マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート 作:みみずくやしき
最近、私は同じ夢を見る。
そこは病室で、知らない女の子がベッドの上で生活している。
私に笑いかけるその子は嬉しそうなのに、私にはなにも聞こえない。触れようとしても手は動かないし足を前に出すこともできない。
見ることしかできない無力さに胸を締め付けられ続ける、そんな夢。
その夢はある場所に行った後から見始めるようになったんだ。だからきっと、ざわつく胸の内を探る手かがりはそこにある。
新興都市、神浜――人口約300万人を有するその都市に、私は足を踏み入れた。
神浜市は私の住む宝崎市の東にある。大きな街だからたまに買い物に来ることもあって、遠くから観光に来る人もいるし私みたいな人は珍しくない。
けれど、久しぶりに新西駅で電車を降りた私を待っていたのは、異国の雰囲気だった。前にも来たことがあるのにその頃よりも重々しさがある。なにか悪い空気が流れているようなそんな暗さ。
でも私はこの正体を知っている。
日常の裏に潜む災厄を。
「……やっぱり、この街には魔女が多いんだ」
最近は魔女を見つけることが難しくなってきてたのに、ここではもうソウルジェムが反応している。キュゥべえが言っていた通り神浜には魔女が集まっているんだ。
こうして魔女を捜して倒す理由は、振りまく不幸からみんな守るため。もしくは、浄化に必要なグリーフシードを手に入れるため。そのどちらかに比重が傾いているかなんて考えたことないけど、少なくとも今の私は前者のために結界を探している。
魔法少女になった願いは覚えていないけど、それはきっと誰かのためだった気がするから。
見つけた結界に飛び込むと景色が一変する。まるで夢の中のような取り留めのない世界が魔女の空間。もう見慣れた不気味な世界。
ここでは私は魔法少女として戦う。フードの付いた白いケープが特徴的な姿は最初は慣れなかったけど、今では左腕に現れるクロスボウと一緒に頼れる装飾。
檻に包装紙を束ねたような見た目の、生き物と思えない魔女の使い魔を撃つ。……いつもならこれで倒せるはずなのにまだ倒れない。もう何発か当てたら倒せたけど、一匹に魔力を使いすぎた。
首元のソウルジェムはギリギリ自分でも見える位置にある。少し心配だったから確認したけれど、これならまだ大丈夫。
深呼吸して気持ちを入れ替えて前を見た。このまま進んで最深部で魔女を倒すのが魔法少女としての役目なんだから、私が頑張らないと。
でも、ここは神浜。この街はやっぱり少し違ったの。
「……あ! 先に誰かいるよ!」
結界の中で誰かの声が聞こえるだなんてそんなこと滅多にない。あっても迷い込んじゃった人の助けを求める声で、女の子の明るい声は聞いたことがなかった。
それが同じ魔法少女のものだってわかったのは、また現れた使い魔が不自然に止まった後に、飛んできた緑の矢であっさりと倒されたからだった。
そこにいたのは二人の魔法少女。会うだけでも珍しいのに、結界内で同時になんて状況からかまじまじと見てしまう。
一人は大きな弓を持っていて、小動物に似た雰囲気の子。でもフードの付いた大きなマントをなびかせながら狙い撃つ姿は手慣れていて、魔法少女としての力量を感じさせた。
もう一人の人はなんというか、怖かった。同じ緑を基調とした衣装でも暖かみより冷たさが勝っていて、私に向けられた鋭い視線が痛い。握るカトラスに羽根帽子といい、綺麗でかっこいいのに近寄りがたい。
「誰々!? 私、相野みと!」
「あ、あの、私の名前は――」
急に近寄ってきてびっくりしたけど、その人懐っこさが心地いい。
こんな風に自己紹介するのは久々だった。学校ではどこか浮いてしまっていて、こうやって話しかけられることもなかったから。
なんだか胸がドキドキする。ちゃんと言えるかな、なんて思いながら私は言った。
「環いろは、です」
その二人は本当に強かった。というよりかは、ただ私が弱かっただけなのかもしれない。
神浜の魔女は強い。いくらクロスボウで攻撃してもまったく効いている気がしなかった。なのに、みとちゃんの矢は簡単に貫く。もう一人の人――帆秋くれはさんと名乗ったその人のカトラスの切れ味はもっと凄い。
