マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート 作:みみずくやしき
またイベントを踏んだRTA、はーじまーるよー。
(こんなんでRTAを走りきろうとか)生意気なんだよてめぇ……。
ロスりましたが結果的にはプラスと言っていい状態でしょう。くれはちゃんの精神ダメージが吹き飛んだうえにドッペルが『
しかし、ドッペルを使えば相変わらずデバフがかかりますし、今までの負債もそのままです。この先連打する予定もないので、ここぞという時に回復できる手段を手に入れたと思えばいいですが……。
まあいいや(適当)。それはそれとして現状を確認しましょう。
確認したところ、帆奈ちゃんの変身を他人に見られても信頼度低下を招かない状態になっています。『暗示』はまだ迂闊には使えませんが、これから先は別行動をさせて更なる短縮を望めますね。
この単独行動できる利点は既に利用しています。くれはちゃんのキャライベントの最中、なんとかみかづき荘に送り込むことに成功したため、第7章『楽園行き覚醒前夜』が開始していますが、いろはちゃんがウワサを潰して回る神浜ローラー作戦をまだ開始していません。
この作戦はもう一度マギウスの翼と遭遇するためと、拠点を探し出すための二つの理由を持って行われます。本来ならいろはちゃんとやちよさんだけで数日かけて行われるものですが……。
「では改めて。常盤ななかと申します」
「静海このはよ。絶対取り戻すって、あやめがやる気になっててね……」
「まなかも同じです。今回は先輩たちのリーダーということになりましたから」
「アタシと帆秋、帆奈も手伝うぞ。心配そうな顔するな、帆秋ならもう平気だ」
「……だ、そうだ。こと今回に限っては神浜全体の問題だからな、自分もこうして来たというわけだ。東側は任せてほしい」
(マギウスの肝)冷えてるか~? いろやち! かもれ! ななか組! アザレア組! 水名! 我らが南凪! なぎたん! 関係者でウワサを一網打尽だぜ!
「十七夜さんまでいて、これ……本当に昏倒事件の時みたいに揃ってるよ。今度は帆奈ちゃんまでいるし。……よし、レナ、かえで! アタシらも気合入れるぞ!」
「前は大勢に仕掛けられたけどさぁ~……やる側の気持ちってこんなにワクワクするんだね。あはっ! やってやろうじゃん!」
「こんなにいっぱいの魔法少女が力を貸してくれるなんて……」
いろはちゃんに手を貸してくれる魔法少女の数は20弱でしょうねぇ、最近測ってないからわからないですけど。多すぎると色々とすっとばすのでこの程度の数でいいでしょう。
ここまでのメンバーを揃えた目的は二つあります。黒羽根に混じるさなフェリに遭遇してもらうことと、ウワサを片っ端から潰して地図に情報を記載してもらうことです。事前に組長には下っ端の情報の確保、このはにはウワサの探索をしてもらっているのであとは街に繰り出してもらうだけですね。
ちなみに地図にウワサを記載していくと、台風の目のようになにもない地点が出てきますが、これは前に捕まった場所なのでおびき寄せるための罠です。(ここのピーヒョロ姉妹戦は)キャンセルだ。
みなさんあとはお願いしますね。帆奈ちゃんはみゃーこ先輩と頑張っててくれよな! じゃあ行こうぜなぎたん!
「帆秋がいるのは心強いが……自分で良いのか? 更紗君が納得するかどうか」
「いいよ」
「……ふ、変わったな」
というわけでここからはなぎたんと行動します。理由はもちろん東に向かうからだ! イクゾー!
