マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート 作:みみずくやしき
ウォールナッツを食べ尽くすRTA、はーじまーるよー。
本日はブロッサムの次ぐらいに来ているウォールナッツからお届けします。
帆奈ちゃんお代わりいる? あ、いらない? いらないって言っても食べるんだよこのケーキを!(信頼度上げ)
「もういい! もういいから! この小動物に食べさせたら!?」
「小動物……あ、私!?」
ちなみに魔女退治のパトロールをしてたのでみとちゃんもいます。今日はソロですね。引越し後なので二人と予定が合わないことがあるのは悲しいなぁ……。
そんなみとちゃんですが、いい感じに育ってきてくれています。団地の頃と比べたら雲泥の差です。今なら帆奈ちゃんを相手にしてもそこそこ戦えるでしょう。
彼女の『ツキササルイバラノヤ』も相当な火力が出るようになりました。さすがにまだ『ティロ・フィナーレ』ほどではないですが、いずれはそのレベルになることを目指してみとちゃんには頑張ってもらいましょう。
だからお前もケーキを食うんだよ!(バフ盛り)
ウォールナッツにはいろんなメリットが入ってたんだぜ。さっき妙に回復したのは体力だな、このバフは獲得経験値上昇だな、このウマさは信頼度上昇だなとかガタイで分析しながら、結局一番少女らしい時ってのはこんなにチョー平和的にみんなで会話してるシチュエーションだとわかったぜ。
「でしょう? 日々鍛錬を積んでますからね!」
まなかちゃんもこう言ってるので利用させてもらいましょう。このはとかみたまさんの料理は回避しますが、ここで食べる分には問題ありません。むしろメリットばっかりです。やっぱ~ウォールナッツの料理を……最高やな!
魔法少女を連れてると会話イベントも発生してうまあじです。今もみとちゃんが起こしてますね。これからもガンガン連れて来ましょう。
じゃあ追加のケーキを注文しましょうか。また明日はブロッサムだぜ。
「ご、ごめんなさい!」
おっと新鮮なイベントだぁ!(ロス疑惑)
お会計中のあのアホ毛の女の子、間違いありません。『かずみ』ですね。財布を忘れたのかお金がないみたいで謝ってます。
これは……『Another Daze』じゃな? この辺りから『ウワサ』が発生し始めるので確認にはちょうどいいイベントですね。
しかし別に成功しようが失敗しようが関係ないのでウォールナッツでケーキをキメてましょう。
というか、今ここでかずみと遭遇した時点でクリアできます。一緒に調整屋に行って『
まあ、みとちゃんを送り込んでおけば勝手にクリアしてくれるのでクリアボーナスだけ貰っておきます。クリア時にパーティ内にいる魔法少女が参加していれば自分にもボーナスは入りますからね。
自分で行くメリットはウワサが発生し始めたのを確実に確認できることですが、どうせメインストーリーで会うのでここで見る必要もありません。
そういうわけでヘーイまなかちゃん! その子、どうしたんだい!
「実は――」
やっぱり財布を忘れたようです。別にブロッサムの賃金を横流ししてもいいんですが……。
「わたし、ここで……働かせてください! 皿洗いとか掃除とかなんでもやるんで!」
ん? 今なんでもするって言ったよね? じゃあ一緒に働かせてもらうからな~?
そういうわけで一緒に働けばお金が減るどころかむしろ増えます。それにクリアボーナス狙いならみとちゃんとかずみを会わせて会話させておいたほうがいいでしょう。
まあ料理教室で散々失敗してたのでくれはちゃんは参加できないんですけどね!
帆奈ちゃんにやらせつつ、信頼度などが足りてるかどうか確認をしておきましょう。ちなみに早速レナちゃんの信頼度が地味に目標に届いてないことに気づきました。セーフ、セーフだよな?
