マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート 作:みみずくやしき
パート43 つづきから
はい、よーいスタート。
再び(30秒後)神浜を駆け巡るRTA、はーじまーるよー。
ワルプルギスの夜撃破後、エンディングが流れてこの世の終わりみたいな雰囲気になりますが、今回は第二部まで通しで走るレギュレーションなので関係ありません。お前はまだここから帰れないんだよ!
第二部に入る場合には、第一部のように開始時期を改めて選択できます。
ワルプルギスの夜撃破直後を選択してそのまま続けることもできますが、ここは第二部序章前を選択。当たり前だよなぁ?
みなさんご存知かと思いますが、こうすることであの面倒な裁判イベント『ユメミルサクラ』などのいくつかのイベントをスキップしつつ、準備時間を確保できます。お馴染みのテクニックですね。
というわけでマギアレコード第二部『集結の百禍編』っ! 相変わらずの難易度ハードのランダム地獄にリセットポイントの多さ、まだ安定して走りきれないこのチャートは新記録に耐えることができるのでしょうか。それでは、ご覧ください。
なお、スキップ後の状況次第ではリセットです。
具体的に言うと灯花ちゃんとねむちゃんが極刑になっていたらですね。あの二人がいないと話が変わりすぎるッピ!
あとはななかアザレア組や雫ちゃんがうっかり退場してたらリセですが、第一部の状況からして可能性は低いでしょう。それに細かいところはキリがないので妥協です。なーに無理だったら再走すればいいんだよ上等だろ!
選択したら暗転してあらすじが流れ始めるので、みなさまの~ため~に~……。
今の暗転について解説します。
これは第一部の時にもあった経歴の辻褄合わせの調整です。第一部の進行によっては第二部のストーリーがメッタメタになりますが、できる限り成立するように調整してくれます。
『実は過去にこんなイベントがあった』とか『南凪に魔法少女が他にもいた』など基本的には足りない部分を後足ししてくれるのですが……問題はたまーにとんでもない経歴が生えてくることがあるところです。過去一番ひどかったのはなんやかんやで二木市スタートだったことですね。他にもアリナ先輩と従姉妹だったことが発覚することもあるとか笑えないよ!
今回はもう暗転が明けてますし、調整にかかった時間的にそんなことは起きないでしょう。
クォクォア……スタート地点は放課後の教室ですね。
さっそく教室に桜子ちゃんがいるのでリセットしなくてすむかもしれません。
こうしてスキップした場合、途中どのようなイベントが発生したかをまとめて教えてくれるお助け機能があります。もちろん全部見てる暇なんてありません。交友関係にあるキャラが退場したかどうかだけ見れば十分です。
灯花ちゃんとねむちゃんは……セーフ! 制限付きの無力化刑ですね。みふゆさんやみたまさんも大丈夫なようです。アリナ先輩は……行方不明になってないですね。辻褄合わせを受けなかったようです。本筋通りに進んでくれた方が楽なんだけなー俺もなー。
次はステータスから現在の所属を見ます。やっぱり所属は『神浜マギアユニオン』でしょうねぇ、まだ見てないからわかんないですけど。次点で新勢力を作成しているかもしれません。
ひらけーステータス!
じゃあまず、魔法少女歴を聞かせてくれるかな?
約三年です。
あ、三年。じゃあもうユニオンに入ってるの?
未所属です。
未所属。あっ、ふーん……。
どこにも入ってねぇwwwwwなにやってんのwwwww。
草生やすな(豹変)。
落ち着きました。
さっそくガバと言われそうですが抜ける手間が省けたのでうまあじです。というかそういうチャートです。そのための組長? あとそのためのこのは?
