マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート 作:みみずくやしき
また魔法少女を探し出すRTA、はーじまーるよー。
それでは早速ですが、メインストーリーが始まるまでにすべきことをやっていきましょう。
優先度は『見滝原組の誰かと遭遇する』、『まだ出会っていない魔法少女と出会う』、『団地組のレベリング』の順番です。
レベリングは平行してできるので実質二つですね。なお、れいらとせいかが参加できない日でもみとちゃんが可能ならひたすら連れ回して魔女退治します。
見滝原組に関しては仕込んだほむほむ包囲網が働いてくれればそろそろ情報が来てもおかしくないのですが、まだ動きがないためなにもできません。
というわけで魔法少女を探しに行きます。特にエミリー先生経由で出会えない魔法少女が優先なので、今回の狙いは『
ですが、理子ちゃんはこのチャート最大の難関に関わってきます。彼女の固有魔法はワルプルギスの夜戦で必要になるのですが下手すると終盤さっくりやられます。そして彼女の家であるお弁当屋さん、『千秋屋』に普通に行ったところでただの店員対応ですので関係を築けません。
なのでイベント『千秋理子のぶきっちょでもいいですから』の終了時を狙うのが通常パターンです。このイベントは全く干渉できないので終了時にみたまさんとまなかちゃんに出会う場面に遭遇するしかないので運ゲーなのですが……。
今回はその手段を使わないので関係ありません。理子ちゃんの『願い』を利用します。
彼女が願ったのは、結婚を反対されていた隣のお姉さんが結婚できるように、というものです。実はこれと似たような話がある魔法少女との会話中に聞けることがあります。
それは観鳥さんです。やっぱり南凪は最高じゃないか! 良い後輩を持ったなぁ……。
というわけで撮った写真の中に逢引中のお姉さんが写っているものがあるので、家に突撃して貰って帰ります。信頼度がストップしてるので訪問イベントが発生せず、ロスを回避できます。
これでもう理子ちゃんはくれはちゃんの交友関係から逃げられねぇな? これを鍵に動けば理子ちゃんと会っても不審者扱いをされません。やったぜ。
しかーし、いきなりこんな人間が帆奈ちゃんを引き連れて会いに来たら不審者扱いされずとも警戒される危険性があります。ですが良い対策があるので明日香に連絡して今日のところは帰りましょう。
おはよーございまーす!
「オレを雇いたいんだって聞いたぞ!」
「え、本当に雇うの? あたしがいれば戦力はいらないでしょ?」
「お前は変身しちゃダメって言われてんだろ! それに魔女は全部オレが倒すんだから邪魔すんな!」
おっほっほっほ~元気だ(レ)。
そういうわけで比較的年齢の近いフェリシアを雇います。かこちゃんやあやめ、もしくはひみかでもいいのですが、スケジュール的にフェリシアが一番手っ取り早いです。しかし彼女の信頼度を上げすぎるとチームみかづき荘結成を邪魔するのでビジネスライクな関係でいましょう。
君が、フェリシアちゃんだね?
3000円だな? 3000円で一日付いてくるんだな? 金金ってガキの癖に金なんか貰えると思ってんのかォオン!?
はい5000円……アイスでも買い、お釣りいらんわ。ありがとな。頑張りや、傭兵。
これで今日一日付いてきます。
なお、うちにはもう帆奈ちゃんがいるのでフェリシアを養う余裕はありません。メインストーリーが始まる前に退場されても困るので、生活が苦しくならないように時々雇ってお金を渡しておいてあげましょう。今回はお弁当もあげます。
そういうわけでやってきました『千秋屋』。立っている黒髪小学生がターゲットです。ここのチラシは既に入手してるので買いに来た風に見せつけられます。たまーに『天音 月咲』が来るので周囲をチラチラ確認しながら注意して行きましょう。
では買い物をして写真を突きつけましょう。くらえ!
