マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート   作:みみずくやしき

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パート8 恋のカミハマ

 信頼度を調整するRTA、はーじまーるよー。

 

 今日も親の顔より見たブロッサムです。もうここに就職してるんじゃないのかってぐらい働いてます。賃金は普通ですが良アクセスは自由時間が増えてやっぱり……最高やな!

 

「くれはさん、明日一緒に出かけない?」

 

 しかしちょーっとマズいですね。このみちゃんの信頼度を上げすぎた疑惑があります。ブロッサムで働き続ける以上避けられない宿命でしたし、予定ではいくらか余裕を持っていたはずですがアザレアで狙われたせいで加速してます。このままだと余計なイベントが発生してロスしてしまいます。

 

 というわけで先手必勝、誘われる前に先に必要な予定を入れてしまいましょう。一定以上信頼度があればこんな行為をしても下がることがないので逆に利用します。

 予定の優先度は『出会っていない魔法少女との遭遇』、『重要な魔法少女の信頼度上げ』、『その他の信頼度上げ』の順番です。一度会ってしまえば呼び出してまとめて上げることができるので効率化のためにも出会うことを優先します。

 

 もしもし観鳥さん? 明日、あ、ダメ。

 ハロハロー? このは? 料理……あやめの歯医者?

 あのー、ななか組長? 葉月と会う? え、あきらなら大丈夫? 会ってくれる! 会ってくれるそうです! これマジ? 神浜のトラブルシューターって優しすぎるだろ……。

 

 元々組長ではなくあきらに用があったので幸運ですね。今のうちに彼女経由で探しておきたいキャラがいます。じゃあそういうことで明日は急用が入ったぜ!

 

「明日がダメなら別の日でもいいよ?」

 

 ほぉーう、強敵登場だな? まあ断りすぎてもアレなのでどこかで連れてきましょ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボクに用事ってなに? 困りごと?」

 

 や゛さ゛し゛い゛な゛あ゛あ゛き゛ら゛ち゛ゃ゛ん゛。

 

 彼女は頼めばなんでも(なんでもとは言っていない)やってくれる救世主です。信頼度が低くてもななか組長との用事がなければ大体手伝ってくれます。

 

 ではさっそく二人でパトロールに行きましょう。魔女結界ではたまに他の魔法少女と遭遇しますが、一緒に行動している人物がいると、その人物が知り合っている魔法少女が出現する可能性が高くなります。これは一般人を連れてても同様です。

 しかし絶対ではないので出たらラッキーぐらいの気持ちでいましょう。そもそも出会いたい魔法少女にちゃんと会ってくれているかわかりませんし、一門の屑運で期待してはいけません。

 

 

 少女パトロール中……。

 

 

 わかってましたけど出ませんね。グリーフシードを稼げるので無駄にはなりませんが精神的に良くありません。なんだっててめえはそうパトロールに対して根性がねえんだ?(自問自答)

 少しぐらい……別の場所に探しに行ってもかまへんか……。いい加減明日香の信頼度も上げたいので仕方ないね(レ)。

 

 

 こういうときはエミリー先生の相談所に限るぜ。彼女のコミュニケーション能力はとてつもないのでいつの間にか他の魔法少女と知り合っています。このルートでの捜索も重要です。

 

 おうやってるかい!

 

「くれっちにあきらっちじゃーん! 今日はどったのー?」

「あ、帆秋! お前も言ってやってくれ! アタシは小さくなんてないって!」

「でもみゃーこ先輩の合法ロリな見た目は絶対需要あるって!」

「うるっさあああああああい!! というか帆秋はアタシの真逆だったぁぁぁっ!!」

 

 お前漫才やってんじゃねえんだぞ! 

 今日はいつものメンバーだけみたいですね。ところで明日香知りません?