やってきました大東区。
第7章の探索パートは全部人任せにして、くれはちゃんはここで『遊園地のうわさ』を一般モブから聞き出しましょう。なぎたんを連れてきたのも東での行動をスムーズに行うためです。
この『遊園地のうわさ』は東から広まっていくので、放置しておくとそのうち新西区でも聞けるようになります。わざわざ調べなくとも、ももこちゃん辺りが勝手に調査してくるので安心です。
しかし、その頃には遊園地もといキレーションランドがオープンしてしまい、よほど急がないと間に合わずに、洗脳された鶴乃ちゃんが一般人の大量殺戮を繰り広げるスプラッタ展開が繰り広げられることとなります。なので先に聞いておく必要があったんですね。
この情報は街中でウワサを探すという行動をしていれば勝手に手に入ります。なので適当にその辺を歩いて話を聞いて、その後は『観覧車草原』に向かいましょう。
わぁ、これが観覧車草原ですかー。色んな草がありますねー。こんなに寂れてるとは思わなかったぁ。
ここは草っ原で、向こうに、観覧車があるんだ。後で、そこへ行こうよ。
かつての遊園地の跡地のここが、開園前のキレーションランドです。まあ今来ても突入できませんし、見回りの黒羽根と白羽根しかいないんですが。
しかし、ここの白羽根をなぎたんがぁ!!! 捕まえてぇぇ!!! なぎたんがぁ! 画面端ぃぃっ!!!! 心を読んでえぇっ!!! まだ捕まえるぅぅ!! なぎたんがぁっ!!!! ……つっ近づいてぇっ!!!
「……ここのウワサは由比君を取り込んでいるらしい。そしてこの場所を噂する人々……これはマズイぞ」
なぎたんがぁ決めたぁぁーっ!!!!
これで必要な情報は集まりましたね。なぎたんの『読心』を用いて、鶴乃ちゃんがウワサと融合していることがわかればオッケーです。
じゃ、あとはさなフェリを回収してここに連れてくるだけなんで帰りましょ。
もう魔女を倒して稼ぎする必要もありませんし、まだ見つかってないようなら捜索組に加わりましょう。すぐ見つけますよ(勇猛果敢)。
「帆秋、この反応は……」
そんなこと言ってたら魔女が来た、来た、来たなぁっ!?
ヤバい魔力反応をビンビンに感じまくってます! へっ、今のこっちにはなぎたんがいるんだぜ! どんなのが来ようとワンパンですよワンパン!
「おっと、緑のと和泉十七夜」
「その爪に衣装……あの黒い魔法少女か!」
う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!
呉キリカさん!? デスエンカとかやめてくださいよ本当に!
というわけでなぜかは知りませんが『魔法少女 呉キリカ』戦です。デデドン!(絶望)
ところで、今同行しているなぎたんも近接系です。『読心』は情報収集には最適ですが、一挙手一投足を読めるわけでないので戦闘に直接影響を及ぼしません。ゆえに素のステータス勝負になりますが、相手はステータスお化けの超強化キリカ! 『速度低下』は近接戦をする場合には致命的! ダメだな!
ちなみにくれはちゃん並みの速度があれば相殺できないことはないですが、普通の速度で戦えば紙装甲なので即死待ったなし!
つまり、なぎたんがいてもキリカ相手はほぼ無理です。
判断ミスはしないぞ! ドッペルを盾にして撤退、逃げるんだよ! 成功するまで逃走すれば成功するから(至言)。
オラ走れ! とっととここから……おっとまた別の反応。
「待ちやがれ! あの時の借り――あ? あんたは……」
杏子ちゃん! 急に出てきたのはあれ以来姿を見なかった杏子ちゃんじゃないか! またキリカと戦ってたなんて……おお、そうかぁ。おお? そういう…関係だったのかぁ……。
以前にも共闘してるので、この場は味方になってくれますが……マミさんがいた時でも押されていたので無理なものは無理なんじゃい!
成長してるため杏子ちゃんになぎたんも意外と戦えてますが、やっぱドッペルしかねえな? 魔法少女の生き様見せてやるぜ! いいよななぎたん!
「ダメだ。味覚は戻ってないのだろう?」
おっ、そうだな(無視)。
じゃあドッペルを……キリカの様子が変ですね。
「名残惜しいけどここまでだね。こっちはこれから紅茶を買いに行くんだ」
そうだよ(前言撤回)。じゃあ帰ってくださいお願いします!
帰ってくれるか……?
やっぱり無理か……?
