マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート   作:みみずくやしき

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パート47 ショッピングでヒーローと握手!

 準備を進めるRTA、はーじまーるよー。

 

 おはよーございまーす!

 

 時間通りに元気に起床。ベッドから跳ね起きて今日の行動を開始します。

 前回、水名女学園で魔女を倒すことにより、リリアンナ勢との面識ができました。今後はこの繋がりを適時使用して効率的に進めていきます。

 

 そのためにはどこかで『香春(かはる) ゆうな』と接触する必要があるのですが……現在の最優先事項は彼女ではありません。近いうちにチャンスはありますが、絶対に第二部第1章前には出会って信頼度を上げておきたいですね。

 

 次は北養区に向かうので、くれはちゃんハウスを飛び出したら……。

 

「揃ったようですので、本日の会合を始めましょうか」

「会合ってあんたらしかいないじゃん」

「今日は縮小版なのよ。特に目立ったこともないし」

 

 なんで?

 帆奈ちゃんはともかく、どうしてリビングに組長とこのはがいるんですか? 会合なら外だろォ!?

 

「どうしたのよ。手早く終わらせたい日は朝早くてもいいって、そう言ったのはくれはでしょう」

 

 これは……スキップ中の信頼度上昇が予想よりも高いですね……間違いない。

 ななか組とアザレア組への信頼度が高ければ、ユニオンから抜けている可能性が上がるのですが、高まりすぎるとこのように自宅で行う場合が出てきてしまいます。

 

 おいどうするよ、一発誤射して下げるか……?

 いや下げる手間とロスを考えたら強行したほうがマシか……?

 

 (この程度で焦るようじゃ)未熟です……。

 下げすぎて第二部での手助けを受けられなくなったら元も子もありません。まず安定してクリアしろ。 

 

 そうと決まれば適度に媚びへつらおうぜ。後で仕事があるからな! 楽しみにしとるんやど?

 

「ではもう一度、神浜マギアユニオンについて確認しておきましょう」

 

 組長の長説明を聞き流す裏で、時系列のズレを確認しておきます。仕様上、ガバや大ロスはこういうところから起きるので序盤のどこかでやっておくと吉です。まさか確認を怠って絶交階段のウワサを見逃した走者なんていませんよね?

 

「彼女たちは総合互助組織として魔女やグリーフシードの融通にテリトリー争いの仲裁等、首尾良くやっているようです。まだ滑り出しでも平常時に問題はありません。ですが……どこまでも、グループの集まりです。軍隊や宗教団体ではない。義務や責任、リーダーや目的に熱狂的で強大な求心力がないゆえに、外敵の策略や内側の裏切りに遭えば瓦解するおそれがあります」

「ユニオンが崩壊すれば私たちも混乱に巻き込まれるでしょうね。それどころか東西分裂なんてしたら神浜全体がどうなるか……」

 

 一応解説しておくと、彼女たちの言う可能性は普通に起こります。血で血を洗う大抗争の開幕です。なんかやかんやであやめが退場しますし、他にも退場者が続出するので阻止しておきましょう。

 まったく、神浜の互助組織は内紛に弱いな! マギウスの翼を見ろ! 洗脳するから問題ないぞ!

 

「なにか問題が起きれば設立時のコアメンバーが対処することになると思いますが……状況の確認はこの程度でいいでしょう。このまま平和が続けばいいのですけどね」

 

 まあさっき言った通り続かないんですけどね。

 終わったから今度こそ出かけるぞ!

 

「ゆっくりしてるけどさ、アレいいの? 売れちゃうかもよ?」

 

 帆奈ちゃんが言っている例のブツはもう少し後です。みたまさんと塁ちゃんの予定が一致する日でないとリセットなので。焦るなよ……焦るなよ……。

 

 その間は強化イベントのフラグを立てるために動きましょう。レベル上げはしません。そんな時間ねーんだよ!!

 

 ピィィィンポォォォン(ねっとりインターホンくん)。

 

「インターホン、鳴ったわよ」

「相変わらずお忙しいようですね。私たちもそろそろお暇させていただきます」

 

 幻聴だよ幻聴! だから玄関に向かうんじゃねえ対応するな!

