マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート 作:みみずくやしき
パート? みかづき荘のSummerVacation 前編
最大限に水着イベントを活用するRTA、はーじまーるよー。
今回はチャートに組み込まなかった水着イベントをご紹介します。
発生タイミングの都合上、どうしてもロスが発生してしまうので利用できなかったのですが、救済イベントなので上手く使えばうま味です。パート11ぐらいで言いましたね。
今後更なる短縮に利用できるかもしれないので、くれはちゃんには未来への礎になってもらいましょう。
というわけで、時間も惜しいですし(走者の鑑)さっそく行動を開始しましょう。いつものくれはちゃんハウスからスタートです。
「ん……起きた?」
なお、帆奈ちゃんや杏子ちゃん、ゆまちゃんは相変わらず同居中です。いきなり横に帆奈ちゃんがいるのはそういうことですね。今は特に関係ないのでスルーします。
では起床後すぐに外出して下準備をしましょう。
しかし移動中は暇なので、み~な~さ~ま~の~た~め~に~……。
水着イベントの内容について……お話しします。
今回利用する『みかづき荘のSummerVacation』はなんと、七日連続で発生する長期イベントです。毎日毎日様々なキャラとの遭遇チャンスや信頼度上げチャンスが巡ってきます。よって、七日間を利用して信頼度上げに使うのが主な利用方法になるでしょう。無理なくチャートに組み込めるのなら更なる短縮が目指せるかと思います。
イベント名からお察しの通り、これはチームみかづき荘が主体となるイベントです。五人揃ってからでないと発生しないので、早期加入フラグ等を立てない限りは第5章以降に発生しますね。遅すぎるっピ! こんなんじゃRTAになんないよ~。
しかし、第二部まで通しで走るレギュレーションの場合は組み込めるチャンスがあります。お話ししたいところですが目的地に着いたので後々。
おう! やってるかい!
「どうしたんですか? 先輩なら今日は来てませんよ」
みかづき荘じゃなくて、いつものウォールナッツだぜ!
イベントのために海へ行く理由は色々ありますが、今回はまなかちゃん経由で海の家でのアルバイトを選択します。そして移動販売を請け負いましょう。これで自由に行動できるうえにアルバイトを理由に無駄に拘束されなくなります。
ここに莉愛様がいれば良かったのですがいませんね(屑運)。まあどうせ水名に行くのでそのタイミングで大丈夫です。
次は新西区の商店街に行きます。この時期に行われる福引を見ておきましょう。特賞に、海水浴場近くの民宿のプレミアムご招待券(宿泊券)があることを確認すれば大丈夫です。
いろはちゃんがこれを所持すれば水着イベントが始まります。ノーマルなら勝手に始まりますが、ハードだと買い物帰りに当ててくれるかどうかの運ゲーですね。
なお、確実に水着イベントを発生させる裏技があるので使います。ハードモードの神浜にそんな良心があるはずないだろ! いい加減にしろ! とお思いかもしれませんが、あるものはあるんじゃい!
その方法とは自分が宿泊券を引いていろはちゃんに渡すことです。発生フラグが宿泊券の所持なので、実はこれでも発生します。運頼りのチャートなんてやってられねぇぜ。欲しいものは自分で掴み取るってはっきりわかんだね。
福引券は一定金額以上の買い物をすれば必ず貰えるので優しいですね。1/8の確率で貰えるとかじゃなくて良かったです。20回以上買って一回もツモらないなんてことにはならないから安心!
しかし、一門特有の屑運なので引いても中々出ないこともあると思います。だったら出るまで回せばいいだろ!(天井の裏技)
回転! 出ねぇ!
回転! 出ねぇ!
回転! 出ねぇ!
回転! 出ねぇ!
少女福引中……。
出ました。もう十分だ……もう十分だろう!
というわけでこれで六人分の宿泊券が手に入りました。この数は現在のチームみかづき荘のメンバー数に比例します。
この後はこのままブロッサムに寄ったり水名に行ったり杏子ちゃんと出かけたり、美雨やエミリー先生と会ったりしますが、作業じみていて見所さん!? がないので……じゃ、当日まで流しますね……(加速)。
おはよーございまーす!
無事にいろはちゃんたちが海に来てくれるそうなので、くれはちゃんもやってきました。徒歩で。
なんせこのイベント、発生場所が南凪区なので移動のロスがありません。
我らが南凪には海水浴場もあります。遊園地もあるカミケ(即売会)もある、ビキビキビキニ1・2・3(レ)。やっぱ南凪はすっげーな。ワクワクが休まる暇がねぇぜ。
そしてここが七日間の拠点、海の家『Octopus House』です。一見普通の海の家ですが、ウォールナッツとコラボしているのでトマトケチャップやきそばという名のナポリタンがあったりする洋食メインの店になっています。
「これ、クーラーボックスです。くれぐれも厨房には立たないでくださいね?」
福引ではしばし遅れを取りましたが、今や巻き返しの時です。
まなかちゃんから説明を受けたら『みかづき荘のSummerVacation』のスタートだぜ!
「いってらっしゃ~い」
「……というか、なんでみたまさんがいるんですか」
「だってぇ、この夏一番アツいスポットじゃない。調整屋さんはいつでも魔法少女の味方なんだからいるのが当然よ~。それに、このはさんだって来るんでしょう?」
「彼女もくれはさんと同じでスタッフですよ……」
まなかちゃんの言う通り、ここにはこのはがスタッフとして参加するので店内勤務にすれば信頼度上げに利用できます。今回は関係ないのでスルーしましょ。
ではさっそく、余計なロスを回避するために変装をしましょう。くれはちゃんの交友関係では目と目があったら不要なイベントに引き込まれてしまいます。それ以外にも海なのでナンパなどのランダムイベントが発生してしまいます。そういうことがなければスムーズに進められるので、変装でチャートを安定させることができるんですね。
さらに余計な移動時間を短縮するために必要な物は持てるだけ持ちます。クーラーボックスにもラムネを詰め込めるだけ詰め、詰め込もうぜ~。
水着!
