マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート   作:みみずくやしき

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忘却の輪舞曲は久遠に睡る 後編

 スカウト以来に訪れた調整屋で、一人の魔法少女が私たちと帆秋さんを見る。

 更紗帆奈さんというその方は帆秋さんと同じ南凪自由学園らしく、一緒に暮らしているそうで仲が良いのだと聞いていました。最初はその通りに機嫌が良さそうでしたが、呼ばれた理由を聞かされると一転して睨みつけるような強い視線が私たちを射貫いたのです。

 

「は? 操った? あたしのくれはを? 魔法で?」

「ストップ! 更紗さん落ち着いてくださいな! 落ち――止まりなさいよもう!」

 

 阿見さんが無理やり止め、帆秋さんが宥めるとやっと話を聞く気になったらしく、彼女は裏のスペースにある一人用の椅子に座りました。

 これで先の事を話せる。そう考えていたのは私だけではないらしく、横にいる古町と三穂野、それにこの場にいる撮影に関わった面々の内数人かは同じことを思っているようでした。

 

 そもそも、なぜこのようなことになったのか。その理由は昼休憩の際に帆秋さんが使った魔法にあります。

 精神に干渉するようなものを感じたという彼女はその影響を『停止』で止めたそうで、それを聞いた阿見さんと柊さんが一旦撮影を中断すべきだと反応しました。操る魔法に似た感覚という理由にどうにも腑に落ちない部分があるものの、魔法が発動していることは事実なので落ち着いて話せる調整屋に来ているわけです。

 

「精神を操る魔法は危険だ。僕が言えたことじゃないけど、大事になる前にはっきりさせよう」

「ほんと、更紗さんには苦労させられたんだから……」

 

 更紗さんを呼んだ理由はそれ。『暗示』という魔法で大騒動を起こしたから多少はわかることがあるかもしれないとのことでした。

 

「自分の精神だけ止めたら別のものも止めたみたいで、なんというか『暗示』に似てたのよ。こう……ぐにゃーって感じの……」

「説明はともかく、散々受けてたくれはが言うのならそうなんでしょ。ほら言ってみなよ。変なとこなかった?」

「でもウチら、順調だったよね」

「そうなんですよね。わたしがいるのにまったくトラブルも起きませんし、上手く行き過ぎてる気もしますが……」

「│くれはの演技は上手くなかったけど│」

 

 天音さんや七瀬さんたちの言う通り、帆秋さんの演技が壊滅的なこと以外は撮影は順調に進んでいる。それこそ三穂野が活動実績の話を持ってきて映画を撮ると決めた時からずっと。

 

「……よく考えてみればおかしくないですか? 私たち歴史研究部が映画を撮ろうとしてからなにもかも上手く行き過ぎている」

 

 だからこそ、気がついたのです。()()()()()()調()()()()、と。

 

「そうですか? まあ生徒会から予算を貰えたり洋館を押さえられたり、『願い』とか『舞台演出』が働いてる気はしましたが……あっ」

「一つずつ考えてみよう。私と吉良のまで影響してるかも」

 

 一番わかりやすいのは三穂野。予算などの資金面は三穂野が願った『将来、映画撮影の資金に困らないこと』の範疇だと誰もが推測できます。

 

 他にも室内を夜にしたり能動的に『舞台演出』を使ってはいましたが、偶然にも月木彦が建てた洋館を押さえるだなんて、より良い映画にするために勝手に発動しているようではないですか。

 それに、演技指導をして役になりきって演じてと言うだけで誰もが演技をこなせていたことさえ無意識に働いた『舞台演出』の効果ではないでしょうか。本職ではない以上、帆秋さんのように演技ができなかったり拙い人がいてもおかしくないにもかかわらず、まるで登場人物が本当にそこにいるような様子を見せていたのですから。

 この推測を説明すると、どの方も覚えがあるようでした。

 

「止めたのってそれだったのかしら」

「帆秋さんの演技下手は素だし、それは操る魔法ってわけじゃないと思うけど?」

 

 観鳥さんの指摘は正しい。『舞台演出』は三穂野本人が理解しているように、絶対的な強制力を持つものではないはずです。大元がそれだとしても他にも要因があってしかるべき。

 

 次に考えたのは古町の魔法。

 そもそもこの映画の題材となった事件を見つけ出したのは彼女。願ったのが『古墳の発掘を実現させたい。歴史に埋もれた人々の息吹を感じたい』という内容であることを踏まえると、過去の物の発見にその効果が現れているように見えます。忘れられたものを見つけ出すなんてまさにその通りの現象。

 「だとしたら精神に干渉するものじゃないですよ」と言う、三穂野の結論に待ったをかけたのは桜子さんでした。

 

「│……私に与えられた月木彦の幼馴染に関する情報が初期から増殖してる。ねむがデータベースに追加したわけじゃないのに│」

 

 は、と自分の呆けた声が聞こえる。

 