 

「あすきゃん? ささらんとパトロールだって」

 

 あっ、ふーん……。エミリー先生のネーミングセンスが爆発してますが、明日香とささらです。

 ことごとくタイミングを外してますね。これは(そろそろ時間が)キツいですよ。でもまだ大丈夫です。十分想定の範囲内です。明日香は武術道場『竜真館』には確実にいるので後で行っておきましょう。

 

「えみりんいるー? 差し入れ持ってきたよー」

「りかっぺナイスタイミング! みゃーこ先輩これ食べて元気出してよー」

「お、オマエな。アタシがそれで許す、と……うっ、うおおおおおおん!」

「みゃこ先輩の遠吠え泣きだ……よっぽど効いてたんだ……」

 

 みゃーこ先輩はこうなると長いので置いておいて、今来たのはりかっぺこと『綾野(あやの) 梨花(りか)』です。狙いとは違いますがやっぱりエミリー先生の交友関係が増えています。すごいわね。

 

「あっ! ひょっとして帆秋くれはさん? えみりんとみゃこ先輩から聞いてるよー! よろしくね!」

 

 梨花ちゃんは……このチャートでは一回だけしか活躍してもらう予定はありませんが、リカバリーに使える固有魔法を持っているので余裕があれば仲良くしておきましょう。いざという時の一手になります。

 

 じゃあな! 更紗帆奈に気をつけろよ!

 

 

 

 

 

 

 

 (パトロールの)続きだぜ。

 

 こうして街中を歩き回るのも意味があります。

 神浜市は修羅の国です。適当に歩けば遭遇できるほど魔女が多いせいか、学校ではイジメが蔓延し、街では誘拐犯に銃を持った立て篭り犯、果ては爆弾魔までが僅か数日のうちに出現する危険な街です。

 魔法少女が頑張らないと数日で壊滅するんじゃないですかね。ワルプルギスの夜まで来ますし。

 

「帆秋さん! 魔女の口づけだ!」

 

 (魔女退治は)もう十分だ! もう十分だろう! 

 嘆いてても仕方ないのでとっとと結界を探して帆秋ちゃんの経験値になってもらいましょう。イクゾー!

 

 

 結界に着いたぞ! おや今回は先客がいますね。

 

「今日は隼人くんと会えるはずだったのにーっ!!」

 

 恋する乙女のパワーはすごいわね(他人事)。見てください。使い魔が片っ端から風穴開けられてますよ。あの言動と二丁拳銃。間違いありません、『江利(えり) あいみ』です。なんで?

 彼女に会おうとしてたわけではないんですが、彼女経由で会いたいキャラがいるのでニアミスですね。いやちょっと待ってください。これはもしかして……もしかするかもしれませんよ?

 

「あきらだ! よく会うね! そっちの人は?」

 

 もしかしました。彼女こそ今のうちに出会っておきたかった人物、『空穂(うつほ) 夏希(なつき)』ちゃんです。

 これで莉愛様、美雨、夏希ちゃんという神浜でほむらちゃんが出会う可能性がある人物が揃いました。ほむほむ包囲網です。誰か一人から会ったという話を聞いたら接触できないか試してみましょう。

 他の理由として、まだ先のことですが発生する可能性があるイベントのために知り合っておきたかったというのもあります。

 

「この人は帆秋くれはさん。今日は一緒にパトロールしてたんだ。そっちは一人?」

「ううん。二人だったんだけど先に行っちゃってて……」

「あーっ! ごめん! どーしてもあの魔女だけは許せなくって!」

 

 まあ、あいみもいると便利な場面があるので結果的にはプラスですね。というか単純にそこそこ強いので戦力が必要になったときに呼べるなら呼んでもいいでしょう。ちなみにこんなに強いのは固有魔法の『行動予測』で先読みできるからです。

 

 初めて一緒に戦う魔法少女ですし解説を……する時間はどこ……? ここ? あいみが魔女を一蹴してしまいました。なんだあの強さチートか?