 

 でも油断するとロスに繋がるので、どなたかは確認しておきましょう。神浜のものでない制服だったら窓ブチ破って即脱出。いつでも変身できるようにして外に出ます。

 

「来た来た! あんまり待たせないでよね!」

「押しかけたのはボクたちだよ……」

 

 かわいいねーいくつ? 中1っす……。

 りおんちゃんとほとりんでした。くれはちゃんハウスが血の惨劇にならなくて良かった~って思うわけ。

 

 このように、交友関係にある魔法少女はたまに訪ねてくることがあります。

 二人が来るということはさっそく『お月見は優雅な茶会のあとで』の効果が出てますね。というか、これから二人に会うために北養区に向かうところでした。警察のご厄介になるか一か八かの潜入作戦の予定がとんだ短縮。これ最速ありますよ。

 

「うっわまた知り合い増えてるし……今さらか。じゃ、あたしは水徳商店街に行ってくるから」

 

 第一部の決戦を乗り越えてるので帆奈ちゃんも自由に動けてますね。次の出番までは特に制限はないから好きにしてていいぜ?

 

 では誘われるがままホイホイとデッデッデデデデ!(カーン) デデデデ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 着いたのはーショッピングモールだったー。二人はお小遣いで買える範疇で来るのでお財布に優しいですね。

 まあ今のくれはちゃんの所持金は寂しいことになってるんですが。スキップ中になんかしたか? 金策はこの後一気にできる方法があるので気にしないでいいです。 

 

 それはともかく、柚希姉妹との信頼度上げに有用なのはショッピング。

 

 二人とも良いとこの子なので、他のキャラのように好き勝手に連れ出せません。

 さらに、ほとりんにはまず間違いなくりおんちゃんが付いてきます。彼女の性格は信頼度上げを阻害するばかりか、ほとりんの自由時間を束縛する迫真のディフェンス能力です。

 

 それがなんと、ショッピングであればりおんちゃんの機嫌が良くなって信頼度上げがはかどります。向こうから呼ばれる形なら尚のことヨシ。ディフェンスのここが隙だったんだよ!!

 

「さっそくお洋服を見て回るわよ!」

「まっ、待ってよりおん~! くれはさんを引っ張っちゃダメだよー!」

 

 こりゃいい絵撮れてますよ! 生のこの、少女にはありえない魔法少女の腕力、いいじゃないですか。しっかりと味わいつつ、りおんちゃんのさせたいようにさせてあげましょう。このほうが信頼度が上がります。

 

「あたしの魔法少女衣装に似た服とかないかしら……あっ、これ良いわね。ほとりん、着なさいよ」

「えっ、ええ?」

「ほとりんのために言ってるの。絶対に似合うし可愛いわ」

 

 なんだなんだ嬉しそうじゃねえかりおんよ~。

 さすがは拘束の状態異常をかけられる魔法少女。束縛してますね。

 

 なので、さっとお揃いの洋服を渡して状態異常を回復してあげましょう。ヒール! ヒール!

 

「これは……二人で合わせたらいいのかしら。試着してくるからちょっと待ってなさいよ」

 

 すると少しの間りおんちゃんが場を離れます。

 この二人っきりになった僅かな時間がほとりんの信頼度上げチャンスだぜ!

 

 ほとりんに有効なプレゼントアイテムはおもちゃ屋さんで買えるDX変身ベルトです。信頼度が一気に爆上がりします。

 しかしトップクラスに高価な大きなお友達向けのアイテムは買う余裕がありません。金策前に買おうとすればまたブロッサムに通い続ける毎日になり、なんやかんやでこのみちゃんエンドを迎えてしまいます。

 

 リリアンナに乗り込む予定はあったので渡すブツはあるにはあります。大人しく会話とそいつで上げましょう。くれはちゃんのパーフェクトコミュニケーション、お前らもよーく見ておけよ?

 

「し、心配してくれてありがとうございます……でも――」

 

 よし、楽しく話せたな。

 

「ほとりん、どう……って、まだ着てないじゃない!」

「りおんが先に行ったんだよ。試着室は埋まってるし、開けちゃ悪いし……」

 

 そういえば見事に全部埋まってますね。誰か別の魔法少女が来てるのかもしれません。

 ちょうど誰か出てきて、あれは……しめじ! もとい矢宵かのこ! 

 

「お、くれはさんだ。それとリリアンナの子……もしかしてこの前の?」

 

 どうやら『お月見は優雅な茶会のあとで』の結果を知っているようですね。旧校舎倒壊の危機を救ったので水名勢の信頼度にブーストがかかってるぜ。

 

「ここ、私もそこそこ来るの。品揃えが多いし服を見るにはちょうど良いのよね。ま、買おうとしても高いんだけど……」

 

 かのこは洋服店に出没することがあります。行動スケジュールが重なっていたようですね。

 こうは言いますがデザインを参考にしません。相変わらず未来に生きてる宇宙的デザインをしてくるマジヤベーヤツだ! 

