マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート 作:みみずくやしき
夏を飛び越えるRTA、はーじまーるよー。
前回、ついうっかり島を間違えました。バナナボートの操作は難しいですから仕方ないですね。
嘘です。完全にミスです。あのさぁ……。
「ど、どうすんのよ……スマホにも表示がないじゃない……」
これは二人ともイキスギだからOKか。そうですね(自問自答)。
まあ表示範囲外に出ちゃっただけなのでバナナボートに戻ってちょっと移動します。すぐ隣の島に杏子ちゃんたちがいることがわかりますね。これぐらいならガバムーブとは言われないでしょう。
おーい元気かーい。
メンバーは杏子ちゃん、なぎたん、みたまさん、ういちゃん、かりんちゃんですね。結構戦力高いけど、五人はどういう集まりなんだっけ?
「くれはちゃんたちも流されてきたのね~」
「バナナボートであんな到着してるの見てよく言えるわね……」
ちょっと上陸に失敗してバナナボートはどこかに飛んで行きましたが、減速するよりこっちのほうが早いですね。それにもう使わないので関係ないです。
「方向がわからなかったから魔法を使えなかったけど、これなら帰れるの!」
「それ、かりんちゃん以外も?」
「……無理なの」
えぇ……(困惑)。かりんちゃんが長距離ワープできるとか聞いていません! 最初から強化かりんちゃんでチャートを組めば短縮できそうだけどお前どう?
ワープできるのはかりんちゃんだけですし距離もあるので帰ろうとしないのはいいですが……今後はこういう事態も想定してチャートを組まないといけないかもしれませんね。できるわけないだろ! いい加減にしろ!
なので元のチャート通りに携帯で助けを呼びましょう。連絡先はもちろん……。
「えぇ!? 遭難ですか~!?」
「ア、アンタ……その電話相手……!」
さゆさゆです。なんで沙優希にみたいなことを言われますが、島の特徴を教えることで話が進みます。
実はここ、位置はランダムで変わりますがさゆさゆが企画で訪れることになる島と同じです。撮影の日程を近くに合わせてやれば即日助けに来てくれます。だから、事前に水名に行く必要があったんですね。
「夕方には到着するそうです~! 待っててくださ~い! あ、実はその島はですね――」
知ってるのでキャンセルだ。レナちゃんたちに聞かせつつチャートの確認でもしてましょう。
次は迎えが来るまでに『サマトレ!』を高速で終わらせましょう。
こいつは無人島生活を楽しむ一方、島に残されたお宝を探すパートが本命です。本来はどこかに落ちている宝の地図を探さないといけませんが、さゆさゆに連絡することで地図の場所を教えてくれます。
「企画で用意されてボツになったものがこの島に……うむ、ちょうどいい時間潰しになりそうだ」
「宝探しなの!」
「ワクワクするね!」
いつ帰るんです? 島が夕方、日没前になったらだ。
地図を入手したら探索スタートです。ヒントとなる木簡は地図上の印の場所に落ちています。普通にプレイする場合、薪と一緒に燃やしてしまわないように注意しましょう。
まずは最初の木簡に従って特定の歩数通りに山に入ります。指定の場所についたらおもむろに周囲を歩き回り、落とし穴に落ちろ! ……落ちたな。
「く、くれはさーん!! 真顔で落ちてっちゃったよ!?」
「なんでこんなとこに落とし穴があんだよ……」
(アイドルにやらせるには)ちょっとズレてるかな……。
穴は一つしかないから間違うことはありません。中にある次の木簡を拾い、魔法少女特有の跳躍力で脱出します。
この勢いでどんどん行こうじゃねぇか!
今度は逆さ吊り、ムチ責めに遭おう(提案)。縄のトラップにかかって吊られることで話が進みます。
「アンタさっきから罠に引っかかりまくりじゃないの! 助けるレナの気持ちにもなりなさいよ!」
「あら、でも木簡が落ちてきたわ。これで合ってるみたいね~」
アイドルの企画にしちゃあ、罠がデカすぎんじゃねぇかぁ?
変身してカトラスで縄を断ち切って降ります。次行こうぜ。
「帆秋はサバイバリティに溢れているな。自分も負けてられん。一層気合を入れよう」
あっそうすかぁ!? こんな感じで正解し続けると全員のやる気が上がります。くれはちゃんもなかなか……探索うまいじゃん。
このまま続けていけば地図上に最後の場所のヒントが現れます。もちろん知ってるので直行します。
というわけで直感を信じて(すっとぼけ)川に沿って山中を進み、泉を見つけます。次はここの岩を壊しましょう。水底に抜け穴が見つかります。この水路を進んだ先にある洞窟が次の目的地です。さゆさゆが魔法少女だからいいものの、アイドルになにやらせようとしてるんでしょうね。
今のメンバーだと杏子ちゃんは泳げませんし、練習したとはいえういちゃんも微妙です。よってここはレナちゃんの出番です。
おう、かえでちゃんに『変身』してやんな!
「したけど……これでどうするわけ? というかアンタも泳げないじゃない」
ツタを抜け穴の先にまで伸ばしてもらいましょう。呼吸を止めてこれを伝っていけばういちゃんでも先に進めます。つくづくアイドルにやらせることじゃないですね。
洞窟内は蚊が大量発生していますが、これがボツになった原因です。くれはちゃんは集中すれば自分の間合いに入った蚊ぐらいなら斬れます。しかしそんなこと一々やってられないので、ここもレナちゃんに任せましょう。
おう、鶴乃ちゃんに『変身』してやんな!