「これ、お姉さんの写真?」
「なんかくれはの友達が持ってたみたいだぞ」
そうだよ(肯定)。こんなんで気を許すなんて全然ゆる防犯じゃん! そうじゃないと困るので防犯ブザーはやめようね!
フェリシアを引き連れてるので勝手に会話をしてくれます。なんで写真を持ってるか聞かれたら……まあ観鳥さんが云々言っておけば大丈夫だってヘーキヘーキ。
帆奈ちゃんがアレな目で見てきますがこれで理子ちゃんが店員対応でなくなり、信頼度が上げられるようになります。料理関係の話や『怪盗少女マジカルきりん』の話をすれば上がるので、暇があれば来店して連絡先を交換できる程度の信頼度にしておきましょう。ウォールナッツといういつもの場所に連れ込んでもいいですね。
今日はこれ以上信頼度を上げられないので帰ります。
じゃあな! 黒羽根って奴らに気をつけろよ!
おはよーございまーす!
本日はブロッサム……で得たパワーを使ってショッピングです。金、金、金! 魔法少女として恥ずかしくないのか! ないです。
今後出会う魔法少女のために色々と買い込んでおきましょう。まーたくれはちゃんの趣味がすごいことになるな?
『怪盗少女マジカルきりん』の最新刊や刀剣、骨董品などの本、キノコなんかもいいですね。『こねこのゴロゴロ』関係の物も見つけたら購入しますが、『デカゴンボール』関係は買いません。フェリシアの信頼度が上がりすぎます。紅茶は……微妙ですが余裕があるので一応買っておきましょう。
「まだ買うの? あんたの趣味じゃないやつばっかでしょ?」
また帆奈ちゃんがアレな目で見てきますが大丈夫です。あとでケーキをおごってやろう。
結構買ったのでそろそろ買い物も終わりでいいでしょう。よっしゃ! 帰って魔女退治でもするか!
「あのー、ちょっといいですか?」
おっと誰だい話しかけてくるのは!
いやちょっと待ってください。この神浜市にない学校の制服……それに青髪……まさか……。
間違いない! 『
ちなみにさやかちゃんはこうして神浜に来るタイミングで会えないと、見滝原に出向かない限り終盤まで遭遇できません。結構レアです。
このタイミングだと神浜にはショッピングに来てるはずです。特にくれはちゃんに用もないはずなんですが……。
「帆秋、お前も買い物か?」
みゃーこ先輩効果かぁ……。
どこかで勝手に会ってたみたいですね。それでいかにもこの辺に詳しそうだから話しかけられたと……お、ロスか? まあ最優先はほむらちゃんで次点でマミさんでしたが、さやかちゃんでもいいでしょう。会話すれば必要な情報は引き出せます。
そんなこと言ってたら魔女じゃねぇか! はいみゃーこ先輩帆奈ちゃん預かってて! 行くぞさやかちゃん! 正義の刃、受けてみろ!
普通の魔女と戦うのも久しぶりですね。というか魔女化を知ってなお平然と戦うとか肝がデカイんですかね? 穢れは小さいですよ。
神浜市外の魔法少女と一緒に戦うのは初めてですね。彼女たちは調整屋によるパワーアップを受けてない素の能力値なので注意しましょう。と言っても一部の魔法少女は恐ろしく強いのでそれ以外のメンバーの時だけです。鈴音? なんでしょうねあの強さは。
『美樹 さやか』は近接系の魔法少女です。奇しくもくれはちゃんと戦い方が似てますね。まあくれはちゃんの遠距離攻撃はぶん投げる力技しかないんですけどね!
そんな彼女は回避主体で戦いつつも、回復力が高いので総合的な生存能力が高いです。一緒に戦う時はカバーに入るようにすれば更に生き残ります。
「とおおおっ!」
やっぱり近接系だから、同じ近接系のほうが若干合わせやすいと思います。(魔女はかかって)来いすか?
