マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート   作:みみずくやしき

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パート55 常夜の国の叛乱者 中編

 だいたいエリザに任せるRTA、はーじまーるよー。

 

 ロッシュ城にー徒歩できたー。

 到着が遅いとメリッサの父親ラ・イルがお亡くなりになり、正しい歴史を取り戻して復活させるイベントが入ってしまいます。とほほですね、徒歩だけに(激ウマギャグ)。

 

「無事ですかメリッサ!」

「タルト? 今のところ、特に攻撃には遭ってませんが……」

「さっきのが先遣隊だったようね。ちょうど良かったわ」

 

 もちろん早く来てるので起きません。キャンセルだ。

 

 この場合、メリッサから謎の球体のようなもの(正史の断片)があると聞くことはできますが、情報が足りないので行動のヒントが出ません。初回じゃ難しいですね。

 でも知ってるので関係ありません。旅行に来た観光客のごとくおもむろに近づいてパパパっと記念撮影、はい終わりっ!

 

「うん……? 映像が見えたけど、もしかして過去のやつ?」

「はい、あれは私とエリザ様――エリザがこのロッシュ城で手合わせをした記憶です。あの時は私が負けた後、メリッサが放り投げて……」

「す、すみません! どうもタルトのこととなると見境が……あれ、エリザは一緒じゃないのですか?」

「オルレアンでもまだ見てないの。だけど、彼女がいないはずがないわ。どこかに来ているはずよ」

 

 今頃オルレアンのゲートあたりじゃないですかね?(適当)

 戻れば会えるでしょうが、オルレアンに全員が揃うと近郊にあるトゥーレル砦で負けイベントが発生してしまうので戻りません。先にイクゾー!!

 

 次に向かうのはシノン城のゲートを使って行けるドンレミ村です。タルトの故郷ですね。

 イベントの最短クリアするだけなら必要ありませんが、今後のただでさえ高い事故率を下げられるのでしぶしぶ向かいましょう。

 

「あの、くれはさん? どうして私の村へ?」

「メリッサも含めたロッシュ城の戦力なら問題はないと思うけど、私たちが離れる必要はないわ」

「……あ、わかった。そのエリザってのがいるかもしれないって思ってるんでしょ」

 

 帆奈ちゃんよう言うた! 説得できるまで粘るつもりでしたが良い感じに進んでます。

 

 まだエリザたちと合流していないので、探しに行く名目(探すとは言っていない)で出かけましょう。

 この場合タルト、リズ、メリッサのうち2人しか連れていけないので、必ずタルトとリズについてきてもらいます。というかそうしないと危ないんですよ!

 

 じゃあメリッサはオルレアンにいるエリザと合流してくれよな! あばよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エリザを探しにえんやこら(大嘘)。

 

 ドンレミ村に向かうとあら不思議、道中の森で強制エンカウントが発生します。屑運じゃありません。これだけははっきりと真実を伝えたかった。

 

「おーっ! 急いで来て良かったー! ほんとに"乙女"たちが来た!」

 

 大急ぎで走ってきたであろう彼女は『ラピヌ』。見た目は幼いですが、仮面三姉妹の長女です。倫理観ゆるキャラなので人体を引きちぎって遊んだり、もぎ取った腕をブンブン振り回したりします。

 能力はコルボーに劣りますが、魔女や使い魔と戦おうとする強靭なフランス兵たちでも一瞬で細切れにするぐらいには強いですし、強制的に変身解除してくる魔眼まで持っています。もう十分だ! もう十分だろう! 神浜に帰してくれ……。

 

 いえいえ、まだこれからですから(自問自答)。

 一度は彼女と戦う必要があるため、ドンレミ村に来る必要があったんですね。

 

「さあ、私と遊んでよ!」

 

 というわけで『イングランドの魔法少女 ラピヌ』戦です。

 相手は一人なので、突っ込んできたところをくれはちゃんが『停止』で足を止めます。

 

「ふげっ!」

 

 すると頭から転ぶので全員で囲んで叩きます。行動されるとロスなのでこれが一番早いです。なんたるマッポーめいたアトモスフィアか。

 

 幼子をいたぶるなんて悪者みたいですね(直喩)。

 こっちは敵に容赦しない人選なんで問題は……くれはちゃんが濁ってますね。だらしねぇな。

 

 それはともかくいい感じにHPを削れました。

 ちなみに、時間をかけていいのならリズであれば変身していない状態でも勝てます。なんだあいつ!?