Tシャツ!
サングラス!
麦わら帽子!
クーラーボックス!
宣伝用ののぼり!
ビーチパラソル!
メガホン!
浮き輪!
\デェェェェン/
おぉ~いい格好だぜぇ? これで完璧です。浜辺に繰り出すぞ!
それでは一日目の行動ですが、まずはチームみかづき荘とかもれトライアングルのみなさんと出会っておきましょう。イベントの中心となる彼女らと顔を会わせておくことが必要です。
彼女たちは宿にチェックインした後はすぐに海に来ます。準備を終えてから行くとちょうど良いタイミングになりますね。あそこの九人もいる団体さんがそうです。
「あ、くれはちゃんだ!」
さすがにここまでしても鶴乃ちゃんにはバレますね。神浜のクマノミは伊達じゃないな。
出会ったのでもう目的は達しましたが、この後の展開のためにもう少し話しておきます。
あっつぅ~! ラムネ! ラムネ! 冷えてるか~? 大丈夫っすよ。バッチェ冷えてますよ。
「くれはー! 一個くれ!」
フェリシアがラムネとか買い始めましたよ。やっぱ好きなんすねぇ。
ちなみにここで売った分だけアルバイト代にボーナスが入ります。ここを金策として使うと良いときには結構いきますが、信頼度上げが難しくなるのが難点ですね。要検討です。
「フェリシアさん、あんまり食べすぎると……」
「なんだようい、いらねーのか?」
ところでみなさんお気づきかとお思いですが、この場にはういちゃんがいます。つまり第一部が終わっています。
これぞ、発生が遅いのならもっと後にしてしまえばいいじゃない作戦です。第二部までのレギュレーションで走る際に使えるテクニックですね。発生条件を被せられる他のイベントもまとめて起こせるので効率的に利用できます。
あのさ、くれはちゃん、そろそろバイトなんだよね……。
「そうでしたね。じゃあまた!」
おし! じゃあ働いてやるぜ!
ちゃんと働くと約束したな。あれは嘘だ。
目的地はここ、管理事務所です。行われている『ビーチ遊びキャンペーン』では、ビーチバレーやスイカ割り、ビーチ・フラッグスの道具を貸し出しているので各種海の遊びが堪能できます。
しかし、くれはちゃんにそんなことをしてる暇はありません。ここではビーチ・フラッグス以外の道具をあの手この手で貸し出しさせます。
その理由は安定のために決まってるよなぁ? チームみかづき荘の行動を把握しやすく、一番無難なのがそれだからです。
ビーチバレーを発生させると大会が開かれて多くの魔法少女が巻き込まれて行動が変化します。スイカ割りも同様です。魔法少女が本気で叩いたら粉々になりますし、その場面を杏子ちゃん辺りに見られると一騒動起こります。
よってビーチ・フラッグスが一番です。レナちゃんがちょっとアレなことになるだけで済みます。
ではポケットマネーでありったけレンタルしまして……オラそこの天音姉妹! スイカ割りの目隠しと棒だ受け取れ! あ、おいゴルァ! 降りろ! お前スイカ持ってんのかオラァ! おいスイカだ持ってけ!
次! 手頃な魔法少女は……おーい待ってくれ! ちょっと! おーい! 待ってくれ! ……行ったかと思ったよ。
「曲者っ!? いいでしょう、竜真流の技を――」
「はいはいストップ、よく見て。帆秋さんだよ」
合宿で稽古に来ている明日香とささらですね。
しかし二人だけのところに渡しても仕方ないですし、あとは……。
「うん……うん!? ちょ、ちょっとまさら、こころ! くれはさんがすごい恰好してる!」
「すごいはともかく、変なのはいつものことだと思うけど。ねえ、こころ」
「よく見たらいつも通り……かな? 浮き輪も持ってるし……」
ほう……中央学園トリオですか、たいしたものですね。あいみを加えたまさここはイベントへの適応がきわめて高いらしく、チャートに利用する走者もいるくらいです。それに良い感じに数も増えてバランスもいい。
あいみとは会いたかったですし奇数でも別にいいでしょう。じゃあこれで――
「あ、くれはさんっ!」
うぁぁぁ! ゆ……ゆきかが砂浜を練り歩いてる!
ちくしょうこんなとこにいられるか! ボールだ受け取れ! 六人で仲良くな! じゃあな!
というわけで逃げ帰ってきました海の家です。一日目にすべきことは終えたのであとはパパパッとまなかちゃんの手伝いをして終わりっ! このはも付けるぜ!
「くれは、まなか先生に頼まれた移動販売は?」
なんのこったよ(すっとぼけ)。
おはよーございまーす!(二回目)
二日目となる本日も海の家からスタートです。
まずすべきことは電話ですね。あ、もしもし? ひみかちゃんですか? どうもこんにちはーっす。でぇ~、あの~海の家の~、お得なヤツ見っかったんですよぉ~。景品はねぇ……商品券で、5万!