結局、貢献と言えるようなことはできなかった。魔女が倒されるまで使い魔をなんとか落としていただけ。
結界が消えると世界が普通に戻る。変身を解くと、私たち三人は全員制服だったけどみんな違う。一緒に来たからてっきり同じ学校なのかななんて思っていた。
「……あ、あの!」
でも、そんなことを考えている場合じゃなかった。
こうして魔法少女に会えたのなら聞かなきゃいけないことがある。手がかりは影も形もないわけじゃなくて、私の直感でしかないけど、前に一度だけ見たことのある『小さなキュゥべえ』がきっとそう。
その小さなキュゥべえは、普通のキュゥべえに聞いたらそんな個体は存在しないはずって言われた特異なもの。だから知ってるんじゃないかと思って聞いたんだけど、噂程度にしか聞いたことがないって言われちゃった。
「そうですか……」
「大丈夫、私も探してみるよ。見つけたら教えるね」
「……みと、彼女を調整屋に連れて行ってあげて」
くれはさんが言った単語には聞き覚えがなくて思わず聞き返した。
なんでもそこはソウルジェムの『調整』を行ってくれる場所らしく、魔法少女が集まるからそこで情報収集をしてみたら良いんじゃないか、ってことみたい。
教えてくれたこと自体は優しかったけれど、くれはさんは笑み一つ浮かべずに鋭い視線を私に向けていた。お礼を言おうにも切り捨てられそうでなかなか口が動かない。まったく動じていないみとちゃんが不思議だった。
「おーい、帆奈ちゃん連れてきたよー」
私が手をこまねいていると、私たちに明るい声がかけられた。それはみとちゃんと同じ制服を着たポニーテールの人。一言聞いただけでも人柄が想像できる快活としたものだった。
だけど、一緒に来た『帆奈ちゃん』と呼ばれた子は、くれはさんよりも明らかな憎悪を突きつけてくる。敵意をむき出しにした感情が針を突き刺すように攻め立てる様は、私に後ずさりをさせるには十分だった。
……でも、負けちゃいけない。神浜に来た理由を思い出せば足を前に出せる。口を開いてそれを聞ける。
「小さいキュゥべえ? ああ、見たかもね」
帆奈ちゃんが言った言葉が私を揺らす。
私の横を通り過ぎて、くれはさんに抱きつく後ろ姿を急いで見た。
「その話を――」
「やーだ。行こ、くれは」
「ももこ、あとお願い」
待ってと手を伸ばすけど意に介さない。くれはさんもこちらを少し振り返るだけでそのまま行ってしまった。手がかりがそこにあったかもしれないのに。
「ごめん、あの子はちょっと気難しいんだ。今はそんなに悪い子じゃないんだけどさ……」
「……今は?」
「色々とね。さ、調整屋に行くんだろ? 案内するよ」
道すがら『十咎 ももこ』さんとみとちゃんは私に色々と教えてくれた。ももこさんと帆奈ちゃんまで魔法少女だってことにも驚いたけど、神浜にはもっと魔法少女がいるらしい。他にも魔女が増えていることや、活性化していること。二人が通う『神浜市立大附属学校』のことも快く聞かせてくれた。
ただ、くれはさんと帆奈ちゃんの関係を質問したときだけは言葉を濁したのが気になった。
「……みとちゃん、帆秋さんの体調はどうだった?」
「うん、いつも通りだよ? どうかしたの?」
「あーいや、なんでもないよ。普通ならいいんだ」
その時のももこさんの顔。それが明るい彼女のイメージとはあんまりにもかけ離れていて、思わず話題を変えた。これはきっと、私が立ち入っちゃいけないものなんだって。
案内してくれる二人について行くと、そこは廃墟だった。
調整屋の人は戦うのが苦手みたいだから人気のないところにあるとは聞いていたけど、お店のイメージが先行していたから、本当にここなのかなと二の足を踏む。でも奥から人が出てきたから少し安心。
「今の人も魔法少女ですか?」
「アタシは知らない人だけど、調整屋に用があるのならそうだろうね。今日は繁盛してるみたいだ」
「水名の人だったねー。あ、水名っていうのはね!」
みとちゃんの話を聞きながら進んで扉を開けると、廃墟とはうってかわって不思議な場所に出た。ソファや間接照明といった人が住んでいる証はあるのに、薄い青で照らされたそれは異世界のような空気を漂わせている。
