マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート   作:みみずくやしき

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パート48 ウォールナッツ対聖リリアンナ 料理大激突

 信頼度上げを効率的に行うRTA、はーじまーるよー。

 数日は料理尽くしの毎日ですね。即座にピュエラケアのトレーラーに向かって、挨拶代わりにリヴィアさんにグリーフシードを貢いでおきましょう。

 

「ヨヅルは用事で月出里は遊びに行っとるでー。私しかおらんけど、ええんか?」

 

 そのタイミングを狙って来てるんだから当たり前なんだよなぁ……。

 あっそうだ。まず神浜さぁ、中華料理店あんだけど、食べてかない?

 

「おっ、ええなぁ。ほな行こか」

 

 この通り、リヴィアさんは第二部開始前なら連れ出すことは容易です。暇なら買い物にも付き合ってくれます。今のうちに信頼度を上げておきましょう。彼女のを上げるとヨヅルくんと月出里に対してできることが増えます。

 

 というわけでオッス(入店)。

 お客様の到着だぞ喜べ鶴乃ちゃん!

 

「おぉ―! くれはちゃんと……また新しい知り合いだー!? しかも神秘的なお姉さん! 新たなタイプだよ!」

「褒めても飴ちゃんぐらいしかないで~」

 

 ちなみに、ピュエラケアの面々とチームみかづき荘の誰かをこの時期に遭遇させると第二部第一章の終盤がちょっとだけ変わります。地味な短縮要素となるうえに、ストーリーに影響はないので嬉しいですね。

 

 ここで注文するのは適当でいいでしょう。どれを選ぼうが発生する効果はないので関係ねぇんだよそんなもん。

 

「はーい! 肉野菜定食と新感覚麻婆豆腐定食お待ち!」

「おー来た来た……ちょっと待ちや。豆腐が入ってないやん」

「新メニューの新感覚麻婆豆腐だからね! 豆腐は液状になってるよ! 目指せ、マンネリ打破!」

「つまり麻婆豆乳やないか」

 

 リヴィアさんは大人なのでいやもう許せへんし……とはなりません。すげえぜ。

 万々歳の謎メニューを注文するとキャラによって様々な反応をしてくれます。なに選んでもタイムは変わらないから趣味が出ますね。

 

「ねーねーくれはちゃん、このお姉さんとはどこで知り合ったの?」

「せやったら、ちゃんと自己紹介しとこか。私はピュエラケアのリヴィア・メディロス。会ったのは中央区や。ほんのちょっと前の話やけどな」

「ピュエラケア?」

「簡単に言えばみたまと同じ調整屋。あんたも世話になっとるやろ。なあ、鶴乃ちゃん?」

「わたしのこと知ってる!? そうかー……最強すぎて名前が広がっちゃったかー!」

 

 教えたのはくれはちゃんなんですけどね。

 

 こうすることで、勝手にみたまさんへ情報が伝わります。調整屋の中立の掟を破ったら、師匠が近くにまで来てたという彼女にとって戦々恐々の状況です。怖いねぇ……。

 まああっちも調整屋は地獄の料理を出すとかクイズ大会開いて不正解者を地下に落とすとか脱がすとか好き勝手やってるので自業自得でしょう。おいみたまァ! お前さっき調整してるとき風評被害広げてたろ(事実陳列)。

 

 帰る際はリヴィアさんと別れてから移動しましょう。必要以上にいると余計なイベントを引き起こします。じゃあな!

 

 さてさて次に向かうのは参京区、雫ちゃん家の喫茶店です。

 おう、やってるかい!

 

「くれはさん? 用事ですか?」

 

 彼女にはこの先やってもらうことがあり、運が悪いと酷使無双となるので、今のうちに入り浸ってさらに信頼度を稼いでおきます。

 

 ここはブロッサムや学童保育といったアルバイトと異なり、お客さん待遇なので空いている時間であればいつでも来れます。それを利用してこの先の待機時間や待ち時間には居座り続けましょう。もちろん最低限のコーヒー一杯です。

 

「これメロンソーダじゃありませんけど……」

 

 なんのこったよ(素)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おはよーございまーす!

 

 昨日に続き、今日は親の顔の次の次ぐらいに見たウォールナッツです。連日飲食店をハシゴしているくれはちゃんの財布はボロボロどころかスカスカ。散財の末路。

 おう、やってるかい!