でもこれでは動きがないので、み~な~さ~ま~の~た~め~に~。
メインストーリーでの動き方について解説します。
今回は『ワルプルギスの夜』の撃破によるクリア、いわゆる正規エンドを目指すチャートです。なお敗北してもバッドエンドでクリア扱いにはなりますし、市外に逃げたり参加せずに敗北すると特殊エンドになります。今回はそのレギュではないので関係ないですね。
他にもマギウスルートやみかづき荘ルートなどはこれに限らず独自のクリア方法がありますが、一般魔法少女ルートなので基本的にこれかマギウスの翼を残らず殲滅するかのどっちかです。
ちなみにany%でよく使われるのは聖リリアンナか参京院スタートでマギウスをアンブッシュする方法です。普通に学校に通ってるので『気配遮断』や『透明化』などの固有魔法で近づいてソウルジェムを砕けばそれでマギウスの翼を倒した扱いになります。でも後味がね……。
というわけで下手にメインストーリーを崩壊させられません。程良くマギウスの思惑が進んで、ワルプルギスを呼んでくれないと困ります。要所要所の短縮が腕の見せ所さん!?
そして短縮の鍵となるのは魔法少女の友情パワーです。ワルプルギスもそうですが、これから先出てくるボス格は強力でくれはちゃん単騎ではさすがに難しいものがあります。
よってひたすら協力します。各魔法少女の特性とパワーをフル活用してボスを正面から粉砕していきましょう。一部のとんでもないのは無理です。
くれはちゃんは参加しませんが実は今回の『Another Daze』も簡単にクリアできます。普通はイベントに魔法少女を一人追加したところで変化は少ないですが、対ウワサに関してはそれぞれに特効とも言えるキャラがいるので安定します。今回はみとちゃんです。
まあみとちゃんの本来の出番はまだずっと先なんですが……試運転だよ試運転!
そんなこと言ってたらそろそろ終わりそうですね。れんちゃんが来ました。
このタイミングで来るのは途中でカオルとすれ違った魔法少女です。これで次の行き先が指定されるんですね。
誰が情報をくれるかや海香、カオルと一緒に誰がいるかは結構ランダムです。なのでかずみに最初に会うのがクリアするには一番早いでしょう。まあ放っておくだけだから関係ないけどな!
ではここでかずみから海香とカオルの名前を聞いておきます。これで二人を探してるってことがわかりますね。協力して探してあげましょう。
はいじゃあみとちゃん行ってこーい!
「珍しいですね。いつもなら一緒に行きそうですけど」
こっちはこれから大東区行ったり工匠区行ったり美術館で張り込んだりするので仕方ないね。
じゃあこっちも行くぜ帆奈ちゃん!
やって来ました大東区。というかひみかちゃんの家です。
今回の狙いは『
ですがいないみたいですね。この分だと近くでキノコ狩りをしてるはずなので探すぞ~! どこだぁ……?
まあ探す必要もなくカミハマッシュ茸が取れる場所にいます。神浜に固有種多すぎないか?
オッス元気かひみかちゃん!
「どうもー! この前一緒に魔女退治した時以来ですね!」
「南凪の制服二人組……はっ! 南凪の不審者!?」
初対面のはずですがここまでの評判が知られてます。以前の行動が反映されてだんだんと変化が出るのは気持ちいいですね。いや(チャート構築的に)気持ちよくはない! 制御できない展開とかは……勘弁してくださいね。
今回は面識ができただけでいいです。この前買ったキノコを渡して次に向かいます。
「あんたそれずっと持ってたの……?」
あとは美術館で張り込む前に参京区に行っておきましょうか。ウワサが出現し始めたならななか組の行動も把握しないといけませんし。
一応みとちゃんの体力を確認しつつ今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。
◆
「みと! 今!」
「うんっ!」
くれはさんの合図で矢を放つ。前と比べてよく当たるようになったそれは使い魔を逃さない。魔女だって、魔力を込めたら撃てる茨の矢なら大体は倒せるようになったんだ!
今日だってバッチリ決まった! れいらとせいかもどんどん強くなってるし、私もがんばらないと!