 

 ついでに彼女の信頼度を上げることもできますが……今の数値で十分でしょう。特にチャート上でも必要じゃないのでお帰り願いまーす!

 

「まっ、魔女! 近くに!」

 

 よし行くぞかのこ!(手のひらクルクル)

 この場合には引きずってでも連れて行きましょう。回避できない魔女戦は早く終わらせるに限ります。三人を引き連れて結界に乗り込め―!

 

 

 少女移動中……。

 

 

「よしっ……バッチリ決めるから!」

「ゆ、勇気を出して……行くぞー!」

「せっかくショッピングしてたのに……しょうがないわね、相手してあげる」

 

 パパっと片付けてくれるとタイム的にも嬉しいんだけどな~俺もな~。

 ここでは今後のために柚希姉妹に経験値が入るように立ち回ります。くれはちゃんはサポート重視で動きましょ。

 

 それ以外には特に言うことがないので……解説コーナーイクゾオオオオオオオ!!

 

 『柚希 ほとり』は格闘で戦う近距離タイプの魔法少女です。しかし当然の権利のようにビームが出せます。魔力の消費が多いので決め技ですね。固有魔法『名乗り』により敵を引きつけつつ打倒するアタッカーとして育ててあげましょう。

 彼女は『りおんを守れるぐらい強いヒーローにしてほしい』と願っているので、りおんちゃんを守る際にはパワーアップします。なるべくセットで運用したほうがイーヨー……。

 

 『柚希 りおん』は対照的に、ステッキからピンクの光線を飛ばして戦う遠距離タイプの魔法少女です。しかもハート型にも飛ばせます。お前ひょっとして無類の典型的な魔法少女か?

 こちらはほとりんが致命傷を負った現実を認めない願いで魔法少女になっていますが……固有魔法は『束縛』。対象を拘束するかのこと似た魔法が使えます。

 しかし、注目すべき能力は別にあります。なんと彼女、魔力を使いますが飛べます。かりんちゃんが鎌でやっているような低空で浮かぶような飛行ではなく、自由自在に飛べます。これだけで魔法少女やってけるんだよなぁ。

 

 ですが知っての通り、二人は魔法少女としては新人です。のこのこと無駄に強い魔女の前に出たら最後、攻撃は当たらない魔法が通らないと圧倒的レベル差を全身で浴びつつ簡単に退場してしまいます。

 

 だから今日は糸と『停止』でダブル拘束だ!

 動きを止めて二人に殴らせるのが効率的なレベリングだって言うけど、こんなことしてたらバランスマジに壊れるな。

 

 はい魔女止めて! ここでりおんちゃんの『シトロン・プリンセス・キッス』とほとりんの『シトロンビーム』が炸裂! さんざんカトラスで切って体力を減らしておいたのでもう終わりだぁ!

 

「あっ、グリーフシード……」

「みんなソウルジェムは? って、くれはさんは相変わらず消費量が半端ないし」

「さすがにあんたが使いなさいよ。ほとりんにあげようかと思ったけど、そのほうがいいでしょ」

 

 あ、いいっすかぁ!? ありがとナス!

 ストックに余裕はありますが、第二部ではドッペルは極力使わない方針なのでありがたいですね。もっとも、使わないといけなくなる場面もあるんですけど。

 

 だけど魔女戦が終わったからってオラオラ休憩するんじゃねぇ! 買い物再開だ!

 せっかくショッピングモールに来たのに色々買って帰らないなんてロスですよロス。どうせこの後来る予定だったのでちょうど良かったです。うまいぞ短縮(空気)。

 

 買うのは大きなリュックサックです。たくさん持てるようになります。必要なときは必ず背負っておきましょう。

 あとはパーカーとスカートといった服を2セット、そしてラテン語の辞書を放り込んでおきます。この行動、よーく見とけよ見とけよ~。

 

 買い込みつつ今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 くれはさんのことを、ボクはよく知らない。

 最初の印象は、水名女学園での騒動で偶然出会って助けてくれた魔法少女の中の一人。ゆきかさんが言うにはカッコよく助けてくれたって話だから、ちょっと憧れたんだ。

 

 ただ、彼女のお姉さん、帆秋るいさんのことはかはるんから聞いていた。

 

『あのお方に出会う前、空虚で生きがいを知らなかったわたくしにも分け隔てなく接していただいた方ですの。元々、帆秋家の方とは親同士のお付き合いがあったものですから――』