「本当ですか!? 行きます!」
これでひみかちゃんを呼び寄せることができます。元々勝手に海に来ますが、連絡すれば向こうから会いに来てくれます。
では到着を待つ間、二日目に登場するある魔法少女を見つけに行きましょう。
どこだぁ……探すぞぉ……。
この期間中に海にいる魔法少女は結構バラバラですが、フラグさえ立っていれば確実に登場します。今回は昨日のあいみですね。彼女と海で出会っていれば……。
「帆秋さん! 偶然ですね!」
レナちゃんに対抗できる水着姿が眩しい夏希ちゃんと出会うことができます。
なお、この手が使えなかった場合には他の参京院メンバーから経由すれば大丈夫です。うまいぞ短縮。
ここまでの準備は全て、二日目の午後に開催される『冷製パスタエンドレスバトル』に参加するためです。これは参加する魔法少女とその関連人物の信頼度を上げることができます。他のイベントに参加できなくとも、これだけはやっておいたほうがいいでしょう。
優勝することで神浜市内で使える五万円分の商品券が貰えるのでひみかちゃんは来ますよそりゃあねえ。夏希ちゃんもスポ根精神があるので頼めば参加してくれます。
ちなみに他にも『超辛カレーチャレンジ』がありますが、こちらはデバフを受けるので参加させないほうがいいでしょう。みたまさんの料理より遥かにマシだけどな!
じゃあ夏希ちゃん、応援する相手やるからついてこい!
それでは開始時間まで暇なので今回の勝負の説明をします。
要は三人一組で食べるわんこパスタです。以上。
正攻法で優勝するためには142皿以上食べることが必要です。普通に食べるといやもーもうお腹いっぱいだ……となるので事前に練習するか、固有魔法でズルするのがいいですね。連れて来れば絶対に勝てる魔法少女はいますが……今回は関係ありません。
対戦相手の参加チームは結構変わります。エントリーの時間になったので確認してみましょう。
いるのは……固定のチームみかづき荘はもちろん、ななか組とアザレア組ですね。なんだなんだお前よぉ~ここで戦おうって魂胆か?
「実況はこのまなかが――」
「待ったー! 実況ならば、心に響いて世界を巡れ! 枇々木めぐるにお任せください!」
「うわっ急になんですか!? ……ああ、なんだくれはさん関係の人ですか。じゃあお願いしますね。解説は美雨さんがしてくれるそうなので」
今回の布陣はまあまあですね。
ななか組で参加するのは美雨を除いた三人です。あきらは平均的で、組長は遅いですが着実に増やしていくタイプです。なので脅威となるのはかこちゃんです。実は彼女の好物はラーメンで、麺類に関しては大食いです。かわいい顔してる割には結構ハードなことやりますよコイツは!
アザレア組はボーナスチームです。葉月とあやめは平均的で、このはは味わって食べるので致命的に向いていません。よっぽど変なチームでない限りは勝てるでしょう。ただし、絶対にリタイアはしないので注意しましょう。
チームみかづき荘は鶴乃ちゃん、フェリシア、やちよさんで構成されます。万々歳の二人は元からよく食べるので強力です。
しかし一番警戒するべきはやちよさんです。彼女はやりますよ。前述の超辛カレーをなんなく食べきる剛胆な精神と、常人を遥かに超える食に対してのアグレッシブさを併せ持ちます。間違いなく優勝候補です。
そして、ここに参戦するのがくれはちゃん、夏希ちゃん、ひみかちゃんの飛び入り三人組です。質としてはそ、そこそこですね(無礼)。
「さてみなさん、準備はいいですか! 冷製パスタエンドレスバトル……スタートですッ!」
デヤーッ!(開幕大食い)
ウワーッ!(喉に詰まる)
イヤーッ!(リタイア)
これでタイムをロスせずに参加したという実績だけ貰えます。
別に誰が優勝しようが関係ありません。参加さえすればそれで信頼度が上がります。次行こうぜ。
店内業務で金策しつつ、終わったらレナちゃんを連れて近くの宿に向かいます。こころちゃんたちが泊まってるところですね。つべこべ言わずに来いホイ!
この宿、せいかとあやかが合宿に来ています。目的はここで二人に遭遇することです。それ以外に用はないので、部屋に入ったらレナちゃんとせいかの会話だけ見て帰ります。
おはよーございまーす!(三回目)
本日三日目は海の家での接客に勤しんでいましょう。最初に移動販売を選んでも結果が散々だとこちらに移動することができます。働こうぜ二人とも。
「今日はわたしが代わるわよぉ。みんな来てるんでしょ?」
「というわけよ。ここは私たちに任せて」
「まなかとしても、この人にいられるよりはみたまさんのほうが……いやどっちも飲食店では危ないですけど……」
ちょ、すいません! すいません止めてもらっていいですか!
追い出されてしまいました。まさかこんなに強引だとは思わなかったんでね……。以前の料理教室がここまで響くとは想定外でした。今後のチャートにはきちんと書いておきましょう。
この三日目は、さなちゃんが夜に見た幽霊のような存在と、聞いた言葉『カムゴン』の謎を追いかけるパートですが……。
昨日せいかと会ってるのでもう答えは出てます。『カムゴン』とはあやかとせいかの新作ネタです。外で稽古をしてたら見られただけですね。レナちゃんが知ってるのでもう話してることでしょう。(三日目は)キャンセルだ。
というのもこのイベント、下手するとどこまでも騒ぎが大きくなって収拾がつかなくなる可能性があります。さらにさなちゃんがお笑い芸人ルートに引き込まれたり、海から帰った後もカムゴンを追い続ける海洋生物学者ルートに突入して行動が変化してしまいます。起こさないのが一番ですね。
なので海の家で魔法少女と出会う一日にする予定だったのですがチャートが壊れちゃ~う!