仮にユニオンに入っていた場合には、いろはちゃんなどの中心人物と敵対すればすぐに抜けられます。出会い頭に不意打ちかますのが手っ取り早いですが、信頼度が地の底にまで落ちるのでリカバリーがね……。
なにはともあれ最初のリセットポイントは通過しました。へっへっへ、こりゃ好タイム狙えるで。
おっと、交友関係にちらっと見えたのは歴史研究部の三人ですね。『忘却の輪舞曲は悠久に眠る』が終わってるのかもしれません。参加しないのでイベントは関係ないんですが、既に『三穂野 せいら』と知り合っているのなら用があるのできちんと挨拶に行っておきましょう。
では駅まで全力ダッシュを……。
「くれはさーん! めぐるも付いていきますよー!」
ンなんだお前!?
唐突に来た彼女は『枇々木 めぐる』!
我らが南凪の魔法少女の一人で、固有魔法の『実況』は敵味方関係なく強化する使い所さんが難しい子ですね。まったく困ったもんじゃい!
やっぱ南凪なので勝手に交友関係に入っている可能性は若干太いと思います。結界に入る予定もないので、下手に追い返して信頼度を下げるよりは引き連れて進みましょう。話しかけられるとロスりますが、トータルで見ればタイムは追い返すの変わらねぇ。
そんなデメリットばっかりのように見える彼女ですが、実は『願い』の効果により交渉技能にとてつもないボーナスが入り、会話で失敗することがまずありません。説得や聞き出しを安定して行えます。第二部はこういう裏方の魔法少女が重要になるので戦闘に向かなくても意味はありますねありますあります。
「今日はどこに行くご予定で? やはりブロッサムですか?」
え、なにそれは……(チェック)。
アルバイト先にブロッサムが復活してやがる! しかも学童保育まで増えてやがる! なにやってんだコイツ……。
ブロッサムはもう十分堪能したよ……。今回の金策は一括で済ませるのであまり関係ありません。経由して出会える魔法少女もだいたい会ってます。
ただ学童保育はアリですね。ここで出会える南凪魔法少女『由貴 真里愛』の信頼度を稼ぐことができます。もともと結界を連れ回すかアルバイトする予定だったので利用してやりましょう。
それでは目的地に向けて出発!
開始直後に行く場所と言えばもちろん、あの(みなさんご存知)ステータス割り振りの調整屋さんです。定番の動きですね。スキップした間に貯まった分を使っちゃいましょう。
ではさっそく、イクゾー! デッデッデデデデ!(カーン)
◇
というわけで来ました調整屋。たのもー!
「おー、お客さんや。まだ宣伝してないはずなんやけどな……まあええか。ヨヅルー、月出里ー、準備やー」
調整屋に行くとは言いましたが、みたまさんのところに行くとは言ってません。
来たのは中央区の立ち入り禁止区画に存在するトレーラーハウス。第二部から登場する出張調整屋です。
みたまさんに恩を仇で返すような真似をしてる理由はもちろん、この場所こそ今後活躍する勢力『ピュエラケア』の拠点だからだぜ! 可能なら勢力拠点は早めに行っておいたほうがなにかと便利です。初期から信頼度を稼げれば短縮できますからね。
では誘われるがままホイホイとケアトレーラーに乗り込みましょう。
さっそくピュエラケアの三人と顔見知りになっておきます。この先のためにもに顔を売っておくわけです。
「初めましてやな。私はリヴィア・メディロス。ああ、自己紹介はせんとええ、あんたのことは知っとる。神浜で有名な魔法少女の一人、帆秋くれはってのはな」
自分から言ってくれましたが、彼女がピュエラケアのリーダー『リヴィア・メディロス』さんですね。褐色眼鏡関西弁マジシャン師匠とレナちゃん並みに属性山盛りで、車を運転できる年齢の魔法少女(?)です。お前マジシャンみたいだな?
「初回やし、まずはピュエラケアについて説明しようか。ここはな――」
(何度も聞いてるので)キャンセルだ。スキップじゃスキップ!
要は全国各地にいる出張調整屋ってだけです。基本的な部分はみたまさんのほうと変わりません。ただこちらは三人いる分まとめて信頼度を上げられるのでお得です。当店自慢の特別メニューも仕込んであるぜぇ~?