 それは突如出てきたデータベースという単語に対してではありません。彼女が魔法で生み出されたウワサという存在だとは聞いていますし、知識をインストールできるから脚本や設定を忘れることがないと言われた時は、まあ随分と便利なものだと思ったものです。

 

 しかし、増殖とはおかしい。感情ある存在なら創造主の知らない場面で新たに知識を得てもおかしくないですが、月木彦の幼馴染の情報に関しては別。私たちも忠実の情報は古町が見つけた文献しか知りませんし、脚本上の設定だって全部を教えてあります。

 

 だと言うのに、桜子さんが語るその増殖した情報は本人にしか知りえない事実と感情の吐露。それは月木彦と瑠璃への想いから始まり――彼女は、『自分のこと以外の月木彦の記憶喪失を治してほしい』と願った魔法少女だったということまで明かされたのです。

 確かに瑠璃の祈りが通じたのかと医者も驚くほどの記憶の回復を見せたのにもかかわらず、幼馴染のことだけを完全に忘れていたのには疑問を覚えましたが、それでは……。 

 

「それじゃ、幼馴染さんも月木彦さんと瑠璃さんの仲を祝福してたってことじゃないですかっ……悲しいです……」

「もしかしたら私たちが演じた中の誰かも月木彦の昏睡状態の回復を願ってたのかもしれませんわ。誰もが心配してましたもの」

「キュゥべえはそういうタイミングで来るわね」

 

 あの白い動物が百年近く前からいたことは驚愕すべきですが、幼馴染に接触して来たこと自体は十分に解せることです。思えば、古町の時だって叶えたい願いがある瞬間に姿を見せた。魔女と戦う者を増やしたいのならやり方はともかく、契約してくれる可能性が大きいタイミングを狙うのは当然でしょう。

 

 しかし、これでますます謎が増えました。他者の精神内、それも魔法で生み出された存在の精神に過去の人物の記憶が残っているわけがない。遺跡を発掘してるわけじゃないんです。自分自身の記憶なら"思い出す"という発見をすることができるかもしれませんが、まったく事情が違います。

 

「八雲さん、似たような魔法を見たことはありませんか?」

「ないわよぉ。くれはちゃんは?」

「あきらの『弱点特定』とか」

「それもまた存在するものを見つけるものだよ。……今度は僕の仮説を聞いてほしい。これはおそらく、『復元』と呼ぶべき高度な魔法だ」

 

 柊さんがそう語る根拠は先ほどの情報の増殖にある。事実と確かめる術はないものの、まだ人間の心の勉強中の彼女ではそこまで感情を推測することはできないらしい。実際、映画の登場人物以外の感情は彼女にはまだ理解が難しいそうです。

 それに『復元』と言われれば思い当たることがあります。古町が願った古墳の石室は完璧な保存状態だったのだと新聞に書いてありました。

 

 ではなにを復元したのか。

 それは、『舞台演出』により構築された演技用の人格です。と言っても難しいものではなく、あの時この人はなにを考えていたのだろう、どういう想いで行動したのだろうという推測をして、役になりきる役作りをサポートしているに過ぎません。

 けれどもこれは、現代の私たちが想像した言わば歯抜けの状態で完璧なものではない。ゆえに遺跡が壊れていたり、盗掘にあったものと同じ状態と判断されて古町の『復元』が発動してしまう。実際に生きていた人間の情報を埋めていくわけです。まるで甦らせるように。

 

 ここまで言われれば私にも想像がつきます。その結果起きるのは――

 

「んー……?」

「月咲お姉さん? なにかわかったんですか?」

「考えすぎかもしれないんだけど……脳とか心の中で情報が増えてたって、ウチらそのうち乗っ取られちゃうんじゃ……」

「│起きないとは言い切れない│」

「で、でもまだ仮説ですよね。古町先輩の魔法が私のと効果が合わさってたなんて……」

「いえ、限りなく正解に近いはず」

 

 そう言って古町が取り出したのは紙の束でした。いの一番に私に読むように渡されたので目を通すと。

 

「これは月木彦の日記じゃないですか……!」

「正確に言うとそれはコピーだけどね。今まで見かけもしなかったのに、資料館で完璧な保存状態の日記を見つけたの。本当は今日の撮影が終わったあとに吉良だけに見せるつもりだったんだけど……」

 

 文語体で書かれた日記は瑠璃と交際していた時のようで、記憶喪失の直前までが書かれている。幼馴染のことは終わりにして瑠璃一筋に生きることさえもそこに示されていました。

 

「この日記を月木彦が読んでいれば幼馴染のことを思い出したのではないでしょうか。もしそうなら、『願い』の効果でこれは消えていた……?」

「多分、ね。『復元』が日記をこの世に戻した。なら書いた本人の記憶も私の中に甦るわけで……資料館に文献を探しに行ってたのも影響されてたのかも」

 

 当時はわからなかった事件の真相を知りたかったからという理由で行動した古町は、確かに月木彦の思考に影響されていると見えます。憑りつかれたように、なんて言い方がありますが、まさしくその通りに資料館に通っていたのでしょう。