 

「も、もう……許さない……」

「気絶しましたか?」

「……違う! 離れて!」

 

 ラピヌとの戦いの場合、HPを0にしても気絶で戦闘が終了しません。確実に魔女化し、続けて『泣きウサギの魔女』戦が始まります。

 

 こいつは魔女化前と同じく変身解除の魔眼を持っている上に、周辺の武器を取り上げる能力も持っています。奪った武器で攻撃してくるので兵士たちが多いとシャレになりません。魔法で生成した武器も持っていかれるので、コルボー同様対魔法少女能力がすごいですね。

 なお、タルトの武器はペレネル先生が冶金した特別製なので取り上げられません。なのでタルトさん任せです。行けー!

 

「くれは……大丈夫だから、あんたも無理しないでよ」

 

 う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! ソウルジェムがどんどん濁っていく!!

 くれはちゃんのメンタルどうなってるんだよオイ! 区間練習でもこんな悪くなかったはずなんですけど!

 

 仕方ないので『停止』くんで精神を止めて穢れを抑制しましょう。魔力消費による増加のほうがまだマシ――う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛変身解除されたああああ! くれはちゃんは変身してないとかすっただけでお陀仏なんですよタルト、タルトさん! なんとかしてくださいよ!!

 

「ラ・リュミエールッ!!」

 

 ヒューッ、見ろよやつの光を……まるで戦略兵器みてえだ!!

 吹き飛んだ瞬間にリズと帆奈ちゃんが視界外からダブルで『影』の拘束。タルトが地形が変わるほど連続攻撃。くれはちゃんはできることないんで座ってて、どうぞ。

 

「は、はぁ……はぁ……これで、どうです!?」

「あれだけ攻撃したんだし、いくら硬い魔女でも……なっ!?」

 

 砂煙が晴れるとーもっと幼くなったラピヌがいたー。

 これがラピヌお姉さま最大の特徴。魔女化しても倒されたら契約当時の魔法少女の姿に戻ります。ソウルジェムを割ろうにも死を確信されたら魔女化するので直前でキャンセルされます。どうしても正攻法では倒せません。これを確認すればOKです。

 

 ちなみに、魔女化とは魂であるソウルジェムの変貌なので、抜け殻となった元の身体を残すのですが、ラピヌは残しません。身体ごと魔女になってるんですかね?

 

「ぐぅ、よくも……!」

 

 用も済んだし逃げませんか? 逃げましょうよ!

 

「そうね、ここは私が適当に相手をしておくわ。タルトとくれはは先に行きなさい」

「あたしは?」

「早く使いこなしたいんでしょう?」

「ス、スパルタ……」

 

 悪いパターンを引きました。もう用はないのですぐ全員で逃げるほうが早いです。

 しょうがないのでさっさととタルトと一緒にドンレミ村に突撃しましょう。自由行動できるタイミングでは必ずタルトに話しかけるので、先取りした形になりますね。信頼度の上昇につれて聞ける話が増えていくので、フラグが立つ会話を引き出せるまではたびたびお話タイムです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 タルトと一緒に帰ってくるとーリズがクールに待っていたー。やっぱ強ええや。

 帆奈ちゃんはへとへとですし、こっちはこっちで仲良くしてたそうですね。なんかラピヌは煙に巻いたらしいです。

 

 ここまでにやったことと言えば、合流してロッシュ城とドンレミ村の断片を回収したぐらいですが、フランス突破にはあとひとつだけで十分です。こんなやべーとことっととずらかるぞ!