「またレナ? 蚊はイヤだからやるけど……」
「このメンバーだと面を攻められるのは水波君だけだからな。適切な判断だろう」
「なぎたん、ちょっとズレてるの」
話してる間にどんどん燃えていきますね。大爆発が起きたり酸素がなくなったりはしないので安心設計です。
蚊がいなくなったら他の魔法少女たちも先に進めます。くれはちゃん一人なら突撃するんだけどな~俺もな~。
「千両箱ね。中身は……あら、手紙?」
「それと紙か……こんなん誰が喜ぶんだよ……」
実はこれ、さゆさゆが愛してやまない水名の刀工・上桐にさゆさゆのために打ってもらった刀の押型です。本物は錆びてしまいますし、企画自体ボツになったのでこれだけ置かれています。
「ふ、二つとないお宝じゃないの!?」
「はあ?」
「遭難して良かったー! ついてきて良かった! ありがとうくれは!」
これでレナちゃんの信頼度が爆上がりします。引くぐらい上がるので、ここまでに下がるような行動をしても大丈夫です。この後押型を独占していいのかどうか悩み始めますが喜んでるのでいいでしょう。
さらに先に進むと崖に出ます。夕陽が綺麗ですね(小並感)。さっきのはおまけみたいなもので、こっちを見ることが探索パートのクリア条件です。
「あたしらにとっちゃこれがお宝かもしれないな」
「向こうから船が来てるの! きっとあれなの!」
「これ本当に貰っていいのよね!? レナ、貰うわよ!?」
じゃあ、崖際行って……落ちろ。当然ですが帰りはこれが一番早いです。魔法少女だから、魔法少女だから安心! 崖下の砂浜に飛び込めー!!
あ、みなさんは『変身』で生やしたツタで降りてきてくださいね。万が一にでも不幸にもソウルジェムから落ちて割れたら困るので。
「みなさ~ん! 迎えに来ましたよぉ~!」
あとは船に乗って帰れば四日目も終了です。本来は三日かかるようなイベントなので良い感じに短縮できました。
ちなみにイカダを作って脱出することもできますし、灯花ちゃん辺りにヘリを呼んでもらって脱出することもできます。自前のボートを持ち込んでもいいですね。
「お宝にさゆさゆ……これ、夢じゃないわよね……? レ、レナ……もう……!」
「わーっ!? 水波先輩が倒れたの!?」
許容量をオーバーしてやられてしまいました。レナちゃんがお目目ぐるぐる状態です。背負って船に乗って帰りましょ。
おはよーございまーす!(五回目)
昨日無人島探索をしたのに懲りずに海に来ています、こいつすげえ精神だぜ?
五日目ですが、今日は鶴乃ちゃんのターンです。彼女が計画するサプライズツアーが思惑通りにことが運ぶかで話が変わります。
それだけなのでここは極力スルーでいいです。チームみかづき荘とは十分交流してますし、昨日の『サマトレ!』に参加したういちゃん効果で勝手に成功します。失敗しそうでもみたまさん辺りがなんとかしてくれます。それよりかはまだ出会っていない魔法少女を優先したほうがいいでしょう。六日目のこともありますからね。
そういうわけで海の家スタートです。
なお、私服に着替えておきましょう。この後街中に行くのに水着じゃ不審者になっちゃう、ヤバイヤバイ……。
「今日は出かけるのよね? 明日の夏祭りの準備だって聞いてるけど……」
「まなかも付いて行きますからここはお願いしますね。もちろん、葉月さんたちが来てから行きますから」
他にもお店の人はいますが、このは一人にすると確率で料理を作ってしまいます。別に一般人が食べてもどうでもいいですが、万が一にも魔法少女の誰かが食べて倒れたらチャートも崩れる可能性があります。ちゃーんと葉月とあやめ、それに都合が合えば他の魔法少女も呼んでおきましょう。
そして必ず、この五日目の時点でみかづき荘のみなさんに夏祭りのことを教えておきましょう。
海の家に張られているポスターを偶然見ることでも知ってくれますが、そんなランダム要素には頼れません。へっへっへ、直接叩きつけてやりますよ。
というわけで訪れる魔法少女たちと出会ったら、まなかちゃんを引き連れて行きましょう。目指すは松林の辺りです。明らかに目的地と逆方向に突き進んでるので怪訝な顔をされますがスルーします。
「いやどこ行くんですか。こっちは宿ぐらいしか……ん? さなさんたちですね」
この時間帯、松林にはチームみかづき荘とかもれトライアングル御一行、そしてこのみちゃんがいます。
「呪いが降りかかる~? 大変だぁ!」
「大変ですよ~! ……って、くれはさん!?」
鶴乃ちゃんとこのみちゃんが明らかに演技をしていますが、サプライズツアーの一つです。今回はみなさんとこのみちゃんの顔見知り率が高いために普通ですが、低いともっと演技がバレバレなキャラ作りを頑張ることになります。
極力スルーと言ったのはこのイベントだけは干渉するからです。なんと、ここでいろはちゃんが呪いにかかったフリをすると逆に失敗します。とんだ困ったちゃんだな。
よっしゃ、ここはくれはちゃんの演技力を見せてやるぜ!