 

 これで三穂野の『舞台演出』、古町の『復元』が起こした事象はわかりました。

 ですが。

 

「これは対処しないといけませんが……やはり違いませんか? 『停止』で止めたのは帆秋さん自身。ほぼ最初から立ってるだけだった彼女に人格が復元されます?」

「それに古町先輩みたいに演技指導をしたわけでも、役に入り込んでとも言ってませんからそもそもの条件を満たしてないはずです」

「僕も疑問に思ったのはそこだね。だから、くれはお姉さんが止めたのは『舞台演出』でも『復元』でもない三つ目の魔法」

 

 残るのは私だけ。『私の紡ぐ言葉が誰かの心に届いて欲しい』と願って得た魔法。

 

「……さすがに予想できます。言うなれば『言霊』ですか」

「その通り。言葉を操り、心を動かす魔法だ」

 

 私たちが初めて柊さんたちと出会った時、言ったのが『これだけいれば私たちの魔法もわかるかもしれませんね』という言葉。それが桜子さんのデータに保存されていたから、三人の魔法の考察をする今の状況と照らし合わせて気づけたそうです。

 

 こうして思い返してみると魔法が無意識に発動していた疑惑がある場面が多い。古町が月木彦の役をやる時や私が裏方に徹したいと言った時もそう。誰かが口を挟んでもいいはずなのに、あまりにもあっさりと言葉通りに話が進んでいきました。それどころか最初に"憩いの場"を作ることを提案したのも私。それも言葉通りに部活が作られていって……。

 そう、()()()()に。

 

 なるほど確かに『願い』に適した魔法です。

 森羅万象を操れるものではなく生き物だけ。世界中が効果範囲なんてこともなく、それこそ私の言葉が届く範囲のみ。ただ、それでも強力すぎる。便利どころか厄介でしかない。

 

「吉良の言葉に圧力を感じることはあったけど、それじゃ迂闊に喋れないんじゃ……」

「そんなだったら今頃もっと大事になってるはずよ」

「大体こいつの魔力の範疇が限界だろうし、常時発動してたら消費がくれは並みになってるでしょ。で、この分だと勝手に発動するんじゃないの? あっは! 『暗示』のほうが便利じゃん!」 

 

 曰く、『暗示』という魔法は言葉を他人に聞かせることで命令通りに操ることができるという。下準備すれば幻覚を見せたり数日間にも及ぶ昏睡状態に陥れることもできるのだとか。

 私のも系統としては同じ。帆秋さんの言う似た感覚とはその部分なんでしょう。

 

「じゃあ私が止めたのはそれね。てまりが喋らなければいいだけだけなら対処も簡単でしょ」

「……いや、ここからが本題だよ。色んな固有魔法を知ってるくれはお姉さんなら予想がつくかもしれないけど、この三つの魔法の組み合わせは非常に危険だ」

 

 『言霊』は言葉で心を動かす。そして、言葉とはなにも声に出すだけのものではありません。文字だって言葉なのですから小説や脚本を書けばその通りに人が動いてしまうことでしょう。

 もちろん、操る人間がいないと成立しないのですから存命の人物を書かない限りは発動しないはず。過去の人物を書いたとしても操れません。

 

 ここまで説明すると多くの方が納得できたようです。首を傾げる帆秋さんは様子からしてわかっていない気もするけれど。

 

「操れる人がいないんだから発動しないじゃない。脚本に現代の人物がいるわけでもないし、ねえ帆奈」

「いるじゃん。あんた、人格のくだり聞いてた?」

「あっ」

 

 ええ、よりによって私たち三人が実際の事件を題材に映画を撮ってしまったのです。

 三穂野と古町の魔法で過去の人物の人格がこの世に復元された。操る対象が存在するようになってしまった。

 

 その結果起こるのは、悲劇の再演。

 古町や三穂野が妙な行動をしていたのはその始まりだったのでしょう。月木彦の独白のシーンや、瑠璃が商談で出張中の月木彦を想うシーンを再現した結果起こったこと。

 

「│くれはが自分への影響を止めたから進行が一時停止したんだと思う。魔力にも限界があるし、また再開する│」

「待って、ならこの先起こるのは……!」

「東西の対立の再燃、月木彦の記憶喪失、瑠璃の失踪、そして――心中です。もしもこのまま脚本通りに動くなら……古町と三穂野が……」

「……すみません。私が映画を撮ると言い出さなければこんなことには……」

「誰のせいでもないよ。予想できなかったんだから」

 

 三穂野がいる以上は映画を撮ることになっていたはず。歴史研究部であるから題材は当然歴史モノ。そして二人がよっぽど自分で書きたいと言わない限りは私が脚本を書くことになる。どれも確実にそれぞれの魔法が発動する状況になってしまっている。