……って、思ってるのはほんとにほんと。でも、まだモヤモヤした気持ちが残ってる。魔女っていうのは元々魔法少女だったってことを知ってから、こうして魔女退治するのは正しいのかなって思っちゃったんだ。
私たちが食べ物を食べないと生きていけないのと同じで、穢れを浄化するグリーフシードがないと魔法少女は生きていけない。でもそれを落とすのは前は魔法少女だった魔女で……。
手元のフォークとテーブルのケーキを交互に見る。
れいらが他のケーキもおいしいって言ってたから食べてみたんだけど、心が落ち着かなかった。せっかくの味もこれじゃもったいない。
目の前で並んで話す二人の声が、なんだか遠く聞こえた。
「あんたの『停止』さぁ、できること増えてない? 自分の精神を止めるとか検証してたときにはなかったじゃん」
「できるからできるんでしょ」
「あはっ! 頭悪い答え! これじゃそのうち口を止めなくても『暗示』自体を止められるようになるんじゃないの?」
「……固有魔法は願いから生まれた希望の結晶よ。直接関係してないこともあるけど、大体はそう。それを止めるって……願いを否定するようなものじゃない」
「まーお優しいあんたじゃ無理だよね」
連れてきてくれたくれはさんと帆奈さんも魔女化のことを知ってる。
二人に起きたことは、私に例えたられいらやせいかを失ったのと同じこと。それでもこうして普段と変わらずに魔女と戦えるし、前に進めてる姿を見るとすごいなって思うんだ。
「もういい! もういいから! この小動物に食べさせたら!?」
「小動物……あ、私!?」
気づけば私が食べ終える前に帆奈さんは何個も食べてた。それでも注文しようとするくれはさんを見ると、本当に仲が良いんだなぁって感じる。
「どうしたのみと、あなたも食べなさい」
こんな言い方だけど、それは心配してるからだってわかってる。だってくれはさんは優しいんだ。たまに変な行動はするけど良い人だって、テーブルに来たまなかちゃんも言ってた。
だから、思いきって相談することにしたんだ。
「……魔女って、元は魔法少女なんだよね」
私が思うままに言ったのは今の気持ち。うまく言葉にできないけど、魔女を倒すことへの迷いとか、魔法少女ってこれでいいのかなってこと。
話してる間、くれはさんも帆奈さんでさえもしっかりと聞いてくれてた。
「ほんと、あのキュゥべえには騙されたよね。結局は魔女を増やしてるんだから」
「……そうかもしれないけど、私は魔法少女になったことに後悔はしてない」
そう言うと、くれはさんは真っ直ぐと私を見ていつもより鋭い目で言った。
「魔法少女になったから得られたものがあった。みことと帆奈、ひなの先輩に観鳥。私はこの出会いがあっただけでも良かったと思う」
私もね、そう思う。魔法少女になったから仲直りできたしみんなと出会えたんだって。でも、だからって同じ魔法少女だった魔女を……。
言葉に詰まって、どうしても次のことが言えない。
「ねえ、くれは。あんたあのまま屋上にいたらどうしてた?」
「……魔女を倒してたわ。元々はみことでも、絶望を振りまくそれはみことじゃない。もういないんだって、そう思ってたはず」
「ふーん……けど、あたしは適当に団地で楽しく暮らせって『暗示』で命令したわけ」
それは私に向けて言ってくれたんだと思う。
くれはさんの言う通り、魔女は倒さなきゃ。友達が悪いことをしてたら止めるのと同じで魔女を倒すんだっていうのはわかる。でも、やっぱり生きててほしいって気持ちもわかるんだ。姿が変わっても同じなのかもしれない。
「……むずかしいよ」
「答えなんてないわ。だから、あなたが決めた答えが正解よ」
私が決めた答え……私の考え。それは、みんなが仲良くできたら良いなってこと。
魔女化なんて無くなれば怯えることも戦うこともなくなるはず。魔法少女同士で戦うことがない、なんて言えないけど言葉が通じるならきっとわかりあえるはずだから。
それを伝えると帆奈さんは目を丸くして、くれはさんは目を閉じた。
「……そうね、こんな矛盾したシステムを壊せるならそれがいいのかもしれない」
「バッカらし、綺麗事だよそれ。あーもう……やっぱりケーキちょうだい」
「私が注文するから。みと、なにかいる?」
「う、うん……」
なんだかさっきまでの雰囲気が軽くなった。
……でも、くれはさんはなにかおかしかった。さっき、あの時のせいかみたいな、でも少し違うような、そんな目を隠すように閉じたんだから。
けれどそれは気のせいだったみたいで、すぐに調子が戻ってた。別の街から来た人の話とか、帆奈さんが日頃家でなにをしてるのかとか面白い話をしてくれるのは知ってる姿。
あ、聞いた話の中で一番びっくりしたのはね、くれはさんのテストの点数がすっごく低いってこと! 帆奈さんが勉強会に来てる理由が、なんとなーくわかった気がする。