そこにいたのが、調整屋の『八雲 みたま』さんだった。
「いらっしゃ~い。あら、新しいお客さん?」
「そうそう、それと聞きたいことがあるみたいなんだ。お代はアタシが払うから」
ここではグリーフシードが代金になっていることは聞いていた。払ってもらうのは悪いですって来るまでに言ったけど、みとちゃんの押しに負けて……素直に好意を受け取ることにしたの。
調整を受ける気になったのは神浜の魔女に歯が立たなかったことが原因。これから先、この街で行動するなら今のままじゃいられないから。
対面で座るみたまさんの言葉に従って深呼吸をする。嫌な気持ちを全部捨てて、良い気持ちだけを吸い込むようにリラックスすると、その白い指が私のソウルジェムに触れた。
『――』
すると見えた景色はあの病室。でも、もっと鮮明で……その笑顔が愛おしくて、懐かしい。
どうしてこんなに胸を締め付けられるの? あなたは一体――
「はい、終わったわよ~。でも、ねぇ……」
「どうしたんだよ調整屋。まさか失敗したとか言わないでよ」
「もう! 失礼しちゃうわ。ただ、いろはちゃんあなた……」
一言謝ってからみたまさんは言った。
ソウルジェムを触ったみたまさんは過去を見てしまうそうだ。だから私の過去を見ても『願い』がわからなかったことが不思議だったそう。
そうだ。私の、願い。それはあの女の子と関係がある。この胸の高鳴りがそれを示している。
「……ありがとうございました。私、小さいキュゥべえを探してきます!」
みとちゃんが話を聞いてくれているけど、調整屋の近くにいた人からは特に情報がなかった。探しに行く理由はそれだけじゃない。ももこさんが引き止めようとしてもそれでも行く理由は、どうしても探さなきゃいけない気持ちになったからだ。
あの女の子の笑顔。それは私がなによりも大切にしてたはずだったのに、それを忘れている自分が許せない。
あてもなく飛び出した知らない街。普段の私なら見つかるはずないって諦めていたかもしれない。でも、私は探し回った。思うがままに直感と感情に任せて駆けた。絶対に見つけるんだって、その思いがどんどん強くなっていく。
焦りに駆られた私を止めてくれたのは、ももこさんだった。
「いろはちゃん、一旦落ち着いて! アタシも協力して探すつもりだから!」
「も、ももこさん! 今そこにキュゥべえが!」
「タイミングが良いんだか悪いんだか……!」
急いで追いかけてきてくれたんだろう。ももこさんは疲れた顔をしていたけど、その後ろに白いあの子の尻尾が見えたことを伝えると一緒に来てくれた。
逃げていった方向にあったのは魔女の結界。一日で二回遭遇するのはあまりない経験だから一瞬気後れしたけど、行き止まりだしここに入って行ったのは間違いないから。
そうして飛び込んだ先は一面の砂漠だった。でもこれは、砂漠というよりかは砂場なのかもしれない。
中には使い魔以外の反応がある。多分それがあのキュゥべえ。
だからその方向に行こうとしたんだけど……横から高速で飛んできたなにかが私に命中した。使い魔の攻撃かと思ったけど追撃はない。一体なにが、と思わず掴んだそれは白い。だけどボールじゃなくてこれは……。
「それ、探してたキュゥべえだよ!」
「ほ、本当だ! なんで飛んで……」
小さいキュゥべえは抱き締めているのが私だとわかると一言、「モキュ」と鳴いた。
それはきっと合図みたいなものだったんだと思う。その瞬間から私になにかが流れ込んできたんだから。
湧き上がるように見えたのは、みたまさんに調整をされた時よりもさらに鮮明に映る病室。空気や光までも感じられる白昼夢。そこであの子の声が聞こえた。
『お姉ちゃん! 今日も来てくれたんだね!』
……お姉ちゃん? 私が?
『わたし、本当に退院できるの……?』
退院……そうだ。身体が弱くて、今にも消えてしまいそうなその子は――『環 うい』。私の妹。
遠くに出歩けなくて、いつも外の世界を楽しみにしていた。おいしいものを食べさせてあげたくて、少しでも楽しんでくれるように料理を工夫した。だから、だから……なんでも願いが叶うって言われた時、ういの病気を治してってキュゥべえに願ったのに……!