 活動実績の話が来た時点でこうなる未来は決まっていたのかもしれません。大事になる前に気づけたからまだ良かったですが、三人だけで撮っていれば悪い意味で新聞に載ることになっていたはずでしょう。撮影中に心中か、なんて見出しを付けられて。

 

「三穂野には悪いけど中止にしましょう。それで終われば……」

「残念だけど、中止どころか映画自体を撮り終えても意味はないだろうね。現代に甦った月木彦と瑠璃の人格を主演としたこの脚本が終わらない限り、魔法は解けない」

 

 三人の魔法は映画に対して発動されました。けれど、相互作用により通常よりも強力になってしまった効果の副作用は撮影外にも及ぶ。

 

 ならば大元の脚本の書き換えやそれ自体を消し去ってしまえばと思いましたが、それは柊さんに止められました。

 既に発動した他人を操るどころか広範囲に影響するような強力な魔法を捻じ曲げたり破却すれば、反作用で本人に影響が出る。帆秋さんの演技があまりにも酷くて脚本を修正したら体調を崩したのがその証拠、と言われれば頷くしかありません。

 

「ああ、やっぱり大変なことに……! すみません、すみませんっ!」

「ゆきか、あなたのせいでもないわ。それに――」

 

 この先待ち受ける事態に対し、帆秋さんは言ったのです。

 

「悲劇は私が絶対に阻止する」

 

 

 

 

 

 

 それから始まったのは、脚本という未来に対しての対策会議でした。

 

 記憶喪失に関しては軽いものなら引き起こせる魔法少女がいるらしいのでその方に協力してもらうことになりましたが、他の問題は一切進みません。

 東西の対立の再燃、瑠璃の失踪、心中。どれも引き起こした上で全員無事に済ませなければならない。あまりにもその壁は高かったのです。

 

「美雨の『偽装』……魔法を対象にはできないわ……『幻惑』……『暗示』なら……」

 

 帆秋さんの言う多種多様な魔法を用いてもどうしても突破口が見えない。更紗さんが言うには『魔法効果の解除』といううってつけの魔法があるそうですが、一度作られて増殖した人格を横合いから消したらなにが起きるかわかりません。ここまで構築される前に気づけていれば話は違ったのでしょうが……。

 

 時間だけが過ぎていく中、調整屋の入り口が開く音がしました。お客さんが来たのかもしれないと八雲さんが見に行きましたが、その彼女を押しのけて飛び込んできたのが一人。

 それは、水名女学園の制服を着た天音月咲さんとしか言えない人物だったのです。

 

「無事でございますか!?」

「月夜ちゃん!?」

 

 髪型や体形に多少差異はありますが、本当に瓜二つ。その彼女が魔法少女に変身して武器らしき笛を構えている。

 明らかに危険な状況に、なにかに押されるように古町が前に出た。……これは、まさか……!

 

「やってやるでございます……! 仲を引き裂こうなんて……!」

「"ま、待ってください!"」

「"月木彦、邪魔を――"」

「止まれ!」

 

 帆秋さんの魔法が発動したのを感じる。それと同時に、今にも飛び掛かろうとしていた月夜さんが驚いた表情で立ち止まりました。

 

「……な、なぜ私はこんなことを?」

「天音さんが二人……?」

「古町、今止めようとしたのを覚えてないんですか……?」

「……これは、危険かもしれないね。東西の対立を呼び起こして月木彦を記憶喪失にしようと魔法が動いている」

 

 迂闊でした。もう脚本はそこまで進んでいたんです。

 月木彦と瑠璃の間に立ち塞がった東西の壁は今も存在している。大伯父に反対された話の主軸はそこですから、演じなくとも既に達成されていたんです。筋書きの再現度が低い気もしますが副作用ゆえのこと。

 

 確認のために話を聞いてみると、月夜さんは月咲さんが参加した映画のストーリーが東西で引き裂かれた双子の話だという尾ひれのついた噂を聞いて穏便に止めに来たのだとか。

 それがなぜか力尽くになってしまい、古町が止めに入った。……おそらく月夜さんは暴漢役のエキストラとして選出されてしまったのです。『停止』がなければ、間違いなく脚本通りに記憶喪失になっていたことでしょう。

 

「実はウチら大変なことになってて……過去の人が乗り移っちゃってるみたいなんだよー……」

「ゆ、幽霊でございますか!?」

「幽霊……」

 

 魔法によって復元されたものではありますが、間違いだとは一概には言えません。たとえ身体がなくとも人格という想いは復元されて存在している。それを幽霊と呼ぶのかもしれませんから。

 

 こうなれば月夜さんにも説明をしなければならず、かいつまんで映画の内容と起きている事態について話しました。

 

「……悲しい話でございます。東西の関係とはどこまでも付いて回るものなのでございますね」

「簡単に変えられないのはウチらもよく知ってるからね……」

「だから、みなさんの無事はもちろんでございますが、その月木彦さんと瑠璃さんにはできることなら想いを果たしてほしいのでございます。たとえ仮初でも、私たち魔法少女にそれができるのなら……」

