マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート   作:みみずくやしき

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さよならさえ言えなかった夕暮れ 後編

 大東区の観覧車草原に工匠学舎の生徒の姿があった。

 三人組の一人はどこかに電話をしているようで、それが終わると待っていた二人に振り向く。

 

「……よし、これで大丈夫」

「古町、門限のこと本当に良かったんですか?」

「そうですよ。私たちに任せてもらっても……」

「私たちは歴史研究部でしょう? 置いてけぼりはひどいな」

 

 冗談めいた口調でも、みくらの気持ちは本当だ。

 帆秋くれはとは出会ってから日が浅いが、調整屋でスカウトの手伝いをしてくれた。固有魔法が原因で事件が起きた時など共に解決のために行動している。黙って無視を決め込むつもりなどない。だから、こうして少しでもなにかの役に立てないかと二人と共に動いている。

 

 てまりとせいらもそれぐらいわかっている。特に、幼なじみであるてまりなら尚更だった。

 

「でも、戻りますよ。こんなところにいても警戒の意味がありませんから」

「それはそうだね。人が来る場所でもないし、随分遠くに来ちゃった」

「結局古町先輩が見つけたコピーも消えましたし……」

 

 せいらが辺りを見渡しても夜の闇に浮かぶ観覧車と草原しか見えない。工匠区から延々と走ってきたものの、特別なことは起きなかった。本当になにもないかとじっと見つめても変わらない。

 けれど、催促するてまりの声にもういいかと帰ろうとした時だった。

 

「……いや、アレ……結界じゃないですか?」

 

 今までなかったはずなのに急に増えている。見間違いではない。今もミラーズで見た使い魔が顔を覗かせて、すぐに引っ込めていた。 

 三人は顔を見合わせて、頷いた。

 

 鞭、筆、メガホンとそれぞれの武器を構えて結界へと近づき、世界が変わる。

 やはり内部の様子はミラーズと酷似している。説明にあったミラーズに繋がる入り口、使い魔の結界の一つだろう。それ以外に特徴的な点と言えば、異様に狭かった。結界といえばどこまで広がっているのかわからない世界。それが辺り一面壁に覆われていて扉が一つと使い魔が一匹いるだけで他に何もない。

 

 先手必勝とばかりにてまりが筆を投げつける。使い魔はそれを避けると、勝手に開いた扉に逃げていく。扉の奥は真っ暗だが、使い魔の反応はその先を進んでいた。

 

「私が先に行くので古町と三穂野は後ろから来てください」

 

 この中で一番近距離で戦えるのは筆を使うてまり。奇襲に対して咄嗟に反撃しやすいのも同じ。特に異論をはさむこともなく、三人は進んでいく。

 

 しばらく進むと視界に急に光が射す。それと同時に聞こえたのは戦闘音だ。

 見れば、和泉十七夜と佐倉杏子がコピーと思わしき五人と戦っている。追っていた使い魔はそれに巻き込まれたのか、消えていた。

 

 偶然ではあったが、そのコピーたちはどれも歴史研究部の三人が知る者だった。天音月夜、天音月咲、千秋理子、阿見莉愛、七瀬ゆきか。どれも本人には似つかわしくない無表情のまま、武器と魔法を振るっている。

 

 その光景を見て、てまりは「戻りましょう」と、撤退を二人に告げた。十七夜たちが優勢のようだが、あれは自分たちが入れる戦いではない。特に、レイピアと言えども刃物を使うゆきかが混じっているのがマズい。

 

 しかし、判断が一手遅かった。よりにもよってゆきかのコピーが急加速して向かって来る。

 背を見せればやられる。てまりは指の間に挟んだ筆を一本ずつに持ち替えてみくらの前に立った。せいらがサポートしてくれれば逃げ出すぐらいはできるとの理解であった。

 

 突き出されたレイピアの軌道を逸らすように筆を構え――触れる前に、横合いから飛び出た別のレイピアが弾く。そのままコピーに突き刺さったのは短剣。一瞬の間の一方的な攻防で、コピーは消えた。

 

「いきなりこんなところに出たんですが……ちょうど良かったみたいですっ」

 

 当然、それは本物のゆきかだ。みくらがいることに気づくと慌てて武器を背に隠して申し訳なさそうな笑顔を見せる辺り、疑う余地もない。

 

 ゆきかが現れたように、内側から開いた扉は他に二つあった。

 内部から飛び出した影は状況を把握すると、近くにいた月夜のコピーに急接近して高速の居合による一閃をあびせる。

 

「失礼、あしからず……」

 

 最初の一撃で片付けたのは、常盤ななかだ。

 やはり近くにいる月咲のコピーを狙ったのは、別の扉から放たれた茨の矢。莉愛のコピーに飛び込んできたのは双頭の槍。二つとも一撃でコピーを消し、それぞれの持ち主が現れた。