 

「料理教室は参加させませんよ?」

 

 (目的が)ちょっとズレてるかな……。

 本日のお目当ては料理教室やまなかちゃんではなく、いるであろうお客さんの一人です。というか目の前にいる緑の子です。

 

「ねえねえまなか、ひょっとしてこの人? 言ってた通り綺麗な人だね!」

「見た目だけだってことも言ったじゃないですか」

「そうだっけ? あ、私はまなかの大親友の若菜つむぎです!」

 

 自分から言ってくれた彼女がつむぎちゃんです。ウォールナッツが閉店してたり、まなかちゃんが退場していると魔法少女にならないウォールナッツ依存体質のグルメなヤツだぜ。期間限定桜ロールケーキが販売になっているとかなりの頻度で出現します。だからこうして会いに来ました。

 大親友らしいですが、ちょっと確認してみましょう。

 

「……ええ、まあ、知り合ってから1週間かそこらなんですけど、ウォールナッツの味を大変気に入ってもらえたらしく、一時期の誰かさんみたいに毎日来るんです。まなかも満更でもないですし、学校でも会いますから間違いじゃないんですが」

「だよねだよね!」

 

 やっぱりな(レ)。経歴のつじつま合わせで以前から知り合っていたことにはなっていませんでした。

 しかし、つむぎちゃんに指輪があるので既に魔法少女になっています。ここ数日で契約したんでしょう。白タヌキとのイベントを回避できていてうまあじです。やったぜ。

 

 面識も出来たし、時間がもったいないので次行きますがおっとイベントだぁ!

 

「突然失礼……帆秋くれはさんですわね?」

 

 いや、待ってください……この超お嬢様オーラは! 聖リリアンナ学園の『香春(かはる) ゆうな』!

 ウォールナッツで彼女と出会うのは運が絡むのですが、見事引き当てました。良い流れが来てます。もう一門の屑運からは卒業だなガハハハハ!

 

 というのも、このイベントはマジのご令嬢、香春ゆうな……かはるんがウォールナッツに来るタイミングと噛み合わないといけません。ほとりんかりおんちゃん辺りと面識があれば発生します。だから水名女学園でほとりんを助けておく必要があったんですね。

 

「ちょ、ちょっとくれはさん。この方、本当にやんごとなき家の人なんです。いつもみたいな真似はやめてくださいね!? ほんとに!」

 

 大丈夫だってヘーキヘーキ、安心しろよ~。

 ちなみにどれぐらいのお金持ちかと言うと、リムジンと専任の運転手、執事に荷物持ちのメイドを引き連れて登校してきます。お屋敷に住んでて自家用ジェットを所持してるレベルです。それでも虜にするウォールナッツのレベル、高すぎ……!?

 

 なぜだか妙にリリアンナと関係が深いウォールナッツ。忘れがちですが、立地は北養区です。

 しかも、まなかちゃんは元々リリアンナ志望です。だいたいは水名ですが、低確率で聖リリアンナまなかちゃんを見ることもできます。たまーに神浜市立大附属版もあるらしいっすよ?

 どっちにしろそうなったら再走です。ちょっと再走案件が多すぎるんじゃねぇのかぁ……?

 

 それはともかくさっそく金持ちとコネ作成。くれはちゃんの自己紹介力、見せてやるぜ!

 

「香春ゆうなと申します。一方的に知るばかりで、いつか直接出会う日を見計らっておりましたが……これも人の縁というものでしょうか」

 

 なんで?

 

 どうして既に知ってる風なんです?

 かはるんとは面識ないじゃーん! 交友関係にもいないじゃーん! 関係あるキャラも最近出会ったばっかじゃーん!

 

 ア!(超速理解) 

 経歴じゃねぇプロフィールだプロフィール! くれはちゃんの家族構成を確認しろォ!