 

 それは、彼女の言霊だったのでしょう。本人の経験と記憶に裏打ちされただろう言葉には私を動かす力があったのですから。

 

「脚本、変えましょうか」

「……発動した魔法に手を加えるのは危険だって、吉良も柊さんから聞いたよね?」

「古町と三穂野が身体を張っているんです。帆秋さんの時の様子なら少しの変更なら大丈夫ですし、日記なんて重要な資料が出てきたら書き換えないわけにいきませんから」

 

 変更するのはラストシーンの一部分だけ。大筋にはなんの影響もない。今全員が頭を抱えている内容を解決するわけでもなく、これから撮影をするわけでもない。ただ、二人のことを想っただけの行為。

 それで対策を話しつつその横で脚本を書き換えていったのですが、筆は進めど話し合いに好調の様子は見られず、今日の所は一旦解散となりました。口惜しいことではありますが、古町のように門限が厳しい方もいるので。

 

 一人、また一人と減っていく中、無理を言って作業を続けていった私はグリーフシードが必要なほど消耗することになったのですが、不思議と悪い気はしませんでした。

 

 終わって外に出た頃にはもう夜中。私は時々集中しすぎて部室で朝を迎えることがあるので家族にはまたかと思われる程度で済むでしょうが、心配だからと最後まで一緒にいてくれた帆秋さんはどうなのでしょう。

 

 それを聞いてみるとあっけらかんとした顔で言いました。「私の家にいるのは全員魔法少女だし特にないわ」と。そして一人じゃ危ないから送っていくとも。彼女には彼女の事情がある。どうしてそんな環境になっているのかは聞きません。

 ……しかし、七瀬さんの時もそうでしたがこの人は要らぬ厄介を背負いこむ癖でもあるんでしょうか。言葉に甘えた私も私ですが。

 

 月明かりの下、家に向かう途中に帆秋さんは私に様々な質問をしました。それは特に歴史研究部の関係のものが多かったかと思います。それだけに魔法少女になってからの話が大半を占め、互いの魔法の性質を研究したことや実験や考察を繰り返し、だんだん戦法を洗練させていったことをも話したのです。

 多分、彼女も似たことをしていたのではないでしょうか。『暗示』を散々受けたというのなら、それだけ検証したということですから。

 

「良いチームなのね」

「できれば三人だけでやっていきたいと新入部員の勧誘もしてないぐらいですから」

「やあ、くれは」

 

 会話に急に混ざってきたのは魔法少女になってしばらく聞かなかった声。あの白い生き物が近くの塀の上にいました。

 

「キミが神浜の外に出るのは珍しいね。ボクが入れなくなってからずっと神浜にいたじゃないか」

「帆秋さん、今そこにキュゥべえが……」

「聞いてくれるだけでいい。キミにだって益はあるさ」

「……代わりに質問に答えなさい」

「まったく無視しないなんて珍しいね。もちろんいいよ。キミは聞く、ボクは答える。取引だ」

 

 無視しないという割には歩く速度を変えない彼女に並走するキュゥべえの姿は滑稽ではありますが、タイミングを見計らうような存在がそうする理由を考えると少々不気味でもありました。

 

「環いろははボクたちと共存する道を選ぶそうだ」

「……そう。それがどうしたの」

「ボクらを嫌う魔法少女はいるし、一枚岩にはなれない。彼女たちはいろはを受け入れるのかなってね。キミも気になることだろう?」

 

 環いろはという名前は私も聞いたことがあります。神浜で作られる予定の互助組織の中心人物だと。その彼女を心配して言ってくれているのなら良いのですがどうにもわかりません。

 

「それで、なにが聞きたいんだい?」

「心中事件について。当時からいたんだから詳しいでしょ」

「なるほど。記録でも復元でもない当時の生き証人がいるのだから聞けばいいというわけですね」

 

 別人格にしか知らない内容を知っておけば役に立つというその意図はわかりました。

 本題に入る前に映画と起きている事象について話すと、私たちの推測も大体は正しいらしく、やはり脚本を終わらせないと魔法の効果は途切れないそうです。

 

 しかし、キュゥべえが知っていることも大体は同じそうで、瑠璃のこと以外にはあまり違いはないと前置きをしました。ですから特に期待もせずに発言を待ったのですが……。

 

「前提として知っていてほしいんだけど、瑠璃は魔法少女だ」

「はあ、なるほど……なんですって!?」

 

 あまりにも簡単に言いましたが、幼馴染のすぐ側にもう一人魔法少女がいたわけですから衝撃は大きい。もっとも、私たちもクラスメイトの月咲さんのことに気づかなかったので近くにいても不思議ではありませんが……。

 

 瑠璃が願ったのは『久遠の夢路を歩みたい』。つまりは物語のような浪漫に満ちた人生を歩み続けたいということでしょう。おそらくは月木彦と出会ったことさえその一環。

 願い通りに事が運んで行ったのは喜ぶべきなのでしょうが……禍福は糾える縄の如し。そこまでの幸運を崩す不運があったのです。

 