 

「あれ、このはさん、向こうにいるのは……」

「あっちも同じ考えだったのね」

 

 相野みとに静海このは。

 まやかし町と南凪の結界を消滅させるために分かれたメンバーの一部がここに集っていた。

 

 次から次へと増える状況に、十七夜と杏子は目を白黒させるしかない。二人が五人になり、そして四人増えて今や九人もこの場にいる。

 歴史研究部の三人もこうなっては戻るよりも進んだほうが安全だ。全員が状況の確認のために集まった。

 

「……何事も必要な時に起こるべくして起こる、か」

 

 かつて、知り合いがそんなことを言っていたと十七夜は思い出した。

 危機的状況に味方が救援に来るなどその都合が良すぎるではないか。罠と考えたほうが良い。そんな思考もあったが、今回ばかりは運命というものを信じてみることにした。

 出来すぎた運命、大いに結構。彼女が手繰り寄せたのならばそれもありえる。

 

 しかし、彼女に感傷に浸る暇はない。増えた人数相手に、一応コピーかどうかを判別しなければならない。疲れた身体を動かし、『読心』を用いて心を読んでいくと、確かに誰もが本物であるようだった。コピーだと、僅かな揺らぎが生じるため間違いない。

 

「どうやら本当に繋がっているのだな……しかし、結界はどうした」

「嫌な反応が大きくなったものですから、破壊は他の方に任せて援軍に来ました。正解だったようですね」

「私たちもよ。みとちゃんが嫌な予感がするって言うもので……」

「なんかぐにゃーって感じがしたんだ」

 

 他の二つの結界は使い魔がいるだけで、特に大きな問題もなく攻略できていたのだという。

 みとはともかく、わざわざリーダー格である二人が来る必要性は薄い。要は、彼女たちも心配だったのだと十七夜は結論付けた。

 

 みくらたちは入っていった結界で使い魔を追いかけたら辿り着いたと伝えると、どうやらゆきかも似たようなものらしい。魔力の痕跡を追って進んでいたものの、途中で見知らぬ扉に反応が続いていたので入ってみたらここに出たようだった。

 

「で、そもそも七瀬君はなぜ来た。君は外で待機していると聞いたが」

「あっ、そうでした……みなさん、これを」

 

 ゆきかは持っていた小さい袋に手を突っ込んで中身を取り出す。

 それは手のひらに収まるサイズの緑色をしたキューブ。更にそこから出てきたのは大量のグリーフシードだった。

 

「渡してこいと調整屋で無理やり押し付けられまして……」

 

 魔法的な代物への反応は各々違う。ななかやこのはは目つきが鋭くなり、みとは単純に驚いた。杏子は少々機嫌が悪くなったが、十七夜は「なるほどな」と愉快そうにしていて、歴史研究部にはその理由はわからなかった。

 

「あともう一つありまして、こっちはくれはさんの家から持ってきたんですけど……」

「本?」

「織莉子さんから連絡があったみたいなんです。それが必要になるからくれはさんに渡してきなさいって」

 

 次にキューブから出てきたのは日記だ。緑の防壁で保護されていて傷一つないそれは、みことのものではなく、くれは自身の日記。かつて『暗示』により記憶を封じられた後、これ以上忘れることがないように日々を書き記したもの。

 その存在は杏子も知っていた。以前、帆奈が見つけたと話の中で出てきたことを覚えている。それをあの織莉子が知っているのはお得意の『未来予知』によるものだろう。

 

「美国君の言うことならば間違いではないか……八雲らはあの扉の先だ。それを持って――」

「待ってください。増援が来ています」

 

 その魔法によりいち早く存在を察知したななかが刀を抜き、近づいてくるコピーの迎撃に向かう。こちらの数が増えたことを察知し、次の数は同数の九人であった。今度は急造なのか感じる魔力が今までのものより少ない。

 鋼が煌めく光景を背で隠して、てまりは言った。

 

「では私たちがその扉に行きます。はっきり言って、新人じゃ足手まといですから」 

「いいですよね、古町先輩。なんなら引っ張ってでも連れてきますから」

「ごめん、私……」

「今さらなんですか。置いてけぼりにはしません。それに、古町には古町ができることがあるんです」

 

 これ以上問答をする時間もなく、てまりはゆきかから日記を受け取って、頷くみくらを見て微笑むと二人と共に扉に向かっていく。魔法による遠距離攻撃で妨害を受けつつも、味方が放つ攻撃の質のほうが高い。特に、着弾点から飛び出す茨が盾の役割すら果たしていた。

 