そして話の中で時々出てくるのがあの観鳥さん。このはさんたちからも聞いたその人は二回目の昏倒事件の時に協力してくれたらしいけど、まだ直接会ったことはないんだ。
「その観鳥さんって人とも会えるかな? みんなが言うんだ。あの人がいないとくれはさんは危なっかしいって」
「……そのうちね」
「この前家に行ったけど留守だったでしょ。避けられてんじゃないの~?」
「そんなこと――」
遮るみたいだったその言葉はすぐに別の声でかき消された。
「ご、ごめんなさい!」
聞こえた女の子の高い声は、まなかちゃんに向けられたみたい。
その女の子は黒髪のショートカットで、頭のてっぺんからくるっと毛が伸びてる。見た目は私と同じくらいの子。
どうも困ってるみたいで、どうしたのかなーって席を立って声をかけようかと思ってたら、先にくれはさんが動いてた。私は後ろに付いてったけど帆奈さんは座ったまま。
「どうしたの」
「実は――」
まなかちゃんが言うには、その子――かずみちゃんは友達とはぐれて探し回ってたんだけど、空腹に耐えきれずにハンバーグセットを頼んで、お金がないことに気づいたみたい。お腹が空くのってつらいもんね。
ちゃんと言ってくれたからまた次来た時払ってくれればいいって話になったんだけど、かずみちゃんは言ったんだ。
「わたし、ここで……働かせてください! 皿洗いとか掃除とかなんでもやるんで!」
「いや、急に働くって……」
「このまま出て行くのは気が引けちゃって……」
かずみちゃんは本気みたいで何度もお願いしてた。お金も後で持ってくるからって言う勢いはすごくて、まなかちゃんも悩みながらも許可してくれたんだ!
これで一件落着かなって思ったんだけど、くれはさんが身を乗り出して自分も手伝うって言い出しちゃった。「困った時はお互い様」って確かにその通りだけどなにか違うような? ……でも、みんなで手伝ったほうが早いよね! かずみちゃんも早く友達を探したいだろうし!
ただ、まなかちゃんの顔が引きつってた。
「で、ではかずみさんには片付けを……」
「私は厨房に立つわ」
「やめてください」
「くれは、やめよう」
……話には聞いてたけど本当に料理はダメなんだなぁ。あの帆奈さんまでが全力で止めてる。
結局、くれはさんには座っててもらうことにして、代わりに帆奈さんが手伝うことになった。それにはびっくりしたんだけど「今のあたし、全部くれはのお金で生活してるし……」って言ってて素直だった。それ、せいかが見てたドラマで聞いたことある! ヒモってやつだよね!
それでお手伝いがスタート! かずみちゃんはお皿を下げるのも洗うのもすっごく速くてテキパキしてる! 料理は食べるのも作るのも好きだから慣れてるんだって。私も頑張ってそれにならう。
帆奈さんはさすがにそれに比べたら普通だったけど、ちゃんとお手伝いをしてた。でも……。
「メロンが、歯磨き粉……シャンプー……!」
「あっは! 引っかかった~! それはタルフン。色がメロンソーダそっくりのハーブジュースなんだって!」
「……飲むけど辛いわ」
たまーにくれはさんにいたずらしてる。い、いいのかな……。
それにしても、こうしてウォールナッツで働いてみるとまなかちゃんはすごいんだなって思えた。料理はおいしいし雰囲気も良い。みんなが笑顔でまた来ようって思えるお店なんだ。
ちょうど来店したれんちゃんも、相談所でウォールナッツには何回も行ったって話してた。
顔見知りだし、私が注文を聞くとやっぱりオムライス! おいしいもんね。でも、注文をかずみちゃんに言うとれんちゃんはなにか気づいたみたいな顔をしたんだ。
「あの、ひょっとして……牧カオルさんって方のお知り合いですか?」
「カオルを知ってるんですか!?」
「そ、その……さっき公園の近くを通った時にその名前と、かずみを探してるって聞こえて……はい……」
「良かったじゃないですか! 手がかりですよ!」
うん、見つかりそうで良かった! 友達と離れるのは悲しいから、これで安心だね。
もう代金以上に働いてくれたから大丈夫だってまなかちゃんも言ってたし、笑顔で見送ろうとしたらまたくれはさんが身を乗り出したんだ。
「みと、付いて行ってあげて。あの辺りなら地理に明るい人がいたほうがいいでしょ」
言われてみると確かにそうだ。れんちゃんが地図に場所を書いてくれたけど、知らない場所ってわかりにくいし、誰かが一緒に行ったほうが良いよね。
ただ、いつもなら自分で行くって言い出しそうなのにちょっと変だなーって思った。
それで私とかずみちゃんは公園に行ったんだけど、すれ違っちゃったのか誰もいなかった。
振り出しかーって思った時、私のスマホが鳴った。れいらだ。
「あ、みと? くれはさんと一緒?」
「ううん、今は違うよ。まだウォールナッツにいると思うけど……」
「そっか……ありがとね!」
他にも話し声とか車の音が聞こえたから外にいるんだろうけどなんだったんだろう?