 

 

 

 無事に魔女退治も終わりましたし、ここは今後のために友好を深めておきましょう。向こうからカフェに誘ってくれるのでホイホイついていきます。

 

 こういったイベントでは勝手にそれぞれの会話が始まります。魔法少女の組み合わせや時期、友好関係で結構変わるので普通にプレイするのなら楽しめるポイントですね。RTAだと一大ロス地帯です。なお、今回のあいみとの会話では魔法少女になった理由が語られます。好きな人の想いが知りたかったからなんていう少女らしい願いです。

 

 ちなみに夏希ちゃんは野球部の兄が高熱で県大会の決勝に出られなくなるかもしれない状況を変えるために魔法少女になっています。焦っているのにすぐに決めなければならない状況ですね。あの白タヌキが……(憤怒)。

 あきらも魔女に襲われてるときに魔女に囚われた人を救うことを願っています。とことんアレな奴ですねあの白タヌキ。

 

 

 ところで、あまり接点がないように見えるこの三人、明確な共通点があります。ノンケです。特にあいみは一時期のさやかちゃんです。

 

 そんな三人が揃うと恋バナが始まってしまいますが、聞いて相談に乗らないと話が進まないので適当に進めておきましょう。

 ただし、この場に限った話ではありませんが絶対にしてはいけないのが自分の『願い』を言うことです。どんな『願い』でも程度の差はありますが余計なイベントを引き起こしてしまいます。面白いことにはなりますが、場合によっては再走の危機レベルの事態になるのでやめましょう。

 

 

 流してたらそろそろお話が終わりそうです。帰ることになりますが、今回はまだ続きます。

 

 帰宅途中に語られる内容は、夏希ちゃんとあきらがそれぞれの未来の姿を想像して希望を持つって話です。進路とか結婚とか子育てとかですね。

 

 まあ、全員もう魔法少女なんですけどね(ド畜生)。この先生きてられるかこれもうわかんねぇな。明日にでもあっさり死ぬかもしれないとか魔法少女の世界って……怖いですよねぇ?

 ここに失恋後の真実を知ったさやかちゃんがいたらヤバそうですね。軒並み魔女化しそうです。

 

 

 まあ目的が達成できたので今日はこの辺にしときましょう。

 チャートを確認しつつ今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、ななかから連絡を受けたボクはその頼みをすぐに受け入れた。なんでも帆秋さんがボクに会いたかったらしい。話はトントン拍子に進んで次の日には参京区で待ち合わせになった。

 急な話だったけど、こういう頼み事はボクにとって日常茶飯事だし、帆秋さんと会うときは他の人と一緒ってことばっかりだったから、互いを知るためにも渡りに船だったんだ。

 

 待ち合わせに場所にいた帆秋さんは相変わらず背がすらっと伸びてて様になっていた。ああいうのは少し憧れる。ボクもカッコいいって言われることはあるけど、違うタイプなんだよね。

 

 いつもの調子の帆秋さんが頼んだのはパトロールの手伝い。今日ボクを呼んだみたいに、誰かと一緒にやることが多いんだって。

 うん、やる気が出てきた。魔女を放っておくわけにはいかないし、それが魔法少女の仕事だからね。

 

 二人で街を歩いて、見つけ次第使い魔なんかを倒していく。グリーフシードを落とさないから魔力を減らすだけだけど、放っておくと魔女になっちゃうから先に倒しとかないと。

 その途中で水徳商店街に寄って休憩したり、エミリーちゃんの相談所で一騒動あったりしたんだけど、その日で一番驚いたのはその後の出来事。

 

 

 パトロール中に魔女の口づけを見つけて結界に入ったとき、先に誰かがいるのがわかったんだ。

 

「今日は隼人くんと会えるはずだったのにーっ!!」

 

 その、大声が聞こえてたから……。

 声のする方向へ急いで駆けつけると、そこにはテンガロンハットを被って拳銃を撃つ西部劇みたいな子がいた。

 

 手伝おうとボクも拳を構えたけど、使い魔の数が多いのに全く苦戦してない……それどころかどんどん撃ち抜いてく! しかも一発も外してない! 聞いたことがある。あれは相手の移動先を予測して撃つ偏差射撃。それを移動どころかバク転しながらやるなんて!