「そ、そうですねー……呪いにはかかってないかなー……」
「ほんと? 本当に? 実はちょっと疲れたりしてない?」
勝ったな。さすがは今まで説得で様々な場面を乗り越えてきたくれはちゃんです。演技なんて楽勝ですね。
あとは下準備をするだけの作業パートなので、(見所は)案外少ないっす……。
やってきました六日目。
海の家で金策の後、夕方からは夏祭りの会場に向かいます。まずは実行委員会本部で彼女たちと出会いましょう。
「くれっちおっす~! 今日はよろしくねー!」
「ごきげんよう、帆秋さん……今日は負けませんわよ!」
エミリー先生と莉愛様を始めとした魔法少女のみなさんです。地域活性化の一環でエミリー先生がお祭りをリニューアルすることになったのでその広すぎる交友関係で呼ばれています。
そしてこのお祭り、サブタイトルがリアフェスティバルです。つまり莉愛様です。凄ェ! 流石莉愛様ァ!
ちなみに彼女が言っているのはステージイベント『女神チャレンジ』のことですね。要するに莉愛様とバラエティに富んだ面白対決をするイベントです。参加しないので関係ありません。
「待ってたヨ。ななかたちも後で来るネ」
夏祭りですし、南凪には互助組織の蒼海幣があります。当然美雨もいます。
「蒼海幣、神浜市とコミットして、ベンチャーシーのリーディングカンパニーを目指すヨ。そして、イノベーションしてシナジーしてシェアするネ」
サプライジング、おいローンチコンプライアンス、ビジネスモデルなコワーキングスペース洗い忘れてるぞ。
「そしてゆくゆくはグローバルにブラッシュアップするヨ」
「うんうん、南凪のお祭りを盛り上げたらチュンチュンのためにもなるじゃん?」
であることを意味していますよねぇ。
要はそういうことです。フィーリングです。
「……胡桃さん、おわかりになるかしら」
「まったく」
それは置いておいて、ここに来たのは出店のためです。
企画段階で参加しておけばある程度は店を決められます。任せておくと変なお店ばかりになるのでアルバイト代が減ります。だから事前にエミリー先生と会っておく必要があったんですね。たこ焼き、お好み焼き、パンケーキ、やきとり、フランクフルト、やきそば、ジェラート、かき氷、りんご飴、わたあめと食べ物系は一通り揃えておくとまんべんなく売れます。ここに金魚すくいなんかも追加すれば金が増えるって寸法じゃガハハハ。
しかし、チームみかづき荘の夏の思い出を邪魔する要因はそこそこあります。
対象となるのはかのこの『きのこ焼きのこ』、みゃーこ先輩の『ケミストリー射的』、みなさんご存知『中華飯店・万々歳』の三つの屋台です。
かのこは放っておくと変なキノコを混入させ、みゃーこ先輩は完璧に空気銃の調整をこなしてしまいます。なので先んじてかのこにキノコの再チェックを要求し、空気銃の圧縮レベルを勝手にマックスにしておきましょう。しておきました。
そして万々歳の屋台に関してはくれはちゃんが手伝いをします。
夏祭りにおいて一番危険なのがこの万々歳の屋台です。どこからともなく夏祭りの噂を聞きつけ、ほぼ必ず参加してきます。そのうえみかづき荘の面々がこの存在に気づくと、お祭りを楽しむよりも手伝いのほうを重視してしまい、突然バッドエンドに殴りつけられてしまいます。なので手伝いが必要ないレベルで完璧に働きましょう。
ではさっそく突撃ー!!
えー素敵な夏祭りの屋台をお手伝いさせていただきます、出張料理人の帆秋です。どうぞよろしくお願いします。
「おお、話は聞いてるよ。手伝ってもらえるのはありがたいなぁ」
鶴乃ちゃんのお父さんですね。本走中はまったく見てなかった気がしますが誤差だよ誤差!
万々歳なのでまったくもってうまいラーメン屋の屋台ではありませんが、お祭りはそういうものなのでよく売れます。普段からアルバイトしてるならその差は歴然でしょう。とても一人では手が足りません。
ですが、くれはちゃんはブロッサムで鍛えた強者です。その接客能力は最初の頃の働き始めと比べたら天と地の差ほどあります。圧倒的な成長を実感する俺もな~。
注文を捌けるのは気持ちいいですね。あんまり来られるとロスるから気持ちよくはない!
「あ、くれ先輩じゃん!」
「昨日は海の家で夜は出店……ずっと、働いてますね……」
梨花ちゃんとれんちゃんのご来店だぁ! お店を担当していない二人はずっと回っているので、高確率で現れるのが嬉しいですね。
「……む、ダメダメ。くれ先輩には待ってる人がいるでしょ?」
「そ、そうです……」
おっと……これは……。
「うん、ここからはもう大丈夫だから。お祭りを楽しんでほしいな」
いえ、そんな、ちょっと……冗談はよしてくれ(タメ口)。
「キョーコ、万々歳のお店だよ!」
「あそこの出店かぁ……つーかなにやってんだよくれは」
「なんで働いてるわけ? 今日は譲ったんだからさぁ……」
くれはちゃんハウスの面々の協力技が決まって見事に万々歳から引き離されていきますね。間違いありません。
イベント踏んだwwwwwロス確定wwwwww。
草生やすな(豹変)。
原因はわかります。くれはちゃんの圧倒的な料理技能のなさでしょう。万々歳の手伝いをするには足りなかったようですね。笑っちゃうぜ~!
リセットするより進めたほうがマシなのでこのまま進めますが、みなさんはこんな初歩的なミスをしないようにチャートをちゃーんと守りましょう。いろはちゃんたちが見つけたら? リセットだよリセット!
到着した先は~ブロッサムの屋台だった~。
もう何度も見ましたねこれ。店長さんはともかく、当然のようにこのみちゃんがいます。
「……あっ」
なるほどねぇ、道理でねぇ(御明察)。
夏祭りなので当然、信頼度が高い魔法少女とのイベントがあります。(このみちゃんに引き寄せられた可能性が)濃いすか?
