マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート   作:みみずくやしき

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パート25 神浜うわさファイル

 

 暗躍するRTA、はーじまーるよー。

 

 本日もブロッサムです。この始まり方もあと何回でしょうね。

 かえでちゃんが来る日に合わせて働いていますが、様子が普段通りに戻っているので無事に第2章は終了しています。かえでちゃんの様子がおかしかったり退場していたら、変なクリアをしたか失敗していますね。

 

 ところで次に始まるのは第3章『神浜うわさファイル』ですが、これは終盤にリセットポイントがあるのでスルーするわけにはいきません。具体的に言うとまたマミさんです。

 

 マミさんですが、彼女には絶対に†神浜聖女ホーリーマミ†になってもらいます。下手に自由に動かれるとウワサどころかメインストーリーまでボコボコにしてくれるのでマギウスに預かっていてもらいましょう。こうすることで見滝原勢が揃って神浜に来ますし、杏子ちゃんの助力も得られるようになります。

 

 そしてホーリー化のフラグとなるのが、マミさんが第5章までにドッペルを見ることといろはちゃんと遭遇することです。この第3章ならそれを同時に達成することができます。

 別にくれはちゃんが見せることでも片方は達成できますが、戦闘に突入したらゲームオーバー待ったなしなのでやりません。それに信頼度を上げてしまった以上、まだ協力してもらうことがあるので敵対できませんしね。大胆なチャート変更は魔法少女の特権(手のひらクルックル)。

 

 それではバイトが終わったら今日は帰宅しましょう。夜にやることがあるので途中で変なイベントを挟まれるわけにはいきません。

 

 

 

 

 

 というわけでやってきました水名神社。内苑の門が閉まっていますが飛び越えれば入れます。魔法少女の身体能力を舐めんじゃねぇ! 鍵なんて必要ねぇんだよ!

 

「まーた不審者って言われるよ~?」

 

 帆奈ちゃんがなんか言ってますが外聞を気にしてたら魔法少女なんてやってられないからね、仕方ないね。

 しかし、水名神社に来るのも久々ですね。このはと一戦交えたのもここでした。ここ最近水名関係の人とはよく会っている気がしますがね!

 

 ここに来た理由はもちろん『口寄せ神社のうわさ』のためです。第3章のボスです。

 SNS上でこの神社の噂自体は確認できるので、メニューから確認できる神浜うわさファイルに未確認情報として記載されます。なので突撃して存在を確認する行動ができるんですね。

 

 こいつは夜の水名神社で会いたい人の名前を書いた絵馬をかければ出てきます。

 しかし、難易度ハードでは中々このことにいろはちゃんたちが気づいてくれません。この辺でスタンプラリーをしたりやちよさんとスーパーに行っていたりします。ちょうどポイント10倍デーなら『時間帯』というキーワードに辿り着いてくれますが、そうそう上手くいきませんね。

 

 というわけで探索パートなんて必要ねえんだよ! 

 

 要はこの時間にウワサが現れることがわかればいいだけです。もう何人もこのウワサにやられてますし、今さら一人増えたところで……バレへんか……。

 

 いつもならその辺の一般人が罠にかかるのを待ったり雫ちゃんをそそのかしたりしますが、今回は自分でいいでしょう。友好関係にあったキャラが退場しているとそのキャラを絵馬で選択できるので『瀬奈 みこと』を選択します。うまいぞガバ利用(空気)。

 ちなみにみかづき荘ルートならかなえやメルを選択しても面白いですね。相棒関係にあるキャラのどちらかが退場してる場合もあ~うめえなあ!

 

「……本当にやるの?」

 

 やりますねぇ! 少し待つと周囲が結界内のようになります。もうすぐです。

 

「帆奈ちゃん、くれはちゃん……」

 

 すると、このように選んだキャラが出てきます。なおウワサが再現しているだけなので生死は関係ありません。なので彼女と会話するだけ無駄ですね。確認もできたのでとっとと脱出しましょう。

 脱出って言ってんだろイベントを発生させるなフザケンナヤメロバカ!

