ」

「だってくれはさんのクラス、帆奈ちゃんに桜子さんに涼子さんって転校生3人いるんでしょ? ボクもそれは無理だと思うなぁ……」

「そうですか? 南凪は自由だと言うではありませんか」

「あの、その……ななかさんが思ってる意味じゃないと思います」

 

 ななか組のみなさんは序盤から中盤にかけてお世話になりっぱなしでしたね。

 どこの勢力にも属さない可能性が非常に高い彼女たちがいることで様々な動きができますし、なにより『散花愁章』を安定クリアするには必須。第一部開始前を走るチャートではド安定の選択だってはっきりわかんだね。

 

「ところで、くれはも料理ができるようになったって、まなか先生から聞いたのだけど」

「このはとは下手の方向性が違ったからね~……」

「あちし……そもそも出来上がらないのは料理じゃないと思う……」

 

 そしてこちらはアザレア組。彼女たちも味方にいるとなにかと便利。第一部および第二部でたびたび活躍してくれました。

 特に干渉しなかった場合、メンバー同士の関係はともかくグループとしてのななか組とはここまで仲良くなく、一時的な協力関係の独自路線を貫くのですが、ずっと共同作戦を行っていたからか一緒にいますね。進行次第で変わる関係性がおいしい……おいしい……。

 

「じゃあ観鳥さんたちはこれで」

「食べてかないのカ? ドリンクバーだけヨ」

「めぐるたち今日は移動が多いので! これから北養区に向かうんです!」

 

 南凪から北上して来ているので北養区は正しい選択だと考えられる。

 そろそろ昼飯(ランチ)が喰いたいですね。……洋食屋(ウォールナッツ)でね(グッ)。

 

 ウォールナッツも信頼度上げでさんざん来店しましたね。週7回通うくれはちゃんはポイントカードがあれば超お得意様なんだよな!

 

 というわけでたのもー!

 

「あっまなか! 来たよ!」

「おや噂をすればというやつですね」

 

 出迎えてくれたのはシェフではなくレビュアーで、しかもアルバイト中っぽい。つむぎちゃんはいつからそんな……親密になったんだ?

 

 そして店内には来店中の団地組も発見。

 

「それでね、くるみ派かどんぐり派かって聞かれたんだけど、私はどんぐり!」

「うん、みとはそうだよね」

「まなか先生はチョコ菓子も作れるけど、くるみ派だからなぁ………」

 

 彼女たちの活躍っぷりはもはや解説する必要もないでしょう。

 第一部の攻略の鍵であり、いないとワルプルギスの夜を突破する手段がひとつ減る超重要ポジション。第二部でも二木市へのワープや、キモチの腕輪の精神世界を代替できるなど大活躍です。ちょっと万能すぎんよ~。

 

 それでこっちは……いや待て、この高貴なSilhouetteは……?

 

「話は聞きましたわ! あなたのだし巻き卵……この阿見莉愛が食べてさしあげてもよろしくてよ?」

 

 (真っ先に話しかけてくるなんて)凄ェ! さすが莉愛様ァ!

 

「あれから先輩が自分も食べたいってうるさいんですよ。試食の時はモデルの仕事でしたし。まなかが作っては意味がないのでお願いしたいところです」

「突然失礼……それなら、わたくしもご一緒させていただきたいですわ」

「香春さんまで来るなんて引き下がれなくなっちゃったね。観鳥さんも食べてみたいし」

 

 はえ~そうなんすねぇ。

 ちなみに料理はプレゼントアイテムとしても有用。時雨ちゃんとかは母親の作るだし巻き卵が好きなので、さっさと信頼度を上げたい場合は胃袋とか……結構入れますね。

 

 クリア後は色々と自由なので、なんと昔懐かしのミニゲーム的な料理イベントが何度でもできます。

 もうタイム関係ないのでちゃんとやりましょう。

 はい成功! 成功! 成功! もちろん結果は大成功。出張料理人の帆秋と申します(天下無双)。

 