 

 こんな感じで話してくれている姿は、“聖女様”の話をするときとはまた違った表情なんだ。なんというか、友達と話す雰囲気。向こうのほうが年上なのに、不思議だなぁ。

 

 かはるんは妹のくれはさんと会おうとしてるみたいだけど、思うところがあってタイミングを見計らってるみたい。ボクたちにも会うのはちょっと待っててほしいって言ってる。

 だから言われた通りに大人しくしてようと思ったんだけど……。

 

「あいつに会いに行くわよ、ほとりん」

 

 朝起きてすぐ、りおんにこんなことを言われたんだ。相変わらず自分の意思を貫いていた。

 

「でっ、でも、かはるんに止められてるよ」

「直接言ったり聞いたりを、でしょ。向こうから偶然話してくる分には問題ないじゃない」

「そうかなぁ……」

「そうよ!」

 

 この調子のまま、くれはさんに会いに行くって言うとまったく止まらない。

 出かけるのは朝一番でボクの見たい特撮を見てから出発でいいらしいけど、それでも迷惑じゃないかなぁ。

 

 そのまま話は勝手に進んで、どうしようかと一応かはるんに連絡をすると意外にもあっさり許してくれた。くれはさんの家まで教えてもらったんだ。

 

 ……ボクもちょっと気にはなる。

 だけど――って、もっと強く言えたらいいんだけど、ムリだよぉ。

 

 でも、実際行ってみると。

 

「来た来た! あんまり待たせないでよね!」

「押しかけたのはボクたちだよ……」

「別にいいわ」

 

 出迎えてくれたくれはさんは、ぜんぜん迷惑じゃなさそうだったんだ。

 前に見た時と同じクールな表情そのもので、目はぱっちり開いてて、髪にも寝ぐせなんてない。朝に強いのかも。

 

 それから帆奈さんって人がボクたちをじーっと見たり、その横をいつもの様子みたいに通り過ぎていく二人がいたりして、なかなか本題が言えない。

 結局、どこに行くかも言わないまま、りおんが勝手に段取りを決めていって、くれはさんもまったく否定しない。全部りおんのスケジュールになっちゃってるけどいいのかな……。

 

 それは、着いたショッピングモールでも同じだった。

 

「さっそくお洋服を見て回るわよ!」

「まっ、待ってよりおん~! くれはさんを引っ張っちゃダメだよー!」

「引っ張られてないわよ」

 

 確かに、よく見たら同じ速度で歩いてるだけだ。いくら魔法少女でも体格的に無茶があるもんね。

 

 って、そうじゃない。失礼だよ!

 ボ、ボクはお姉さんなんだから、ちゃんと注意しないと……! 

 

「りっ、りおん!」

「なに?」

「あ、い、いや、その……」

「おもちゃ屋なら行かないわよ」

 

 あの鋭い視線が突き刺さる。やっぱりダメだ。ちょっと怖い。

 うぅ、りおんのことは大切な双子の妹だと思ってるけど、りおんはどう思ってるのかなぁ。ぜんぜん話を聞いてくれないし、すぐ怒るし……。

 

 というのも、こうやってお洋服の買い物に連れてかれるのは初めてじゃない。

 今日はくれはさんがいるからちょっとは楽だけど、いつもはもっとグイグイ来る。カッコいい服が着たいのに、メイドさんの服みたいなのを着させられたこともあるんだ。そういう服を好きになれ、なんて言うもの。

 

「あたしの魔法少女衣装に似た服とかないかしら……あっ、これ良いわね。ほとりん、着なさいよ」

「えっ、ええ?」

「ほとりんのために言ってるの。絶対に似合うし可愛いわ」

 

 フリルがたくさん付いた服を持ってそう言うりおんは、いつものパターンだ。断り切れなくて手に持ってるそれを着させられる。

 機嫌が悪くなっちゃうし、しょうがないから受け取ろう……と、手を伸ばす前に服が差し込まれた。

 

「こっちはどうかしら」

「これは……二人で合わせたらいいのかしら。試着してくるからちょっと待ってなさいよ」

 

 そう言ってりおんはわくわくしながら試着室に入っていった。

 ボクにも今のはわかる。困っていたように見えたから、助けてくれたんだ。

 

「し、心配してくれてありがとうございます……でも――」

 

 大丈夫と口にする前に、ぐいっと近づいてこられた。

 

「着せ替えられるのは、嫌じゃない?」

 