 

「一緒にこっちに来てよ。また三人で一緒になろうよ。ね?」

「せ、瀬奈……」

「それとも、私を置いていくの?」

 

 げえーっ! みるみるソウルジェムが濁っていく! 抵抗しなさい抵抗! やっぱガバじゃねえかあの過去!

 この場面で精神を引っ張られると大幅にロスります。いろはちゃんたちが来てくれるまで動けなくなってしまうので絶対に捕まるわけにいきません。

 

 はい自分の精神に『停止』! ほら行くぞ帆奈ちゃん!

 ドッペルが発動したりウワサが襲いかかってくる前に逃げます。これで『口寄せ神社のうわさ』の情報が手に入りましたね。あとはこれをプレゼントすれば第3章のイベントを半分短縮できます。

 

 というかマジで消耗が激しいですね。溜まりやすさが尋常じゃないです。(精神は)お、大丈夫か大丈夫か。

 結界の外でドッペルを出すと大変なことになるので回復しときましょ。グリーフシードは大量にあるので大丈夫です。最近はスムーズに回収できますからね。

 

 

 

 

 

 おはよーございまーす!

 

 今日は手に入れた情報を渡しに行きます。ですがいろはちゃんはタイミングが確定できませんし、やちよさんは今の時期にみかづき荘に突っ込んでいっても警戒されるだけです。ウワサ関連だと反応が変わってしまうので仕方ないね。

 

 というわけで中華飯店万々歳に行きましょう。もちろん狙いは鶴乃ちゃんです。なお、ここで食事をしても時間が経過するだけでなんのバフもないので食べるだけロスです。デバフがないだけみたまさんやこのはより遥かに良心的ですね。

 

「いらっしゃーい! あ、くれはちゃんに帆奈ちゃんだ!」

 

 か゛わ゛い゛い゛な゛ぁ゛鶴゛乃゛ち゛ゃ゛ん゛。

 食い物屋に大切なのは一に味、二に愛想と言いますが、炒飯やエビチリなどを出しても50点のこの店が持っているのは彼女のおかげだってはっきりわかんだね。

 

 鶴乃ちゃんに命からがら手に入れた情報を渡すには、会話の中で小さいキュゥべえの話をすれば大丈夫です。そこから探し物繋がりで『口寄せ神社のうわさ』を話題にできます。

 彼女はあんなんですが成績は学年トップで頭も回るのであとは勝手に解釈していろはちゃんのサポートをしてくれます。頭脳が違うぜ! 組長並みの頼もしさだぜ!

 

 ただ、いろはちゃんと確実に会えるように手回しをしておきましょう。ここで万々歳のチラシを貰っておきます。それさえ済めば用はありません。

 

 じゃあな! マギウスって奴らに気をつけろよ!

 

 

 あとは確定しないいろはちゃんが来るタイミングを察知するだけですが、彼女は第3章の序盤は噂の聞き込みをしようと新西駅をうろつくのでそこを狙いましょう。つまりこっちも来るまで徘徊だ!

 

 もちろんこの時間を無駄にはしません。結界を見つけたら即入ってドッペルで片付けます。グリーフシード増えてるか~? 大丈夫っすよ。バッチェ増えてますよ。

 もうドッペルも相当使い慣れてきましたね。一日に使える回数が増えてるので疲労困憊で倒れるなんてロスはしません。穢れが増加する累積デバフがかかってますがギリギリでやめておけばヘーキヘーキ。

 

 まあさすがに限度があるので、そのための味方の魔法少女って感じでぇ……。

 帆奈ちゃんの目が凄いことになってますがおめぇも頑張んだよ! とばかりに協力して戦いましょう。

 

 この辺は代わり映えしないので早送りでイクゾー! いざ神浜。

 