 瑠璃の固有魔法はよりによって私と同じ『言霊』。それは現代と同じく、彼女が私的に書き溜めていた悲劇的な小説をなぞる形で発動していました。

 記憶喪失の件がきっかけとなってそのことに気づいた瑠璃は、筋書き通りに悲劇に遭う月木彦を救うために小説を破棄する選択をした。ほんの少し書き換えるだけであれだけ消耗するんです。そんなことをしたら当然、無事ではすみません。心に修復不能の傷を負うことになったのです。

 

「ちょっと待って。記憶喪失も魔法の一部なら幼馴染が願わなくても記憶って戻ったんじゃないの」

「原稿の破却をした時点で戻っていただろう。その場合も月木彦が幼馴染のことを忘れたかどうかは定かではないけど、筋書きから解放された魔法が悲劇を選ぶのならどちらにせよ忘れたんじゃないかな」

「……契約の時に言わなかったんですか? 別の『願い』にしたほうが良いとか助言もできたはずです」

「聞かれなかったからね。それに要望通りに叶えただけじゃないか」

「あなた、本当に悪魔ですね」

「彼女にも同じことを言われたよ」

 

 もっともやりきれないことは、瑠璃は月木彦がいつか幼馴染のことを思い出して心が離れていってしまうのではないかと信じ込んだことです。いずれ失う恐怖に耐えきれずに幸福なまま全てを終わらせた……それが、表には出てこない心中事件の裏側でした。

 

「ソウルジェムが濁り切る前に死を選ぶ判断力が残っていたのはボクとしても意外だったけどね。願い通りに波乱に満ちた生涯に幕を引いたわけだ」

「……悲劇を願ったわけではないでしょうに」

 

 奇跡を願ったというのに、なぜ報いを受けなければならないのでしょう。それこそ代償として私たちにも必ず降りかかるのか、それとも運命に翻弄されたのは彼女だけだったのか……。

 

 この時、普段から帆秋さんがキュゥべえを無視するという理由が私にも理解できました。

 こいつは人の心を持っていない。桜子さんのように人でなくとも心を理解しようとして感情を持つことはできるのに、契約という目的のために利用することしか考えていない。

 

 今後は距離感を考える必要があると認識を改めると、話はここまでという意味を込めて二人で歩きだす。キュゥべえはそういうことは理解できるようでまた塀に上るとじっと座っていました。

 

「そうだ。一つ忠告するけど、人格が別でも知識は共有するよ」

 

 ……本当に、この生き物はなんなのでしょう。

 古町の日記の件でその予想はしていましたが、だからと言ってなにかが変わるわけでも――

 

 そこで、私は自分の考えの甘さに思い至ったのです。

 

「……てまり」

「急ぎましょう。もしかして……!」

 

 キュゥべえの方へ戻り、そのまま駅へ駆けていく。

 固有魔法の話をしていた時が嘘のように帆秋さんもその可能性を思いついたらしく、軽く話すだけで伝わりました。

 

 知識を共有する。それは致命的な事実。 

 私たちは三穂野の中にいる瑠璃に聞かせてしまっていたのです。誰もが二人を祝福し、幼馴染みでさえ『願い』で助けていてくれたと。自分の苦悩は杞憂で、選択してしまった道は最悪のものだったと。

 それは、その衝撃は……月木彦が記憶喪失になったあとの心を苛んだ時と同等でしょう。もしも月夜さんの一件で記憶喪失を演じたとされたなら、もう三穂野は……!

 

 急ぎ着いた彼女の自宅に人の気配はない。魔法少女ですから魔力を探ってみてもいない。

 

「帰ってないみたい。電話は?」

「出ません。まだ寝るような時間でもありませんし、帰宅途中で結界を見つけたら連絡するはずです」

 

 ……これこそ杞憂であれば良かったものの、翌日になっても三穂野から連絡はありませんでした。恐れていた通り、失踪したのです。

 

 

 

 

 

 元々、今日も対策を話すつもりでいましたから皆さんの予定は空いている。夜の時点で三穂野が失踪したかもしれないと伝えてはあったので、他にも知り合いの方に手伝ってもらって全員での捜索が始まりました。

 脚本通りに話が進むのならば、古町を殺しに来る。最悪の場合は一人で自殺なんてこともありうる。とにかく急がないといけません。

 

 私はもしもの場合に備えて古町と帆秋さんの二人と行動を共にしていました。古町を一人にするわけにはいきませんし、『停止』があれば止められます。すぐに対処できる位置にいるのは当然でした。

 

 最初に探したのは工匠学舎の仮部室。あそこには映画で使った小道具が置いてありますから、三穂野の知識を持った瑠璃が来る可能性は高い。事実、瑠璃の衣装として用意した青緑のドレスが消えていました。確かにここに来ていたのです。