ここまでアザレア、団地、鈴音、帆奈ちゃんのイベントを潜り抜けてきたくれはちゃんの火力は半端ではありません。魔女を捌くんだったらお任せください! 見てください、こんな魔女もカトラスがあれば、簡単にグリーフシードにできちゃうんです!
「いやー強い! 特にあの、止めるやつ? すっごい助かった!」
結構でも疲れますねこれ(小声)。想定以上に穢れが溜まりました。さっさとみゃーこ先輩のとこに帰りましょ。
ではこっそりソウルジェムを回収します。事情を知らない魔法少女に見られると説明やらなんやらでかなりロスするうえに最悪の場合は魔法少女の真実まで知られることになりますね。それでも『上書き』は有能なのでそれだけの価値はありますあります(食い気味)。
ここで買い物に付いて行ってさりげなく友達の情報を聞き出します。欲しいのはほむらちゃんに関する情報です。
まず間違いないレベルで眼鏡をかけたメガほむですが、極稀にあのクーほむ状態で登場することがあります。覚悟を決めてるのでステータスやらの性能が段違いですが、つまりまどかが契約してない可能性大なのでその先のチャートが総崩れです。出てきたら諦めてこちらも時間遡行(再走)しましょう。
「あたしにも魔法少女の友達はいるけど、さすがにそんなにはいないなー」
はいここ! 今です! 今さりげなく聞き出します。
おうおうさやかちゃん! その中に眼鏡かけた子いないかい? いや組長みたいなのじゃなくて……そう! その『
眼鏡かけてるー! アーッハッハッハッハッハ! かけてるよー! ハッハッハッハ! かけてるぅー! 良かったーハッハッかけてる! ハッハッ! あーかけてるよ!
じゃあもう用はないんで帰りましょう。
……見事に連行されて帰れませんね! ちくしょう! いいじゃないですか帰らせてくれたって! なんで毎回喫茶店に連れ込まれるんですか! だったらウォールナッツにしましょうよ!
こうなったら適当に話を終わらせて急いで帰れるようにしま……いや待ってください、あれはもしかして……もしかするかもしれませんよ?
「あれ、マミさん?」
「みゃこセンパイじゃん!」
げえ『
彼女は周回プレイでもしてるのかと言いたくなるとんでもステータスで戦闘において物凄く頼りになりますが、バランスのためかメンタル面の問題があります。あぁん? なんで? とにかく、運用するならその辺りのケアをしないと危険です。そんなことしている余裕がないので普通のマミさんとは特に関わりません。
ただ、このタイミングで会えたなら信頼度を少し上げておくと今後のリセットポイントを一つスルーできるので無駄ではないですね。来て良かった~って思うわけ(掌クルクル)。
「それにくれセンパイに……その子は?」
「あたしは美樹さやかっていいます! さっき帆秋さんと偶然出会って……」
紹介してくれるなんて良い子だねアンタ!
……なんかマミさんがすごい顔でこっち見てません?
「帆秋……くれ……まさか、帆秋くれは!? あなた、死んだはずじゃ!?」
いきなりなに言い出してんだこの巴マミィ!?
あっ(察し)。そういえば鈴音視点では死んだ扱いでしたね。それがキュゥべえ経由で伝わってたのかもしれません。あの白タヌキ神浜出て殴ってきてやろうか(大ロス)。
違うんですよ梨花ちゃん! くれはちゃんはここにいます! 足付いてますから!
みゃーこ先輩! 説明しといて……いなきゃダメ?
あっ、ちょちょちょっと待ってください! 待って! 助けて! 待ってくださいお願いしまワアアアアアアアアア!!!!
マミさん許して説明してたらタイム壊れちゃーう! にゃ、にゃっ、にゃ、ホワーッ!