 飛び込む扉は来る時と同じく先の見えない空間が続いていたが、一番最初に入ったのはみくらだった。

 暗い道はしばらく続き、次第に戦闘音が遠ざかる。最初のものよりも長く進むと急に光が射し、通った先には聞いていた通りにみたま達がいた。

 

 しかしそれ以上に彼女たちが驚いたのは、部屋の異質さだ。所々はミラーズのように青いが、その殆どが色を失っている。壁にかけられた鏡は反転したありえざる世界を映し出して混沌としている。ベッドに横たわるくれはなど、身体の半分が消え去ってしまっていた。

 みたまはくれはの近くで目を閉じて集中を続けており、帆奈はただ黙っているだけ。三人に反応できたのは桜子だけだった。

 

「│歴史研究部の三人がどうしてここに?│」

「そ、それよりも帆秋さんですよ! どうなってるんですかこれ!?」

 

 二人の代わりに桜子が説明をする。

 現実と幻が混ざりあっているようで段々と姿が消えている。しかも『調整』の副産物で記憶を読むことのできるみたまが言うには、その記憶までも薄れていっているらしい。

 ソウルジェムに結界の反応があるものの、取れる手段がない。それでもなにかできないかとみたまは『調整』を続けているのに対し、帆奈は縋り付いて顔を伏せているだけだった。

 

 ただ連れ去られただけだと思っていたがこれではあまりに状況が悪い。今の状態で日記がなんの役に立つのだろうか。

 

「現実と幻、記憶の忘却……」

 

 みくらが閃いたそれは、直感に近いものだった。

 

 自分たちの映画撮影で起きた事件。あれは過去の人物の記憶と人格を『復元』したものだった。幻と消えたそれらを蘇らせることができたのなら、もしかして。

 未だに自発的に使う方法はわからないものの、手をかざして魔法を使おうと魔力を使う。すると消滅が止まって部位が戻ってくる。ある程度は治せても浸食が大きい部分には効いていないようだったが、『復元』が働いていた。

 

 未来を予知できる魔法少女を彼女は知らない。けれども、運命なんてものがあるのなら、自分たちがここに来た理由が理解できる気がしていた。

 

「吉良、日記貸して! 『言霊』は文字でも使えるよね!? 既に書かれたものでもできる!?」

「……人が書いたものですし、勝手に発動する操る魔法ですよ? それがどう――」

「そうだ、その日記は……! くれはが忘れた記憶を思い出そうと書いたんだった!」

 

 みくらが受け取った日記に、騒がしさに顔を上げた帆奈が叫んだ。

 『言霊』の効果は帆奈も知っている。日記の内容だって忘れるわけがない。文字を含めて言葉通りに物事を操るそれならば、可能性があるのではないか。

 

 たった一つだけ見えた可能性。それに気づいた全員は、話を進めていった。

 桜子が言うには、情報をデータ化して魔力に込めれば日記を『調整』で送り込める。『言霊』が発動しなくても記憶に潜り込ませればなにかが変わるかもしれない。鍵となるのは要となる『調整』を持つみたまだ。

 

「やってみる。いいえ、絶対にやり遂げるわ」

「……わかりました。私の魔法ですから、なんとかやってみせます」

「『舞台演出』だって上乗せしますよ! 映画というわけじゃありませんが、私たち三人の魔法が組み合わせればどうなるかは知ってますからね!」

「うん、『願い』は希望の象徴だもの。今回はきっと、もっと良い方向に……!」

 

 それぞれに役割がある中で帆奈はただ祈るしかない。

 鏡の魔女だとか呪いだとかは関係ない。友人が友人を消し去るなど、あってはいけない。だから、届くように心を込めた。

 

「|春風と共に爛漫と開く花たち……│」

 

 桜子の手から生まれた桜は、ひらひらとくれはの手に舞い落ちた。

 

 みたまはより深く集中する。穢れがどれだけ増えようと構わずに、魔力を広げていく。

 ただ、桜のひとひらを届けるためだけに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 声が聞こえた気がした。

 自分たち以外いない喫茶店で、多くの知らない誰かの声がくれはの耳に届いた。それに混じっていた帆奈の声も、確かに聞こえた。

 

「どう、思い出せた?」

「声が……」

「気のせいだよ」

 

 みことの言葉に、くれはは同意した。ここには自分たち以外誰もいない。聞こえるほうがおかしい。幻聴だ。そうに決まっている。

 

 本当に、そうだろうか。

 

「もう一回――」

「やらせない」

 

 また少女が鉄パイプで空間を叩く。直接ぶつけたわけではないのに、なぜかみことが睨んだ。

 少女は低く、けれども優しさに溢れた声でくれはに告げる。

 

「ごめん、これ以上の干渉はできない。無理やりだから……。でも、あなたは一人じゃない。手を繋ぐんだ。一人では点でも、いずれ円を描いていく……」

 