「なんで、忘れて……」
こんな大事なこと、忘れちゃいけないのになんで。
混乱する私にももこさんは声をかけてくれたけど考えがまとまらない。思い出せた事実と忘れていた衝撃が一緒に私を襲う。
だから、急に現れたその人の言葉に反応できなかった。
「……いた。あなた、そのキュゥべえを渡しなさい」
「なっ、やちよさん!?」
青い服の綺麗な人が私に槍を突きつけた。
ももこさんがたじろぐも、すぐに詰め寄って口論を始める。その理由もなにもわからない。だけど、その人の気遣うような目が私を見つめていた。語気は強いのに傷つけるものじゃないってなぜだか信頼できた。
やちよさんと呼ばれたその人が言うには、小さいキュゥべえは急に現れたイレギュラー。危険な因子かもしれないから引き渡したほうがいいんだって。
……でも、そんなことはできない。この子は悪い子じゃない。ういを探すために必要な手がかりなんだ。危険なものを遠ざけようとするこの人の気持ちもわかるけど、譲るわけにはいかないんだ。
この記憶が偽物だとか、いたと思い込まされてるなんて言われても構わない。それでも私はこの記憶を信じる。
今の私は、『環 うい』って妹がいる環いろはだって思えるから。
◆
白いアイツを探し求めるRTA、はーじまーるよー。
前回、ホオズキ市のみなさんを見送ったあとから『小さいキュゥべえ』を探し続けています。文字通りずっとです。会いたい時に会えないとか白タヌキ一族はどこまでもタイムの邪魔をしてくるな?
小さいキュゥべえはこの時期から神浜に出現します。コイツの存在がメインストーリー開始前の最後の難関です。
まず、コイツが魔女や使い魔、魔法少女、ウワサに巻き込まれて死なれるとメインストーリーが始まりません。マギウスに確保されても同様です。なにがあろうとコイツを確保しなければいけません。
そして厄介なことにコイツは基本的に逃げます。一目散に逃げるので、結界内なら変身して『停止』を使えばいいですが外で見つけるとまず捕まえられません。
なので捕まえるのはできたらラッキー程度です。本命は別にあります。
ここ最近はずっと新西区で行動しているのがそうですね。団地組のレベル上げや他の魔法少女の信頼度上げも兼ねています。
こうして駅の周辺を不審者さながらに徘徊しているのもそうです。もう何日やってるんでしょうね。いい加減見つかってもいいんですが……いやちょっと待ってください。あれはもしかして……もしかするかもしれませんよ?
あの神浜市のものではない制服に主人公じみたピンク……間違いありません! 彼女こそマギアレコードの主人公、『
神浜に来た彼女と出会うことで、第1章『はじまりのいろは』を開始させることができます。こうしてさっさと発生させることで始まらないというリセット案件を回避します。
彼女は絶対に新西駅から来るので、ここ数日は神浜市立大附属の魔法少女と魔女退治をしてたんですね。良かったぁ~みとちゃんの日で。これがれんぱすとかせいかだったら話が拗れていたかもしれません。レナちゃんなんか特にダメですね。
では、まずは電話を……ハロハロー? ももこちゃんちょっと新西駅まで来てくれる?
布石も打ったのでいろはちゃんをさりげなく尾行します。会うタイミングによっては逃げられるので機会を伺っていますが、今回のように結界に入ったら絶対に自分も行きましょう。初期のいろはちゃんのステータスでは退場する危険があります。
「……あ! 先に誰かいるよ!」
みとちゃんは優しいので結界に先客がいたら勝手に助けに入ってくれます。なので周囲の邪魔な使い魔を片付けつつ接触します。
「誰々!? 私、相野みと!」
「あ、あの、私の名前は――」
というわけで、無事に良い感じに合流できました。いろはちゃんにはこれからずっと頑張ってもらうのでここで解説しちゃいましょう。
『環 いろは』はクロスボウを武器とする遠距離系の魔法少女です。一応ナイフも持ってるので近距離でも戦えますが、後方支援をしていてもらったほうがいいでしょう。前に出してはいけません。主人公なのにこれとかウッソだろお前!? と思うかもしれませんが、彼女には多彩なパワーアップイベントがあるので、メインストーリーを進めるほど強くなっていくから安心!