まあいいや(走者の屑)。砂浜で行動しても大きくは変わらないし、ちょっとぐらい変えても……バレへんか……。
今回は変装すると逆効果なので普通に行きましょう。
ヘイ帆奈ちゃんたち、待った? 待たない? 大海近いからね、しょうがないね。
「あ、あれ……? 変な格好してるって聞いてたんだけど……」
「普通に水着だな」
「ゆまと買った水着!」
帆奈ちゃんの水着はレアですね。味方側に引き寄せて信頼度を上げないと海に来てくれません。杏子ちゃんは見滝原組のイベントで見れますし、ゆまちゃんも杏子ちゃんと出会えていれば結構あります。
「よーし、ゆま、競争だ!」
「わー!」
意気揚々と行きましたが、杏子ちゃんはみたまさんに調整してもらわないと泳げません。浮き輪を持ってるので浮かぶぐらいでしょうねぇ、ええ(確信)。ちょうどいいのでそのまま遊んでてもらいましょ。もともと呼ぶつもりではあったので短縮だな!
ではしばらく海辺で遊びつつ、横目で杏子ちゃんを確認しておきましょう。
杏子ちゃんどうすっか。浮かぶのは楽しいっすか。
「いいね。波に揺られるってのは悪くない」
今日はダメみたいですね。普通に楽しんでます。あれが起きるのは明日みたいです。
仕方がないので浜辺の散策で目的を達成……おうどうした帆奈ちゃん!
「べっつに~?」
嘘つけ絶対くれはちゃんのことチラチラ見てたぞ。おお、そうかぁ。おお? そういう……関係だったのかぁ……。
下手に拗らせると後日の行動に支障をきたすかもしれません。ここは安定のために帆奈ちゃん第一に行動しましょう。安定を取る走者の鑑(自画自賛)。
おはよーございまーす!(四回目)
四日目は空き日です。特別決まり切ったことが起きないランダムイベント地帯なので注意しましょう。ここで失敗するとバッドエンドに引き込まれてしまいます。
いろはちゃんの泳ぎの練習を見るぐらいなら大丈夫ですが、さなちゃんの『こねこのゴロゴロ』トークに巻き込まれると大幅にロスります。ヤメロォ!(本音) それに今日はやることがあるのでロスってられません。
「調整屋さんも今日は泳ごうかしら~」
「うむ、海に来たからには泳ぐべきだと思うぞ、八雲」
あすいません、あの、海の家に、なぎたんがちょっと入り込んでるんですけど……。イベントですよイベント!
「帆秋もどうだ。画伯……御園君も来ているぞ」
おう、考えてやるよ。今はアルバイト中なので一旦断ります。みたまさんとなぎたんが海に行ったら前言撤回して尾行しましょう。
海に入りました? 入りましたね。
ちょうど近くに杏子ちゃんもいますね。オラ忘れものだ受け取れッ!!
「いきなりなに投げてんだ! あ、これ……スマホ?」
海に来る前に準備しておいた防水仕様のスマートフォンです。プレゼントしても携帯電話なのに携帯しないこと(激ウマギャグ)があるのでこうして渡しておいてあげましょう。
「おーい、くれはー! 今持ってても仕方ないから返――わぷっ!?」
こんな感じで杏子ちゃんを海に置いておくと波にさらわれます。
発生タイミングはランダムなので、三日目と四日目に配置しておくと安心ですね。特にみたまさん、なぎたん、かりんちゃん、ういちゃんが揃っていればいるほど確率が上がります。
なにが始まるんです? 『サマトレ!』だ。
これは別の水着イベントですね。無人島でサバイバルするという内容で、普通にプレイする分には面白いのですが、いかんせん放置するとタイムに問題が発生します。
なんとこれ、発生中は該当メンバーとの交流が不可能になり、さらにいろはちゃんなど一部のキャラの行動が変化してしまいます。タイミングによってはチャートがお亡くなりになる危険地帯ですね。無人島に数日もいたらロスります。
しかし、同時に発生させることで安全にケアできる短縮ポイントでもあります。あ~もう絶対短縮しますよそりゃ。
浜辺が騒がしくなってきたのでさっそく行動を開始します。
よし、レナちゃん、出番だぜ!
「……この状況でレナになにができるって言うのよ」
ありますあります(食い気味)。
ちょっと準備するので待っててくださいね。レナちゃんを連れて次はバナナボート乗り場に行きましょう。
ところで魔法少女は素の身体能力も半端じゃありませんが、くれはちゃんは攻撃と速度特化なので恐ろしくパワーがあります。まあトランプの束ぐらい指で余裕で引き千切れるでしょう。握力は1か2……(トン)ぐらいですね。うせやろ?
そんななので先客の天音姉妹が乗ってようが余裕で持ち上げられます。いいバナナボートだな。少し借りるぞ。
「ちょっとくれはさん!? ウチらまだ乗ってるよ!?」
「降りる、降りるでございます! 緊急事態なのはわかってるでございますから!」
牽引用の紐はカトラスで切り裂き、海に投げます。さぁ! 歩け! とっととここに上がるんだよ!
レナちゃんが後ろに乗ったら出発です。おう、せいかに『変身』して水流で押し出すんだよ。あくしろよ。
彼女を連れてきたのはもちろん『変身』によってその場にいない魔法少女の魔法を使えるからです。複雑な固有魔法は無理ですが普通の魔法なら使えます。この辺は『上書き』より有能な部分ですね。最大限利用すれば新記録が出るかもしれません。
団地組は三日目に海から帰るため、四日目のこのタイミングで利用できません。だから、事前にレナちゃんをせいかと会わせる必要があったんですね。
なお、行き先は先ほど杏子ちゃんに投げたスマホのGPSでわかります。
バナナボートで爆走しつつ今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。
◆
夏。
それはレナにとっても特別な季節。うだるような暑さが続いても学校は休みだし、さゆさゆのライブがあるんだから楽しいに決まってる。夏限定のフルーツタルトだってある。
……そして、夏と言えば。
「わぁ~! レナちゃん、ももこちゃん、見て見て! すごい綺麗だよ!」
「おぉ……! 調整屋がオススメするだけあるなぁ」
快晴の空から照りつける陽射し。一面に広がる青。
吹き抜ける潮風に乗って、鼻腔をくすぐる香り豊かな出店。
そう、海よ!