特に短縮できるポイントでもないので早送りしちゃいましょう。キャラによって細かい内容は異なりますが、最終的に櫓前特設ステージに来るのは同じです。
「みなさーん! こんばんはー!」
ももこちゃんもレナちゃんも見とけよ見とけよ~。さゆさゆが司会で嬉しいダルルォ!?
ちなみにアイドルルートを選んだ場合にはプレイヤーと二人でやることもありますが、くれはちゃんには全く関係ないです。
「さあ、勝負よ! ――あら? ほ、帆秋さん!? なぜ観客席に!?」
ステージ上に莉愛様がいますが、最初に言ったようにこの『女神チャレンジ』は参加しません。見てたほうが早いです。
対戦メニューはお祭りに関係したものが多々ありますが……実は莉愛様は型抜きや金魚すくいなどの縁日でよくあるお店に対する技量がカンストレベルの超人です。まともに相手をしても勝てません。
唯一、かのこ提案のきのこ叩きならば普段からハンマーを使い慣れているフェリシアが有利となります。なので下手に干渉せずにフェリシア単騎で挑戦させるのが手っ取り早いでしょう。
そしてその後の盆踊りと花火に入ってしまえばもう六日目は大丈夫です。スキップじゃあっ!
おはよーございまーす!(ラスト)
七日目はチームみかづき荘のみなさんとかもれトライアングルの三人がお帰りになります。普通にプレイする分には見送ってからが本番となるでしょう。
しかしRTAなので最後の一日は適当に飛ばしましょう。裏でくれはちゃんが色々やってるでしょうがスキップだスキップ。
というわけで揃って帰宅しました。
「あー疲れた……」
なんでこんなにキツいんすかね~水着イベントォ~……。ゆまちゃんなんかぐっすり寝てて杏子ちゃんがおぶってきてますよ。(疲労が)溜まってんなぁ、オイ。風呂入ってさっぱりしましょうよ~。
海では40人以上50人以下? 何人の魔法少女と出会ったかわかんねぇ!
このように水着イベントは多くの魔法少女と出会えるチャンスがあり、かつ信頼度も上げられる有能イベントです。でも発生時期がね……。うまいこと利用できればかなり短縮できることでしょう。
というわけで今回は以上となります。ここまでのご視聴ありがとうございました。
◆
波にさらわれた面々を助けに行ったと思ったら、無人島での宝探しが始まっていた。なんでよ。
けど、確かに気にはなる。くれはが連絡先を知っていたことが腑に落ちないけど、さゆさゆのボツになった企画だなんてファンとしては参加してみたい。どうせ助けが来るまで時間はあるし、全員乗り気だったみたいだからレナも付いて行くことにした。
それに地図を見た時点で気づいたことがある。達筆のものをわざと汚して判別しにくくしてあったけど、"ゆ"、"名"、"斬"が読めた。企画としか言ってなかったけど、明らかに水名の観光PRドラマ『さゆさゆの水名辻斬り紀行』に関連している。レナだって何回も見たんだから間違いない。
「く、くれはさーん!! 真顔で落ちてっちゃったよ!?」
「なんでこんなとこに落とし穴があんだよ……」
でもどうしてこんな罠だらけなのよ!?
結構身長の高いくれはがすっぽり埋まるぐらいの大穴に、完全に吊り上げられる高さまで引っ張り上げる縄。絶対に張り切るところを間違えてる。
さゆさゆが魔法少女だってことは知ってる。ワルプルギスの夜との戦いの時にいたもの。さすがにあの時はレナも状況をわかってたから、驚きを無理やり抑えて戦ってた。
だからまあ、魔法少女だしこの程度の罠どうとでもなるけど……アイドルにやらせることじゃないでしょ!? どうやって普通のアイドルが岩を壊すのよ! なんで水路を泳ぐ必要があるわけ!?
「今度は鶴乃に『変身』をお願い」
「またレナ? 蚊はイヤだからやるけど……」
「このメンバーだと面を攻められるのは水波君だけだからな。適切な判断だろう」
「なぎたん、ちょっとズレてるの」
この蚊の大量発生がボツになった原因って聞いたけど、絶対にそこじゃない。鶴乃の扇を振るいながらそんなことを思った。
というか、なんだかレナばっかり働いてない? いいように使われてる気がしてちょっとモヤモヤする。レナにしかできないことだからって、くれはは言うけど……。
「千両箱ね。中身は……あら、手紙?」
「それと紙か……こんなん誰が喜ぶんだよ……」
ここまで来て入っていたのは二枚の紙だけ……ボツになったとはいえ、さゆさゆの企画なのに妙ね。もっとさゆさゆを喜ばせるようなものが入っていてもおかしくないはずなのに。
手紙を見せてもらうと、やっぱりドラマに関係しているみたい。もったいないから管理者に了承を得て謎と仕掛けは残したんだとか。
二人は表しか読まなかったみたいだけど、裏にもなにか書いてある。もう一つの紙が"ささやかだが唯一の宝"……?
いや、いや待って、これ、もしかして、ほんと?
「ふ、二つとないお宝じゃないの!?」
「はあ?」
「遭難して良かったー! ついてきて良かった! ありがとうくれは!」
もう一つの紙とは刀の押型。要は魚拓みたいなものよね。
正直レナは刀自体に特別な思い入れがあったわけじゃない。でもライブで熱く語るさゆさゆを見て興味を持ったのよ。さゆさゆのために作られた刀の押型なんて、それこそこの世に唯一のサイン!