そして彼女の固有魔法『治癒』は唯一無二の性能を誇り、なんとソウルジェムの耐久値まで回復します。本当にどうしようもなくなった場合の生命線なので仲良くしておきましょう。
しかしまだ調整屋に行っていないのでステータスが貧弱です。マミさんや鈴音がおかしいだけでこれが普通だから……。
というわけで、強化したみとちゃんのパワーを大人しく見ててくれよな!
うお~っほっほ! これ絶対無双しそうですよこれもうホントもう強化しすぎですよーホントに。見てくださいよこの火力! みとちゃんは、いや、そりゃチャートが順調に進むのは気持ちええっすよそりゃねえ。
そんなわけで倒すことには倒しましたが、さすがにドッペルよりは時間がかかりますね。一人ならいつも通りにドッペルを使うだけなんですが、こういう場面じゃ使えないのはもどかしいな?
「……あ、あの!」
この時期のいろはちゃんとの会話は間違いなく『小さいキュゥべえ』に関するものになります。どこにいるかとか聞かれますが、こっちが知りたいんだよなぁ……。
なので調整屋の場所だけ教えてあげましょう。みとちゃんを護衛に連れて行って、どうぞ。
そろそろ連絡したももこちゃんも来る頃でしょう。いろはちゃんがかもれトライアングルの誰かに会うことが第2章の開始条件なので先に会わせておきます。
そして一緒に帆奈ちゃんが来ます。いろはちゃんとの相性最悪の彼女がいれば簡単にこの場を離脱できるんですね。
じゃあな! マギウスってやつらに気をつけろよ!
いろはちゃんと離れてしまいましたが、これが小さい白タヌキ捜索の本命である引き寄せ作戦です。アイツはいろはちゃんに接近するように動くのでそこを狙います。この作戦までにやられてたら? リセットだよリセット!
基本的には放っておけば勝手に接触しますが、魔女などに妨害されて第1章の進行が遅くなる可能性があります。なのでとっ捕まえていろはちゃんにぶつけます(物理)。投げたってヘーキヘーキ、この先いろはちゃんもやることだから大丈夫だって安心しろよ~。
では帆奈ちゃんと一緒に探しましょう。見つからなかったら? リセットだよリセット!
最優先で探すべきなのは結界ですね。調整屋までの道の近くにあったら突入して叩き潰します。というわけで受け取れェ!
「これ、ソウルジェム……」
『暗示』を捨ててくれない以上、帆奈ちゃんを遊ばせておく余裕はありません。連れ歩いている間は一緒に戦ってもらいましょう。一日の間にドッペルを連打しすぎて動けなくなったら大ロスなのでドッペルか協力かは臨機応変に選びます。
あの経歴ガバの結果、家に連れ込んでジュージューになるまで信頼度を上げることができたので裏切られる心配はありません。今日は『停止』と『暗示』で満漢全席だ!
「あっは! そうだよね、そうじゃなきゃ!」
なんかやる気に溢れてません? よっしゃ! その意気でやったらんかい!
今更な感じもしますが探索と撃破まで暇なので……一応解説イクゾオオオオオオオ!
『更紗 帆奈』は全距離対応型です。伊達にイベントのボスやってないな? どこにいようが攻撃が飛んでくるのは脅威でしたが味方にすると頼もしいですね。さすがにボスの時よりステータスは下がっていますが十分に戦えます。
というか、もはや固定されている『暗示』だけで無双できます。ぶっちゃけこれで止めればいいので『停止』くんはいりません。こんなんだから単独行動させられないんだよなぁ……。もう色々とチートですが、魔法少女の友情パワーを活用する場合足枷になる要素が多いのが痛いですね……これは痛い。
そんなわけで魔女がかわいそうになるコンボを決めて倒しましたが、いませんでしたね。
おうどうした帆奈ちゃん! 袖を引っ張って。
「わぁ、すごいお強いですねっ! 南凪の方――はっ!? あの不審者の!」
誰かいました。タイミング的に後から結界に入ってきてたみたいです。
なるほど水名の制服に髪は金髪に近い色なので莉愛様感がありますが、もっとお嬢様っぽい……。
あ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってください! 待って! 助けて! 待ってくださいお願いしまワアアアアアアア!!!!