では調整という名のステ振りを行いますが……その前にリヴィアさんにお願いして担当を『
「ほほぉ、お主も悪よのぉ……なーんてな。ヨヅルー、ご指名やー」
「追加の料金を頂かなくとも指名制ですが、新しいサービスですか?」
「こういう気持ちに応じるのも優しさや。わざわざ頼んで料金も弾むってことはそれだけヨヅルを信用してるんやろ。知らんけど」
「んふ! ふむふむ!」
「わかりました。私でよければ全力で施術させてもらいますね」
今後行う調整はみたまさんではなくピュエラケアの面々に行ってもらって、足りない信頼度を稼いでいきましょう。
特に狙いはヨヅルくんです。指名料として心付けや袖の下をリヴィアさんに渡すことでボーナスが増えます。他にもふんふん言っている小学生調整屋『
リヴィアさんや月出里ちゃんは別の手段で上昇させることができるので、上げにくいヨヅルくんに集中するのは当たり前だよなぁ?
「私もあなたのことは聞いています。なんでもよく他人を助けるとか。もしもそれが優しさなら――いえ、今は関係ないですね。それでは調整を始めます」
おっと今のはヨヅルの信頼度上げのキーとなる優しさ探しですね。彼女は『願い』によって優しさの感情を失っているので、それを教えてあげたり一緒に探してあげたりすると信頼性が上がります。
それはそれとしてステータスですが、今回も基本的には『攻撃力』と『速度』にガン振りします。いつもの高火力紙耐久くれはちゃんを……最高やな!
しかし第一部後半のように『対流のドッペル』くんの強化はしません。御役御免です。ここは後々解説します。
「終わりました。どうですか?」
お、終わってんじゃ~ん!
ヨヅルくんの調整はみたまさんとあまり変わりません。普通だな! グリーフシードを余計に払えばリヴィアさんのボーナス付き調整もできますが、必要な稼ぎが増えるからダメダナ。
次は会話で調整屋を話題にしましょう。すると、調整屋になる魔法少女の原因の考察をリヴィアさんから聞けます。
「そうやな、だいたいは『願い』が――」
これで間接的にみたまさんも呪いじみたことを願ったという情報が入るので……入らねぇ! なんで?
急ぎ神浜魔法少女ファイルでみたまさんの情報を確認すると……ア!(高速理解) 既に願い欄に『神浜を滅ぼす存在になりたい』という確定情報があるじゃねぇか! スキップ中になんかイベント起こしてやがったな!?
まあいいや。聞き出しに行く手間が省けたのでうま味です。スキップも良い仕事するな。
なお、まだまだリヴィアさんの信頼度が足りないのでどの魔法少女でも聞ける話しかしてくれません。信頼度を稼ぐと身の上話や固有魔法など色々と聞かせてくれますがタイムには関係ないのでスキップだ。
それさえ聞ければ用はないんで帰りましょう。じゃあな!
中央区から電車に乗って向かう先は工匠区です。
ですが移動中暇なので……これからの目的について解説しときましょ。
第一部でのワルプルギス撃破ルート南凪チャートといった動きから、第二部では鏡の魔女撃破ルート『停止』チャートになります。南凪への愛校心はくれはちゃんの固有魔法に引き継がれ、驚異的な短縮をお見せできることでしょう。じゃなきゃこんなクソみたいな燃費の魔法にした理由がないです。
なんにせよ、最初にやるべきことは昔懐かしの信頼度上げです。第二部から登場するキャラの初期信頼度は第一部での行動次第で変わりますが、どうにも安定しません。必要な分は自力で上げましょう。
並行して新西区の骨董品店も時々チェックしておきます。というか帆奈ちゃんにしてもらいます。この辺りのイベントの発生タイミングは早めに察知しておきたいですからね。
「そうだ、聞いてくださいよくれはさん! 今度、神浜マギアユニオンの人たちで親睦会があるんですけど、実況と司会を務めることになったんです! これはまさしく掴んだチャンス! このめぐる、一世一代の名の売り時となるのでしょうか!」
やかましか!