手にしてからというものの、ふわふわとして思考がまとまらない。
これがどんなものか説明したら満場一致でレナが貰っていいって言ってくれたし、元々許可は出てるそうだけど本当に貰っていいの? これ、この世に一つしかないさゆさゆと接点を持つアイテムなのよ?
だからお宝探しに一番乗り気だったういちゃんとかりんにもう一回聞いたんだけど。
「わたしにはよくわからないけど、レナさんが嬉しいのが一番だよ!」
「そうなの。水波先輩が喜んでくれたならいいの!」
と、そう言ってくれた。
なんだか無性に嬉しくなって、崖から降りるために伸ばしたツタはちょっとやりすぎた。かえでがやってるのを見ないレベルの大きなツタだった。
元の砂浜に戻ってきたレナたちを綺麗な夕陽が照らす。
最初、波にさらわれたって聞いた時はどうしようかって心配になったけど、終わってみれば良い思い出になったのかもしれない。杏子さんとくれはが泳げないことを知ったし、十七夜さんとみたまさんはなんだかんだで頼りになる。かりんとういちゃんだって普段以上に話せた……と思う。
遠くに見えていた迎えの船が段々と近づいてきて、無人島での宝探しも終了。最後にちょっとぐらい、くれはに感謝を――
「みなさ~ん! 迎えに来ましたよぉ~!」
あの声は。
「さ、ささささ、さゆさゆ……」
「はい! 史乃沙優希です~!」
船から手を振るのは恋の辻斬り姫、史乃沙優希。愛称はさゆさゆ。水名の歴史を刀剣などと絡めてPRするローカルアイドル。水名女学園の高校三年生で18歳。思わずプロフィールを暗唱したけどレナの見間違いなんかじゃない。確かにそこにいる!
だ、だ、だって、さゆさゆよ?
あのこの世界に舞い降りた天使と見紛うごとき可愛さと慈しみを併せ持ったトップアイドルのさゆさゆが今ここにいるわけでそもそもレナはさゆさゆのために打ってもらった刀の押型を貰ってるしそれってつまり本人と本人のためのものが揃ってるわけでなんかもうよくわかんなくなってきたけどとにかくレナの気分は過去最大レベルで上昇中なの今も笑顔で駆け寄ってくるさゆさゆの笑顔をレナたちが独占しちゃってもいいのかなというかこの押型だって記念館を建てて寄贈すべきなんじゃないのなんて思って――あ、幸せが、限界。
「お宝にさゆさゆ……これ、夢じゃないわよね……? レ、レナ……もう……!」
そこで、意識が途切れた。
レナが次に目を覚ましたのはくれはの背中の上だった。おぶわれて宿まで運ばれてる途中だったみたいで、隣にはももことかえでがいる。
実はここまでの全てが夢だったんじゃないかと不安に襲われたけど、ちゃんと押型は存在していて、頬が緩んだ。
始まりは、特に暑い日のことだった。
いつものようにブロッサムでアルバイトをしている私に店長のおばさんが声をかける。なんでも、南凪の夏祭りに参加するらしい。以前に海浜公園に出張販売に行った縁があって呼ばれたみたい。
この一週間ほどアルバイトは私とかこちゃんの二人だけ。かえでちゃんは丸々七日間も海に行くそうで楽しそうに予定を語ってくれた。
そして、くれはさんも同じタイミングで海の家のアルバイトをするらしい。商店街の福引きでお金を使いすぎたから稼ぐんだって。福引きの帰りにブロッサムに寄ったから姿を見たけど、すごい荷物の量だった。何回引いたんだろう?
そういうこともあって夏祭りにも店長さんと私だけで参加することに。お花のことをみんなに知ってもらえる機会だし、なかなかない出来事だからワクワクする。
だけど、ほんの少しだけ残念がる気持ちもあった。もしもあの人と一緒に行けたのならもっと素敵になっただろうから。なんだかいつの間にか欲張りになっちゃったみたい。思い出を話すだけでも楽しいのにね。
少し上の空になりながらも時間は過ぎてゆく。日も落ちてそろそろ帰る時間になる頃、お店に姿を現した人がいた。水名女学園の制服を着て長い金髪を纏めた人。何度かくれはさんと一緒にいる様子を見たことがある。
「えーっと、七瀬ゆきかさんですよね?」
「あ……ご存知でしたか。わたしばかりが一方的に知ってるようで気が引けてたんですが、良かったですっ」
「それって、どういう……」
「くれはさんがたまに話してくれるんです。ブロッサムでのこととか、よくお泊りするとか」
どうも私や観鳥さん、帆奈ちゃんのことを話題にすることがあるらしく、いつの間にか詳しくなっていたみたい。割合としては一緒に住んでいる帆奈ちゃんがどうしても一番多いんだって。
そうだよねって思う気持ちとは裏腹に、話しながらも準備していた指の動きが鈍くなった。
ゆきかさんは話の中で出てくるブロッサムに興味を持って来てくれた。なのに私がこれじゃ申し訳ない。
気持ちを切り替えようとした時、彼女が言った。
「ブロッサムも夏祭りにお店を出すんですよね? その会場とくれはさんがアルバイトしてる海の家ってすごく近いんですよ。わたしも用事があって海に行ったんですが、偶然会いましたから」
「え……」
慌ててスマートフォンで場所を確認してみると、確かに近くに海水浴場がある。かえでちゃんが行くって言っていた場所でもあった。営業しているお店は聞いていた『Octopus House』。彼女はそこにいる。さらに、夏祭りの運営側には衣美里ちゃんたちがいるらしい。