 彼女は手足の先から消えていっている。それでも、微笑んだ。

 

「待って、あなたは……!」

「やちよのこと、これからもよろしく」

 

 それを最後に彼女は消えた。

 確かに聞こえたのは、人の名前。

 

 ぐるりぐるりと思考が回る。聞いたことのない名前のはずなのに、どこか懐かしく、どこか似ている。くれはの心に浮かんだのは■■■■■。またかすれて消えていったとしても、鉤となり新たな記憶を水底から引き上げる。

 

「なんだったんだろうね。さ、くれはちゃん。続きを話そうよ」

 

 心地良い言葉が滲み出た違和感を消し去ろうとする。先ほどまでの光景は気のせいだったという気持ちが湧いてくる。世界に広がった『調整』の魔力が押し返されていく。

 その技術を持つ魔法少女を、くれはは――

 

『お願い、届いて……!』

「みたま……?」

 

 思い出した。

 彼女は、新西区で調整屋を開いている魔法少女だと確かに記憶している。料理が下手で、お節介で、お茶目で、けれど頼れる調整屋で、過去を話してくれた彼女が真実を探すのならばと、手を伸ばしたはずだ。

 

「誰それ?」

 

 再び記憶を引き裂かれようと、止まらない。

 彼女は■雲■■ま。阻害されて失われようと、なにか別の力が押し止めている。元に戻そうとする魔法が働いている。

 

「……そうよ、八雲みたま。私は彼女を知っている」

 

 開け放たれた窓から風が吹く。

 一つの光が、ひとひらの桜の花びらを運ぶ。

 

 それは出会いと別れの象徴だと、再度認識したはずだ。

 誰が?

 

『│……くれは、絶対に戻って来て|』

 

 思い出せ。

 大切なものでかけがえのないものを、この先も続く世界への道標として心に秘めたはずだ。

 

 桜の花びらはテーブルに落ちると一冊の本となった。

 店売りの緑のブックカバーを付けたそれは、二度と忘れないと誓った証。

 

『あんたが教えてくれたんでしょ!? あたしの魔法は希望を引き継ぐ力で、想いは確かに受け継いでたんだって! あの頃にはもう戻れないんだ! だから――!』

 

 『言霊』が『暗示』という同系統の認識阻害を妨害し、『舞台演出』が既存の人格を元に想起をサポートする。その取っ掛かりさえできれば、欠けた記憶が『復元』されていく。

 

 学校には、他にも魔法少女がいた。

 南凪区で活動する魔法少女を知っている。

 いや、神浜にはもっと多くの魔法少女がいる。それだけじゃない、別の街にだって知り合いがいるはずだ。

 

「ダメだよ……思い出さないほうがいいのに……」

 

 みことの言葉をすり抜けて、くれはは日記を手に取った。ページを巡ると暖かな光が溢れ出す。

 それは、万年桜のウワサとしての力の顕現。内に秘めるウワサのエネルギーが周囲を塗り潰し、喫茶店を作り上げていた鏡の迷宮を、桜舞う草原へと書き換えていく。

 

 景色が消える。寒空に春の空気が満ちていく。

 遠くにあるはずのくれはの家が近くに見える。手を振る姉が、妹が、両親が、花となって散っていく。優しさに溢れたくれはを呼ぶ声と共に、あるべきものへと還るように、舞う桜に混じっていった。

 

「そう、だった。私は、ずっと……」

 

 くれはの視界がぼやけた。

 幸せな夢だった。ありえたかもしれない世界が、こんなにも心地良いものだと失って初めて気づいた。

 

 日記を閉じればまだ間に合う。しかし、その手は動かさない。

 彼女はおとぎの魔法使いではない。完全無欠のヒロインでもない。人並みに欲があり、その精神は鋼であるはずがない。普通の少女だ。その彼女が、永遠に続く幸福な世界を捨てる選択をした。

 

 ……だが、消えていってなお、薪を焚べたように意志は強く燃え盛っていた。

 涙を拭った彼女の瞳に迷いはない。それでも前を向いて、彼女と向き合っている。

 

「私を願う誰かがいるなら、きっと助けられるなにかがあるのなら……私はまだ戦える」

 

 風が、くれはの頬を撫でた。

 日記が光となって心に満ちていく。もう、全てを思い出した。

 

「行っちゃうの? ここにいれば、ずっと一緒にいられるんだよ」

「ええ、夢みたいな世界だったわ……だけど、この世界は代わり映えしない。永遠に同じ。……変わらないのよ。寝ても覚めても同じ日々がやってくるのなら、夢なんて描けないわ」

「人生も夢みたいなものだよ。夢想にすぎないの。……同じだよ。現実もここも同じ。くれはちゃんは架空の家族ごっこを楽しんでる。今度は自分が姉のように振る舞いたいから家に住まわせてるんでしょ」