 

 あ り ま し た。

 

 いつの間にか生えてきたくれはちゃんの姉、『帆秋 るい』は聖リリアンナ学園所属です。これが原因で設定されたに違いありません。こういう感じで見落とすと後で酷い目に遭います(1敗)。

 だがしかし、この程度なら別に問題はねえ! むしろ信頼度上げの手間が省けて好都合だぜ! 地獄のランダム要素もたまには良い仕事するな。

 

 今回、序盤にかはるんと意地でも出会うチャートにしたのは、彼女がいると非常に楽で、さまざまな行動に関係するからです。出会っておくことで予防できることもあるので、そのとき詳しく説明します。

 彼女と出会えたことで地獄のリセ地獄第一段階は突破したと言っても過言ではありません。あとは信頼度を上げていくだけだぜ!

 

 そうと決まればこのイベントをさっさと進めましょう。会話しているだけで信頼度が上がる上がる、うまいぜ。

 基本的には聞き流しているだけでいいのですが、話が本題に入る前に指を見せつけてやります。ホラ、見ろよ見ろよ。

 

「この指輪は……ええ、ええ! 聞き及んでおりますとも!」

 

 これでどこまで話をすっ飛ばせるかの確認ができます。

 たまーに魔法少女になってない場合もありますが、第一部の時にマミさんをマギウスにお預かりして貰っていたので大丈夫です。

 

 彼女が白タヌキと契約する条件は非常にわかりやすく、巴マミがマギウスの翼に所属しており、かつ、ウワサと融合して†ホーリーマミ†になっていることです。勝手に契約したりもしますが、ほぼ確実な手段がこれです。

 第二部でかはるんとの仲を潤滑に進めるためにも、第一部でマミさんを誘導する必要があったんですね。というかまた巴か(呆れ)。

 

 今回はほとりんたちがくれはちゃんのことをある程度教えておいてくれてるので、自己紹介等の話題や魔法少女のよくある話をスキップ。

 本題はどうして彼女が魔法少女になったかです。とっとと聞き出してやりますよ!

 

「実は聖女様と出会ったのです。まだ魔法少女になる前、魔女の結界に迷い込んでしまって――」

 

 はい確定! 要はホーリーマミさんが偶然そこに来て魔女を蹴散らしていっただけです。聖女様と呼ぶのはあの恰好のせいですね。

 しかし現在の情報だけでは、聖女様が誰だかくれはちゃんにはまったくわかりません。詳細を聞いておきましょう。

 

「あれは、そう……ブロンドで縦ロールの……」

 

 あれーおかしいねどこかで聞いたね。これマミ? イメージと比べて髪型がわかりやすすぎるだろ……。

 そして、ここまでに一度でもマミさんと出会ったことがあれば、正体がマミさんだと突きつけてやることができます。かはるんからの信頼度が爆上がりして有利に進められるようになったり、第一章以降のイベントに短縮ポイントが発生したりでもうたまらねえぜ。

 

「巴さんって、あの見滝原の方ですよね? まなかも知ってますよ。でも――」

「ですわよね! あの神々しいオーラに少しでも近づきたいものです!」

 

 はいストップ! 

 これ以上喋らせるとロスするので無理やり打ち切ります。

 

 まず、ウォールナッツさぁ……料理あんだけど、注文してかない?

 

「そ、そうでした……わたくし、ここのオムライスの味が忘れられないのです」

「わかる、わかるよ! ウォールナッツのオムライスは絶品だからね! ふわっふわのタマゴに、ひとつひとつ丁寧に下ごしらえされた具材! 鼻を抜けるバターの香り! ひとたび口に入れたら溶け始めて混ざり合って……じゅる……とにかく、これ以上のオムライスはまだ出会ったことがないってぐらい!」

 

 つむぎちゃんが急に入り込んできましたが、彼女は食のレビュアーなので飲食店に連れて行くと毎回解説してくれます。あの万々歳もです。レビューを集めて神浜を制覇することで称号とかもらえるらしいっすよ?

 当然ながら必要以外の箇所で長々と話されるとロスなのでスルーです。自分で見てくれよな!

 

 あとは料理が来るまでの会話を適当に流しつつ……おっとこの反応。

 

「ソウルジェムが……なるほど、これは魔女の反応ですわね。ちゃんと覚えていますわ」

「結構近いよ! まなか、私たちが倒してくる!」

「いいえ、お二方とも魔法少女になってから日が浅すぎます。反応から見て結構な大物ですよ。背に腹は代えられませんし、まなかも――」

 

 はいストップ!(2回目)

 連れてくかどうかは私が決めること。許可すればまなかちゃんが付いて来ますが、とっととオムライス作っててもらわないと困るんじゃい! くれはちゃんもめっちゃ今腹減ってんねん……わかるなこの意味?(説得)

 

「まったく……先日といい相変わらずですね。慣れっこですが」

 

 そう実習生の内は何事も経験!