こんな偶然あるのかなって嬉しくなる。だって、もしかしたら――
そうして、夏祭りの日に向けてブロッサムと私の準備は進んでいった。以前から気になっていたものを手に入れたり、販売するものを選択したり、前日に準備をしに行ったり。
途中、鶴乃さんにサプライズを手伝ってと言われた時はびっくりしたし、そんな場面が偶然にもくれはさんとの遭遇になってしまったけど、彼女はやっぱり彼女だった。
「呪いなんてあるわけないじゃないー、かかるわけーないわー」
「そ、そうですねー……呪いにはかかってないかなー……」
「ほんと? 本当に? 実はちょっと疲れたりしてない?」
真顔で言うものだからバレバレ。なんで呪いにかかってない方向で演技をしたのかがわからなかったけど、鶴乃さんに指摘させることで先に進ませるためだったんだね。連日海に来た疲れが呪いということになった。
「そうだ。明日夏祭りがあるのよ。……呪いがかかったままじゃー困るわねー」
「確かにそれは困るね! みんな! 絶対に呪いを解こう!」
なんだか上手い具合に事が運んで鶴乃さんがいろはちゃんたちを別の場所に誘導していく。くれはさんも一緒にいるまなかちゃんと買い出しに行くそうで来た方向に戻っていこうとしていた。
そのまま黙って見送ることなんてできなくて、思わず声をかける。
「ブロッサムも夏祭りにお店を出すの。……来てくれる?」
「当然じゃない。絶対に行くわ」
「……だ、そうですよ。この人は行くって言ったら行きますからね。安心しててください」
それを疑う理由なんてない。その日はそれで別れたけど、言ってくれたことがなによりの証明だった。
おかげで準備にも一層身が入る。やる気は翌日のお祭り当日になってもずっと続いて、店長のおばさんにも気づかれちゃったぐらい。
一足先に会場に着いて、準備を一通り終えたら時間的にもそろそろ人が増え始める頃。お店側の人たちばかりだった景色に一般のお客さんが混ざり始めてくる。
ブロッサムで売るのは浴衣に合う花飾り。元々、南凪ではくれはさんのおかげで知名度がある。看板だけで人が来てくれて段々と忙しくなっていった。
前を通る人たちは夏らしい恰好でいっぱい。その中に時々知り合いの子の姿を見る。かこちゃんがななかさんたちと一緒にいたり、こころさんたちもいた。
段々と時間も過ぎて行って盛り上がりを見せていく。そんな中、騒がしい声をかきわけて誰かが近づいて来るのに気がついた。
「……あっ」
「その、このみ……」
くれはさんだ。梨花ちゃんとれんちゃんに連れられて、申し訳なさそうな顔をしてやってきた。
「くれ先輩、ずっと万々歳の手伝いしてたんだよ!? ブロッサムも来てること知ってるのになくない!?」
どうやら万々歳の屋台の人手が足りなかったから自ら手伝いを買って出たようだった。そんなところも実にらしい。彼女ならその選択をすると、十分に納得できた。
だからか、自然と笑みがこぼれていた。
「ぁ、あの……くれはさんも……色々とあったんだと思います……はい……」
「あはは、大丈夫。わかってるよ。だってくれはさんだもん」
来てくれたのだからわざわざこれ以上言うこともない。
店長のおばさんに背中を押されて私たちは一旦本部へと向かった。本部テントの近くには会館があって、そこに用意したものがある。事前に話したら、美雨さんが所属する蒼海弊と衣美里ちゃんの厚意で使わせてくれることになってたんだ。
「このみ、これ……」
前から気になってたものは浴衣。もしかしたらこの日に揃って着ることができるかもって準備してた。柄は私は芍薬で、くれはさんは牡丹。ぱっと弾けるような柄は二季咲きの寒牡丹をイメージしたのは秘密。
くれはさんの普段の真顔がちょっと嬉しそうに崩れる。隠しきれていない感情が見えるみたいで私も嬉しかった。
浴衣に着替えた彼女が差し伸べた手をぎゅっと握って、二人でお祭りに足を進めた。
「あら帆秋さん……さすが、似合ってますわね!」
「おぉー、くれっちもこのみっちも良い! ザ・夏って感じ?」
「このみが選んでくれたんだから、それも当たり前よね」
「も、もう……」
こういうことは恥ずかしがることもなく言えちゃうんだもん。
視線を合わせて、私にだけわかるような眼の動きが心を教えてくれる。自然の感情を直接ぶつけられて鼓動がはねた。毎日見られる帆奈ちゃんは、ずるいなぁ。
二人でお店を回ると、色んな人に声をかけられた。それには魔法少女だけじゃなく普通の人も混じっている。私が思うよりくれはさんは有名人になっていて、誰もがその性質を知っているようだった。
でも、私だけしか知らないこともある。握る手が教えてくれる彼女の感情。今日この時のそれは私だけしか感じられない。それが、たまらなく胸を躍らせる。
そして、着いたのは櫓前の特設ステージ。一番のイベントがここで開催されるって聞いていた。
ステージ上ではアイドルの沙優希さんが司会をしている。熱狂的なファンの人たちの声がお祭りを更に盛り上げる。そこに登場したのが莉愛さん。スモークとスポットライトの演出を堂々と受けて優雅に中央に立った。モデルの活動をしてるってやっぱりすごい。
「今回は~対決したい相手がいらっしゃるということらしいですぅ~!」