 そう聞いたくれはさんの目は、なんだかボクを見ているようで遠くを見ているような不思議なもの。ちょっとした違和感で背筋が冷たくなる。さっきまでの雰囲気がどこかにいっちゃったみたいだ。

 

 でも、怖いものじゃない。あったかくなっていく気持ちが、ボクの口を動かした。

 

「カッコいいものを着たいなって思うことはあるし、強引だなぁって思うこともあるけど……ボクは、お姉ちゃんだから。着せたいものを着てりおんが喜んでくれるのなら、それも良いのかなって」

「……本当?」

「写真をアルバムにしてたりするのは……うん、イヤだけど……そういうイヤじゃなくて、なんだろう……うぅ、ごめんなさい、言葉がでなくて……」

「恥ずかしい、とか」

「あ、そっ、それです、たぶん。りおんに見られるのは慣れても、他の人に見られちゃうかもって思うと……」

「りおんは、ちゃんと()()()()見てくれているのね」

 

 くれはさんの真顔でも優し気な表情に一安心する。

 

 自分でも驚いたのは、こうやって話すことに抵抗がなかったことだった。

 ちょっとした違和感がプラスに働いていたのかもしれない。同じ魔法少女ってこともあって、まだまだ出会ったばっかりなのに、打ち解けていたんだ。

 

 他にも理由があるとすれば、くれはさんが突如どこかから取り出した――騎竜戦隊ドラレンジャーのフィギュア! 赤いマッシブなボディにドラゴンがモチーフのマスクを見間違えるわけがない!

 

「ドラグーンレッドですよね!? ボクも持ってるんです!」

「日曜日の朝にやってて、人気だそうだけど」

「そっ、そうなんです! とってもカッコいいんです! くれはさんも見るんですか!?」

「し、知り合いが見てるって聞いたから……」

 

 なんでもよく会う人が見てるらしくて、調べたりはしてたんだって。あちし……って人らしい。せいらって人からも教えてもらったりしたそうだけど、それでもわからなかったってボクに質問してきて、それで話が弾んじゃったんだ。

 

 好きなものに熱中してると周囲が見えなくなることってある。ボクもテレビを見てたらりおんに気づかなかったことがあるし。

 

 だから今回も、試着室のカーテンが勢いよく開いて、りおんが出てきたことに気づかなかったんだ。「まだ着てないじゃない!」って言われても……やっぱり着ないとダメかなぁ。

 

 と、思っていたら今度は隣の試着室が開いて、茶髪でウェーブした髪の人が出てきた。

 

「お、くれはさんだ。それとリリアンナの子……もしかしてこの前の?」

 

 "この前の"というのは、ゆきかさんに助けてもらった時のことだと思う。

 その矢宵かのこさんって人が言うには、水名女学園の魔法少女の間ではボクたちのことが知れ渡ってるんだって。

 

 ……のは、いいんだけど。

 冷静に話してても視線が釘付けになるほど、この人の恰好がとんでもない。

 

「クールなコーデなはずなのに、ところどころにカラフルなキノコが散りばめられてる……これが……大人っぽさ……?」

「り、りおん……」

 

 途端にりおんの勢いが削られたのは、髪飾りもチョーカーもキノコで、全身から発せられる禍々しさのようなオーラのおかげ……なのかもしれない。

 

 落ち着いたし、そのままみんなでショッピングというわけにもいかないのが魔法少女。

 魔女の反応を察知すると、ボクたちは探しに出かけた。ヒーローみたいに、みんなを傷つける魔女は退治しなくちゃいけないから。

 

「行くわよかのこ」

「おお! って、行く、行くって、引っ張らないでも行くって!」

 

 もう1年以上戦っているらしい二人は、手慣れた感じですぐに結界を見つけてくれた。くれはさんはちょっと強引だったけど、かのこさんはもう慣れっこって雰囲気で……ベ、ベテランだ……!

 戦いでもそう。ボクたちよりも先に攻めて、隙を作ってくれる。

 

「糸で足止めをお願い。私たちが攻撃する」

「オーケー、共同作業だね! ほっ、だだっと!」

 

 かのこさんの糸が足止めをしてると、ボクの攻撃も簡単に当たる。

 りおんもビームがすぐ当たって機嫌が良い。避けられると……うん、機嫌が悪くなるし。

 

「今よほとり!」

「はっ、はい!」

 

 合図に合わせて全力で魔力を込める。そして、ベルトからビーム!