 というわけで魔女退治にイクゾー!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 辿り着きました魔女結界。

 北養区は第一部終了後だとマギウスが育てた強力な魔女がたびたび徘徊する超危険地帯となっています。おかげで凶悪犯が出没しまくり心惑わされまくりでもうわけわかんねーよ。リリアンナ特有の警備があるからマシなものの、ロクなことしねぇなあいつら!

 

 なので、契約して一週間かそこらの初心者魔法少女に任せるのはやめましょう。退場します。

 今回はくれはちゃんが先導し、かはるんの信頼度稼ぎとレベル上げを平行して行います。ついでにウォールナッツでのイベントの会話時間も省略もできる。つむぎちゃんの信頼度上げもできる。この完璧な臨機応変感覚! いいじゃないですか。

 

「よーし、気力もお腹も満タン!」

「わたくしが導いて差し上げます……と言えるように、全力を尽くしますわ!」

 

 おう、魔女ぶっ倒すぐらいの気持ちで行けや!

 

 二人とも本来のポテンシャルを発揮できる成長具合ではないですが……どうせ戦闘は代わり映えしないので、いつものアレイクゾオオオオオオオオ!! 

 

 『香春 ゆうな』はロッドを武器にする遠距離系魔法少女です。振ると宝石が出てくるのでそれを飛ばすのがメインウェポンとなります。しかし近接戦ができないわけではなく、人サイズの札束でぶん殴るというお金持ちのマネーパワー(物理)を見せてくれる本物のお嬢様です。

 

 『若菜 つむぎ』は柄にナイフがついたフォークのような槍を使う近距離系魔法少女です。外して二刀流にすることができるほか、なぜかビームも出るので遠距離攻撃もできます。さらに、巨大化したフォークやナイフも飛ばすことができるのでかなり応用できる性能をしています。育てに育てればひたすら射出してるだけでなんでも倒せるらしいっすよ? 慢心は……やめようね!

 

 そんなこと言ってたら魔女を倒しました。

 カバーしてたので結構ダメージを受けましたが、なーに結界から出れば問題ねぇ!

 

 今後はタイミングを見計らって偶然(大嘘)にかはるんとウォールナッツに入り浸るので今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、ある営業日のことでした。

 カランという音と共に、ドアを開けて入ってきたのは見慣れた淡い栗色の髪の方。さしものまなかも、すぐに目の前に向かって言ったのです。

 

「料理教室は参加させませんよ?」

「そういうわけじゃないのだけど」

「言っておかないといつ店に損害が出るかわかりませんから。予防ですよ予防」

「最近、私と莉愛への対応が同じじゃないかしら」

「ちょっと違いますね。結構前からそうです」

 

 先輩と同じタイプなことは重々承知なわけで、多少砕けた言い方でも問題ありません。

 このまなかの言い方に気づいたのか、先客が背後から顔を覗かせました。

 

「ねえねえまなか、ひょっとしてこの人? 言ってた通り綺麗な人だね!」

 

 先客こと――若菜つむぎさん。

 出会ってから1週間かそこら(入学時から料理人だとは気づいていたようですが)なのに、恥ずかしげもなく大親友だと喧伝する姿はとても元気なものです。

 

 出会いはウォールナッツのオムライスから始まった……と、彼女は思っているようですが、実際は結界に偶然迷い込んでいたところをまなかが助けたのです。一般人に“こっちの世界”のことは話せません。ちょうど気絶していましたし、ウォールナッツでオムライスを食べようとしていたということにして誤魔化しました。巻き込まれたのは不運ですし、サービスのつもりだったんです。

 

 すると、まあ、味に感動して毎日来るようになってしまったんです。

 美味しいと言ってくれるのは素直に嬉しいですし、食レポサイトに高評価のレビューをしてくれるのはありがたいのでいいんですが。

 

『まなかの役に立ちたい。もっとまなかの料理を食べたい。私になにができるのかを知りたい。それがね、私が願ったことなんだ』

 