いかんせんめぐるを連れていると会話量が増えますね。通常プレイならいいんですけどこれRTAなんですよ! 移動中だからいいですけど!
あ、そうだ(唐突)。ついでに彼女が言った『神浜マギアユニオン』についてもお話しします。
というわけで第一回勢力解説のコーナー。
『神浜マギアユニオン』はその名の通り神浜のグループ。主人公がいるだけあって質、量ともにトップかつ、舞台となる神浜がホームなので情報アドバンテージも多いと至れり尽くせりの初心者向け勢力です。ただし、互助組織なので他勢力と比べると繋がりが薄く、放っておくとコアメンバー以外がまったく活動しないので使える手段が限られます。
ネームド魔法少女は基本的に第一部のメンバーに加えて第二部メンバーです。やちよさんを初めとしたベテラン魔法少女、いろはちゃんなどの回復役、まさらや莉愛様などの偵察・奇襲能力持ちがいるうえに、みと様がいます(畏怖)。
所属するモブは一般魔法少女の方たちです。特にロリータ系ファッションな魔法少女が多いですね。特筆すべきこともなく、普通の精神をした普通のモブとなります。
主人公勢力だけあってハードでもそこそこ安定してますが、一旦崩れると東西対立の再燃や元マギウスへの悪感情を持つ魔法少女の離反などの弱体化イベントで立て直しが困難になります。彼女たちに倒れられるとメインストーリーと共にチャートがお亡くなりになってしまうので、率先して助けてあげましょう。まあくれはちゃんは所属してないんだけどな!
ちょっと脱線しましたが、着くまでもう少しあるので最後にもう一つ、今後の方針について説明しましょう。第二部で追加されるステータス、『方針』はまた今度。
ご存知の通り、くれはちゃんは対人戦よわよわ魔法少女ですが、第二部では魔法少女同士の戦いが多くなります。しかもチャートの都合上少数で動くことが多く、敵も強くなっているので味方に頼りきりというわけにもいきません。さらには終盤にはとんでもないのが控えてます。勝てるようになるまで稼ぎで時間を取られるのもマズイですよ!
くれはちゃんは強い魔法少女に勝てねェ。特化型でも稼ぎをしたわけでもねェ魔法少女にだ。
だったらどーするよ。なっちまえばいいじゃん、強い魔法少女に。
答えは単純明快。強化イベントを踏みまくります。
今までは必要な分のレベル上げとそれに伴うステータス割り振りしかしてませんでした。平均レベルからも大きく劣り、いい加減足手まといです。
しかし、本来はマギア強化や覚醒、第二部からは精神強化など、様々な強化要素もあります。第一部でいろはちゃんが強化されていったように、汎用的なものや専用の強化イベントまでも!
これらを意図的に発生させて稼ぎの時間を省略・短縮しましょう。名付けてくれはちゃんver.Final化計画です。
その第一歩となる工匠学舎に着いたので今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。
◆
帆秋くれはとは、めぐるの尊敬する先輩魔法少女だ。
初めて出会ったのはめぐるが初めて魔法少女になった日のこと。
神浜市立大附属の十咎ももこさんと一緒に、魔女の結界でめぐるを助けてくれたんだ。以前から噂は聞いてたけど、顔を突き合わせたのはそれが最初だった。
あの日のカトラスの煌きはまだ覚えている。ももこさんの大剣と共に使い魔を倒していく姿に、校内で噂になっている令さんの気持ちが理解できた。
だって、カッコいいんだよ。
流れていく鋼はまるで踊っているみたいで、パワーのある大剣を使うももこさんを的確にサポートしてたんだ。なのに、めぐるに飛んでくる流れ弾をとんでもない速度で防いで守ってもくれる。そして尻餅をついためぐるに手を伸ばす姿は輝いてたんだから。
もっとも、めぐるは実況専任なので。それはそれ、これはこれ。令さんのお邪魔になることはしませんとも。
そもめぐるは、人気MCになることを夢に励んでいるのです!