 

 

 

 

 

 そんなわけでいろはちゃんを見かけたのでチラシを渡して、その翌日にマミさんを呼び出しました。いろはちゃんは噂の聞き込みをしたあと最短で翌日には水名神社に行きます。今回は最初から時間帯が鍵だとわかっているので最短コースです。

 

 やってきたぜ先日ぶりの水名神社だ! 違いは帆奈ちゃんじゃなくてマミさん同伴ってとこですね。

 なお彼女はくれはちゃんハウスです。外に出る時は監視をするという約束がありましたが、家に置いておく場合は決めてないな? なんの問題ですか?(レ) ということで自宅で大人しくしててくれよな!

 

 おし、行こうぜマミさん!

 

「七海やちよはここに入ったのね」

 

 まあそうなるように教えたのはくれはちゃんなんですけど。

 ちなみにマミさんですが、神浜を調べている間に東西のトップの存在を勝手に知ってくれるのでそれを利用すれば簡単に連れてくることができます。

 

 ここで突入するタイミングはいつでもいいです。いろはちゃん、やちよさん、鶴乃ちゃんの三人はウワサの結界内にいるので水名神社で適当に探してるフリをしてればそのうち勝手に出てきます。ここはこれまでにドッペルを使用しなかった場合のチュートリアルでもあるので、いろはちゃんがドッペルを使って勝つので安心ですね。

 

「――魔女っ!?」

 

 来た、来た、来たなぁ!?

 なんか凄い勢いで突っ込んでくる鳥みたいなのが『沈黙のドッペル(Giovanna)』です。まあドッペル君も魔女みたいなもんやし。

 これを止めるには発動時間が過ぎるのを待つか、ドッペルもしくは本体の体力を削りきるかのどっちかです。ソウルジェムを砕いても止まりますがそれは退場ってことだから……(良心)。

 

 やちよさんと鶴乃ちゃんも来てますが、二人に協力を頼むよりももっと簡単な方法があるのでそっちにしましょ。

 はいドッペルを『停止』! マミさん頼むぜ!

 

「任せて、ティロ・フィナーレ!」

 

 はああああぁぁぁぁっ……!(畏怖) 

 いくらウワサと戦ったあとだからって一撃で削り切るとかやべえよ……やべえよ……。

 

 思いっきり吹き飛びましたけど、いろはちゃん確認ヨシ! 生きてるなら大丈夫です。

 

 初っ端攻撃したので凄い剣吞な雰囲気ですが、それはスルーしてマミさんを監視しましょう。ここがポイントです。

 このままいろはちゃんを狙おうとしたら止めます。マミさんと戦闘とかいう地獄に突入する可能性もありますが、今回は信頼度があるので大丈夫です。

 

 会話が挟まれますがここは特に影響しないので聞き流します。やることはやったので敵意はないことだけ伝えてさっさと帰りましょう。久々にくれはちゃんの説得力、見せてやるぜ!

 

「……あのドッペルって現象、本当に魔女じゃないの?」

 

 大丈夫だってヘーキヘーキ安心しろよ~。詳しく知りたいなら調整屋ってとこで教えてくれるらしいっすよ。 

 と、こんな感じで言っておけばそのうちマギウスの翼に接触してくれます。

 

 マミさんともお別れして、くれはちゃんハウスに辿り着いたので今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時の私の指はきっと震えていたのだろう。

 

「――そうだ、七海も注意をしておいてほしい。ではな」

 

 電話口の音が消えて静寂が現実に引き戻す。

 

 十七夜と連絡を取り合うことは少ない。元々東西で対立していた身であるし、直接会うことも難しい。ゆえに彼女が連絡をするということはそれほどの意味を持つということだった。

 前回は神浜で魔女が増加しているということについて。全員に関係するそれは彼女が西側に口を出せないことから私に話が回ってくるのは当然だと言える。

 