しょうがないのでなるべく短く説明してもらいます。ややこしくなるので帆奈ちゃんには黙っててもらいましょう。
「……そう、そんな魔法少女が」
「くれセンパイそんなこと言ってなかったじゃん!」
あーもう(女子会の雰囲気が)めちゃくちゃだよ。さやかちゃんなんてかける言葉が見つからないって顔ですよ! あの白タヌキが……(憤怒)。
とか言ってたらなんか同情してくれて信頼度が上がりました。結果的に手間が省けたとはたまげたなぁ……でもアイツは許さんぞ!
マミさんとお茶しつつ今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。
◆
ここ最近、神浜全体が変な雰囲気になっていた。
十七夜にも言われてたが魔女が活性化しているし、市外の魔法少女を見かけることも多くなっている。
妙と言えばアタシの後輩もそうだった。
「お前と令、最近どうした? 一緒にいるところをまったく見ないしなんか変だぞ」
「いいでしょ別に」
「お前なぁ……いや、いい。喧嘩なら早く仲直りしろよ?」
あの二人が喧嘩するなんて思えなかったが、一番近い空気感はそれだった。
代わりに帆秋の横にいる更紗帆奈が起因になってるだろうことは想像できたが、それ以上は踏み込めない。
アイツらの関係に割って入ることはできない。アドバイスはするし相談だって聞くが、決めるのは本人たちだ。外野がとやかく言うことじゃないのはわかってるが……。
「……気になるよなぁ」
度々帆奈を預けてどこかに行ってるアイツは前と変わっていない……ように見える。
昼時に見かければ相変わらずメロンを食べてるし、放課後や休日にはまたブロッサムでアルバイトをしている。気づけばなにかやらかしてることだってあるし、交友関係だって減ってない。
結局、その気がかりなまま科学実験教室当日になり、アタシは理科室で後片付けをしていた。
今日は規模が小さいから一人で十分成功させられたが、いかんせん最近の出来事のせいで少しぼんやりとしていたように思う。
そんなアタシに活を入れたのは後頭部に直撃したなにかだった。
「んがーっ!!」
痛い。凄く痛い。魔法少女じゃなかったら危なかったぞ!?
後頭部を抑えてうずくまるが中々痛みが引かない。魔力で回復したほうが良いかなんて思い始めた頃、アタシに駆け寄る誰かがいた。
「ちょ、あんた! 大丈夫!?」
片目を開けて見てみると、神浜じゃ見ない制服の女子がいた。小学生って感じでもないソイツは『美樹 さやか』というらしく、アタシの声を聞いて駆けつけて来てくれたそうだ。事情を話すと心配してくれた辺り優しいヤツなんだろう。
ただ……この接し方は年下だと思われてるな。非常に、ひっじょーに癪だが、よーくわかってる。アタシがそう見えることはもう理解してる。
だから自己紹介ついでに18歳だと教えたら大層驚いた。ついでに話し方も少し変わった。
「なるほどなるほど、では被害者は都ひなの18歳……科学教室の後片付け中に後頭部を誰かに殴られたわけですな?」
「扉は閉まってた。周囲に人はいないし、誰かってわけじゃないと思うが……」
事情を説明すると妙に張り切って犯人を見つけると言ってくれたが、どうにも大きな事件じゃない気がする。いやまあ、アタシも不届き者に一つや二つぐらい言いたいことはあるが。
原因はなにかと唸って考えてる様子のさやかを見てると、あることに気づいた。
「その指輪……」
「……あ、ああこれ!? アクセサリーだよアクセサリー!」
「隠さなくていいぞ。アタシも魔法少女だ」
そう言って普段は白衣の袖で隠れてる指を見せる。サイズが合ってない白衣だが、こうやって魔法少女だと悟られないから有用だ。
「おお、偶然魔法少女と会うなんて……! ってことは魔女じゃないんだよね? 気配を感じるはずだし」
「そうだな。殴るだけの魔女なんて聞いたこともないし見たこともない」
だと思うが……そういえば、前にソウルジェムが反応しなかった魔女がいた。あの時も小学校での出来事だったが、また襲ってくるなら生徒が集まってるタイミングのはず。どうにも違う。
さやかは調査は足だと言って理科室の中を見て回ってるが特に変わったものなんて――
「あーっ! これか!」
「え、どうしたのひなのさん!」
「これだよこれ!」
よく見ると、隅っこに置いてある人体模型の足元に野球のボールが転がっていた。換気のために窓は開けてたし、そこから入って来たとしたら丁度アタシの頭に直撃する。……ぐっ、もう少し背が高ければ……!