 黄色の光線を魔女にぶつけるこれが、ボクの必殺技のシトロンビーム。りおんにプリンセスなんたらって名付けられるのだけはなんとか阻止できた。

 

 必殺技だけあって普通に手で叩くより威力はあるけど、ボクが弱いからか倒せてない。

 魔女は反撃をしようとして――りおんのハート型のビームが命中。それがトドメだったみたいで、結界と一緒に消えていった。

 

「やったわね」

「あっ、グリーフシード……」

 

 景色が戻って、みんなが話してる中、思うことがあった。

 

 ボクは、もっと強くなりたい。

 いつもりおんがいないと魔女を倒しきれない。今回もそうだった。

 でも、それじゃダメなんだ。強くなりたいんだ。あの人みたいに、みんなを、りおんを、守れるぐらいに。具体的にどうやってかは、わからないけど……。

 

 確かめるように手を握ってみる。魔法少女だから強いはずなのに、柔らかそうで弱く見えた。

 

「……ん?」

 

 なにかがあって、肌に反射的に視線が動く。

 

 気づいた。腕に、なにか、黒いもの。

 小さくて、足があるように見えて、そっ、それは――

 

「むっ、虫!? と、ととととと取って無理無理無理っい、いやぁーっ!?」

「糸ね」

「あー……さっきのがくっついちゃったのかな。ごめんね」

 

 かのこさんが「ちょいちょい」って取ると確かに糸だった。

 う、うぅ……こういうところを直さないとダメなんだろうなぁ。でもイヤなものはイヤだし……平気になれる気がしないよ。

 

 その後は、さすがに何事もなく買い物できた。

 一日どころか週に何回も魔女と戦うことはないし、当たり前だよね。そう言うとかのこさんは微妙な表情をしてたけど……りおんがボクに色々言うのも含めて、いつも通りだ。

 

 ただ、くれはさんの行動は変だった。

 妙に大きなリュックサックを買ったかと思ったら、なにも入ってないのにその場で背負ったんだ。

 服もそう。ぜんぜんくれはさんのサイズに合ってない。誰かにあげるのかな?

 

 疑問を持ちながらも聞くことはしなかった。それより、りおんがどうして会いたがってたかのほうが気になってたから。

 と、それを帰り道に聞いてみると。

 

「そんなの、あいつが変な目で見てくるからに決まってるじゃない」

「ええ……?」

「さっきも見たでしょ。グリーフシードはあげるって言ってるのにくれようとするし、困ったことがあったら必ず呼べって、そんなに会いたいのかしら」

 

 りおんの言うことは事実だけど……あれ? 

 見返りを求めず、困ったらいつでも助けてくれて、しかも強い。それって……!

 

「うん、すごいよね、くれはさん!」

「……どうしたのほとりん?」

 

 ボクの中でくれはさんのイメージが、理想のヒーローのイメージと重なった。

 

 きっと、勉強も運動もなんでもできる人なんだ。だからあんなに友達がいて、すごく強い。

 よ、よし……ボクも、頑張ろう! いつかヒーローになるんだ! くれはさんみたいに!

 




■今回の内容
 柚希りおん 魔法少女ストーリー 1話 『ほとりんはあたしのもの』(一部分)

■ほとりん
 嫌いなものは虫。おどおどしてるが結構やる。 
 カッコよくなりたいので変身ポーズを考えたりするタイプ。

■りおんちゃん
 他人にキツくなるのはほとりんに近づかれた嫉妬。なので、顔見知りであるかはるんやゆきかがほとりんに近づいても大丈夫。
 束縛をしてるためかコネクトやマギアで拘束の状態異常を付与できる。固有魔法も『束縛』。演出で飛ぶ(縦ブラスト)。

■かのこ
 実はりおんちゃんとちょっとだけ関係がある魔法少女。
 2021年のクリスマスストーリーでりおんちゃんが貰ったのは『キノコっぽい形のアクセ』。冬服も当然のごとくキノコ。

■ダブル拘束
 コネクトで拘束を付与できる2人パーティにすることでハメ殺しを行う初期からの伝統の戦法。かのこ&りおんでも可能。ハメられた!
 相手がどれだけ強かろうと拘束が効くのなら動きを封じ続けて勝ててしまう。ただし場合によっては時間がかかるのでRTA的には使わない。

■騎竜戦隊ドラレンジャー
 あやめも見ているニチアサ枠。
 ほとりんの専用メモリアで見た目が確認できる。

■声
 ななか組長は戦隊ヒーロー。
 ゆきかちゃんは仮面ライダー。

■具体的に強くなる方法
 ???「任せるの! マジきりを読むの!」







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