 だから今回もそう。東の魔法少女が次々に組み込まれていく『マギウスの翼』についてもそのうち無関係でいられなくなるのだと、話の最初ではそう思っていた。実態はともかく、魔法少女を魔女化の運命から解放するという耳に心地の良い言葉を使うその組織に惹かれる子は多い。いずれ西でも目にすることがあるだろうけど、今は特に関係がないはずだった。

 

 十七夜から、みふゆの名前を聞くまでは。

 

『勧誘を受けた際に言われたのだ、梓から話を聞いたとな。一度会っていなければ西が手回ししているかと思ったぞ』

 

 『梓 みふゆ』。魔法少女になり立ての頃から長年共に戦ってきたパートナーとも呼べる存在で、あの一件以降姿をくらませた友人。共に行動することは勿論、私の代わりに十七夜と交渉をしたりと傍から見れば右腕のように見えるだろう彼女。

 

 西に疑いをかけられたかもしれないなんてことは今は頭から抜け落ちている。それほどまでに唐突で、衝撃的だった。

 

「……落ち着きなさい」

 

 まだそうだと決まったわけじゃない。別の梓と勘違いしているのかもしれない。いつの間にかそんな組織に属していただなんてまだ確信できない。

 だけれどあの十七夜がそう言ったのだ。実際にみふゆと会っていた彼女が聞いた話。その事実を考えたくないという逃避なのかもしれないけど、私の中では後回しにするように遠ざけていた。

 

 ここの所、様々なことが起こりすぎている。

 

 魔女の増加と活性化。姿を消したキュゥべえと代わりに現れた小さいキュゥべえ。ウワサという魔女以外の敵。そして、マギウスの翼。これら全てが独立したものだとは考えにくい。魔女、契約、魔女ではない存在、魔女化。……なにかが繋がりそうで繋がらない。

 

 探るにしてもマギウスの翼はまだ西には少ない。下っ端を捕まえたところで引き出せる情報には限りがあるだろうし、みふゆのこともある。まだその時じゃない。

 

 だから、私はテーブルの上の白い本を見た。表紙の上側が夜のように青く、星と月が輝くそれを。

 

 それは『神浜うわさファイル』と名付けた手帳。文字通り神浜の噂を集めたこれが埋まり始めたのは『入れ替わり通りのうわさ』からだった。あの時は真偽もわからない都市伝説のようなものばかりだったけど、『絶交ルールのうわさ』のように現実になり始めているものだってある。

 

 調べるなら噂からだ。目に見える確実な脅威への対処が先決。

 

 その『入れ替わり通りのうわさ』だって魔法少女を脅かすもの。そう、あの時は帆秋さんが連絡をしてきたのだった。珍しいこともあるものだと思ったことを鮮明に覚えていた。

 『キリサキさんのうわさ』もそう。記憶を切り裂かれるか神隠しに遭うかで実際に被害が出ていたと調整屋で聞いた。確か帆秋さんが倒れたと……。

 

「……帆秋さん?」

 

 ページを捲る手が止まる。

 

 小さいキュゥべえを追っていた時に遭遇した魔法少女もその名を口にしていた。『絶交ルールのうわさ』の時にレナは彼女と会ったと言っていた。

 そういえば、行く先々で彼女と出会っていないか? 

 

 ウワサと彼女、そして神浜で起きている異変。それは果たして関係のあるものなのか。

 なにか引っかかりを感じても答えは出ない。もう少し考えてみる必要がある。

 

 帆秋さんのことに決定的な証明はできずとも、調査を続ける以上、ウワサと関係あるもう一人の人物と会うことは必然だろうとは思っていた。実際、宝崎市の制服だという見慣れないそれを水名神社で見かけた。

 危険性を伝えて首を突っ込まないように忠告してもなお来るのならその意志は強い。探しているものがあるのなら『口寄せ神社のうわさ』に惹かれるだろうということだって想像できていた。

 