 よりにもよって、“こっちの世界”にまで来てしまったのです。まさか、まなかの料理のために魔法少女になるとは。

 なんとも言えない罪悪感があったのは事実です。以前からあの白ダヌキに話しかけられていたそうですが、願いたいことがなかったそうで、まなかと出会ったことで『願い』ができてしまったのですから。

  

 しかし、起きたことはそれこそ奇跡を願わなければ変えられない。

 それがつむぎさんの選択なら、まなかも協力することにしたのです。

 

 実際、彼女の味覚はウォールナッツの味の向上に役立っていますし。あの『願い』はもしかするとまなかにも影響を与えていたのかもしれません。他人のために願うと魔法少女でさえも強化されるかは定かではないのですが、あれからなんとなく調子が良いのです。

 

 そんな彼女にくれはさんのことを教えるのに、簡単な方法がひとつ。

 

「つむぎさんは神浜中のメロン料理にも詳しいですよ。まなかも知らなかった隠れ名店も知って――」

「案内して」

「うええっ!?」

「ふっふっふ、これでわかったんじゃないですか? こういう人です」 

 

 途端に近づくくれはさんを見れば、嫌でもわかるはず。なに、ちょっとしたお節介です。

 さて、こうして来てるのですから彼女もなにか注文するだろうと、聞こうとした時でした。

 

「突然失礼……帆秋くれはさんですわね?」

 

 凛とした力強い声。まなかには聞き覚えはありました。

 急いで振り向くと、見えたのは銀髪のロングヘアにキリリとした眉のお嬢様然とした立ち姿。間違いありません。

 彼女は――香春ゆうなさん! 神浜市内屈指の名家にして超大金持ちの名家のご令嬢! 見た目だけはお嬢様なくれはさんとは違って、正真正銘の本物のお嬢様!

 

「ちょ、ちょっとくれはさん! この方、本当にやんごとなき家の人なんです! いつもみたいな真似はやめてくださいね!? ほんとに!」

「しないわ」

「今回はマジの大マジなんですよ! ウォールナッツの首が飛ぶ可能性もあるんですからね!?」

「それは困るわね」

 

 わかってるのかわかってないのか、真顔のせいでわからない。いざとなれば変身してでも外に追い出すしかないと覚悟を決めました。

 しかし、フライパンの素振りでも始めようかと思って悶々としてると、聞き捨てならない言葉が。

 

「香春ゆうなと申します。一方的に知るばかりで、いつか直接出会う日を見計らっておりましたが……これも人の縁というものでしょうか」

「えっ、お知り合いなんですか……?」

「いいえ」

 

 当の本人はこの調子でも、ゆうなさんは訳知り顔。

 

「知らなくとも仕方ありません。密かに、というのが約束だったのです。あなたのお姉様……るいさんとの」

「姉さんが……?」

「なにぶん、わたくしとくれはさんは同い年ですから」

 

 そうしてゆうなさんが話してくれたのは、まなかの知らないことばかりでした。

 

 くれはさんの姉だという帆秋るいさんは、聖リリアンナに通っていて、ゆうなさんと友人であったと。なんでも帆秋家は香春グループの繋がりがあって、最初はその関係でしかなかったものが少しづつ親しくなっていったんだとか。

 るいさんは楽しそうに妹であるくれはさんのことを話していたそうで、『昔はるいお姉ちゃんと呼んでいた』とか『父さんと母さんじゃなくてパパママ』だったとか、プライベートなことがどんどん出てくる。

 

 しかし、なによりも驚いたのは――くれはさんが、ご両親と姉妹を亡くしていたこと。

 

 それを聞いたとき、思わず「え?」と声が漏れました。だって、そんな素振りを見せることはまったくなかったんですから。

 

「ご両親は、もしものことがあったら娘たちを支援してほしいと頼まれていたのです」

「……本当に頼んでくれていたの?」

「そう思われるのもきっと……その、亡くなられる前の頃、お二人は気を病んでいたと。支援を頼まれたのはそれよりも前の話ですわ。るいさんたちを亡くしてからは、今までのような関係ではなかったものですから……」

 