南凪で放送部に入ったのもそう。足がかりにしようと思ってた。
ただ、居心地が良くてそれ以上の感情を抱いてたわけで、部員数が少なくて廃部の危機になった時は本当に焦った。なんとかしなきゃとは思っていたけど、なんの取り柄もなく、当時は実況もぜんぜんできないダメダメなめぐるでは妙案を出すことができず、途方に暮れるばかりだったんだ。
そこに姿を現したのがあの白い謎生物、キュゥべえだった。
なんでも願いを叶えてくれるって言うから、放送部を救うためにも『人気MCになりたい』と願って、魔法少女になり――そして前述の通り、大ピンチになっちゃったんだよね。
まあ……くれはさんと顔見知りになるどころか色んな魔法少女の方と出会えましたし、今はこうして毎日実況を続けられているからいいのです!
終わり良ければすべてよし! ゴールテープの先にめぐるの魔法少女人生はあるのですから!
「というわけで桜子さん! 新聞部のマスコットとして活躍中ですが、本日はどのような撮影が入っているのでしょうか!? 同じく南凪の一生徒として、その勇姿をしかと実況させていただきたいと思います!」
「│今日はダメ、ねむに早く帰って来なさいって言われてるから│」
むむ、なら仕方ないよね。
めぐるは迷惑をいっぱいかけるお騒がせマシーンである自覚はあるので、無理にとは言わない。名MCなのだからそれぐらいの感覚はあるよ?
ならばと、ぐるりと顔を向ける。
見えるのは今も同じ教室内にいる彼女。なにか考えているような雰囲気で佇んでいるくれはさんだ。おもむろに教室から出て行く背中を急いで追いかけた。
「くれはさーん! めぐるも付いていきますよー!」
「いいわよ」
「今日はどこに行くご予定で? やはりブロッサムですか?」
「違うわ」
おおっと、よく考えたらアルバイトの日じゃなかった。
そうでなくても行ったりするぐらいブロッサムのこのみさんとは仲が良いんだけど、今日は違うみたいだ。
めぐるの経験上、こういうときは実況しがいのあることが起きる。行き先がわからなくても付いて行くのは当たり前のことだった。
南凪自由学園を出て駅へ向かって、そこから中央区へ。
中央区はその名前の通り、電波塔やオフィスビルが立ち並ぶ神浜市の中心……だったんだけど、電車の窓から段々と見えてくる景色は瓦礫まみれだ。
ちょっと前にあった歴史的台風――表向きはそうなってるけど、本当は『ワルプルギスの夜』という、とんでもなく強い魔女の被害がずっと残ってる。結界に隠れてないしこんな影響が出るなんてびっくりだよね。被害を受けてない部分があって、神浜が無事なだけマシなのかも。
この辺りには当然、中央学園があるわけで、そこにもくれはさんの知り合いがいる。彼女たちに会いに行ったのかと思ったら……。
「ここ、立ち入り禁止のとこですよ?」
被害が酷くて、いつ崩れるかわからない危険な場所に来ていた。
「……だが、しかし! 立て看板もテープもお構いなし! くれは選手、乗り越えて進んでいきます! その姿はさしずめロッククライマー! 未踏の領域へと今、足を踏み入れたーッ!!」
「危ないから待ってて」
「それは同じじゃないですか。めぐるも行きますよ」
魔法少女だから大丈夫なのはわかってるけど、ちょっと心配なのが六割。残りの四割はひなのさんからの頼みにある。
『オマエが付いて行って実況するのは別にいいが、警察沙汰になることだけは止めてくれ。いや本当に。これ以上はアタシの胃が限界――おい待てめぐる聞いてないだろ』
言ったのはそんな感じだった……はず。
とにかく、付いて行かない選択肢はない。
まったく躊躇わずに突き進むのを追いかけると、少し被害が軽い場所に出てきた。他と違って足の踏み場はある開けた場所だ。