 ただ、その環さんと一緒に鶴乃が行動しているとは想定外だった。

 

「やっちよししょー! 偶然だね!」

「ちょっと鶴乃、飛びつかないで!」

 

 人目を考えずに突飛な行動を取る彼女は懐かしく、チームとして戦っていたことを思い出す。最後に協力したのは二度目の昏倒事件の時だったからそれほど前でもないはずなのに。

 

 環さんたちは予想通り『口寄せ神社のうわさ』を調べに水名神社に来ていた。それ一つに絞っていたからか、"夜にしか現れない"という私が知らない情報まで持っていて進みが早い。

 

「それで下見に来てたってこと? まだ昼よ?」

「その、鶴乃ちゃんが張り切ってて……」

「ふんふん! 事前の調査はバッチリやっておかないとね! いろはちゃんの会いたい人のためにも!」

 

 この分だといくら止めても意見を変えないだろう。頑固なことは十分理解できているし、強さがどうこう言っても鶴乃がいるとでも言われればそれまで。

 

「……私も付いていくわ。心配だもの」

 

 それは本音だったけど、私もその噂を追っていた理由までは言わなかった。わざわざ言うことでもないし鶴乃なら知っていることだから。

 

 そうして近くの喫茶店で時間を潰した私たちは、閉まっている門を飛び越えて水名神社に入った。ここはかなり大きい神社で参拝客も多いけど、夜は昼間とは違って閑散としている。それが魔女の結界に似た異世界に足を踏み入れたように思わせた。

 

 噂の内容では、必要なのは絵馬に会いたい人の名前を書いてかけること。環さんが書くのは『環 うい』。……そして私は『梓 みふゆ』。

 

「じゃあ退路はわたしが確保するから! 危なくなったらすぐ戻ってね?」

 

 鶴乃を背に私たちは参拝をする。するとすぐに魔女の結界に似た空間が周囲を包んだ。

 これは間違いなくウワサだ。環さんの前には彼女に似た女の子が、私の前にはみふゆが急に現れるなんて、あまりにもおかしい。

 

「久しぶりですね、やっちゃん」

 

 けれど、その声と姿は間違いなくみふゆだった。本物かと問えばそうだと答える。証明として彼女が言うのは、本物しか知らないはずの手紙のことやマグカップのこと。流暢に答える話し方に身振り手振りはもう幾度も見たもの。こちらに来てと誘う声に足が動きそうになる。偽者のはずだと思っていても、その誘惑は強烈な力を持って襲いかかる。

 だけど。

 

「ワタシに槍を向けるんですか?」

「ええ、だってあなたは私が知っているみふゆそのものだもの」

 

 ああ、その顔もそうだ。

 これは『入れ替わり通りのうわさ』と『キリサキさんのうわさ』といったウワサと同じタイプだ。記憶を元にその姿を作り出しているからこそ、本物に見えるだけ。だからこそあまりにも記憶の内容通りすぎる。

 

 だって、本物は私の知らない行動をしているのかもしれないのだから。

 

 変身して抵抗するみふゆの動きは全て知っている。チャクラムの軌道やフェイントのタイミング一つ一つに見覚えがある。だからそれに当たることなんてことも私を驚かせるような奇策を用いることもなく、身体を槍で貫いただけであっけなく消えた。魔法少女はその程度じゃ死なないというのに。

 

 ……わかっていても、ソウルジェムは濁る。水のような青さはいつの間にか泥水に浸かっていた。

 けれどそれはすぐに透き通るような色に戻っていて。

 

「大丈夫ですか?」

「環さんあなた……自分の浄化をしないと」

「私よりもやちよさんのほうが酷かったですから……」

 

 よっぽど思いつめた顔でもしていたのだろうか。自分も妹の偽者と出会っていたはずなのに私を気遣ってくれている。

 環さんの言葉は心からのもので、お人好しにも程があると自分自身を優先すべきだと伝えようとする私の言葉は、素直な感謝の言葉に置き換わっていた。

 