 

 みことは告げた。本心から心配するように言葉にした。

 

「でもね、そんな偽りはいらないんだ。お姉さんと妹さんは生きてる。お父さんとお母さんも優しいまま。なにがいけないの? くれはちゃんだって、取り戻すことを願えばよかったと思ったことがあるでしょ?」

 

 全て真実だ。

 姉と妹が死んだ日、涙が枯れ果てるほどに泣いた。元来の無表情がより強く現れた。両親が死んだ日にはもう流す涙はなかった。ただ、遠く離れていってしまったと思っただけだ。もしも、少しでも涙を流せたなら取り戻したいと願っていただろう。

 悔やんだことは一度だけではない。けれど、その『願い』があったから今がある。

 

「いなかったなら、増やせばいいよ。望むならそうしてあげる。見たいものを見て、信じたいものを信じて、思い描こう? それがここでは現実になるの」

 

 みことの言う対象には家族や姉妹だけではなく、他の人物も入っている。本人を連れてくるわけではなく幻影の存在ではあるが、世界にとっては現実だ。

 だが、それは真実からの逃避だ。幾度でも手を伸ばすと誓った彼女が、その選択をするはずがない。

 

「気づいたのよ。あなたがいなくなってから出会えた人がいたって」

「……もう私のことはいらないってこと?」

「違うわ。その逆に、あなたがいれば出会えた人もいたはず……」

 

 くれはが思い描いたのは今まで出会ってきた魔法少女たち。

 手を取り合い、時には敵対し、共に戦って日々を過ごしてきた。それは、記憶の中でキラキラと輝いている。

 

「……ここにいようよ。もう戦わなくていいんだよ。どんなに時間が経っても一人になんてならないのに」

「どんなに苦しくても、辛くても、私は先に進む。帆奈だって過去には戻れないとわかってるんだもの」

 

 二人の言葉は互いを通り抜けて行く。

 

「わからないの?」

「わからないわ」

 

 変身して突きつけたカトラスが、決別の証だった。

 

 彼女に直接刃を向けることになるとは今まで微塵も考えていなかった。

 こうして向けたのは彼女の正体を確かめるため。同等の決意を持っていると示す行為。告げなければ先へは進めないと、確信していた。

 

 ミラーズで起きた大量発生。

 外に出てきたコピー。

 八雲みたまが語ったこと。

 送られた招待状。

 複製された自分。

 

 ここまでの証拠が揃えば、それら全てが指し示す答えを導き出せる。

 くれはが、口を開いた。

 

「あなたは、鏡の魔女じゃないでしょ」

 

 導き出した結論に、初めてみことの目が大きく見開かれる。

 

「……じゃあ、なに」

「私の中に眠るみことの『想い』。それが正体」

 

 そう言って、カトラスを消した。

 目の前の彼女を鏡の魔女だと結論付けて斬りかかればそれでも解決しただろう。だが、本当にそれでいいのかと足掻いたとき、答えを口にしていた。

 

「どう」

 

 みことは今までにない笑顔を見せて笑った。

 嘲りでもなんでもない。友人といて楽しいから笑う、心の底からのものだった。

 

「ふふ……残念、ちょっと違うよ。私は『想い』のコピー。本物ですらないんだ」

 

 みことが語った始まりは、紅の花びらが羽根のように舞った時のこと。ウワサを纏ってアリナと戦ったあの決戦の日だった。

 

 帆秋くれはは一度だけ、ウワサの力を借りて『上書き』をその身に宿したことがある。 

 『希望を引き継ぐ力』たるそれは、やちよの持つ『希望を受け継ぐ力』同様にみことの想いを宿していた。その場にいた帆奈からコピーされ、ウワサが消えてもなお心に残り続けていたのだ。

 

 依代を失った『想い』は、本来ならばなにもできずに時間の経過で消え去るはずだった。

 しかし、くれはは彼女と出会ったのだ。『復元』の魔法を持つ、古町みくらと。

 

 彼女と出会うたびに無意識に発動した『復元』が『想い』を強くしていった。ちょうど月木彦と瑠璃の人格が現代に甦るように、いつの間にか『暗示』までもがこの世に戻っていた。

 

 けれども所詮は心の中の存在。そこで終わるはずだった。

 だが――記憶という心を読み取り、自我を持つコピーを生み出すミラーズに入ってしまった。

 本体たる『想い』はくれはの中にしかいないが、『暗示』の効果はミラーズ内に徐々に広がっていき、今や手足のように扱える。鏡に記憶から読み取ったみことの姿を映すことさえも。

 そして、今に繋がる。

 