 その凄腕に呆然としてると、後から結界に来た人がいたのか背後から声をかけられた。

 

「あきらだ! よく会うね! そっちの人は?」

 

 はつらつとした声には覚えがある。青い衣装でバトンを持っている元気な彼女は『空穂 夏希』。ちょっと前に偶然会ったんだ。

 彼女が言うには返事をしながらも撃ち続けてるテンガロンハットの子、『江利 あいみ』と一緒だったんだけど彼女が先走っていたらしい。

 その場の使い魔を倒した後、こっちは帆秋さん、向こうはその子を互いに紹介して共に最深部に向かった。

 

 ……のだけど、あいみは凄かった。魔女を見るなり乱射して反撃させることもなく倒しちゃった。強いんだけどちょっと怖いなぁ……。

 

 

 

 

 

 

「ここが私、オススメのカフェでーす!」

「私も前に連れてきてもらったんだ!」

 

 魔女を倒したあと、少し慌ててたみたいだけどせっかくだから女子会をしようってことであいみに連れられてオシャレなカフェにやってきた。会合はいつもドリンクバーを使いたいっていうななかの意向でファミレスだから、なんか新鮮。

 

「みんなはなに注文する? この店はね、プリンとシュークリームがオススメだよ!」

「クリームソーダ」

「ごめん帆秋さんはこういう人なんだ」

 

 クールだとか凛としてるとか二人は言うけど、ああ、そうだよね。そう思うよね。……見た目だけは確かにそうなんだよね。ボクも最初は似たようなことを思ったよ。理知的で、髪はふわふわでさらさらしててお姫様みたいだって。会合をする度に崩れていったけど。

 

 出てきたクリームソーダが緑色じゃないとわかると途端にテンションが下がるから気づいてもいいと思うけど……うーん……わざわざ言うことじゃないよね。

 

 それからボクたちは、まず互いの出会い方について話した。あいみは夏希に偶然出会うまでずっと一人で戦ってきたらしい。道理で強いわけだ。ボクたちが話した昏倒事件のことは二人とも知ってたみたいで、実際に被害者がいたことを心配してた。

 

 話題が変わったのは……あいみの一言からだった。

 

「実は二人にも相談したいんだけど……魔法少女ならではの悩みとか」

「あー、確かにあるね」

 

 学生と魔法少女の両立は大変。いつ魔女を見つけるかわからないし、見逃すわけにもいかない。特に、普通の子といるときに見つけたらなんとか誤魔化して向かわないといけない。やりたいことだって我慢して過ごすのはちょっと苦だ。同じ境遇の子に話せば少しは楽になると思うし、ボクも相談には乗りたい。

 

「意見をもらいたいなーって。『願い』のことなんだけど……」

 

 それで話し始めたんだけど、あいみは好きな人の気持ちを教えて欲しいって願ったんだって。後悔はしてないみたいでも、キュゥべえを妄想の産物かと思って即契約しちゃったから他の人が何を思って契約したかを知りたいみたい。もちろんデリケートなこともあるだろうから無理にとは言わない、って前置きをして。

 

「ボクも考える余裕はなかったなぁ。結界の中で魔女に囚われた人たちを見て、この人たちを助けなくちゃ! って感じで契約したから」

「カ、カッコいい! すごいよあきら!」

 

 そう言われると少し照れるけど……あの時は無我夢中だったから。

 ボクを動かしたのは『義を見てせざるは勇無きなり』って言葉。お父さんに教えてもらったその心と、ずっと鍛えてきた空手で使い魔と戦ったけど手も足も出なくて、どうしようもなくてキュゥべえの言う通りに願ったんだ。余裕がなかったのは本当。