そしてボールを見つけたすぐあとに遊んでたらしい子どもがやって来て、それが正解だと証明してくれた。
「はぁ、魔女じゃなくて良かったぁ。じゃ、あたしはこの辺で。明日着ていく洋服を買う予定があるもので」
「なるほど、それで神浜に……っと、一ついいか? ここ、南凪区だぞ。それなら中央区にでも行ったほうがいいと思うが」
「ア、アハハ……ちょーっと通り過ぎちゃったんですよ」
市外のヤツだしそんな気はしてたがなんだか危なっかしい雰囲気がする。
今日はもう用事もないし、案内しようかと言ったらオーバーなリアクションで感謝された。こんなことしてるから段々とやる事が増えてるんだろうが、放っておけないしなぁ……。
付き添って行ったのはいいんだが、休日だから人が多い。これは危険だ。誰かの近くにいないと最悪の場合迷子センターで呼ばれるハメになる。
そして案の定見失った。アタシじゃないぞ。さやかだ。
どこに行ったかと背伸びをして周囲を見渡してみると、本屋の近くに見知った顔と一緒にいた。帆秋と帆奈って似た者同士だ。
一体なにをそんなに買い込んだのか、大量の荷物を二人で分けて持っている。コイツはまたなにをやってるんだか……。
「帆秋、お前も買い物か?」
なんでさやかが話しかけてたかと言うと、アタシと同じ制服を着てるうえに色んな店を回ってそうだから、見失ったアタシを見てないか聞きたかったらしい。
軽く紹介してアタシと知り合いだって言うと、小声で「やっぱり魔法少女?」って聞くから肯定する。
「一日で三人も会うなんて偶然が続くもんですなぁ」
「神浜なら別に珍しくもないぞ。帆秋、お前今何人ぐらい魔法少女の知り合いがいる?」
「……三十人は超えてたはず」
「多っ!? 恐るべし、神浜……」
「お前また増えてないか?」
話せば話題はどんどん出てくるもので、帆秋がクールでカッコいいとか隣にいる子がなんか怖いとか本来の目的を忘れているようだった。魔法少女はどいつもこいつも特徴があるヤツらだが、この二人は特に色々ある。一から話せば語り尽くすのにどれだけ時間がかかるかわかったものじゃない。
だけどまあ、人が多い所には魔女も出やすいものでその気配で引き戻されたんだ。
「ひなの先輩」
「わかってる。預かっとくから無茶はするなよ」
アタシと帆奈で荷物を預かっておくという建前で二人を行かせる。勿論、荷物に忍ばせてあるのはソウルジェム。余計な詮索はされないほうがいいとはいえ隠し事は気が引ける。今後のためにも良い対策を考えとかなきゃな。
残ったアタシらの間にはさっきまでの騒がしさはなかった。
更紗帆奈、コイツのことはよく知ってる。もう何度もこうやって二人きりになったことだってある。その度にコイツがあの昏倒事件を引き起こしてたことを思い出すんだ。
一度目はそこまで大きな騒ぎではなかったが、二度目は神浜の魔法少女が協力した大騒動で追い込んだ相手。アタシもその時は連絡役として街中を走り回ってたが……偶然目の前を通って行った姿と今の姿はどうにも一致しない。
最後の建設放棄現場にいたヤツらからも聞いてるが、やはりこれでも少しは丸くなったらしい。だからこうして外に連れ出せてるわけだが、帆秋はどれだけ無茶をしてここまで宥めたのやら。
ここに残してる帆奈がいる以上、危なくなったら戻ってくるだろう。さやかの性格なら手に負えなかったら引き返すはずだ。
待ってる間にこの前の勉強会でわからなかった部分を聞いたりしていると、予想よりも早く二人は帰ってきた。