……って、今はかずみちゃんの友達を探さなきゃ!
そのあと私たちは思いつく限りの所を回った。
「その二人は見てないけど……くれはちゃんなら来たよ? すぐ帰っちゃったけど」
匂いにつられたかずみちゃんが鶴乃さんの家、万々歳に入っちゃったり。
「これはカミハマッシュ茸。神浜の固有種よ」
「こっちは?」
「くれはさんがくれたカミハマイタケ。似てるけど普通に売ってるんだよねー……でも高いんだ!」
ひみかさんと相談所で会ったことのあるかのこさんと出会ったり。
結構探し回ったけど、ぜんぜん見つからない。
でもわかったこともある。ひみかさんたちといる時に魔女が現れて偶然知ったんだけど、かずみちゃんも魔法少女だった。聞いてみると、探してる海香さんとカオルさんも魔法少女で、魔女を追ってあすなろ市ってとこから神浜まで来たんだって。
だったら思いつく場所がある。それは魔法少女の集まるところ、相談所か調整屋さん!
今の場所からなら調整屋さんのほうが近いからそこに行こーってなって、歩きながらどんな場所か説明したけど……うーん……具体的になにをしてるのかはわからないんだよね。
「そこ大丈夫なのかな……」
「大丈夫! 私も結構利用してるから!」
なんて話してたからかいつの間にか道を間違えちゃった。失敗失敗。
ここの角を曲がって、そしたら真っ直ぐ……。
「……この道、さっきも通らなかった?」
「おかしいなぁ、もう一回行ってみよう」
何度もやっても結果は同じ。ずっとずっと同じ道に出ちゃう。結界でも似たようなことはあるけど、風景は普通だし魔女の気配もない。なのに明らかにおかしい。
その場に立ち尽くす私たちだったけど、それに先に気づいたのはかずみちゃんだった。
「だ、誰……!?」
横にいるかずみちゃんが振り向く。そして「なんで」って言葉と一緒に倒れこんだ。
驚いて私も振り向くと、そこには。
「……え?」
かずみちゃんがいた。見た目がそっくりだけど、表情がなくて変身してる。だけど私の隣にはかずみちゃんがいるんだ。偽者にしてもレナさんのような変身……じゃない気がする。
深く考える前に嫌な予感がした私は咄嗟に変身した。
そして本物のかずみちゃんの手を握って全力で魔法を使う。この感覚、心を繋げる時の逆だ。散り散りに離れようとしてる! だからそれを繋ぎ止めるように!
「わた、し……」
なんとか止められたけど、ギリギリ。目を覚ましたみたいだけどとても動ける様子じゃない。
今のでなんとなくわかった。この偽者と今の現象はなにか関係してる。でも、魔女じゃないならこれはなんなの……?
かずみちゃんを背負って偽者と目を合わせる。もしも、あれが本物と同じような力を持ってたら多分――
「跳ぶよ!」
持ってる杖から光線が出てさっきまでいた場所を壊した。避けても気を抜いちゃダメ。だって魔女と戦った時、かずみちゃんはあの杖で!
やっぱりだ。思った通り、近づいてすごい力で叩こうとしてくる。でもまだ見切れるから!
「私が守るんだ……!」
自分を応援するように声を出すけど、攻撃が来るたびに追い詰められてる。
本物のかずみちゃんより威力が低いけど、それでも一撃でも当たったらダメだっていうのがプレッシャーになる。ちょっとかすっただけでも余波がすごいんだ。
それに、私の弓は大きい。身長ぐらいあるから近づかれると振り回すことができないし、もちろん矢も撃てない。だからちょっと離れた場所に別の弓を作る。そうすれば勝手に撃ってくれるんだけど、自動だからか全然当たらない。
だったらって思って地面を撃ってイバラで遮る。これで少しは距離を取れるけど……。
背負ってるかずみちゃんのこともある。もしも攻撃を受けて吹き飛ばされちゃったりしたら大ケガさせちゃう。無理はできないけど、どこに行ってもこの場所に戻ってきちゃうしこれじゃどうしようもない。今は時間稼ぎじゃなくて倒すか逃げなきゃいけないのに!