 

「ボクはそんな感じ。帆秋さんは?」

「いいでしょ別に」

 

 それであっさりと言葉を切って、ストローを咥えた。

 ……なんだろ、いつもこんな感じだけどなにかが違うような。

 

 そんなボクの違和感はカフェに流れる音楽にかき消えて、気づけば話題はまた変わっていた。

 

 

「そう! そうなの! 今日ね、偶然隼人くんを見かけてちょうどそのお店に私も用があったから会える! って思ったの。夏希にはちょっと待っててもらうはずだったんだけど、結界を見つけちゃって! 隼人くんには会いたいけど夏希一人に任せるなんてできないから、もうソッコーで倒しちゃおうってとこで!」

「そ、そうなんだ……」

 

 なんとなくわかってたけど、あいみはその『隼人くん』の話になると勢いが凄い。結局魔女を倒した後は見失ってたからこうしてここにいるんだけど、それを思い出したのか今度はうなだれた。

 そして顔を少し上げたかと思えば、相変わらずクリームソーダを飲む帆秋さんを見つめて言った。

 

「帆秋さんは……イイ人、いるだろうなぁ」

「なによそれ」

「例えば……よく一緒にいるとか、誘ってくれる人とか」

「いるわ」

「ええ!? 帆秋さんに!?」

 

 思わず大きな声を出してしまうほど意外だった。

 だって、あの帆秋さんだよ? このはさんの料理を食べて気絶したり会合で変なことを言い出したり妙に力持ちだったりするあの帆秋さんが? いや、見た目だけなら惹かれる人もいるだろうし意外じゃない……のかな。

 

「ど、どんな人なの!?」

「アルバイト先が同じなの。昨日も明日どこかに出かけないかって誘われたわ。あきらに用事があったから断ったけど、なら別の日でいいからとも言ってたわね」

「きゃーっ! 夏希聞いた!? これもう、アレだよね、ね!」

「ド、ドキドキしてきた……!」

 

 そうか、アルバイト先で! それなら普段の姿を見られることも……んん? うーん……気のせいかな……。

 

「ほ、他には!?」

「あとは……別の人だけど、学校で同じような関係の人もいるわ。ついこの前も一緒に街を巡ったの。水名区とあと参京区……だったかしら。それと勉強も教えてもらってるわ」

「デ、デート!? デートだよそれ! ひょっとしてモテモテなの!?」

「教えてもらってるってことはもしかして先輩かぁ……!」

 

 先輩とデート! す、進んでるなあ……いや、なんかどこかで聞いたような……。

 

 というかこの話になってからあいみが異様に元気だ。今なんてどこか虚空を見つめて何か言っている。

 

「私も隼人くんと……あいみ、一緒に出かけないか。うん! どこへでも……! ああ、そして二人は祝福された花道を歩くのね! ありがとうみんな! ありがとー! 子供の名前? ま、まだ早いよ!」

「あいみね、たまにこうなるんだ」

「個性的だねー……」

 

 正気に戻った後はその姿を見せたことで焦ったみたいだったけど、ボクも帆秋さんも気にしてはいなかった。びっくりはしたけどね。

 

 

 

 

 

 そんな女子会も終わった帰り道。あいみは中央区だから先に分かれて、ボクと夏希、そして帆秋さんが一緒にいるときだった。

 

「……ちょっといい?」

 

 いつも元気なはずの夏希のその声が心配で、ボクらは夕暮れの中、話を聞いたんだ。

 

「あいみの前では言えなかったんだけどね。恋愛の話……ううん、未来の話をしたときにちょっと思っちゃったんだ。ずっとこのままならいいのに、今のままならいいのに……って。あきらには前に少し話したけど……」

 