「これは……多少崩れていてもきちんとだし巻き卵になっている! ふっ……さすがは帆秋さん、さらなる高みを目指すということね――」

 

 (くれはちゃん自体の技能が低いので全成功しても)そ、そこそこですね……。

 めぐるちゃんが『実況』すればみたまさんでも美味しい料理が出来上がりますし、くれはちゃんの料理技能にバフかけられますが、それじゃ意味ないんだよなぁ。

 

 莉愛様に延々と付き合わされつつ……タイムは無視できても解説が手持ち無沙汰なので、無慈悲に早送りします。じゃ、流しますね……。

 

「フ――夕闇が訪れ星たちが舞う直前(こんにちは……ってもう夕方)花咲く君に告げる言葉は出会いか別れか(じゃあこんばんはかな?)――」

 

 急に衝撃が来たぁ!

 

 さらに移動して新西区に来ていたのですが、第二部序盤で骨董品店に連れて行ってたからか、塁ちゃんがいました。

 彼女はランダムイベント大発生のハードモードでは欠かせない存在なので重要な役所でしたね。観鳥さんのタイミングを見抜いてくれるなんて……勲章ですよ。

 

「そういえば塁さんのこと、ネオマギウスのミユリさんが話してくれましたよ」

「えっ、ミユリちゃんが? みつねさんもなにか言ってたかな……」

 

 魔法少女同士の繋がりが横に広がってないか?

 知らないところで勝手に関係が増えるのも醍醐味で良いですね、ええ。

 

 さて不意の遭遇もありつつ、取材陣がお邪魔したのはこちら。フラワーショップ・ブロッサムです。

 

「わっ、今日はいっぱいだね」

「リポーターにMCにカメラに本格的なんですよね~、めぐるも練習させてもらっています!」

「あれ? じゃあくれはさんはどういう?」

 

 ブロッサムでは随分と稼がせてもらいました。おかげでこのみちゃんの信頼度も物凄いことに。

 彼女は今後、ブロッサムを受け継いで営業していくのですが……くれはちゃんの信頼度の高さを考えるとここに就職する可能性が高い……高くない? 花屋のお姉さんエンドか?

 

 今回は確認できませんが、エンディング次第では各キャラの戦績と共にその先の人生がどう続いていくのかを知ることもできます。意外な進路や成長があって面白いものの、退場していると見られないのは痛いですね……これは痛い。

 

 そういうわけで、まだまだお楽しみ要素はたくさんあります。

 神浜にはまだ象徴の魔女という存在が残っていますし、クリア後には『ピュエラ・ヒストリア』を始めとしたクリア後要素まであって最後までボリュームたっぷり。

 

 しかし、そこまでやるとどこがRTAだよお前よぉ! とお叱りを受けてしまうのでこれまで。

 詳しくは自分の目で確かめて、どうぞ(媚びを売る)。実質南凪の新たな仲間がいるらしいっすよ?

 

 と……長くなりましたが、本RTAは本当にここまで。

 

 第一部ワルプルギス撃破ルート南凪チャートおよび、第二部鏡の魔女撃破ルート『停止』チャートという長時間RTAでしたが、長らくのご視聴、誠にありがとうございました。

 

 新たな走者、待ってるぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っと、今日はあとひとつです」

「そうなのね。明日は?」

「水名のほうに行ってみたいと思います。聞きたいこともできましたから」

 

 ブロッサムからの帰り道は、私とくれはさんの二人きりだった。

 令さんとめぐるさんはひなのさんに呼ばれているらしくて、参共区に行くそうで途中の駅で分かれて行った。……たぶん、私のしたいことに気づいてたんだと思う。お礼を言わなくちゃ。

 