……セーフ! 生きてるぅー! 帰ってくれたーハッハッ生きてる! ハッハッ! あー生きてるよ!
どうやら織莉子の買い物で来ていたタイミングに杏子ちゃん諸共偶然引っかかってしまったようですね。こんなん続いたらRTAになんないよ~。
しかし……あのキリカの存在は本当に厄介ですね。遭遇したら逃げるしかないですし、いつ自宅に襲撃して来るかわかりません。こうなったら多少ロスしようが安定のために袋叩きに……いやちょっと待ってください、これはもしかしてリカバリーできるかもしれませんよ?
ヘイ杏子ちゃん! 雫ちゃんワープ使えないし神浜にいちいち来るの面倒じゃない? どこ住み? てか神浜来ない?(笑)
「なんだよ急に……。まあ、あっちを長く空けられないし、神浜に拠点を移そうかと考えてたけど」
このセリフは……はえ~ゆまちゃんいるんすねぇ。前回神浜に連れられて来ませんでしたが、この反応だとやっぱり魔法少女になって杏子ちゃんと一緒にいるみたいですね。
彼女は織莉子がまどか狙いだと、白タヌキへの攪乱の策として利用されて魔法少女になります。ワルプルギス狙いのルートだと基本的にはなりません。分岐して変なルートに入ってるとまた違うので、(行動を読むのが)これはキツイですよ。
しかし今回はくれはちゃんを殺しに来てるのでプレイヤー狙いルートのはずです。この場合もまどか狙いと同様なのでやっぱり手を出してたなあいつ! 幼子を魔法少女の世界に誘い込むなんてとんでもねーヤツだ!
なのでさっそく……まずうちさぁ……部屋たくさんあんだけど、居候してかない? お菓子もジュースもたくさんあるよ。
「そりゃ何度か共闘した仲だけど。他の魔法少女を簡単に信用しろってほうが無理だよ」
「こと帆秋に限って悪意はないと思うが……。ところでその子は?」
「はぁ? なに言って――なっ、ゆま!」
「キョーコ!」
なんで?
(展開が)なにか変……変よ変よ。
なぜかゆまちゃんがいますが、彼女が神浜に来るパターンは杏子ちゃんが連れてくるか織莉子が誘拐するかのどっちかです。でもやっぱ知らないみたいだから織莉子のほうが若干(可能性が)太いと思います……。(また変な行動をされて苦悶の表情を浮かべる走者の屑)。
ですがガバってもただでは起きません。織莉子が邪魔してくるなら利用してやりましょう。
おうおうもう一回言うけど杏子ちゃんよぉ! 寝床は出す! 食事も出す! だから家にいてくださいお願いしますいやほんとキリカが怖いんです帆奈ちゃんがいても奇襲されたら終わりなんですお願いしまああああああああ!
「キョーコ……ゆま、留守番はイヤ……」
「……あー! わかった、わかったよ!」
落ちろ! ……落ちたな(信頼度確認)。お前はもうここ(神浜魔法少女の輪)から出られないんだよ! お前もう生きて帰るしかねぇな?
これぞリカバリー案、杏子ちゃんwithゆまちゃん居候作戦です。共に行動することは難しいですが、彼女が自宅にいてくれればそれだけで自宅を安全圏にできます。それにゆまちゃんも加えて戦力バランスもいい。
ゆまちゃんを戦闘に出すことは杏子ちゃんが強く止めますが、固有魔法の『治癒』があるだけで十分です。いろはちゃんのはソウルジェムの損傷まで治すチートでしたが、こちらは単純に回復量がチートで一瞬で全回復できます。四肢を飛ばされようがすぐ治ります。しかも同時に複数人を対象にできるうえに長射程と至れり尽くせりの超絶ヒーラーとか将来有望だぜ?