「……で、やちよさん。アタシらも同じ宿なんだ」
「ぐ、偶然って怖いわね~!」
いろはたちが怪しんでるけど……ほ、本当に偶然よ? 別にフェリシアから話を聞いてレナも行きたくなったとか、そんなんじゃないんだから! たまたまいろはたちと日程が合って、鉢合わせただけ!
「偶然かー! すげー!」
「お姉ちゃん、偶然だって! すごいね!」
「うん、そうだね……」
「いろはさん……ここはそういうことに……」
まあ、そんな前置きはいいのよ。せっかく来たんだから楽しまなくちゃ。
フェリシアと鶴乃の勢いに乗って、荷物を置いて着替えたらすぐに海へ。みんなこの日のために水着を用意してたみたい。気合入ってるわ。
けどね、うちのももこだって負けてない!
「や、やっぱ恥ずかしいな……」
「あら、似合ってるじゃない」
「おー! かわいいよ、ももこ!」
レナとかえでが選んだ水着。イメージカラーの黄色をベースに赤が映える可愛い系。髪型も一か所だけ変えてアクセントを付けた。かえでがブロッサムで貰ったっていうハイビスカスの飾りもちょうど良い。
ももこは自分には似合わないからって謙遜するけど、モカウサギとか鞄に入ってるリスペンギンとか、可愛いものが大好きだってレナは知ってる。ちょっと強引だったかもしれないなんて思うけど、アイツらはありのままを受け入れてくれるに決まってるんだから。
「レナちゃん」
「なに?」
「……胸元パンパンだね!」
「かえで~っ!」
かえでのこういうところはいつも通りだけど、海は意外な一面を見られる場所でもある。髪型をツインテールに変えた鶴乃とか、普段厚着が多いさなの水着とか。
そして、それはレナたち以外にも。
「あ、くれはちゃんだ!」
鶴乃の声に振り向いて、すぐに戻した。
……いや、いやいやいや、なによあれ。今なんか変なのが見えたんだけど。
落ちついて、もう一度。
見えたのは水着の上に『メロンが食べたい』と書かれたTシャツを着ているヤツ。それに麦わら帽子にサングラス。まあここまではいいわよ。黄色いメガホンを首から下げて、浮き輪を持ってるのも許容範囲。
でも、明らかに大きいクーラーボックス! ラムネが描かれた宣伝用ののぼり! なぜか背負ってるビーチパラソル! どれだけ持ち運んでるのよ!? というかなにしてるの!?
「アルバイトよ」
「だって、レナちゃん」
「えぇ……?」
移動販売をしているそうで、クーラーボックスの中にはよく冷えたラムネがぎっしり。それをフェリシアとういが飲んで、つられてレナも飲んだ。納得いかないこととかあるけど、おいしいし、どうでもよくなってきた。
「そういえばくれはから宿泊券貰ったんだったっけ」
「はい。六人分もあるし、元々海の近くに住んでるからって理由で……」
いろはが言うには、なんでも商店街の福引をひたすら回してたらしい。高級メロンが欲しかったんだと思うけど、それで大量に買い物して金欠になってるんだからおかしな話よね。普通に買えばいいんじゃないの? あ、それでアルバイトか……。
回すためにどれだけ買い込んだのかを想像すると背筋が冷える。「そろそろ行くわ」と去っていく姿に、ちょっと哀愁を感じた。
初日はビーチ・フラッグスをやったら疲れた鶴乃がレナの上で寝ちゃったりして大変だった。
と言っても二日目からが本番よ。移動時間なんてほとんどないから今日からは丸一日遊べるわ。
「さな……アンタ、泳いでもほとんど音がしないのね」
「泳ぎにも性格が出るんでしょうか……」
多分、それはある。背泳ぎとバタフライの融合とか言って、さっきから時々ざっぱんざっぱんと水を飛ばしてくるヤツがいるんだから。
「すごいなぁ鶴乃ちゃん、あんな泳ぎができるなんて」
いろはは浮き輪で浮かんで、やちよさんがフェリシアとういちゃんの泳ぎを見てるからそれを眺めてた。泳げないから浅瀬だけど。
「ふゆぅ……ういちゃん、良い感じだね」
「最初は溺れてるかと思ったもんなぁ」
「焦ったわよね。ばしゃばしゃーって、助けを呼んでるみたいだったし」
ういちゃんはずっと入院生活だったから泳ぐ機会があんまりなかったみたい。それで手足をとにかく動かすだけの一見溺れてるみたいな泳ぎ方。沈んでないんだけど、なんで沈まないかわかんない。
それは昔からだそうで、一時退院の時に家族でプールに行ったらいろはが勘違いしたらしい。助けなきゃって焦ったら、足を滑らせて頭からプールに落ちて溺れて、泳げなくなったとか。浮かびながらいろはが言ってた。
だから、もう勘違いさせないようにちゃんと泳げるようになりたいんだって。それで灯花とねむと一緒に海で遊びたいらしいけど……あの二人も入院してたのよね。泳げるの?