そして……だんだん動きが悪くなってきた。ソウルジェムが濁り始めてるんだ。
私の頭に浮かんだのは『魔女化』のこと。……ううん、弱気になっちゃダメ! れいらとせいかが待ってるんだ。かずみちゃんだって同じ。だから、まだ……!
強くなったと思ってた。だけど、私はまだまだ弱かったんだ。一人で戦うことがあんまりなかったから気づかなかったけど、私だけじゃできることが限られちゃう。
ケガをしたかられいらを頼ろうと右を向いてもいない。近づいてくる敵から守ってくれない。
光線が来るからワープしようと左を向いてもせいかはいない。水流で攻撃を遮ってくれない。
「……下ろして。わたしなら……戦えるから」
「ダ、ダメだよ……! ひぐっ、大丈夫、大丈夫だから……うぅ……!」
なんで、泣いてるんだろう。怖いのかな、寂しいのかな。もうそんなこともわからなくなっちゃったのかな。
……けどまだ諦めない……諦めたくないよ……! 偽者の杖が私を狙ってる。せめてかずみちゃんだけでも逃さないと……!
来るだろう痛みに少しでも耐えようと片腕をクッションにしようとする。
でも、私を襲う杖はそこになかった。消えたわけじゃない。だって、あの向こう側の人が持ってるんだから。
「――トリックオアトリート……」
その人は大きな鎌を持っていて、まるでおとぎ話の魔法使いみたいな帽子とマントを着けてた。そして大きな声でこう言ったの。
「ハロウィンが生んだ魔法少女、マジカルかりん! ここに参上なのだ!」
そしてこっちに投げてきたのはグリーフシード。びっくりしながらもなんとかキャッチして自分に使う。
そのかりんって子は、偽者に鎌を振るって使う隙を作ってくれた。それだけじゃない。時々石みたいな小さいものを降らしては偽者を怯ませてる! なんだか動きが手馴れてて、ベテランなんだろうなっていうのがわかった。
それでも本物のかずみちゃんを狙ってこっちに来ようとするけど、それを止めたのは飛んできた槍。これは見たことがある!
「やちよさん!」
前に一度会ったあと、なぎたんから何回か話を聞いてた。西の魔法少女の実力者だって!
「間に合ったみたいね。というかあなた……グリーフシードを盗んでばら撒いていくっていう怪盗かりん?」
「そ、そのことは反省したの……今は自分で倒して手に入れてるの」
急に口調が変わったかりんちゃんとやちよさんが私たちの前に立つ。さっきとは全然気分が違う。みんなで戦うって、こういうことだったんだ。
話を聞くと、どうにもかりんちゃんは本当に偶然来たみたいで、やちよさんは助けに来てくれたみたいだった。
「……それと、私だけじゃないわよ。帆秋さんから連絡を受けてここに向かってるのは」
「それって――」
次に見えたのは、赤い髪と青い髪のよく知ってる二人――れいらとせいかだ!
でもまだ二人、知らない人が来た。今度はかずみちゃんが言ったんだ。その二人が海香さんとカオルさんなんだって!
背中から下ろしたかずみちゃんが三人で再会を喜ぶのと同じように、私も二人に飛びついてた。
温かい。やっぱりあの二人だ。今の涙はさっきまでとは全然違う。
「再会を喜ぶのはわかるけど……」
「そうだった……海香! カオル!」
「かずみ……大丈夫なの?」
「うん!」
かずみちゃんはさっきと違って元気だ。変身だって出来る。
それとは逆に、偽者の体が薄れ始めてた。その代わりに見えたのは魔女みたいな怪物の体。多分、あっちが本体なんだ。解析ができるっていう海香さんの魔法でもやっぱりそう見えたらしい。
だから私の考えをみんなに言うと、それに同意してくれた。
最初に戦った時よりなぜか弱くなってるなら、きっと今がチャンスなんだ。
だから、私の考えっていうのはみんなで全力の攻撃を叩き込むこと! これだけ魔法少女がいるんだ。だったら相手がどんな存在でも!