 

 最終決戦の準備に必要なものを回収するため、オルレアンへ……という前にエンカウントしました。屑運が(自業自得)。

 

「いひひ、見ーつけた!」

「げっウサギ! また来たの!?」

 

 やーめてくださいよほんとに!

 運が良ければすぐオルレアンに行けたはずが、やっぱりダメみたいですね(諦め)。

 

 本来は連戦でやる気がなくなったり多少は消耗してくれるものの、ハードモード特有の調整でどこまでも来やがるのが今のラピヌ。前にやったドッペルゾンビ戦法みたいなことをガンガンしてくると思うと怖いですね。

 

「待ってください、あれは……!」

「コルボー!」

「ほぅ、乙女と黒いの……」

 

 う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!

 なんで仲間を呼ぶんですか少しはタイムのこと考えてくださいよイングランドの魔法少女さんよぉ!

 

 落ち着きました。

 かなりリセか迷う場面でしたが、やり直して里見メディカルセンター脱出から神浜市大脱出に悪化するとリカバリどころの話じゃありません。続行です。なーに完走すれば世界一だぞ。

 

 というわけで続けて『イングランドの魔法少女 コルボー&ラピヌ』戦です。連れて来た魔法少女の侍女までいる大混戦とかいや僕もう大いに戦慄ですね。

 

 それにラピヌ単体ならどうとでもなるのですが、知っての通りコルボーがいるとかなり厄介です。

 変身解除されたところを殴られると普通にHPがゼロ! ソウルジェムが無事でもはい魔女化! もうこんなフランス嫌じゃ。

 

 もちろん逃げ安定なんですが、このメンバーだと……。

 

「オルレアンへのゲートまでもう少しだというのに……」

「ですが、退くわけにはいきません。ここで食い止めます!」

 

 そうでしたね! こういう人でしたね!

 一応この先でくれはちゃん強化計画その1があるにはあるものの、時期的に間に合いませんし、あったとしてもコルボーに対人よわよわが勝てるわけでもなく。泣く泣く戦うしかありません。ロスの覚悟決めろ。

 

「いくぜ黒いの!」

「コルボーは私が!」

 

 唯一良いところがあるとすれば、コルボーの変化を確認できたことでしょう。

 なんと彼女、侍女に願わせることであの厄介な『強要』を自ら封じています。姉妹と共に戦うときに二人に負担をかけないようにするためらしいっすよ?

 

 "他人に願わせて強化"には数に限りがあるものの、こっちの戦法に対するカウンターとしても使ってきますし、下手すると完封されて詰みます。コルボーとラピヌが願いを消費して強化しまくるとミヌゥのブチギレゲージが上がったりバランスは取られているのですが、結局厄介。戦闘は最小限にしたほうがいいでしょう。

 

 さて、こちらは4人パーティですが、戦力としてはタルトとリズだけが頼りです。

 帆奈ちゃんはかつてのボス仕様じゃなく、くれはちゃんは下手に攻撃を受けるとご臨終。変身を解かれても速度がだだ下がりしてご臨終。基本的に後ろであっぶえ! 今のビーム直撃なら終わってますよ!!

 

「え!? あんたビーム止められたの!?」

「むきー! 当たれ当たれ当たれー!!」

 

 はい停止! 停止! 停止! 

 

 少しおさらいしておきましょう。

 くれはちゃんの固有魔法『停止』は、文字通り認識対象を止める魔法です。消費が激重ではあるものの、対象が自分もしくは非生命の場合には著しく軽減され、連打が可能になります。そして動いているものを止めた場合は運動エネルギーをそのまま保持し、解除するとそのまま動きます。

 

「な、なんで当たんないの……! このー!」

 

 なので、ホーミングしない遠距離攻撃相手には滅法強いんですね。申し訳ないが天敵の観鳥さんと敵対するのはNG。

 一応ビームが届くまでに発動が間に合うので、止めてその間に避けましょう。これで行動パターンが変身解除ではなくビーム連打になれば楽になります。

 

 にしても数が! 数が多い! 一体何人魔法少女にしてんだよ今回はよぉ!