そんなこんなで遊んでたらお昼時に。
レナもお腹が空いたし、昨日から気になってた海の家へ。大きなタコの装飾がある『Octopus House』って場所。看板には『あの名店、ウォールナッツとコラボ中』なんて書いてあるし期待が高まるばかり。良いわよね。焼きそば、カレー、甘いかき氷。夢が広がる場所。
けど、なにか騒がしいわね。向こう側の鉄板焼きのコーナーが出処みたい。
……なんだか、無性に嫌な予感がしてきたわ。
「吉良先輩、古町先輩……あの焼きそばを焼こうとして全力で羽交い締めにされてるのは……」
「あれは関わってはいけないタイプの人ですね。どう見ても帆秋さんですけど」
「麦わら帽子にサングラスしててもバレバレだよね……」
どこかで見覚えのある三人組の声を背後に出処に駆け寄ると、やっぱりあいつがいた。
「レナたちじゃない。昨日ぶりね」
「はいはい、下がってください! まなかさんに言われたじゃないですか!」
「さすがにこういうのは応援できないなぁ……」
「みなさんお食事ですか!? ちょっと待っててくださいね、この人連れて行くんで!」
ずーっと真顔のままだし口調も変わんないけど、まなかと他に二人、前に会ったような気がする眞尾ひみかと空穂夏希がくれはを取り押さえて無理やり鉄板から離していった。多少抵抗してても為す術もなく、店の奥に連れられて行く。
あんまりにも急な展開に揃って顔を見合わせる。
少し待ってから奥から出てきたのはまなかに……みたまさん、このはさん……え? ここ食べ物扱っていいの?
「ふゆぅ……この海の家、危ないんじゃ……」
「一切料理はさせてませんから、大丈夫です……っ!」
「ええ、わたしはただのお客さんよ~」
まあ、食中毒なんて話は聞いてないし大丈夫でしょ。にてしもなんでこんな料理が致命的なメンバーが揃っちゃってるんだか。
それはそれとして、メニューには本格的なオムライスとかカニクリームコロッケとか海の家じゃあんまり見ないものが並んでる。『超辛カレーチャレンジ』なんてのも張り出されてるし、色々やってるのね。
どれにしょうか悩んでいると、みたまさんがレナたちの近くにぐいっと寄ってきた。
「可愛いももことお昼ごはんもいいけど……みんな、アレに興味ないかしら」
「アレ?」
「午後に『冷製パスタエンドレスバトル』があるんですよ! 優勝したら五万円分の商品券です!」
「そうよ」
「くれはさんは座っててください」
そのひみかが言うには、三人一組のチームでひたすら冷製パスタを食べ続けるわんこそばみたいな感じらしい。
レナたちはちょうど三人だしいける! って思ったけど、揃いも揃って大食いは苦手なのよね。五万円分の商品券は欲しいけどナポリタンが気になるし……やちよさんたちに任せることにした。
注文したナポリタンを待ってる間に出場するチームが出揃う。
みかづき荘からはやちよさん、鶴乃、フェリシア。
やちよさんはああ見えてその……食い意地がすごいのよ。初めて会った時、やちよさんがキープしてたドーナツを食べたらすぐにバレた。「私のドーナツがないわね……私の……」って変な空気を纏ってたもの。
それと、このはさんがいたから予想できたけど葉月さんとあやめが後からやってきてその三人。レナはよく知らないけど、あやめはフェリシアの友達らしいし、結構食べるんじゃないの。
ただ、このはさんは「これでウォールナッツの味をたっぷり勉強できるわ」なんて言ってる。ねえ、なんか目的違くない?
くれはも夏希とひみかっていうよくわからない組み合わせで参加するらしい。普段メロンばっかり食べてるイメージしかないけど、パスタも食べるんだ。
で、最後に来たのが。
「これはこれは、みなさんお揃いで」
常盤ななかさんとそのチーム。正直、ななかさんはレナがちょっと苦手なタイプ。同い年なのに妙にしっかりしてて、確かに頼りになるんだけど……なーんか、怖いのよね。
そんなだったのに、彼女は急に「こんなにも魔法少女が揃うなんて、これは夏の奇跡ですね」なんて言い始めた。
「ななか、このイベントをネットで知ったらしいヨ」
「ええ。チーム対抗のフードファイト、なんと心惹かれる響きでしょう。これは是非、参加してひと夏のメモリーを共有せねば……というわけです」
「そう言って聞かなくて……」
これ、大丈夫? 熱にやられてない?
参加するのはななかさん、あきらさん、かこ……らしい。美雨さんはいつの間にか実況席にいたボリュームのあるポニーテールの女の子の横。
「このめぐる、くれはさんが面白いことをやると聞きつけて実況しに来ました!」
「頑張るわ」
着々と進んでいく準備を見て、気づいた。レナ、理解したわ。
このはさんもななかさんも、くれはとよく一緒にいる。類は友を呼ぶってやつよ。
「さてみなさん、準備はいいですか! 冷製パスタエンドレスバトル……スタートですッ!」
ということは、その大元はやっぱり変な行動をするわけで。
「速い! くれは選手、開幕から猛スピードで食べ進んでいます! おっとこれは……!? 喉にパスタが詰まったようです! ダウン! バトンは二番手、夏希選手へと引き継がれました!」
「焦りすぎネ。一定のペースを保つのが秘訣ヨ」
そりゃあんな速度で食べたらそうなるでしょ……。
また店の奥に運ばれていくのを横目で見つつ、ナポリタンを食べた。
勝負は最終的にやちよさんとかこの一騎打ち。このはさんはマイペースで食べ続けてて、勝負ってことを忘れてるんじゃないの?