 不思議でした。くれはさんの真顔が、少し怖い。

 かと思えば、ほんの少しの魔力を感じて、そちらに気を取られてるうちに、よく知ったものに戻っていました。

 

「口座にお金が増えてたのはそういうことだったのね」

「ひょっとしてどこからともなく増えたと思ってました?」

「よくわかったわね」

「……冗談のつもりだったんですけど」

 

 完全にいつも通りのくれはさん。さっきのは気のせいだったのでしょう。

 事実、その後の会話はよく知る姿でした。自ら指輪を見せて魔法少女だとバラすなど突飛な行動をするのも含めて。

 

「もっと姉さんの話を聞かせて。リリアンナでのこと、知らないことが多いみたい」

「ええ、ええ! わたくしもいずれ話せる日を待っていたのです! なにからお話ししましょうか……学食のことなどどうでしょう?」

「あるの?」

「料理のことならまなかが。リリアンナは学食も凄いんです。牛ヒレ肉や鮮魚のポワレが当たり前のように用意されます」

「いーなー! よだれが……!」

「そう、姉さんも……」

 

 たとえばこういう風に、姉のことを話すとき。

 

「あれは、そう……ブロンドで縦ロールの……」

「それマミじゃない?」

「ご、ごご、ご存知なのですか!?」

「たぶん、マギウスの翼にいた頃だと思うんだけど」

「ご存知なのですよね!?」

「え、ええ……」

 

 もしくは、巴さんといった共通の話題をしているとき。

 出会ったばかりだというのに、お二人の姿は長い間の親友のようにも見えました。まったく笑顔を見せない帆秋さんでも、嬉しいかどうかは雰囲気でわかります。今の彼女は、純粋に楽しんでいると。

 

「ねぇねぇまなか、やっぱりくれはさんってお嬢様なんだね」

「そうですね。相手がゆうなさんということもあって、ああやって落ち着いて会話してると本当にお綺麗です。見た目だけお嬢様とはもう……いや、やっぱり違います。それじゃ覆せないぐらいの思い出が」

「なっ、なにがあったの!?」

 

 あるいは、まなかとつむぎさんもそう見えているのかもしれません。意味がぴったりあっているとお客さんに言われたことを思い出しました。

 

「それはさておき、ご注文はどうします?」

「忘れてたわ。ゆうな、あなたは?」

「そ、そうでした……わたくし、ここのオムライスの味が忘れられず来たのでした……」

 

 実は、ゆうなさんもオムライスを目当てに週に1回程度の間隔で来てくださる常連さん。まなかがすぐに気づけたのもそのおかげでした。

 そしてその名前が出ればつむぎさんが反応する。褒め言葉をこれでもかと言ってくれて、最後にスマートフォンを見せてくれました。

 

「私も食レポを書いて応援してるんだ。こんな感じ!」

「なるほど。では多くの方に書いてもらえるよう働きかけをいたしましょう。手始めに神浜市の市議会に……」

「だ、ダメっ! それじゃヤラセだよ! ヤラセにしてもスケールが大きいよ!?」

 

 ああ、そうでしたね。こういうところはくれはさんと少し似ているのかもしれません。

 ゆうなさんって超大金持ちゆえに、発想が違うというか、感覚が違うんです。水名に生徒会同士の交流で来ることになっていらしいのですが、自家用ジェットで来ようとしてたとか。どうなってるんでしょう。

 

 他に似ているところと言えば、彼女たちの行動でしょうか。

 くれはさんが真っ先に魔女の反応を察知し、ゆうなさんが続く。ふたりの行動には、不幸を振り撒く魔女を退治して助けになりたいという気持ちがあるんです。

 

 しかし、そこにつむぎさんを加えて3人となっても新人が2人。ウォールナッツを空けることになりますが、まなかもついていこうとしたときでした。

 

「まなかはオムライスを作っていて」

 

 と、いう言葉。

 ああ、と納得しました。くれはさんは、今離れたら困るということに気づいていたのです。

 

「まったく、先日といい相変わらずですね。慣れっこですが」

「……くれはさんは、いつもこのように?」

「そうですね。ほんっとーに、この人は困ってる人を見過ごせないというか、神浜中を駆け巡って誰かを助けてるんですよ」

 