「それであとひとつって」

「今日取材してたことは、全部くれはさんに関係することなんです。もしかしたら気づいてたかもしれないですけど…に」

「そうだったの? 偶然かと思ってた」

 

 心底そう思ってたって言い方は、むしろ安心するもので。

 

「それで……他の人から見た姿と一緒に、私から見た姿も書きたいんです。だからそろそろ、くれはさんの取材をしたくて」

 

 抱えた本にはたくさんの魔法少女たちの記録が残っている。

 今日もまた、新しいページを加えて、日々前に進んでいる。

 

 その中に、くれはさんのページを加えたかったんだ。

 他に聞き耳を立てている人もいない。勇気を出して、一番最初に聞くべきだろう"それ"を聞いた。

 

「それで……令さんなんですか? このみさんなんですか? 帆奈さんなんですか?」

「えっ」

「どうなんですか?」

「な、なにが……」

「誰が一番! すっ、好きなんですか!?」

「……私は選べない」

「知ってます、そういう人ですから!」

 

 みなさんから無言の圧があったんです。

 取材中、じーっと見てる雰囲気が、私に取材と一緒に聞けって言ってるみたいで! ちょっと怖いんです!

 

 ……私が聞きたかった思いも少しあるけれど。

 

 そしてくれはさんはとっても悩んで、悩みに悩み抜いて、顔を真っ赤にして、小さな声で言った。

 

「相棒で……いや、家族で……大切な人? 絶対に手放したくないほど恋しく、隣にいたらとっても嬉しくなれるのはみんなだけど――」

 

 ……私の耳に届いた名前は、心の中にしまっておこうと思う。

 これはくれはさんが直接言わないといけないことだ。深く理解した。

 

「秘密よ? ほんとに……」

「は……はいっ」

 

 でも、こんなくれはさんを見られて良かった。

 彼女が持つのは表面の張り詰めた冷たさじゃない。その裏側にある本当の性質は、こういう親しみやすさを持っている人に寄り添えるあたたかさ。もう邪魔するものはなにもなくて、ありのままを表現していることが、とても素晴らしく思える。

 

 それは、大切に本に挟んである写真が証明している。

 鏡の魔女との戦いの後に撮られた、かつての敵も味方も一枚に収まった風景。令さんから配られた写真だ。

 

 示し合わせて撮ったものじゃないから、誰が中心にいるということはない。疲れて座っていたり、喜びを分かち合っていたり、真面目に話し合ってたり、みんな思い思いの行動をしていてまとまりのない光景だと思う。

 

 でも、その不揃いの足並みは間違いじゃない。

 誰もが違いを持っているから、人は繋がりあえる。互いに影響を与えて変わっていく。

 

 だって写っているくれはさんは、とても……とっても、嬉しそうだったんだ。

 

 ひとりぼっちになって止まることを願った彼女が、多くの友人に囲まれ、笑顔を見せている。それはこの先の未来を明るく照らすようで、希望に見えたんです――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女たちが駆け抜けた日々は、いつしか過去の記憶になる。

 されど記憶は記録となり、いつまでも旅路を照らし続ける。

 

 大学へ進学する人、夢を叶える人、これからの未来へ進む人。

 どんな形かは様々でも、いつまでも同じではいられない。出会いがあり、別れがある。楽しいことも悲しいことも、様々な出来事が積み重なっていく。

 

 だけど、確かに先がある。

 この世界で生き続け、いつか大人になる魔法少女たちに。

 

 守りたかった日常は、明日も続いていくのだろう。

 その意味を心から理解して、幸せになりすぎたなと零して。

 

 帆秋くれはは、微笑んだ。

 

 

 

 

 thank you

 

 

 




■最後の内容 
 本来第2部のエンディングは魔法少女たちのその後が語られるが、色々とイレギュラーを入れ込んだこの世界では語られない。語られてもそうなる保証さえない。

 だけれど、定まっていない未来でも、人はその暗闇を進む。信じる星を道標にして。



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