ひたすら食べ続けるかこに、味を調味料で変えつつ応戦するやちよさん。勝利を収めたのは――身体の差もあってもか、142皿も食べたやちよさんだった。そりゃそうよね。かこ、レナとあんまり身長が変わらないもの。むしろどこにあんなに入るのよ。……すご。
「おいしかったわ、さすがはまなか先生。おそらく決め手はわさびね……!」
「こ、このは……アタシらも食べたけど、そんなのなかったよ……」
「葉月……あちしら、これからわさびパスタを食べることに……」
「あちゃー、このはさんは相変わらずなんですね。またウチ来ます?」
「あ、だったら私も行きたいな! 大家族なんだよね?」
負けたほうもなんだかんだでさっぱりしてる。
ナポリタンもおいしかったし、楽しかったわ。日が暮れるまでまだあるし午後はどうしようかって考えてると、復活したくれはがレナの肩を叩いた。
「レナ、ついてきて」
そういうことになった。
じゃないわよ! なんでくれはと二人で近くの宿に来てるの!? しかもここ、レナたちが泊まってるとこじゃないわよ!
「いいじゃない」
「良くない!」
親指立てて言ってもダメなものはダメでしょ! 相変わらず水着にTシャツ、麦わら帽子にサングラスのまま入っていくし……このまま放っておいたらなにするかわかんないから、レナもついてくことに。
なにかに導かれるように迷いなく歩いて行って、ある部屋の前でピタリと止まった。そしてノックもせずに中に入っていく。なんで開いてるのよ。やっぱり変なことをし始めたから引きずり出そうと後を追って肩を掴むと、中から声が聞こえた。
「そこでカムカムカム……ゴーンだね! いや、もうちょっと溜めを作ったほうが良いかな?」
「ではここの尺を伸ばすのはどうでしょう、師匠!」
……は?
「カムゴン♪ ヘイ! ヘイ!」
「カムゴン♪ ヘイ! ヘイ!」
レナも暑さにやられたみたい。珍妙な歌が聞こえてきた。
片方は知ってる。同じ神浜市立大附属の子だもの。もう片方は……えーと……。
「あやか」
「カム――うおぉ!? くれはちゃん!? 瞬間移動マジックでもしてた!?」
「せいかの得意技ね」
「確かに……」
……なんか、もう今日はツッコミ疲れた。
新作ネタの合宿だとか、そんな話を適当に聞いて帰ったことだけは覚えてる。……あれ、レナたち、なんで宿に行ったの?
三日目。
不思議なもので、昨日のあの珍妙な行動が役に立った。
始まりはさなの話。
「はい……昨日の夜、松林で人影を見たんです。多分、女の子だと思うんですけど……こんな時間にいるなんて変だなぁ、怖いなぁって思って、そのまま通り過ぎようとしたんです。そうしたら突然! 『カムゴン』って叫んでっ! パッと消えちゃったんです……!」
「おばけ……!? お姉ちゃん……」
「だ、大丈夫だよ。まだ決まったわけじゃないし……」
「地縛霊か浮遊霊か……真夏の怪談! こうしちゃいられないよ、鶴乃探検隊、出発だー!」
「いや、それ……あやかとせいかじゃない」
レナに全員の視線が集まる。
「な、なによ!? どう考えてもそうでしょ!?」
『カムゴン』って新作ネタのやつじゃない。パッて消えたのだって、せいかのあのワープする固有魔法でしょ。細かいところは知らないけど。
そんな感じに昨日のことを話すと全員が納得した。れいらとみと相手に見せるネタの練習だってわかればあっけないわよね。くれはの変な行動のおかげってのが癪だけど。
謎も解決したし、スッキリした気分で海へ。
遊んで、ひたすら遊んで……あれ。
「レナ、どうした?」
「なんか……平和だなぁ……って」
ここ二日続けてツッコミどころが多かったから感覚がマヒしてるのかも。別に文句なんてないけど……昨日までのトラブルもなんだかんだで面白かったわ。ふふん、また起きてもいいかもね。
「レナちゃん、それフラグってやつだよ」
かえでは変なこと言うけど、そんなそうそう起きるわけないじゃない。
ういたちが波にさらわれたわ。
なにを言ってるかわからないと思うけど、レナもわからないわよ。
四日目の海。急にありえない大波が来て、かりん、みたまさん、十七夜さん、杏子さん、ういちゃんの姿が消えた。いや、よく考えなくても一大事よこれ。
浮き輪を持ってたから多少は大丈夫なはず……よね。魔力の反応を探れる範囲にはいないし、どうにか探し出すしかない。ライフセーバーの人に連絡するってやちよさんやももこは行ったけど、レナは――
「レナ、力を貸して」
声をかけてきたのは普通に水着を着たくれはだった。海にいる間ずっと変な行動をしてたけど、こういう時には頼りになるって知ってる。でも。
「……この状況でレナになにができるって言うのよ」
「あなたが必要なの。これを」
見せてきたスマホには地図のアプリが表示されていて、砂浜には『クレハ』の文字。だんだんと離れていくのは『キョウコ』の文字だ。
「ちょ、アンタこれ!?」
「美雨に感謝しないと」
聞いたことがある。くれはが行方不明になった時、このアプリで居場所を探したんだとか。
それとレナがどう関係するかは見当がつかないけど、あのくれはが今レナを頼ってる。その事実に、断る理由なんてなかった。
けど……けどね!
「こんなの船じゃないわ! 乗っただけのバナナボートよ!」
「だったら水流で押せばいいでしょ」
バナナボートって船で引っ張るのよ!? これだけあっても仕方ないじゃない!
……え、『変身』? 昨日会ったせいかに?
曰く、せいかの武器の鞭なら水流を操れる。
それでアクセル。くれはの『停止』でブレーキ。うまくいくはずないと思ってたのに、普通に運転できちゃった。なんでよ。
くれはが前でスマホを見て進行方向の指示を出しつつ、レナが後ろで水流を操って海を駆ける。出発した海岸がだんだんと離れていって、どこを見渡しても水平線が見えるばかり。これ、どこまで行くのよ。というか無事よね……?