 もう長い付き合いですから、よくわかっています。初めて会った時だって、空腹でフラフラしていた阿見先輩を見かけて心配していたなんて話を聞いたんです。

 一抹の不安もないというわけではありませんが、心配はしていません。だって今のくれはさんからは、あの頃――さなさんを助けに電波塔に向かった時のような、悪い予感はしないのですから。

 

 で、あれば。

 彼女たちの帰りを待ち、最高に一品を提供するため。まなかは調理に集中するのみです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔女は何事もなく倒され、オムライスはみなさんにとても喜ばれました。もちろん、くれはさんにはメロンジュースもセットで。

 この日が終わってもまたくれはさんは来るでしょう。今度こそは驚かされたり呆れさせられたりいないことを祈りつつ、料理を続けました。

 

 しかし、どういうわけか。

 

 翌日。

 

「来たわ」

「来ましたわ!」

「さっそくですか……いいでしょう! オムライスですね!」

 

 そのまた翌日。

 

「来たわ」

「来ましたわ!」

「ええ、連日も慣れました。オムライスですね!」

 

 少し開けてまた翌日。それからしばらくのこと。

 

「あの、くれはさん……ゆうなさんとご一緒にご来店されるの、何度目ですか……?」

「さあ」

「わたくしも示し会わせているわけではないのですが、偶然にもタイミングが同じなのです。むしろ嬉しいですわ。まるで引き合わせてくれているようじゃありませんか!」

「は、はぁ……」

「なにより! くれはさんとは香春家の人間としてではなく、一個人の香春ゆうなとして、仲良くなりたいと思ってるのですから!」

 

 もう十分仲が良いとは思いますが……とは、口にはしませんでした。野暮ですから。

 まなかだけではなく、ウォールナッツに来る方もわかってることでしょう。毎回、くれはさんとゆうなさんが楽しく話しているところを目撃できるのです。

 

 それは当然、魔法少女の知り合いも。

 一緒に来店する理由を聞いた訳は、離れた席に隠れるように座って、サングラスで変装までしているあの人。そう――阿見先輩。

 

「せんぱーい、偶然だそうですけど」

「偶然!? な、なによなによ、そんな偶然で10回も一緒に行く!? 『今度は私と一緒に行きませんこと?』って誘いづらいじゃないの! こうなったら……オムライスおかわり!」

「太りますよ」

「ぐぅ!」

 

 この先輩も相変わらずだなと、まなかは思ったのでした。

 

 

 




■今回の内容
 若菜つむぎ 魔法少女ストーリー 1話 『食のレビュアーつむぎです!』(一部分)
 若菜つむぎ 魔法少女ストーリー 2話 『食レビュー修行珍道中』(一部分)
 若菜つむぎ 魔法少女ストーリー 3話 『食べ続けるために』(一部分)
 香春ゆうな 魔法少女ストーリー 1話 『案ずるより産むが易し』(一部分)

■香春 ゆうな
 マジのお金持ちお嬢様魔法少女。どこぞの見た目だけお嬢様とは違う。
 本来つむぎちゃんのMSSに出てくるのは莉愛様だが、紆余曲折あってトレードされた。偶然にもくれはちゃんと同い年。
 
■若菜 つむぎ
 突如現れたグルメ系魔法少女。緑色が追加。
 万々歳に付けた星(五段階評価)は2.5……ではなく3。

■まなかちゃん
 さなちゃんといいつむぎちゃんといい緑の魔法少女に縁がある。くれはちゃんがウォールナッツに来ると大体ロクなことにならない。
 神浜の学校は基本的に小中高一貫なので、中学受験の時は神浜市立大附属にいたのかもしれない。

■突然失礼
 ホーリーマミさんの代名詞。
 もちろんかはるんも言う。 

■料理
 当然ながらつむぎちゃんのボイスは料理のことばかり。莉愛様はお腹が空いて行き倒れていた。
 実はかはるんのボイスにも料理関係が意外とある。朝食ではフレンチ、イタリアン、和食などを用意してくれたり、昼食はリリアンナの食堂の話。他にもお茶菓子やジビエのことのほか、彼女がオムライスを食べにウォールナッツに行っていることがわかる。

■原因
 『大人になりたくない』という願いに付随した生活に困らない最低限のお金の出所。
 いつの間にかかはるんとの縁ができていた。マジかよぉ!
 
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