さやかも近接戦を得意とするらしく、息が合ったのか味方の遠距離からの援護が怖いとかそんな話をしている。爆発云々も言ってるがアタシは誤爆させたことはないからな。
とにかく、これで買い物に戻れる。
帆秋たちはこのまま帰るかと思ってたがせっかくだから付いてくるようだった。
「へえデートねぇ……あんたもこの前デートしてたよね?」
「そうね」
「お、おお!? オトナな反応! あ、というかデートとかそんなんじゃ!」
「わかりやすっ!」
ま、仲が良いみたいで良かった。帆奈もこうして変わっていってくれればそれが一番。
帆秋だって、相変わらず真顔で話す姿はやっぱり前のままで心配はいらないみたいだ。
……だが、厄介ごとを持ってくる点だけは変わってもいいと思うぞ。
「帆秋……くれ……まさか、帆秋くれは!? あなた、死んだはずじゃ!?」
「ええーっ!? 生きてる、生きてるよねっ!?」
「そういえば死んでたわ」
「あーもう、アタシが説明するからな! 帆秋はそこに座ってろ!」
偶然出会った梨花と一緒にいたのは『巴 マミ』という魔法少女。さやかの先輩らしい。
その彼女の発言は、可能性としては低いが起こりうるものだった。あの天乃スズネが誰かに言って、それがこうして戻ってくることを想定してないわけじゃない。
常盤ななかから伝えられたあの一件は一部の魔法少女にしか話してない。なんせ魔法少女が魔法少女を襲うという内容だ。パニックが起きかねない。
だからこういう事態への対策も含めて注意を促しつつ、誤解されない良い方法がないか考えてた矢先のこれだ。いくら想定してたとはいえ参る。
帆秋が死んだ扱いになってることを説明するには、天乃スズネの存在を語らなければいけないわけだ。それはつまり、一度死にそうな目に遭ったってことも教えなければならない。
今は平然とメロンジュースを飲んでるコイツだが、相当焦ってたってのは令から聞いてた。話してもいいかと聞くと首を縦に振ったから平気だとは思うが……。
話したのは他の魔法少女が知っているのと同じ内容ともう少し踏み込んだもの。命を狙う魔法少女とそれを神浜から追い出したことだ。やっぱりその存在は梨花には信じられなかったらしいが、巴マミは納得したようだった。
まあベテランなら、魔法少女同士の対立も知ってるだろう。今は魔女が多くて有り余ってるが昔はグリーフシードを巡って抗争が起きたこともある。その時ばかりは仲間じゃなくて競争相手、誰もがそういう関係だったのだから。
「……帆秋さん、なにか困ったことがあったら言ってね。できる限り力になるから」
「あたしも! そりゃちょっと怖いけど、見過ごせないし!」
「だってさ、くれは」
その時のアイツの表情は、やっぱり前のままだった。
■今回の内容
美樹さやか 魔法少女ストーリー1話 『魔法探偵 美樹さやか』
美樹さやか 魔法少女ストーリー2話 『カワイイ化計画』(一部分)
巴マミ 魔法少女ストーリー2話 『友だちになろうよ!』(一部分)
■千秋 理子
小学生魔法少女。一番魔法少女してるかもしれない。
真実を知っても戦える強い子。
■美樹 さやか
やっぱり魔法少女になっているさやかちゃん。
この時間軸なら大丈夫。
■巴 マミ
言うまでもなくあのマミさん。
その強さを発揮して神浜で大暴れする。
■白タヌキ
神浜を追い出されてそこそこ経過したのにまだけしかけてくる。
結果的にプラスになるので味方。
■3月8日
さやかちゃんの日。