 夏希は小学校の頃は野球をしてて、中学校からは野球部のマネージャーとチアガールとして仲間と一緒に頑張っていたのは知ってた。

 でも三年生はもう本格的に受験ムードで、『本当にもうすぐバラバラになっちゃう』って思ってたみたい。そんなみんながいない未来が想像できなくて、自分だけが取り残されてるようで怖かったんだって教えてくれた。

 

「……変わらないことなんてないわ。そうでしょ?」

 

 ボクが言う前に帆秋さんがそう言った。そうだ、きっと帆秋さんも同じことを思ってる。だから言葉にして伝えるんだ。

 

「うん。みんないつかは大人になるんだ。高校に行って勉強して遊んで、そうしたらまた進路に悩んで。ずっと先のことだけどさ、あいみが言ってたみたいに子供が出来たりして……そういう未来を見てみたくないかな? 大人になったみんなに会ってみたくない?」

「……見てみたい……会ってみたい」

「ボクも。……確かに変わることは怖いけどさ。それじゃ、大人になった未来の幸せも知らないままってことなんだよね」

 

 そして同意が欲しくて帆秋さんを見た。

 

「――っ」

 

 一瞬だけ。そう、ほんの僅かの間だったけど、帆秋さんの表情が崩れた。夏希は気づいてないみたいだし、ボク自身見間違いにしか思えないけど。

 

 理由を考える前に、吹っ切れたような顔をした夏希がボクら二人に抱きついてきた。急で焦ったけど元気になったみたいで良かった。

 

 その後はもういつも通り。元気な夏希と真顔の帆秋さんに手を振って家に帰った。

 でも、帰る途中に気になったことがあるんだ。少し悲しそうな眼をしてたから聞くに聞けなかったこと。

 

 

 

 

 なんで帆秋さんは自分の『願い』を教えてくれなかったのかなって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それを聞く機会もなく、幾度目かの会合がいつも通りにファミレスで開かれた。今日もメンバーはボクらとこのはさんたち。そしてアドバイザーの名目で毎回連れてこられている帆秋さんだ。

 今日の主な話し合いも終わって自由時間になると、各々が好き勝手に話し始める。これもいつものことだよね。例えば、今日はこのはさんが中心だったり。

 

「最近大東区の魔法少女と知り合ったのよ」

「それなら私も知り合いに大東出身の魔法少女がいるわよ」

「このはもくれはさんもなんで張り合ってるのさ……ひみかさんなら二人とも知ってるし、大東出身の魔法少女ってそれ観鳥さんでしょ」

「お待ちください。それなら言いたいことがあります」

 

 やっぱりあのとき見たのは見間違いだったんだと思う。相変わらずこのはさんと仲良くしてるし。って、ななかまで張り合い始めちゃったよ……。

 

「私も大東区の魔法少女に出会ったことがあります。あれは――」

 

 そう言ってななかが話し始めた内容はボクも知っていた。だってそれは、少し前に事件が起きて悪い意味で有名になった場所のことだったから。

 

 そう、この時はまだ、自分たちには特に関係のない場所って認識だったんだ。ななかも、帆秋さんも……。

 




■今回の内容
 志伸あきら 魔法少女ストーリー 2話 『みんなを助けたいんだ』(一部分)
 空穂夏希 魔法少女ストーリー 3話 『未来へのエール』
 江利あいみ 魔法少女ストーリー 1話 『恋がため』
 江利あいみ 魔法少女ストーリー 2話 『恋は悩み』

■志伸 あきら
 ボーイッシュ魔法少女。神浜のトラブルシューター。
 こう見えてかわいいもの好き。

■空穂 夏希
 チアマネ兼任魔法少女。でかい。
 ちょっと前まで短髪日焼けの野球少女だった。

■江利 あいみ
 恋に燃える魔法少女。意外と強い。
 キュゥべえを妄想の産物を思って即契約した優良顧客。

■イイ人
 花屋でアルバイトしている温和系とゴシップ部のイケメン系。
 最近片方が急接近してるらしい。


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