 この傀儡となり利用されている魔法少女たちを見ることも目的ではあるのですが、だからって限度があるんだよなぁ……。

 

 それにくれはちゃんはここまでSATSUGAIしたことないので、この魔法少女たちをぶった切ってしまうと即魔女化の危険があります。四肢落としてソウルジェム割ったぐらいで現代っ子はメンタルが脆いな! フランス勢を見ろ! 平気な顔してるぞ!

 

 とは言うものの、なーに最悪ヤっちゃっても構わねぇ(畜生)。それでリカバリーできることもありますからね。ほんの数人ぐらいなら余裕が……。

 

「アブソリュート・レイン!」

 

 良いところにやちよさんが来たので今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 "乙女"たちとの合流を目指したわたくしたちに待ち受けていたのは、遠回りでしたわ。

 

 やってることと言えば、ペレネルとあの歩くチーズケーキ……もとい、キューブ。彼女らが正史の断片の反応を察知したら、すぐに向かってスマートフォンという白紙の予言書で歴史を正すこと。

 この行為に意味があるのかと問えば、『観測し記録することで証拠となり、その過去が存在した事実が確定するんだ』と。契約を迫る白い生物は嫌いでしかありませんが、言ってることは一理ある。詳しい理屈や寄り道はともかく、納得はできました。

 

 事実、確定させるたびに戻る記憶が確信させたのです。

 オルレアン包囲戦の最中で止まっていた歴史が先に進むように、その後の出来事を思い出す。ある日のちょっとした騒ぎのような小さなことから、大きなこと。既に自分がタルトたちと出会い、わたくしへの呼び方を"エリザ様"から"エリザ"に変えさせるほど仲が深まっていたことまで。

 

 もちろん、やちよとも打ち解けていきましたわ。

 なにか事情があって幼い見た目なだけで、その実力は本物。姿を隠さず歩く魔女を共に倒し、背を任せれば仲も深まるというものですわ。

 

 そうして――ようやくたどり着いたオルレアンで衝撃的な事実を知ったのです。

 

「どーっなってますの腹黒チーズケーキッ!! なんで毎回毎回先回りされてるんですの!!」

『不思議だね。大きな正史の断片を発見した途端、消えるんだ。記憶が戻ってるから正常化されたんだろうけど』

『向こうはよほど運が良いのかもしれないわね』

「あなたもあなたですわよ胡散臭い錬金術士!」 

 

 小さな断片を回収している間に出現したロッシュ城とドンレミ村の断片。それらは大きな反応を持っている重要なものらしく、急いで向かおうとしたもののこの有様。

 ちょうど目の前に出現したとでも言うのかしら。まるで事前に知っているかのようで、運が良いにもほどがあるのですわ。

 

『そうは言うものの、キューブがこちらにいる以上、乙女たちには察知できる手段がないのですから』

「……メリッサ、タルトたちは本当に?」

「間違いありません。確かにエリザを捜しに行くと」

「はぁ……まあ、いいですわ。タルトとリズはドンレミ村に向かったのですわね。それとやちよ、やはり?」

「ええ、私の知り合いよ。まさか帆秋さんと帆奈までいるなんて」

 

 先回りして正していたのは、やちよと同じく白紙の予言書を持つ者。

 メリッサが言うには断片に向かっていったというのですから、本当にこちらが知らない情報を持っているのではないか。その疑問がわたくしの口から出るのは当然でしたが……。

 

「くれはさんは完全に迷っていましたよ? 行き止まりにぶつかったり、部屋に入ったと思ったら出てきたり、一直線ではなかったとは思うんです」

「なにがしたかったんですの?」

「ああ……間違いなく帆秋さんね、それ。だとしたらすぐ合流しないと」 

 

 なんでも、その変な行動をする帆秋さんとやらはとんだお人好し。まず間違いなく厄介事に首を突っ込んでいるんだとか。

 

 そう聞いたわたくしたちは、休憩も早々にメリッサも含めてすぐに飛び出しました。こういう嫌な予感というのは当たるものですから。

 