「不思議だよね。私を呼び起こした魔法が対抗手段になるなんて」

「魔法が世界に満ちてるのはどういうこと? それに、この場所は……」

「そっちは気づかなかった? ソウルジェムの中だよ。使い魔の結界を押し込んだの」

 

 ウワサの結界がウワサの自由に創造できるように、この内部も全て自由に書き換えられる。

 それに、いくら穢れが溜まってもドッペルが癒し、くれはは『願い』で死なない。外敵はミラーズが押し返す。永遠に一緒にいられる。それがみことの思惑だった。

 

「私は見送るだけじゃ満足できない。こうして動けるのなら、幸福を目指してなにが悪いの? くれはちゃんだって幸せになれるのに」

「……私のため?」

「くれはちゃんは失うことに耐えられない。だから失うことのない世界が必要なの。それに、手に入れてないものは失えない」

 

 みことは、消えかけた手を見せた。

 

「もう引き伸ばすのも限界なの。ここから出たら私は消える。くれはちゃんはさ、私を殺したいの? 家族にもう一度死ねって言うの?」

 

 そして、両手を広げて迎え入れるように言った。

 

「一緒にこっちに来てよ。また一緒になろうよ。ね? それとも、私を置いていくの?」

 

 それは、奇しくも二度目の問いかけであった。

 一度は魂を濁らせた。しかし、今ここにいる彼女は。

 

「私は現実に生きる」

 

 絆を育み、未来を見た。

 恋しく、嬉しくなれるものがある。

 幸福な世界を振り切ったことが、変わったことの証明だった。

 

「……そっか」

 

 みことは背を向けて空を見上げた。彼女にとっては苦々しいほど空気が澄んでいる。

 今のくれはであればその選択をすると、正体を見破られた時から気づいていた。でも、諦めきれなかった。意地の悪い言い方も全部その現れだ。

 

「理由、聞いてもいい?」

「はは……ひどいなぁ……好きだからに決まってるでしょ」

 

 本物が言えば、きっと赤くなるのだろう。不思議なことに、みことにはもう成り行きに任せる感情しかなかった。消える前に心の内を全て晒しておきたいと、感情が昂る。

 

「本当の『想い』はまだ帆奈ちゃんの心の中にあるよ。そこに私が入り込む隙間なんてない。だからせめて、くれはちゃんだけでも独占したかった。あわよくば帆奈ちゃんも」

 

 使い魔を操ってコピーを作らせたのも、くれはのものだけだ。帆奈だってくれはと同じぐらい好きに決まっている。けれども、それをするわけにはいかなかった。

 

「さあ、私を殺して。今さら迷うこともないよ……」

 

 ゆえに、

 

「もう少しだけ、足掻かせて」

 

 その言葉の意味がわからなかった。

 彼女が今さらなにを言うのかと心が動いた。

 

「私はね、欲張りなの。ここに残ることはできないけど、あなたの想いも無駄にしたくない。どうあっても二つに一つしか選べないなんて……嫌なのよ」

「だって、私は偽者で――」

「知らないわよ、そんなの。あなたはあなたじゃない」

 

 くれはは正面に回って彼女の手を取る。そして己の心臓へと近づけた。

 

「あなたが『想い』のコピーでも、話した時間と記憶はあなたとだから分かち合えたものなの」

 

 それはみことの記憶でも同じだった。欲張りで自分勝手。ともすれば迷惑がられるだろう性格。

 

「……そういうとこだよ。"私"が好きだったのは」

 

 重ねた手はすり抜けず、熱が伝わる。くれははきっと、この"みこと"が消えないでいい方法を探そうとするはずだ。

 

「大丈夫だよ。私の想いは無駄にはならない」

 

 けれども、消えるしかないことは本人が一番よくわかっている。元よりイレギュラーの存在。『復元』で力を取り戻しても、気づいてしまったくれはが外に出てしまえばそれで崩れる脆い永遠だ。

 

「でもね、一つだけ、覚えておいて。いつか必ず選択をしないといけない日はやってくる。くれはちゃんでもどうしようもないことがある。だから、どんな選択をしても後悔だけはしちゃダメだよ」

「それは……」

「『暗示』が消えた以上、本物の『想い』ももうすぐ消える。でも、くれはちゃんの魔法とミラーズなら――」

 

 もう一度、"みこと"は語った。過ぎ去った過去ではなく、未来の話をした。くれはでさえ簡単には信じられなかった内容ではあったが、他の誰でもない彼女が言ったことだ。

 

「――お願い」

 

 呟いたそれが、最期の言葉だった。

 

 きっとそれこそ彼女の願い。魔法少女の原点ならず、人が誰しも持つもの。

 その想いは、確かに伝わっていた。

 

「……こんなこと、普通なら言えないけど……大好きよ」

 

 流れていって、消えていく。

 だとしても、変わらないものだってある。

 