奴は『
水名なので莉愛様辺りから簡単に会えますが、今まで会わなかった理由は全部それです。
彼女は近くにいるだけで余計なイベントを持ってきます。しかも魔女やら使い魔やら迷惑ごとばっかりです。スリリングなのは本人だけで十分です。
ちなみに彼女はマギウスルートの場合はメインアタッカーとして活躍します。追い込まれるほど強くなる恐ろしい性能を利用して、わざと誤射して低体力のまま戦わせる背水戦法が有名ですね。この状態を維持すればベテランとも十分やりあえます。
というかゆきかが小さい白タヌキを抱えてるじゃねーか!
これは彼女のトラブル要員として、くれはちゃんと帆奈ちゃんが設定されている可能性大です。普段ならとっとと離れているところですが……。そいつを寄越せオラ!(説得)
「この子を探している人が……? ならちょうど良かったですっ!」
あ~ら良い子だねアンタ!
その性質が問題なだけで本人はいたって善良です。話せば普通にわかってくれます。やべーやつなことに変わりはありませんが、話が通じるっていいですね。
小白タヌキは逃げようとするので無理矢理カバンにでも押し込んで……暴れるな暴れるなよ……逃げんじゃねえよ!
「ああっ! 待ってくださーいっ!」
ここで逃したらリセットだぞリセット! 追いかけるんだよォ!
ですが、二手に分かれるのはやめましょう。ゆきかを放っておいていろはちゃんに遭遇されると最悪の場合、いろはちゃんが黒羽根になるルートやゆきかがみかづき荘入りする面白ルートに突入する可能性があります。特に後者はもはや手がつけられなくなるので絶対に阻止しましょう。
というわけで三人で追いかけます。動くと捕まらないだろ! 動くと捕まらないだろぉ!? あ、やちよさんじゃないっすかスーパー帰りっすかでも忙しいから今度な! そこだ結界に追い込めゆきか!
変身! 『停止』! 確保! その為の結界って感じでぇ……。お前はもうくれはちゃんの手から逃げられないんだよ!
「くれは、七海やちよが来てる。知ってる魔力パターンだし」
やっべ『停止』で白タヌキと自分たちの魔力反応を止めます。ゆきか、ここは頼んだぞ!
「はい! ……え、ええーっ!?」
じゃあ先に行きましょう。近くにいろはちゃんの反応があるので彼女も小さいキュゥべえを追ってきているはずです。
移動したらあっさりと見つけましたが……ももこちゃんも一緒ですね。帆奈ちゃんが見つかるとマズいです。
というわけで白タヌキ二世を全力で投げましょう。いろはちゃんにシュゥゥゥーッ! 超! エキサイティンッ!!
激突しましたがこれで大丈夫です。あとは某大学生魔法少女がなんとかしてくれます。撤退じゃー!
いやあ白タヌキ一族は強敵でしたね……。
では帰宅中にこれからの目標についてお話しします。これからすべきことですが……実は、ここまでの一年間で大体の準備は終わっています。いくつか不安点ややることもありますが、忘れずにチャートをちゃーんと見て対処しましょう。
今回攻略するのはマギウスの翼っ! 天才なトップが動き、中間管理職に多くの人望が集う体制(急所)。まだ存続一年経ってるか微妙なこの組織は、神浜魔法少女の友情パワーに耐えられるのでしょうか。それでは、ご覧ください。
ようやくメインストーリーが始まったところで今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。
■今回の内容
第一部第1章『はじまりのいろは』
七瀬ゆきか 魔法少女ストーリー 1話 『毎度お騒がせしております』(一部分)
七瀬ゆきか 魔法少女ストーリー 3話 『つながった瞬間』(一部分)
■環 いろは
遂に登場した主役系魔法少女。背中で語る主人公。
正直これほど出番が遅くなるとは思わなかった。
■七瀬 ゆきか
背水染めの魔法少女。一般黒羽根。
追い込まれるほど強くなるやべーやつ。
■ももこ
ピンクの主人公を助ける黄色の先輩というかなりヤバい立ち位置の人。
チャンス逃してたまるか!(本来のかえでちゃんの出番を奪う音)
■やちよさん
いろはちゃん視点だと敵みたいだぁ……(直喩)。
中学生を家に連れ込むまでもう少し。