結構な速度が出てるはずなのに一向に追いつけない。
ざばざばと水の飛ぶ音に混じって、くれはが口を開いた。
「レナ、一つ言っておくことがあるわ」
「なによ。今さら戻るとか言わないわよね」
「私、泳げないのよ」
へぇ~……。
……。
「――は?」
今、こいつはなんて言った。
こんな海のど真ん中で、とっても致命的なことを言わなかった?
「……あんた、住んでる場所海の近くよね!?」
「ええ」
「固有魔法を使って海の上を走るとか器用なことできたと思うんだけど!」
「泳げないからそれしかないのよ」
くれはが嘘や誤魔化しができないのはレナも知ってる。言っていることは全部真実。
でも変身したら羽根帽子にカトラスってどことなく海賊っぽいし、誰よりも早く海に駆けだして自分から入ってったやつが、カナヅチ? なによそれ。
ふと、昨日の風景が頭に思い浮かぶ。
くれはと同居している帆奈、杏子、ゆまが一緒に遊んでいる姿を見た。くれはと杏子はそれぞれ浮き輪をずっと持っていて……あぁ、そういうこと……。どうりで帆奈がそわそわしてたわけ。
「ほら、手。しっかり掴まってて。落ちたら大変でしょ」
……別に、変なことじゃないわよ。落ちたら大変だし、止まるのにくれはは必要だし。
そのまま進み続けてしばらく。遠くに陸地が見えてきた。なにも言わないしあそこが目的地ね。
でも速度を出し過ぎてる。どんどん島が近づいてきてるし、これ、『停止』を使ったら……!
言う前に、急にバナナボートが止まった。
そんな、急停止したら――
「バ、バカー!!」
空に投げ出されるに決まってるじゃないの! 止めたのはボートで、レナたちは止まってないんだから!
頭上に見えるのは海の青。足元に見えるのが青空。これ、落ちてる。
まあ、でも……レナたち、魔法少女だし。海だし。落ちても平気なんだけど……くれはは泳げないから……仕方ないわね!
咄嗟に『変身』する対象をかえでに変える。こっちのほうが使い慣れてる。
近くに見える砂浜目掛けて杖を振るって、生やすのはツタ。ビル以上に大きいワルプルギスの夜の高さですら伸ばせるし、固定できるんだから落下するレナたちを受け止めるには十分。しっかりキャッチしたあとは砂浜に下ろす。ついでにバナナボートも回収してから『変身』を解いた。
「ありがとう。溺れるかと思ったわ」
「いいわよ別に。で、ここ? 近場にはいないみたいだけど……」
流木とかばっかりで人影はない。本当に無人島って感じ。
スマホを見ているくれはを後ろから覗き込むと、アイツは言った。
「島を間違えたわ」
「な……なっ……!」
あんまりにもあっさりだったから反応が遅れる。
だって、それって。
「なんでレナたちが遭難するのよーーーっ!!」
透き通る青空に、むなしく響いた。
■今回の内容
『みかづき荘のSummerVacation』
『サマトレ!~火に消えた夏の宝~』(一部分)
七海やちよ 魔法少女ストーリー 1話 『七海やちよの家にて』(一部分)
環いろは 水着ver. 魔法少女ストーリー 3話 『泳げない理由』(一部分)
十咎ももこ 衣装ストーリー 水着(2018) 『ももこ、女の子らしく』
メモリア 『アタシだって女の子』
■あらすじ
「アンタ一体何なのよ! ああっ! ラムネを売る! まなかは引っぺがす! 喉にパスタを詰まらせる! 潜入を手伝えなんて突然メチャクチャは言い出す! かと思ったら人をコントに巻き込んでネタ出しさせる! 挙句は天音姉妹が乗ってるバナナボートを持ち上げる! アンタ女子高生なの!? お次は水流で移動ときたわ! アンタが、泳げないって言うから手伝ったわ、そうしたらレナまで遭難する身よ! 一体何があったのか教えてちょうだい!」
「ダメよ」
■くれはちゃん(水着Ver.)
またの名をコマンドーVer.。ほむらちゃん要素。
神浜の魔法少女は疲労に弱いな! くれはちゃんを見ろ! 絶対倒れないぞ!(七日連続海)
■レナちゃん
言わずと知れた神浜の名プレイヤー。とりあえず出しておけば話が回る。MPも溜まる。
今日もAAA連打からの「水波レナは、これで勝つ!」
■レナちゃん人気の秘密
・一人称が『レナ』で区別しやすい。
・ボケとツッコミをこなせる多様性。
・性格的に他のキャラが言いそうにない指摘ができる。
・なにか言う → かえで「レナちゃんそんなことも知らないの?」を始めとしたコンボが強力。
・言わなくてもかえでちゃんとももこちゃんに発言のパスが回る。
・実はいろはちゃんのクラスメイト。
・実は弟がいる。
・かえで「レナちゃん胸元パンパンだね!」
・かえで「レナちゃんはさぁ……」
・かえで「ういちゃん11歳だよ……? レナちゃん15歳だよ……?」
・属性が多すぎる。
・さゆさゆ推し。
・かわいい。
■みかづき荘のSummerVacation
チームみかづき荘が揃っているので第5章より後。あかんこれ入れたらシリアスが死ぬぅ!
アザレア・団地と同じくまさかのマルチバッドエンド内蔵。なんで?
■時系列
5章前のマジカルハロウィンシアターの時点で10月。やちよさんが『環さん』呼びなので6章前。正確に水着イベントを入れると5章から6章までに半年以上経過してしまう。
細けぇことはいいんだよ!
■ハイビスカス
ももこちゃん(水着2018)が赤のハイビスカスを付けている。
ちなみにみたまさん(水着2019)は青のハイビスカス。
■Tシャツ
変T。
ホオズキ市で売ってるかもしれない。鈴音に貰ったとか貰ってないとか。