 そして――

 

「アブソリュート・レイン!」

「ぐえっ!?」

「お姉さま!?」

 

 事実、向かった先にいたのは、仮面の魔法少女2人と向こう側の魔法少女たちという軍勢。

 やちよが放った槍の雨が相手方と味方側を分担し、ウサギの仮面の魔法少女にも降ったのを見ると、その判断は正しかったのですわ。

 

 続けてわたくしもライフルを巨大化させ、全力の魔力を込めて砲撃を行う。

 これこそ"デア・ドラッヘ・リントヴルム"。相手が仮面の魔法少女ならば遠慮はいらず、最大火力を叩き込む。

 

「ふげえっ!?」

「お、お姉さまー!?」

 

 一直線に放たれた光線は射線上にいたウサギを弾き飛ばしていった……ものの、直撃とはいかず、立ち上がる姿が見えた。

 逸れたとはいえ城壁すら砕く一撃すら受け止めるとは、明らかに耐久力が上がっている。あの魔法少女たち、出てくるたびに強くなっている気がするのですわ。

 

「しかし、これでこちらは7人。いくら魔女たちを揃えてもわたくしたちに敵うとは思いませんわ」

「……いいえ、エリザ。それでもコルボーは戦うつもりよ」

 

 少し離れた場所のリズがそんなことを言う。

 示すように、コルボーは仮面越しの敵意を向けていた。

 

 ……そうでしたわ。

 コルボーは戦闘狂。自分の身が傷つくことを厭わず、ただただ戦いに悦びを見出す破綻者。

 そんな彼女が、不利な状況など気にするわけがない。むしろ喜び勇んで飛び込んでくるはず。

 

 間違いはないはずであるのに、しかし、どこかで己が見た記憶の断片が告げている。

 

「ラピヌお姉さまに寄ってたかるばかりか、こうも……!」

 

 暴虐に嬲る様子に見合わず――姉妹想いなのだと。

 

 猛ったコルボーの攻撃は防御を考えないためか激しく、わたくしとタルトの二人がかりで抑えるのがやっと。

 結局、最後の仮面の魔法少女であるミヌゥが呼び戻しに来るまで戦いは続いたのですわ。

 

 その中で、わたくしは()()の行動に幾ばくかの不安を覚えていたのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦いが終わったあと、わたくしたちはオルレアンへと戻っていた。

 自己紹介を済ませて各々休憩となったのですが、足は真っ先に彼女――帆秋くれはのもとへ向かっていたのですわ。

 

「うわっ、小さい。ほんとに小さい。写真撮ってあげようか~? ほらこっち向いて」

「うるさいわよ帆奈。なりたくてなってるんじゃないんだから」

「仲がよろしいですわね」

「そうね」

「どこがよ……」

 

 一緒にいたのはやちよと、帆奈という子。

 

「……ん、さっきの銃のやつ? あたしたちこの辺回ってるから暇じゃないんだけど」

「なら、少しぐらいは話せますわね。用があるのはそちらの真顔のほうですわ」

 

 そう言うと、よっぽど仲が良いのか邪魔されたと思ったのか、紫色のほうがむっとした顔をした。

 

「別にいいわ。やちよ、帆奈をお願い。それで、私になに」

「ただ言いたいことがあるのですわ。白紙の予言書の持ち主のあなたにね。持ち主は白紙の予言書と自分自身を守ればいい。遠距離や絡め手を得意とするのなら、援護してくださっても結構。ですが……」

 

 やちよは直接ソウルジェムは狙わずとも、腕や脚を狙って戦闘不能に追い込んでいる。

 あの帆奈という子は、リズの影を使えるようでサポートに徹してはいましたが、時折杖のような武器で直接攻撃したりと前線を支えていました。

 殺生せずとも、心の整理とは別に両者とも覚悟はあるのでしょう。殺すつもりでなくとも、死んでしまうことだってあるのですから。

 