 月咲さんからの連絡によると、今朝この付近で三穂野の姿が目撃されていたそうでほっと胸をなでおろしました。まだ取り返しのつかない事態にはなっていない。

 

 しかし、その後ロケ地を探してみても痕跡すら見つからない。目撃情報もぱったりと途絶えてしまいました。ドレスを着ていたら目立つはずなのに見ないということは、どこかに隠れているのかもしれません。

 

「やっぱりここよね」

「はい。もう脚本通りに動いていると見ていいでしょう」

 

 そこは資料館。当時の月木彦のお屋敷で、月木彦と瑠璃が出会って心中した場所。瑠璃が屋敷に表れ、月木彦を刺殺し、自ら命を断つ。それが脚本に記された内容なのですから、ここが本命です。

 

 正直に言えば、まだこの瞬間が来てほしくありませんでした。東西の対立の再燃、記憶喪失、失踪とこちらを待ってくれない速度で進行していった結果、最後のシーンへの対策がなにも出来ていません。

 

「本当に行くんですか? 月木彦の衣装を着て、自ら三穂野を呼び寄せる囮になるなんて……」

「これ以上時間をかけられないわ。放置して自殺なんてことになったら、私は私が許せなくなる」

「……震えてるけど」

 

 だから、心配だったし止めたんです。古町は刃物を極端に恐れる。元々撮影も別撮りにする予定だったのですから忘れるわけがありません。

 ……彼女は、小学生の頃に刃物で脅されて誘拐されたことがあるのです。門限が厳しいのもそのため。無事に救出されたものの、好きだった歴史に一層のめり込むようになりました。まるでなにかから逃げるかのように。

 いつだったか彼女は言いました。物事から距離を置いた研究者気質は、思い出すのが怖いだけなのだと。

 

「無理です。魔法少女のみなさんで探してどうにか止めましょう」

「……それでも脚本を完遂しないと終わらない。吉良、言ったよね。人は誰しも、人生という物語の主役からは逃げられないって」

「それは……」

「だから、今だけ私に主役をやらせて。私に三穂野を救わせて」

 

 ……ああ、そうでした。昔から古町は言い出したら聞きません。その真っ直ぐなところはずっと同じなのです。

 

 結局、古町の案に対する明確な反対を出せることもなく、撮影に使った一室でその作戦が開始されました。

 けれど私の中では未だに心配が燻り続け、唯一確実な方法があるのにそれをしない自分を責めている。二人には言っていませんが、それを持ってきているのに。

 

 帆秋さんがなにかを考えるように悩む横で、私は月木彦の格好をした古町を見つめた。

 

「……瑠璃は来るでしょうか」

「来る。月木彦がそう言ってる」

「やはり――」

 

 言いかけた言葉は静かに開けられた扉の音の前に消えた。原因は言うまでもなく、ドレスを着た三穂野でした。

 

「"月木彦……さん……"」

 

 彼女は手にナイフを持って古町を見つめている。明らかに三穂野の人格ではなく瑠璃に乗っ取られています。

 その古町は深い心の傷をすぐに治せるわけもなく、やはり足がすくんでいる。

 

 これ以上無理はさせられない。カバンから脚本を取り出すと、最後のページに手をかける。

 完遂しなくとも脚本を破棄すれば全ては終わる。奇しくも同じ魔法を持った瑠璃と同じ結末になりますが、即座に死ぬわけではない。……それに、三穂野を救いたいという気持ちは私にもあるんです。もちろん古町にだって危険な目に遭ってほしくない。わざわざトラウマまで掘り起こす必要もないじゃないですか。だから。

 

 しかし、私の手はぴたりと止まって全く動かせなくなってしまいました。自分の意思に反して指一本すら動かせない。これは……『停止』……。

 

「犠牲なんて二人は望んでないと思うけど。それに――」

「ここは僕に任せてくれませんか。散々迷惑かけたンです。みくらさんの意気と勇気に必ず応えます」

「え、あなたは……」

 

 その口調と止まっている震え。今ここにいるのは……。

 

「"探しましたよ、瑠璃さん"」

「"……久遠の夢路に……恋をした……それが私の……罪……"」

 

 呆気にとられた間に脚本が進んでいる。今の瑠璃の台詞は刺殺直前のもの。

 

「……わがままを言ってもいいですか?」

「なんでしょう」

「私と、踊ってくれませんか。初めて出会ったこの場所で」

 

 だというのに、脚本から外れた。ナイフを置いたのです。

 室内から見える景色は夜に移り変わり、どこからか音楽が流れ始める。古町――月木彦は、瑠璃の手を取って踊り始めた。最初のパーティーとは違ってたった二人だけの夜会ではあるものの、とても幸せそうに見えたのです。

 そして曲が流れ終わり静寂が室内を包む。二人はそのまま見つめ合って、言葉を交わしました。

 

「瑠璃さん、僕は……僕は永遠に貴女の月木彦です」

「……ありがとう、その言葉を聞けた今、もう何の未練もありません」

 