「なにかしらあれ。車? 家?」
くれはさんが指さしたのは、紫色でエキゾチックなバスみたいな車だった。タイヤはあるのに運転席はない。ということは。
「トレーラーハウスってやつですね。車で牽引するんですよ。でも、なんでこんなところに?」
横にはキャンプで使うような椅子が三人分並べられていて、一つだけだけどベッドまである。どれも綺麗だし、消し忘れたのかランタンが光っている。明らかに誰かいるよ。
怪しい。すごく怪しい。しかし……これは……。
「さすがですくれは選手! 見事、実況しがいのある場所に辿り着いてくれました! 人が立ち入らないこの場所で、一体なにがめぐるたちを待っているのでしょうか! くぅ~……令さんも一緒に来れば新聞のネタになったのに!」
「確かに」
「なんや騒がしいなぁ」
トレーラーハウスの青いドアが開いて、一人の女性が姿を見せた。褐色の肌に紫の髪をして、服は紫色と黒色だ。日本語で大丈夫かな、なんて心配したけど聞こえたのは関西弁だった。
「さあ第一人物と遭遇です! くれは選手、どう出るか!」
「……くれは?」
めぐるの言葉を聞き返したその人は、淡い栗色の髪と南凪の制服をじっと見た。それで、ポン、と手を叩いたんだ。
「おー、お客さんや。まだ宣伝してないはずなんやけどな……まあええか。ヨヅルー、月出里ー、準備やー」
「らしいわよ」
「まさかの急展開! ここはお店だったようです! ……いやホイホイ付いて行くんですか!?」
まったく警戒せずにトレーラーハウスに入っていくのを見ると、さすがのめぐるも心配だよ。変なセールスとかにも付いてくんじゃないかって、令さん心配してるんじゃないかなぁ。
急いで後に続いて入った内部は結構手狭。キッチンにテーブル、ソファ、大きなベッドでいっぱいいっぱいだ。そして中には既に二人、執事のような恰好の中性的な人と、小動物のような耳が頭に生えていて口元をマントで隠した小さな子がいた。
……いや、耳ってどうなってるんだろう。髪かと思ったらちょっと動いてるし。魔力の反応からして魔法少女だけど、めぐるが知らないだけでああいう子も多いのかな。
「初めましてやな。私はリヴィア・メディロス。ああ、自己紹介はせんとええ、あんたのことは知っとる。神浜で有名な魔法少女の一人、帆秋くれはってのはな」
「こっちはめぐるよ」
「ご紹介に与りました、"心に響いて世界を巡れ"! 枇々木めぐるです!」
キャッチフレーズを見事に決めたけど、めぐるはずっとこの場所が気になっていた。
もしかして、お店とは。
「初回やし、まずは『ピュエラケア』について説明しようか。ここはな――」
リヴィアさんが語ったのは、想像していたことに概ね近かった。
ここも調整屋。みたまさんが新西区で営んでいるものと同じなんだ。
ただ、このトレーラーハウスで全国各地を移動しているらしい。報酬次第で特定の場所に向かうこともあれば、気ままに旅して適当に開くこともあるそうだ。
「あとはやっぱあれやな。私らと同じく魔女と戦えん子に『調整』って生きる術を教えることも目的や。あんたらが世話になってるみたまかて、私が偶然神浜に来なかったら調整屋やってないで?」
「それって……調整屋さんの元締めということでは!? 大変ですくれはさん、めぐるたち、大物と会ってますよ!」
「元締めって人聞き悪いなぁ、師匠ぐらいにしといてや。ヨヅルと月出里もそう思う――あ、後ろの二人な」
「篠目ヨヅルです」
「ふむふふむ!」
「佐和月出里、と申しております」
「月出里は事情があって喋れないんや。気にせんといて」