こんな感じなので、ドッペルを使うわけにいかない場面での回復要員として自宅にいてもらえばいいでしょう。
なぎたんには鶴乃ちゃんの情報をいろはちゃんに教えておいてと言いつつ……。
あとはさなフェリを回収するだけなので今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。
◆
都から告げられたそれは、吉報であり凶報でもあった。
吉報とは、帆秋が考え方を変えてくれたこと。『思考と行動を変えるような強烈なもの』がそうそう彼女に起こるとは思えないでいたが、現実とは奇妙なもので、必要であったかのように引き起こされた。
凶報とは、その引き起こされたことだ。記憶ミュージアムでの一戦で露見した、マギウスが保有する魔法少女の力とは思えない戦力。それに洗脳といった手段。魔女化の運命から解放するという名目の裏の本音が垣間見えたようだ。
それだけに、黒羽根や白羽根として所属する東の魔法少女たちのことが気にかかる。
かつて月咲君が言った通りに魔女化の運命からは解放されても、これではそれ以上の負債を背負うことになるのではないだろうか。結果、以前よりも苦しむことになっては本末転倒。希望を絶望へと堕とされた魔法少女がどういう行動に出るかは想像に難くない。
ゆえに、悪い予想を感じた自分がこうしてみかづき荘に来たことは至極当然のことだろう。
「十七夜さんまでいて、これ……本当に昏倒事件の時みたいに揃ってるよ。今度は帆奈ちゃんまでいるし。……よし、レナ、かえで! アタシらも気合入れるぞ!」
「前は大勢に仕掛けられたけどさぁ~……やる側の気持ちってこんなにワクワクするんだね。あはっ! やってやろうじゃん!」
「こんなにいっぱいの魔法少女が力を貸してくれるなんて……」
環君と七海、十咎が事の次第を説明する面々は自分を含めて七人。
深月フェリシアを探す夏目かこと三栗あやめの所属するチームのリーダー、常盤ななかと静海このは。二葉さなと友好的だったという胡桃まなか。都、更紗君、帆秋。
それぞれの協力者を考えればあの時のような数の魔法少女がみかづき荘に集っている。余計だからと口止めされているが、このメンバーは帆秋が呼び寄せたものだ。
環君が考えた作戦の内容通りに由比君に深月君、二葉君を探すことはもちろん、ウワサを消して奴らに損害を与えておびき出すとなれば戦える面々が多いほうが良い。その判断だろう。
帆秋ならばこの中と誰と行動しても上手くいく。常盤君か都に、更紗君を引き連れて行くものだと勝手に推測していたのが……。
「私は十七夜と組むわ」
実際に行動するうえで彼女が同行することを選んだのは、自分だった。
なにも悪いことではない。むしろ歓迎する。考えを変えてくれたという彼女を間近で見ることができるのは良い機会だし、戦力としても申し分ない。
懸念されるのは更紗君が納得するかどうかだ。都が大丈夫だと太鼓判を押してくれて、常盤君の魔法も反応していない彼女を帆秋から離すことを心配するのは、安全面の問題ではなく心情的なもの。
だが、それを口にすると返ってきたのは、「いいよ」というあまりにも簡素な許可の言葉だった。
「……ふ、変わったな」
人は、良くも悪くも変わるものだ。
君は更紗帆奈を引き寄せたのだな。いや、共に歩み寄ったのかもしれないが、境遇と偶然を変えてみせた。
……自分も信じてみたくなる。東西に根付いた意識を変えることができるのかもしれない、と。不思議なものだな。蔓延る負の歴史を消すために、神浜を徹底的に破壊する必要があると思っていたのに、こんな夢物語を思うなど。
「行くわよ」
「ああ。自分らは大東区だな?」
そのためにもまず、今の問題を解決せねばなるまい。ウワサを消してマギウスとやらに灸を据えてやる。そう、強く誓ったのだ。
帆秋と赴いた大東区は今更言うまでもなく、深く知っている場所だ。ウワサに関する調査も既に独自で行っている。しかしそれは『ウワサ』であって、噂ではない。