「さあ、勝負よ! ――あら? ほ、帆秋さん!? なぜ観客席に!?」
「せんぱーい、エントリーしないって聞いてなかったんですか?」
「……ああ、なるほど! 私たちの勝負はまだ先ということですわね! 承知しましたわ!」
「生き方が前向きというか前のめり……」
くれはさんは真顔で見つめてるだけだけど、それって私を優先してくれたってことなのかもしれない。始まったイベントの間もそれが気になり続けていた。
私、私は……彼女の『特別』になれたのかな。並び立てないと思っていた私は、今――
気がつけばお祭りも終盤。これから花火が打ち上がるという頃だった。
集団を離れた私たちは揃って夜空を見上げる。今の時代、都会では星はあまり見えないと思っていたけど確かに見えた。
ふと、横を見ると彼女の横顔。
今度は私から手を伸ばす。さっきとは違って、手を重ねて指と指をからめるとおずおずと優しく握り返された。ゆっくりなのは私を思ってのこと。その気遣いが心地良い。
普段はカトラスを持って颯爽と魔女を倒すのに、その柔肌は誰よりもしなやかで、包み込んでくれる陽気と私を求めてくれる庇護欲をかきたてる弱みを内包した手だった。
夜闇に浮かぶ花が私たちを照らす。彼女がちょっと赤く見えるのは照り返しか、それとも。
「くれはさん、こっち向いて」
目をつむる。
やわらかくて、あたたかい感覚がした。
マシュマロみたいにふわふわで、甘くて、とっても刺激的。ずっと感じていたいぐらい。
私ね、幸せだよ。
色んなことがあったけど、あなたとこうしていられることがなによりも嬉しいんだ。
花火が終わってもくれはさんはしばらく真っ赤。私も火照った頬が熱かった。
一瞬、誰だかわからなかった。
陽射しに照らされる白い肌。風に靡く淡い栗色の髪。サイドテールにしていることと、プレゼントした花のアクセサリーを付けていることを除けば見慣れたはずのそれらは海がお化粧してるみたいで、私に新たな感覚と高揚を感じさせる。
「このみ、メロン割りってダメなのかしら」
けれども、彼女はやっぱりくれはさんだ。案の定水着が緑色だったり、開口一番聞いてくることがそれだったり。完璧じゃない様子が私には愛おしくて、頬を緩ませる。
「皮が違うから合わないと思うよ」
「そうよね……」
普段通りに話しながらも昨日のことがまだちょっと恥ずかしい。嬉しいのに不思議。
彼女もどことなくぎこちないのは多分、それともう一つ。少し視線をそらしているのが理由だと思う。
だから、
「私の水着、どうかな……!?」
「こ、このみ……! 近い、近いわ!」
また顔を赤くして、口調もなんとなく崩れる。そのままの状態がしばらく続いて、恥ずかしさからか完全に横を向いてから彼女は言った。
「……かわいい。……も、もういいでしょ? 行きましょう。ひなのさんたちが海の家にいるの」
すっと元に戻るけど、その瞬間を私は心に秘める。
色々と浮かび上がる感情はあるけれど、私が抱いた感情も同じだった。
付いていった海の家とはくれはさんがアルバイトしている場所。今日は他の人に任せて遊ぶことにしたんだって。
既に何人か知り合いの人がいる。その中の二人が私たちに気づくと、大きく手を振った。ひなのさんと衣美里ちゃんだ。
「お、来たな。どーだ、見ろ! このアタシの大胆でセクシーな水着を! 大人っぽいだろ!? さしずめ夏のダイナマイト、浜辺のトリニトロトルエンだろう!?」
「みゃーこ先輩……激カワ!」
「同じく」
「うがーっ!!」
ひなのさんは普段の白衣のようにぶかぶかとした上着を着てはいるけど、黒のビキニは大胆。ただ……どうしても背伸びしているような可愛さが上回ってしまっている。直接口にはしなかったけど、他の人も似たようなイメージなんだと思う。ここにいるのは梨花ちゃんとれんちゃん、それに少し離れた位置から見てる帆奈ちゃんだけど、同じ意見が出そう。
「う~ん……みゃこ先輩は神浜の神秘だよね。需要は絶対あるから平気平気!」
「おい梨花、それフォローになってないぞ。……まあ、それはそれとして――」
「くれっち、その花やっぱりこのみっちの!?」
「そうよ」
「あ、あの……じゃあサイドテールはもしかして……」
「観鳥とお揃いよ」
「ちょっと待った聞き捨てなんない! それセットしたのあたしなんだけど!」
「ダメだー! 話が進まーんっ!!」
「あはは……」
普段の勉強会でもこんな調子なんだろうなぁ。みんなと同じ輪になってもマイペースを崩さない。それでひなのさんがまた今みたいになって……話が進みそうになくても、不思議なことに最終的には上手くいくんだ。
そもそも海の家で待ってたのは、くれはさんが大量に持ってるかき氷のクーポンのため。アルバイトだったり夏祭りのお店で貰ったみたい。一人じゃ使い切れないからってみんなを呼んだそうだ。
「私は透明なのを……」
「じゃあれんちゃんはみぞれだねっ! あたしはストロベリー……あ、でもチェリー味も良いなぁ」
「……梨花、れん。かき氷のシロップって全部同じ味らしいわよ」
「嘘っ!?」
「えっ……」
「まなかが言ってたわ。見た目と香りが違うだけだって……メロン……」
「でもあんた、ずっとメロンソーダ飲んでメロンパン食べ続けてるじゃん。メロンって名前がつけばいいんじゃないの?」