 世界に亀裂が走る。

 桜舞う草原も消え、くれはの視界に映ったのは、帆奈だった。

 

「……心配かけたわね」

「バカ」

「声、聞こえたわ。みたまも桜子も……みくらにてまり、せいらの魔法が呼び掛けてくれた」

「自分たちもいるぞ」

 

 起き上がって周囲を見ると扉と鏡ばかりの場所にいる。寝ていたベッドどころか部屋が丸ごと消え去って、あの空間に追い出されていた。十七夜たちが戦っていたコピーたちは倒されたようで、全て消えている。

 

「良かった……戻ってきた……」

「……みたま」

 

 くれはが伸ばした手をみたまは握る。今度こそ、本当に手を取った。

 

「うむ、一件落着だな。あと、そういう言葉は全員に言ってやれ」

「そうね……私たちは円だもの」

 

 また突拍子もないことを言い出したと視線が向けられるが、程度の差はあれど誰もがその意味を理解していた。

 

 戻ってきたのならここにいる理由もない。しかし、扉を通って帰るか鏡屋敷から帰ろうかの話し合いはそのくれはが止めた。

 

「"みこと"が教えてくれたことがあるの。……帆奈、みんな、聞いて」

 

 彼女が語ったことを、今度はくれはが語った。

 攫ったのは鏡の魔女の仕業ではないことやその方法。誕生した経緯の話の時はみくらが申し訳なさそうにしていたが、くれははむしろ感謝をしていた。彼女と出会わなければ、今も帆奈の心に眠る、消えかけた『想い』に気づかなかったのだから。

 

「魔法少女としてのみことは『暗示』と一緒に消えたわ。けれど……一人の少女としての、その『想い』はまだそこにある」

 

 それを帆奈へ向けて告げた。

 そして、()()()()を説明した。一見、荒唐無稽なものではあったが、疑う余地はない。

 

「│こっち。付いてきて│」

 

 始めに桜子が案内したのは、少し離れた場所にある里見灯花が設置した装置。元々使い魔を誘導していたこの周辺には『暗示』を受けていないものが多い。

 こちらの魔法少女の多さを察知したようで、使い魔が一斉に襲い掛かってくるも、杏子の槍の一振りで多くが吹き飛ばされた。

 

「露払いはあたしらに任せなよ。アンタがやるって言うからみんな付いてきてんだからさ」

 

 そこに続くのはななか、このは、みと、ゆきか。いくら使い魔が来ようと、この布陣が撃破していく。

 呼び寄せられていたのは使い魔だけではなく、コピーもいる。無表情ではなく口々に話しかけてくるが敵意が滲み出ている。よく知る普段の偽者だ。

 

「ここはわたしに任せて」

 

 一歩、みたまが前に出る。

 『神浜を滅ぼす存在になりたい』と願った魔法少女の力が、少女たちの願いを叶える一助になれば、と布を振るった。

 

「なら自分もコピーの相手をしよう。桜子君、帆秋たちを送り届けてくれ。古町君たちも、頼むぞ」

 

 最後に残った六人はそのまま走り抜ける。

 目当ての装置は今も電波を発し続けて、使い魔を誘導していた。

 

「私たちはここの防衛を。吉良、三穂野、行ける?」

「もちろんです。今までの成果発表としましょう」

「ここがクライマックスですからね! 成功させますよ!」

 

 その装置に桜子が触れて、その周囲を歴史研究部の三人が囲む。

 魔力を通して桜子が言った。

 

「│……大丈夫。問題なくできる。あとはくれはと帆奈だけ│」

 

 これで、準備は整った。

 邪魔をする使い魔とコピーを足止めして、装置を防衛し、電波の誘導先を書き換えた。

 

 そして――

 

「止まれッ!」

 

 全力で帆奈に向けて『停止』を行使する。その対象は目に見えない。音も聞こえない。触れることもできない。けれども、必死に魔法を使う。

 

 ここまで全員が協力したのは全て、更紗帆奈の内に眠る瀬奈みことの『想い』のためだ。

 "みこと"は語っていた。元は同一の存在である本物もきっと同じ感情を抱いているはずだと。無駄にしたくない。足掻きたいと言うのならば、とそれを伝えた。

 

 ()()()()とは、『想い』が消える前にこちらから乗り込むことだ。

 

 鍵となるのはミラーズの性質とくれはの魔法。

 『停止』が秘める真価とは、認識さえできれば存在を証明できること。気配や魔力の反応すらなくとも、確かにそこにあると示すことができる。今も消えゆく『想い』だろうと同様。くれはが知覚すれば捉えることができる。

 そして、それを元に誘導した使い魔が道を作れば辿り着けるはずだ。

 

「もう私は振り返らない……だから、あの日の続きを……!」

 