中性的な人がヨヅルさんで、小さな子が月出里ちゃんだって。
喋れないのはなにやら事情があるらしいけど、『願い』で得ためぐるの人気MCとしての勘が言っている。これは迂闊に踏み込んではいけない話だ。月出里ちゃんだけではなく、ヨヅルさんからも同様の感覚がある。リヴィアさんといい、みたまさんといい、調整屋の人はみんなこんな感覚がするものなのかな。
この場所自体は実況しやすそうだけど、調整屋だもんなぁ……。調整を受ける予定もないし、他のお客さんが来たら邪魔になっちゃうだろうな。
なんて思ってたら、くれはさんが立ち上がった。
「調整をお願いするわ」
「任せとき……って、決断早いな!? みたまのとこのお得意さんやろ?」
「他の調整屋って初めてだもの。なにか違うかもしれないし」
むぅ、さすがはくれはさん。物怖じしない。着々と準備が進んでいく。
なぜかヨヅルさんに調整を頼んでいたり、そもそも受ける必要なんてないはずなのにその意図はまったくわからない。先輩魔法少女ならではの考えがあるのかも。
「ではでは、めぐるは邪魔しないように下がってますね」
「こっちはお茶にしよか。月出里、お菓子食うか?」
「ふむっ!」
「おー、そうかそうか、念話じゃなくてもわかるな。えーと……めぐるだったか、紅茶でええか? まあ、それしかないんやけどな」
みたまさんも紅茶を入れてくれたりするし、こういうところまで調整屋さんは同じらしい。
ただ、ケッチャプとかマスタードを取り出すのはさすがにあの人だけだよ。リヴィアさんは「貧乏性でな。コスパを重視しとるんや」なんて言うけど、淹れてくれた紅茶は良い香りがするんだ。
反対側でくれはさんが調整を受けている間、めぐるは二人と……月出里ちゃんは喋れないからリヴィアさんとかな? なんでもない世間話をしていた。
もちろん、どうして神浜に来たのかとか、なんでこんな場所にいるのかとか、聞きたいことはたくさんあった。めぐるの勘が大丈夫だって判断するものは、それはもうガンガン聞いた。でも。
「簡単には話さんわ。今日出会ったばっかの仲でそこまで踏み込んだことはな」
って、流されちゃう。軽い言い方だけどガードが固い。
どこまで聞けるのかなと考えてるところで、ヨヅルさんの声が聞こえた。
「終わりました。どうですか?」
終わったとは調整のことだろう。調子はどうかなって様子を見てみると、くれはさんはいつも通りの真顔だ。変わってない。
「どうですか、なにか違いがありました?」
「特には。いつもみたまがやってくれてるとの同じよ」
「大元は私のやからな。そう大きくは変わらへんて」
ヨヅルさんと月出里ちゃんはリヴィアさんから学んでる。みたまさんもそうなんだから、特に違いがないのが普通なのかな。
まだ紅茶はある。二人が加わって、話は続いた。
くれはさんだってメロンソーダ以外も飲むことは知ってる。黙ってカップを持つ姿はまるでお嬢様みたい。一口飲むと、リヴィアさんに視線を向けた。
「一つ、聞いてもいいかしら」
「なんや」
「さっきあなたは魔女と戦えないと言ったけど、調整屋はみんな戦えないの?」
「逆ですよ逆。聞いてました? 戦えない子にリヴィアさんが『調整』を教えて調整屋になってるんですよ」
「そうだったかしら。……でも、私たちは同じ魔法少女でしょう? 前から少し思ってたのよ。魔女と戦えない魔法少女がどうして生まれてくるのかって」
確かに。言われてみればそうかも。
魔法少女になったんだから、めぐるみたいに弱くてもある程度は戦えるはず。聞いた話じゃみたまさんは使い魔すら倒すのが難しいらしい。
その問いに、リヴィアさんは「あくまでも仮説やけど」と前置きをして言った。