「ももこから妙な話を聞いたのよ。遊園地がオープンするとか」
帆秋が言うそれは人から人へ流れゆく文字通りの噂だろう。街角で調査をしてみると確かにそんな話が聞けた。
ただ、話に具体性がない。時期はもうすぐだとかどこにオープンするかは当日勝手にわかるとかそんなものばかりだ。出所すらはっきりしていない。大きな開発があるのならもっと話題になっていいものの、噂程度に留まってるのもおかしい。
「大東にも遊園地跡地ってあるわよね。みとから聞いたわ」
「あるにはあるが……」
「そこに行きましょう。関係があるかもしれない」
既に大東区には似たような邪魔な箱物の名残がある。だが草が生い茂り、朽ちた観覧車ぐらいしかない場所だ。今になってもう一度などということは……。
……いや、聞いた話だが、『記憶ミュージアム』とやらは閉館した『神浜記録博物館』を利用していたらしい。もしや『遊園地のうわさ』とは、その『観覧車草原』を利用したウワサなのではないか。
なにも一つだけの例で決めつけるわけではない。七海が分類した種類の中には、水名神社などで見つけた
そして、その考えは正解だった。
こんな寂れた場所に誰も用などないはずなのに、マギウスの翼が数人いたのだ。ただいるだけでも怪しいのに、これ見よがしにあの黒いローブと白いローブを着ていたら、ウワサがありますと証明しているようではないか。
彼女たちは自分たちを見ると即座に背を向けて走り出したが、帆秋の前でそれは悪手というものだろう。逃げようとも『停止』で足を止めればこうして悠々と近づける。向かってきたほうがまだ勝ち目があるというものだ。
黒羽根は下っ端であまり情報を持っていない。だから自分は白羽根に近づいて、拘束してから『読心』を発動させた。月咲君でも観鳥君でもない名も知らぬ彼女もまた、それなりの地位にいるのだろう。担当している黒羽根の情報を始めとして様々な情報がノイズとして流れ込んでくる。しかし、これではない。
濁流に流れる一本の枝を探すように着実に進めていくと、遂に一つの事実を読み取れた。認めるのに幾許かの呼吸が必要ではあったが、『読心』を解除してありのままの事実を自分の中に取り込んだ。
それは、『由比鶴乃はウワサの一部となっている』ということ。
魔法少女がウワサと一つになるなど荒唐無稽。読めるのはあくまでも本人の心だ。本当のことだと思っていてもそれが間違いだったという情報もある。だから最初はその類かという疑惑を抱いた。
だが、既に巴マミの話を耳にしている以上、誤報や誤解でない可能性が高い。環君や七海、帆秋がその白い魔法少女を見ている。自分も心を見て確認した。もはや、疑う余地もない。
「……ここのウワサは由比君を取り込んでいるらしい。そしてこの場所を噂する人々……これはマズイぞ」
「ウワサの内容はわかった?」
「それは知らないようだが、規模は大きい。それだけの人を巻き込むということは一大作戦のはずだ。無償で楽しいパレードを見せるような心が奴らにあるか?」
「ないわね」
最悪の場合にはそれだけの数の一般人に由比君が危害を加えたという結果が残ってしまう。仮に取り戻せたとしても、それでは彼女自身が自分を責めることになるだろう。すぐに解決すべき問題だ。
かと言って、相手はそれだけの用意をされたウワサ。そう易々と倒させてはくれないはずだ。そもそも一部になっている状態で倒せるのか、倒してしまっていいものかもわからん。
結局、その場で突撃するようなことはせずにこの情報を持ち帰ることにした。
この事はすぐに環君と七海に伝えるべきだというのが一番の理由だ。それと帆秋も随分と元気になっているようで、確認という自分の目的も果たせたからでもある。
だが、何時何時も、厄介事というものは向こうから転がり込んでくるものなのだ。
「おっと、緑のと和泉十七夜」
「その爪に黒い衣装……あの黒い魔法少女か!」
実力者であるという見滝原の魔法少女二人と、不調であったとはいえ帆秋を前に優勢を保った猛者。それが急に現れたのだ。