 それが虚偽であるものか。それが無謀であるものか。協力する誰もが彼女ならばできると信じている。ここいない者でさえ、今この瞬間も案じている。

 

 和泉十七夜は確信した。

 境遇と偶然を変え、運命を曲げることができると。

 

 佐倉杏子が抱いていた。

 最後に勝つのは愛と勇気だと。

 

 古町みくらは掘り起こした。

 消え去るはずの瀬奈みことの想いを。

 

 柊桜子は学んだ。

 出会いがあれば別れがあり、その逆も同じことを。

 

 八雲みたまは手を掴んだ。

 『願い』は変わらずとも、その先へと進めるはずだと。

 

 そして、更紗帆奈は信じていた。

 瀬奈はきっと、呆れながらも待っている。

 

 因果を一本の糸とするのなら、『原因』は既にここにある。

 ならば、その『結果』を引き出すのみ。

 

 それに、あの時、確かにくれはに聞こえた音がある。

 己が胸中に眠る消えかけた想い。たった一つの儚い望み。

 

 そうだ。

 

 彼女は、なんと言った。

 伝えた望みは、なんだ。

 

 彼女は確かに求めたのだ。

 望みを伝えたのだ。

 

 ならば……それを――その伸ばされた手を! 彼女が掴まぬことがあるものかッ!!

 

「ここにッ!!」

 

 大きく、魔力が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――」

 

 果たして、その空間でくれはと帆奈が向かう合う人物と交わした言葉はなんだったのか。

 

「――」

 

 

 その答えは本人たちにしかわからない。

 ただ、停滞するものではない。どんなに辛く、苦しいものでも告げるはずだ。

 

「――」

 

 この場所で、三人は話し合っていた。

 この場所で、三人は考えていた。

 かつてのように未知の世界を切り開くことはなくとも、運命と戦っていた。

 確かにこの場所で、彼女たちは輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日の時が経ち、神浜は平穏を取り戻していた。

 

 吹き抜ける春風がくれはの頬を撫でる。

 ブロッサムで用意してもらった紫苑の花を手に、彼女は屋上から夕暮れを眺めていた。

 

 まだ真実を見つけてはいない。ここは遺体が眠っているわけでもない。それでも、今、この場で花を手向けるのが一番だと思った。

 

「さよなら、きっと忘れない」

 

 紅に燃える雲の切れ間に、星が光る。

 

 あの時、確かにここにいたことをくれはは覚えている。

 いつだって笑顔を見せてくれた思い出は眩く、かけがえのない時間だった。

 

 だから、もう迷わない。 

 魔女であれ偽者であれ、彼女がまた立ち塞がったとしても、帆秋くれはが乱されることはない。

 

 果てなしの希望が、その心に宿る限り。

 




■今回の内容
 『さよならさえ言えなかった夕暮れ』
 星2メモリア『残照』

■さよならさえ言えなかった夕暮れ
 ミラーズ編(鏡の魔女とは言っていない)。
 『紅の初花染めの色深く』の「……全部片付いたらみことに報告しないと」の続き。

■みこと
 瀬奈みことの『想い』のコピー。ややこしい。
 説得が成功してなければ無理やりにでも理想の世界に引き止めようとする。危険。

■かなえ
 コピーする際に道が繋がってたので出会っていた。『耳を撫でて彼岸の声』のこと。
 そろそろいい加減に免停されそう(小並感)。

■???
 「裁判の借りは返すワケ」
 「神浜にいてもらわないと、わたしはとても困るのよ」

■上書き
 正しくは『能力複製』。だいたいこいつのせい。
 やちよさんと同系統という二次設定なので当然『想い』も引き継いでいた。それに本家『希望を受け継ぐ力』が上乗せされているので声も聞こえることがある。 

■鏡の魔女
 公式HPに性質は『隠遁』と書かれている。
 しかし登場人物欄のまどかはまだ消えたほむほむを探しているので設定が変わってるかもしれない。

■屋上の魔女
 その性質は()()
 クーほむMSS3話においても"夢"という単語は使われている。そこにおける夢とはいまだ確定していない宇宙の可能性の一つ = 平行世界のこと。
 屋上の魔女も鏡の魔女もみことだとすれば、ああなれば、こうなればと夢想した屋上の魔女もいつしかアリスのように迷い込んだのかもしれない。

■魔女の性質って変わるの?
 ドッペルが変わるんだから変わるんじゃない?(適当)
 ほむほむも『此岸の魔女(Homulilly)』に対応するのが、閉鎖回路・業因・自己完結(くるみ割りの魔女)ってあるからヘーキヘーキ。

■つまり?
 この先本編でどんなどんでん返しがあってもここは平行世界の二次創作です!

■後日談
 あと1話。



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