「『願い』の在り方や。魔女は呪いで生まれる穢れを振り撒く存在で、魔法少女は希望を願ったからその闇を打ち消すことができる。せやけど、もしも呪いを願ったら? そら、力の大元がなくなるやろ」
「なるほどぉ~……」
たぶん、光が暗闇を照らすようなものなんだと思う。良いことを願えば光量が大きくなって、たくさん照らせる。でも、悪いことを願ったらぜんぜん光らないとか、そんな感じ。
「でもな、どんな最低な『願い』でもその子にとっての希望に変わりない。実際、それで普通に戦えるのもおるしな」
「つまり……?」
「結局、謎っちゅーことやな」
「ええーっ!?」
「ふむむふむふんむ!」
「『私たちもよくわからないよ』と。そうですね、この現象についてはどうにもわかりません」
あんまりな雰囲気でなんか、例えためぐるが考えすぎみたいだよ……。くれはさんだって、ちょっとマジメな雰囲気だなぁなんて思ったのに、戻っちゃった。
「こんな感じで調整のこととか、ピュエラケアのことだったら教えたるけど、そう簡単に自分のことは話されへん。プライベートなことやからな。ま、しつこく来てくれたら話す気にもなるかもな」
リヴィアさんだって笑いながら言うし、さっきまでの空気はどこへやら。
というかもっと来てくれたらって、要は営業だよね? 商売上手だなぁ。
すっかり打ち解けて軽くなったこの頃には、もう紅茶がなくなってた。
くれはさんに確認すると、もうそろそろ移動するつもりだったみたいだ。
「ではめぐるたちはこれで!」
「ヨヅル、今日はありがとう」
「お構いなく。グリーフシードを頂ければ私たちのためになりますので」
「ほな、また遊びにおいで」
「ふむ!」
三人に見送られて、瓦礫まみれの中央区へと戻る。
あまり実況はできなかったけれども、魔法少女として興味深いことが聞けた。特に、新たに現れた調整屋だなんて大事件だ。これはぜひとも令さんにも伝えなければ。
でも、それは……後でも良いよね?
「やって来ました工匠学舎! 既に周囲の生徒の視線が集まっております! さあ、くれは選手! 今度はどんな行動を見せてくれるのでしょうか!」
とにかくめぐるは実況が第一。
つまりは、面白いことをするくれはさんに付いて行くのが今の一番なのですから!
■今回の内容
リヴィア・メディロス 魔法少女ストーリー1話 『簡単には話さない』(一部分)
■リヴィア・メディロス
属性山盛り魔法少女(?)。褐色眼鏡関西弁マジシャン師匠。
別に関西出身ではないとホームボイスで言っているものの関西出身らしい。ホームボイスは結構当てにならないので注意だ。
■篠目 ヨヅル
中性的な執事風魔法少女。無属性ブラスト3枚の破壊の化身。
優しさの感情が欠落しているので「消えろ、この虫けら」や「今まで何やってきたんですか?」とか言う。
■佐和 月出里
初見で読めない魔法少女。無属性防御全振りの守護神。
病院に行くときは家に帰る。なお、学校には行っていない。
■ピュエアケア
第二部における勢力の一つ。出張調整屋。
神浜以外の調整を受け持つので最初から入り浸れば結果的に加速する。だから初手でリヴィアさんに会う必要があったんですね。
■めぐる
南凪なので引き続き出番が回ってくる魔法少女。実況中とそれ以外で口調が違う。
南凪魔法少女として動かしやすいのか原作でもちょくちょく出番がある。
■スキップした内容
後日談。くれはちゃんが勝手に解決した。
第一部における自動生成の経歴部分。
■魔法少女歴
本編開始時で1年。第一部開始までに+1年。その後第一部でさらに+。多分約3年ぐらい。
あれー、おかしいねー学年が変わったり卒業したりしないねー。そういう設定。