「確かに」
「それで納得するんだ……」
私はくれはさんと同じメロンにした。しゃくしゃくとした食感が暑さと合う。
一気に食べ過ぎると頭がキーンとするのはみんな知ってると思うけど、メロンだからって次々に口に運ぶくれはさんがなっていた。もう。
くれはさんが頭を抱えて唸っている間、帆奈ちゃんが私に近づいて小声で話す。
「……どう? ああ見えて攻められると弱いって情報、役立った?」
実はそのことを教えてくれたのは帆奈ちゃんだった。夏祭りの前、私の前に突然現れたかと思えば激励されたんだ。どうして助けてくれたのかはわからなかったけど、背中を押された私は普段よりも積極的になれた……と思う。
やっぱり気になったから理由を聞くと、明後日の方向を向いてしまった。
「そんなの観鳥にでも聞きなよ。あたしは答える義務ないし~」
「あ、そうだ……その観鳥さんは?」
「ここさ」
「くみもいるよ~」
まだ唸ってるくれはさんの後ろから現れたのは観鳥さんと郁美さん。二人とも水着だけど、観鳥さんはカメラを持っている。一回ここに来るって聞いていたけど、遅れてたみたい。
「話は聞かせてもらってた。理由は――」
「観鳥じゃない。遅かったわね」
「また今度ね。とりあえず一枚」
パシャリとシャッターが切られる。向けられた方向とタイミングからして、またかき氷を食べようとするくれはさんが写ったはずだ。
「令ちゃんどうしたの? じっとカメラを見て」
「……これ、観鳥報に載せたら発行部数がうなぎ上りだろうなって」
「載せていいわよ。観鳥のためだもの」
「水着写真……発行部数……いや、観鳥さんにだって最低限のプライドが……ぐ、ぐぐ……!」
悶々とするその気持ちは少しわかるなぁ。みんなに見て欲しい気持ちと見せたくない気持ちは表裏一体だから。私だったら……かえでちゃんやかこちゃんぐらいになら見せるかも。
ひなのさんの水着もアリだとか話題が変わったりしたけど結局、間を取って今日ここにいない魔法少女に見せることになった。それでも何人いるのかわからないけれど。
「そういえば観鳥、今日は別の取材があるって言ってなかった?」
「おっとそうだった。今日のターゲットは別だったのをすっかり忘れてたよ。なんでも、校内で有名なカップルがこのビーチに現れるらしくてね。そのくせ別の恋人がいるそうなんだ。どっちが本命だとか、別の学校にもいるだとか下世話な憶測が飛び交ってて……ふふ、泥沼の関係を写真に収めるわけさ」
「特徴は?」
「帆秋さんと同学年。それともう一人は下の学年だね。心当たりある?」
「まったくないわ」
なるほどそのためにカメラを……ん? ん……? なにか引っかかるような。似た関係を知ってるような知らないような……。
「そういうことで、観鳥さんたちは行くよ。情報が入ったら教えてくれると助かる」
「待って。そういえばいろはたちが写真撮ってたのよ。私たちも撮りましょう」
「じゃあ観鳥さんが――」
「ダメダメ! 令ちゃんも写真に入らないと!」
「じゃあ自撮りでいく? あーしに任せて!」
最初は遠慮してた観鳥さんだったけど、郁美さんと衣美里ちゃんの押しに負けて撮られる立場に。
元気な梨花ちゃんにぎこちなくも笑うれんちゃん。
自撮りはバッチリみたいでポーズを決める衣美里ちゃんに、それに巻き込まれるひなのさん。
それに郁美さんは普段メイド喫茶で働いているから慣れっこ。微笑みながら観鳥さんを中央に寄せていく。その先にはくれはさんがいて、私もいる。いつの間にか帆奈ちゃんも近くに来ていた。
「狭い。狭いわ」
「あっは、いいじゃん別に。ほらもっと寄って」
「ちょっと牧野チャン、こういうのは慣れてないんだけど……」
「いいからいいから」
騒がしくて、楽しくて。
ああ、みんなと出会えて良かったなぁって、思うんだ。
だからこの写真は私の宝物の一つになるはずだ。
あなたの表情はいつも通りだろうけど、あの夜に見せてくれたものは心に深く浸透している。とっても可憐な紅の花。色めいて煌めくそれを恥ずかしがるかもしれないね。それとも、やっぱりなんでもない風に装うのかな? また少し、頬を染めて。
また来ようね。今度はあなたと二人っきり……なんて、そんな願望を抱きながらシャッターの音を聞いた。
■今回の内容
『みかづき荘のSummerVacation』
『サマトレ!~火に消えた夏の宝~』
五十鈴れん 衣装ストーリー 水着(2018) 『シュガーとストロベリー』 (一部分)
観鳥令 衣装ストーリー 水着(2020) 『真夏のスクープ』 (一部分)
■このみちゃん
やるときはやるタイプ。
水着も浴衣も実装されてないので心の眼で見てください。なお、冬服はある。
■かりんちゃん
14歳だが11歳のういちゃんと同等の扱い。
杏子ちゃん曰く子守り。
■みゃーこ先輩
水着の先輩。
基本はビキニですね。常にこう……ピシッと! 威厳を保っとくのが……気持ちいいですね(願望)。あっ保ててない!(現実)
■浴衣
見滝原組は結構着ている。みかづき荘もある。晴着Ver.もある。
なんならいろはちゃんは浴衣Ver.のフィギュアまである。
■芍薬
このみちゃんのマギアは『ピオニー・ブーケ』。ピオニーは芍薬。
立てば芍薬、座れば牡丹。そういうこと。