 だから、止めるべきだった。先にその言葉を言うべきだった。同じようなことをもう一度起こさせないためにも。

 

 そんな今さらなことを、ウワサと魔女に似たなにかが戦う前で考えていた。

 ソウルジェムの限界を迎えた環さんの髪と繋がっているそれは、魔女の姿に近い。けれど魔女化ではない。意識を失っているのかただ吊られているだけの環さんはまるで操り人形のようだった。

 

 大元のウワサが姿を見せたのは、私たちが噂に反して取り込まれなかったからだろう。

 『絶交ルールのうわさ』の時のように現れたウワサは強い。合流した鶴乃が閃いた通り、願いを象徴するウワサなら同じく願いで生まれた魔法少女の力は通りにくいというのはどうにも事実らしく、攻撃が通じなかった。

 

 つまり、容易くウワサを吹き飛ばすそれは『穢れ』の象徴なのだろう。ウワサを消し去っても止まらずに破壊を振り撒こうとする姿はやはり魔女に近い。

 今度は偽者じゃない。魔法少女じゃないアレをこの槍で貫いたらどうなるかわからない。突進してくるそれをただ避けるだけで精一杯だった。

 

「どうにかして止めないと!」

「わかってるわ! だけど……」

 

 果たして攻撃してもいいものか。そんな迷いが動きを鈍らせる。

 躊躇うその隙を狙って私を襲うそれに、覚悟を決めて槍を突き出すと――不自然に停止した。

 

「マミ!」

「任せて、ティロ・フィナーレ!」

 

 聞き覚えのある声とない声が響く。間を置かずに放たれた強力な弾丸が横から命中し、怪物はするすると糸が解けるように消えていった。

 衝撃で飛ばされた環さんを鶴乃が受け止める。そちらを見ると、目で無事だと合図が返ってきた。

 

 だけどまだ、緊張を解くわけにはいかない。

 

「離れて。危険ですから」

「……銃口を下ろしてもらえる?」

 

 一人はマスケット銃を環さんに向けたまま話しかける黄色の魔法少女。さっきの攻撃からして相当な手練れ。そんな魔法少女がいたなら私の耳に入っているだろうし、市外の魔法少女だろう。

 彼女は私の声を無視してまだ突きつけたまま。それが下ろされた理由は、銃口を遮る手とかけられた言葉。

 

「ここは任せて」

 

 そう言ったのは、私の疑念を真実だと証明するかのように現れた帆秋くれはだった。真顔なのは変わらず、けれどどこか憔悴している姿には違和感がある。

 なぜ見知らぬ魔法少女と行動を共にしているのかや、なぜここにいるのかなどと疑問は山ほどあるけど、私が口にしたのはそれだった。

 

「随分落ち着いているみたいだけど、あの現象……知ってるの?」

「知ってるわ」

 

 あまりにも呆気ない答え。なんの感慨もない日頃見慣れたものを聞かれたかのような言い方だった。

 彼女が言うには、それは『ドッペル』と呼ばれる現象。調整屋でみたまから聞いただけと前置きはしていたけどそれがますます疑惑を濃くする。

 

 予想外だったのは巴マミと名乗った魔法少女もそれを初めて聞いたようだったことだ。どうやら環さんのことを人に化けた魔女だと思っていたらしく、疑問を呈していた。

 

「じゃあ彼女は魔女ではないと?」

「最初からそう言ってるでしょー! くれはちゃんも言ってあげてよ!」

「……マミ、日を改めましょう。話をする雰囲気ではないから」

 

 鶴乃の声を無視して背を向けた彼女は冷たかった。誰に聞いても友好的だと返ってくる評判とは異なる、なりふり構わないあの姿は一度目の昏倒事件の時を思い出させるようで妙だ。

 

 環さんを背負って鶴乃と帰る無言の道筋は、それを考えるのにはちょうど良かった。

 