合図でせいかが水流を偽者に放つ。避けられるけどこれは作戦通り。
あの偽者は光線を撃つか杖で叩いてくるから前にいなければいいんだ。つまり……せいかのワープで背後を取れば!
「アブソリュート・レイン!」
「キャンディーデススコール!」
まずはやちよさんとかりんちゃんが広範囲の攻撃で足を止める。降ってきた石と槍の雨が偽者を攻撃し続けてその場から動かさない。
「え、えーっと……えーい!」
「燃えてきた……! サモン・ウェーブ!」
「せいかまで!?」
やっぱりなにか叫ばなきゃいけないかなってちょっと思ったけど、全力で攻撃!
次は私たちがイバラと水流、炎で縛る! 本当ならイバラが燃えたり炎が消えちゃったりするんだろうけど、私たち三人の魔法がお互いを傷つけるはずがない。だから三つのそれが絶え間なく纏い付いてる。
「イクス・フィーレ!」
「パラ・ディ・キャノーネ!」
「……今だ! リーミティ・エステールニッ!」
カオルさんが蹴ったボールみたいな弾丸、海香さんが本から撃ち出した文字が偽者に当たる。そして、最後はかずみちゃんが撃った正真正銘の光線。偽者のよりもずっと綺麗で強力なそれが消えたあと、もうそこにはなにもなかったんだ。
つまりそれって。
「勝ったーっ! ね、みとちゃん!」
「うん! かずみちゃん!」
互いの手を取って喜ぶ。
……諦めなくって良かった。あの時は一人だったけど、やっぱり私は一人じゃない。れいらやせいかを思い浮かべたから頑張って戦えたんだ。くれはさんと一緒に練習した戦い方だって私にはある。いつだって、確かに。
「ではさらば! まだまだ我を呼ぶ声が聞こえるのだ!」
そう言って、かりんちゃんは去っていった。やちよさんになにか言われたみたいだけど笑顔だったから感謝されたのかな?
なんで二人が探してた海香さんたちといたのかって気になったんだけど、海香さんはれいら、カオルさんはせいかとそれぞれ偶然会ってて先に合流してたんだって。
で、色んな人と知り合いのくれはさんならかずみちゃんの手がかりを持ってるんじゃないかって今日一緒にいるはずの私に電話したみたい。なんでも本人は出なかったんだとか。……うーん、連絡って大事だなぁ。
気づいたらもう夜になってたし、かずみちゃんたちは帰るらしい。色々あったけど、無事に会えて本当に良かった。
そして、私たちは私たちの日常に帰った。神浜市の魔法少女としての日常に……。
でもね、ウォールナッツに行ったりあの道の近くを通ると思い出すんだ。
私の……あすなろ市の友達を!
■今回の内容
『Another Daze』
かずみ 魔法少女ストーリー 1話 『腹ペコのかずみ』
かずみ 魔法少女ストーリー 2話 『働くかずみ』(一部分)
かずみ 魔法少女ストーリー 3話 『料理するかずみ』(一部分)
■かずみ
魔法が使える女の子。かずみ☆マギカの主人公。
あすなろ市には秘密がいっぱい。
■御崎 海香
コラボイベントの魔法少女。メガネ要素。
イクス・フィーレが便利すぎる。
■牧 カオル
コラボイベントの魔法少女その2。かずみとは別方向に衣装がすごい。
全員イタリア語なのはどこかのマなんとかさんの影響。
■矢宵 かのこ
キノコ系魔法少女。実家は板金工場。
キノコが絡まなければかなり有能。
■みとちゃん
ウォールナッツでケーキをキメてるヤツの代わりに参加。
単独で足止めできるので莉愛様並み。
■かりんちゃん
勝手に走り続けてる魔法少女。
うちのフールガールが最近調子良いんですケド。
■Another Daze
かずみ☆マギカコラボイベント。
このイベントのRTAやってねぇな?
■入れ替わり通りのうわさ
乗っ取られた人の心は八つの方角へ散っていく。
心を繋げるという完全メタのみとちゃんにルールを無視される。
■技名
ティロル、ティロル時、ティロルならティロフィナーレ。
やちよさんやマミさんがやってるんだから正しい。