 これは、この感覚は……魔法が解けていく……。三人の映画に対して発動した魔法が、完遂したと判断されて消えていく。でも、なぜ……。

 

「てまりさん、貴女の脚本は確かに届きましたよ。こうして百年前の想いを伝えることができて瑠璃さんと再会できたンですから。……さて、そろそろおいとましようじゃありませンか」

「……はいっ!」

「未練がなくなった僕らは消える。つまり『死ぬ』ってことです。最期に互いの想いが通じ合って物語はこれにて終幕、でしょう?」

 

 それは私が書き換えた脚本の内容。最初は月木彦が想いを伝えることもなく終わっていましたが、日記が見つかったので想いを伝える終わり方にした。……そうですか、脚本から外れたと思っていましたが、これは脚本通り。

 

「みなさんにも感謝を。――悲しい輪舞曲はこれで、終わりです」

 

 最期に月木彦と瑠璃は互いを抱きしめ合って……二人は消えた。

 私に降りかかっていた影響のようなものが完全になくなっている。

 

「……はっ!? 古町先輩!」

「これ、ナ、ナイフ……」

「元通りね」

 

 ……本当に、良かった。全員無事で済みましたし、私の『願い』は確かに叶っていたようです。

 

 これで一件落着、なら良かったんですが。

 

 突如館内に響き渡ったのは火災発生の警報。

 どうしてこのタイミングで、なんて愚痴を言う間もなく火の手は私たちの部屋にまで回ってきました。この調子だと既に廊下は火の海かもしれません。余韻に浸る暇もなく、それぞれ変身して窓ガラスを破って脱出。最後の最後でアクションになってしまいました。

 

 なんとか飛び出して外を見てみると、その火の勢いが凄まじいことに気づきました。急だったために持ってきていた日記のコピーや脚本は全てさっきの部屋の中。書庫にある日記の原本や事件の資料ももう燃えていることでしょう。

 

「本当になんなんでしょうか。脚本には書いてませんし……」

「……私の『舞台演出』です。瑠璃が魔法を使ったんですよ。こんなことまでできるとは思ってませんでしたが」

 

 三穂野の中に残った真実の記憶が示したのは、瑠璃の死の間際の願いでした。『忘れられたい』というそれが今になって叶えられたのでしょう。

 

 パチパチと燃える資料館を四人で眺めていると、騒ぎを聞きつけた一般人に混じって他の魔法少女のみなさんも現れました。外に聞かれないように念話で詳細を話すと、私たちが無事だったことに安堵の声が聞こえましたが、同時に消えていった二人の悲しい物語への声も聞こえたのです。

 

 特に、一番なにかを感じていたのは帆秋さんでした。

 

「最後に話したのは本物の月木彦と瑠璃だったのかしら」

「魔法によって作られた疑似人格という話ですが、本物と同じ想いを抱いているのなら本物だと思います。それに、死してなお想いを伝えたり、死後再会するという話は数多く存在しますから。得てして儚いものですが……」

「……幽霊、ね」

 

 

 

 

 

 これにて、当然のことですが歴史研究部の製作映画はお蔵入りとなりました。

 月木彦と瑠璃の真実は資料館と共に炎の中に消えた。今も古町と三穂野の中には記憶が少しだけ残っているそうですが、二人は永遠に胸の奥にしまっておくそうです。

 

 魔法少女なら誰しも『願い』があります。それが結果としてなにを引き起こすかは想像できませんが、願ったという事実は変わらない。

 当時の人々にとっては東西の禍根が生み出した悲劇に見えたでしょうが、実際は奇跡を願った代償が贖われた結果だった。

 

 いつしか私たちもその時が来るのかもしれませんが……出会えるはずのない二人が再会できただけでも、願った意味はあったのかもしれません。

 

「古町、三穂野、ちょっといいですか?」

「どうしたの?」

「次の活動実績の話ですか?」

「いえ、タイトルが今になって思い浮かびました。そう――」

 

 それに、魔法少女になったから起きたこともある。今はその安心できる場所があれば十分です。

 

「『忘却の輪舞曲は久遠に睡る』、なんていかがですか」

 




■今回の内容
 『忘却の輪舞曲は久遠に睡る』

■月木彦
 マギレコ男性キャラ上位の良い人。
 多分たまに訛りが出る。
 
■瑠璃
 結構困ったことを願った魔法少女。
 瑠璃! なぜ瑠璃がここに……逃げたのか? 自力で脱出を? 瑠璃! 彼女は瑠璃ではない(無言の『停止』)。

■月木彦の幼馴染
 魔法少女になったなんてそんな設定はない。
 二次創作! 二次創作です!

■『言霊』
 パート15で名前だけ出た。舌禍の女神ばりに面倒事を引き起こす。
 魔力消費が著しく低い代わりに勝手に発動する困ったちゃん。
 
■タイトル
 三穂野は無言。
 古町曰く「……遅いよ」。





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