こちらも変身して路地裏を移動していたから遭遇した、と言えばいいのか、相手はどうやら何者かと戦闘中のようで後方を振り返ってその場から跳ぶ。
「待ちやがれ! あの時の借り――あ? あんたは……」
先ほどまで人がいたコンクリートの地面を槍が砕く。次に姿を見せたのは赤い魔法少女。
槍を武器にする赤髪のポニーテールの少女のことは自分も聞いている。名を佐倉杏子という、以前に黒い魔法少女と戦った実力者であり、環君たちとも知り合いの人物だ。
そんな彼女は帆秋を見ると、即座に状況を理解した。こちらも同様。認識合わせに時間はいらない。どちらが敵でどちらが味方かは一目瞭然なのだから。
自分はすぐに、馬上鞭を手にして挟み撃ちになるように攻撃を仕掛ける。帆秋も同様。カトラスで続いた。
しかし、やはりあの黒い魔法少女は高速戦闘を得意とするタイプ。あっという間に避けて、蹴りといい鋭利な爪といい強烈な一撃をこれでもかと浴びせてくる。
なるほど、確かにこれは手に余る。帆秋の尋常ではない速度でようやく普通の勝負に持ち込めるというのに、そこに佐倉君の攻撃を防げる技量が組み合わさればまさに脅威そのものだ。
だが――
「足りんッ!」
経験。場数。言葉はなんでもいい。それが攻撃を当てて避けれる隙間となる。
自分の固有魔法はこのような戦闘には向いていないが、対魔法少女の戦闘を幾度も繰り返してきたのだ。その積み重ねが奴の軌道を見切らせる。
紙一重で避けた爪に続く蹴りは上段。どこに来るかを読めれば回避は造作もない。
だから返礼とばかりに鞭の一撃を置いておいておく。切断力なぞないが単純に、痛いぞ?
「ぐっ……!」
「くれは、合わせろ!」
「わかってる!」
痛みで一瞬動きを止めた奴に、佐倉君の槍と帆秋のカトラスが迫る。
「――舐めるなァッ!」
だが、咆哮と共に爪が投擲され、二人の攻撃を防いだ。それだけではなく、追撃のために爪が伸びる。刃のみをいくつも繋げたようなそれは、意趣返しとばかりに鞭に似た動きで周囲ごと切り裂こうとしていた。
これは後先考えない猛攻で隙間を無理やり埋めてきたということだ。避けられる範疇であるが……いかんせん手が足りん。こちらに遠距離攻撃を主体とする魔法少女がいればまた違うのだろうが。
「……いざとなれば私がドッペルで突破する。許可は?」
「ダメだ。味覚は戻ってないのだろう?」
この状況なら突破口となるだろうが、使わせるわけにはいかない。だが……なりふり構わず使わないだけ成長しているな。以前なら問答無用で発動させていたはずだ。
それに、向こうもこれ以上の力を割いてまで戦うつもりはないようだった。いつの間にか爪は元の長さに戻っている。
「名残惜しいけどここまでだね。こっちはこれから紅茶を買いに行くんだ」
そう言うと、佐倉君の静止の言葉を無視して立ち去っていく。
時間にしてみれば短い。正しく一夜の嵐そのもののような彼女に、風のように来て風のように去ったという形容は些か当てはまらないが、それだけの速度であった。
戦闘音の止まった路地裏は静かなものだ。
……帆秋が佐倉君を家に来ないかと誘って、結果的にいずこより現れた千歳君という子と手を繋いで移動することになるなど、まったく想像できなかったほどに。
「私は二人を家に案内するから十七夜は鶴乃の情報をお願い。絶対、いろはが待ってるから」
もとよりそのつもりだったから良いが、まったく……そういう突飛な行動をする部分まで元通りとはな。
だが、それでいいんだ。今の君であればな。
■今回の内容
第一部第7章『楽園行き覚醒前夜』
■杏子ちゃん
押し切られた。
くれはちゃんハウスは無駄に広いのでヘーキヘーキ。
■ゆまちゃん
祝・神浜入り。結構強い。
似たような誰かとの接触の時は近い。
■キリカ
もう勘弁してください! お願いします!
織莉子ォ! どうにかしろォ!
■くれはちゃんハウス
開放的になった。
しかし食料品は相変わらず。