 あの時はこのみさんという友人が被害に遭ったからだと思っていた。だからいくら傷つこうと構わない戦い方をしていたのだと。

 もしも同じようなことが起きていたのならあの態度も納得がいく。二度目の昏倒事件の時も彼女は友人のために必死になっていたのだからおかしくはない。

 

 ただ、魔法少女の誰かが倒れただとかそういった話は聞いていない。南凪には知り合いもいるから隠されているわけではないはず。

 

 どうしてウワサを追うと彼女と遭遇するのか。

 それは、鶴乃がふと言った「くれはちゃんが夜だーって言ってくれたのに」という言葉が取っ掛かりになった。

 

「鶴乃、それ……」

「言ってなかったっけ? 帆奈ちゃんと一緒に万々歳に来た時に教えてくれたんだよ。あの二人も試してみたんだって」

 

 おそらくは魔女化で失った『瀬奈 みこと』を絵馬に書いたのだろう。記憶を再現するならそれだって可能だ。友人を大切にする彼女ならその行動もありえる。

 あのウワサは精神を揺さぶるもの。過去が重ければそれだけ引き込まれる。会いたかった人に会えて夢を見たままでいられるのは優しさかもしれないけど、私はそれを肯定できない。

 

 ……だから、もしも彼女と帆奈がウワサに取り込まれていたら?

 

 彼女と交友関係にあった者が探し始めるだろう。それも多くの魔法少女が。そしてウワサに辿り着いて同じように餌食になっていたのではないだろうか。

 私が取り込まれた場合もそうだ。一応、西の顔役になっている私が急に姿をくらませたらどうなるかは想像に難くない。

 

 敵対する可能性のある魔法少女を排除し、西を弱体化させて得をするのは――マギウスの翼。

 

 飛躍した発想かもしれない。だけど、もしもウワサとマギウスの翼が関係していたのなら。ウワサを追うと彼女に遭遇するのではなく、彼女もまたウワサを追っていたとするなら。その理由は。

 

 これは単なる推測だ。

 帆奈はソウルジェムを砕こうとしていたと聞いていた。もしそれがなされていたら彼女はソウルジェムの破損で友人を失っていた。

 それはきっと偶然だろう。似た運命を歩んでいたかもしれないだけのもしも。

 

 ただ、雪野かなえと更紗帆奈。安名メルと瀬奈みこと。私と帆秋くれは。

 もしも一致しているのなら、マギウスの翼と関係していると疑われる梓みふゆに該当するのは。

 

「……観鳥令」

 

 少し前までは帆秋さんの話題になると常に名前が出てきた彼女。同行している姿を見ないそれが理由なのではないかと、微かに思えた。

 

 

 

 




■今回の内容
 第一部第3章『神浜うわさファイル』
 第3章アナザー『私たちと同じ姿』
 梓みふゆ 魔法少女ストーリー 3話 『あなたも救うため』(一部分)

■梓 みふゆ
 やちよさんの元チームメンバー。やっちゃん。
 本物ならマウントパラノイアしてた。

■やちよさん
 スタンプラリーとポイント10倍の見せ場をカットされる。
 でもこれRTAなんですよ。

■鶴乃ちゃん
 こう見えて文武両道の凄腕魔法少女。
 そして実は姉がいる妹キャラ。意外性の塊。

■†神浜聖女ホーリーマミ†
 突然失礼するフラグが立っていく。
 大聖離魂砲撃(ティロ・セントドッペリオン)撃退(フィナーレ)よ!
 
■ダメなルート
 ドッペルが退いてきて歩けるようになってきたのは午後8時すぎ、マミさんに連絡入れて水名神社に入ったらすげーいい修羅場。結界へ行きたかったな。結局一番つらい時ってのはこんなにチョー順調に出来上がっているのにマミさんがソウルジェムを撃ち抜くシチュエーションだとわかったぜ。



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