 わたくしとて、戦場を駆けるドラゴン騎士団が一員。戦いにおける人の気持ちというものも理解できる。特に、同じ魔法少女や人間と相対した場合。魔女とは勝手が違う命の奪い合いでは本質が出るというもの。

 

 だからこそ、覚悟を持たぬ彼女に、わたくしは声をかけていたのです。

 

「あなた、相手を殺さないようにしていますわね。相手は殺しに来るというのに、悠長な心構えではありませんこと? どんなに速く、強力な力があろうと、振るえなければ意味はない。そんな覚悟では足手まといですわ」

「それは……できない」

 

 わざと挑発のような言い方をしても、彼女はそれ以上言い返さなかった。

 

 きっと、わかっているのですわ。

 魔女を一刀両断する刃物を振るえば、簡単に命を奪うことができると。動きを止めるという魔法と組み合わせれば、即座に四肢を切り落として捕縛することも、ソウルジェムを砕くこともできると。

 なのに、しない。戦いはすれど、決定的たる手段を使わない矛盾を抱えている。それはいずれ、自らを殺す致命的な隙となってしまう。

 

「戦ったのならわかるはずですわ。コルボーのような相手に手心など加える余裕はないと」

「それでも、私にはできない。操られてる子はもちろん、あの仮面の魔法少女たちが家族なら尚更よ。そんなことできるわけない」

「あなたが死ぬとしても、やらないと?」

「私は死なない」

「……答えになってませんわよ」

 

 意志は立派でも成り立つかは別だというのにわかっているのかしら。

 けど――流されるままより自分で未来を得ようとする姿は、嫌いじゃなかった。

 

「わかりました、気持ちは汲み取りますわ。目の前の敵はわたくしがなんとかしてみせます。あなたは自分のことを考えて、生き残りなさい」

 

 こうやって考えられるのも、わたくしたちが守るべき未来が平和な証拠。本人がわかってるのなら、それでいいのですわ。

 ……気を悪くしてないといいけれど。

 

「優しいのね、莉愛みたいだわ」

「そ、それはどういう?」

「とても綺麗ってこと」

「ふ……にょわほほほ!」

 

 どうやらそのリアという方、わたくしと似た話し方をするのだとか。

 直感ではあったものの、その方とは相当に仲が良い様子だこと。少し、安心しましたわ。

 

「私からも聞かせて、タルトはどうして慕われるの?」

 

 唐突な内容は本人に聞くものではなく、誰かに聞きたかったのだとか。

 まあ、そうですわね。彼女は自ら言うことはないでしょうし。

 

「"乙女"は、どんな時も、自分以外の誰かのために戦い続けてきましたわ。諦めることなく、気高く。だからこそ、皆がタルトを慕うのですわ」

 

 合流して僅かの間ではあるものの、くれははタルトに興味を抱いているのはわかっていましたわ。

 真顔で感情がわからないものの、言葉がなんらかの波紋となって伝わっているはず。

 

 かくして――乙女とその仲間たちと合流したわたくしたちは、その足を次なる目的地へと向けたのです。

 

 わたくしたちは確実に前進している。虚無の海と化したフランスを救い侵食を止めれば、ひいては神聖ローマ帝国を救うことになる。元よりそのために来た……というだけではなく、今はまた一行への別の想いもあるのですが。

 

「……しかし」

 

 その道中遭遇した魔女を撃ち抜いた得物を持ち、少し、考えた。

 なにか、ほんの些細な引っかかりがある。あまりにも順調すぎるのではと思うぐらいには違和感がある。

 

 このまま正史の断片を取り戻し続けたら、わたくしたちはどこまで思い出すのか――

 

 懸念を後押しするように、決戦とも言えるパテーの戦いは、おかしいほど呆気なかった。

 

 確かにコルボーは強力な力を持っていた。魔法少女にも影響を及ぼす死の病をバラまき、脅威ではあった。

 けれども、希望を束ねたタルトが新たな姿となってすべてを癒した。わたくしが合流するより前、致命傷を負ったタルトがメリッサの『願い』によって助けられたことがあったそうで、その際に死の運命を捻じ曲げたことでさらに強力な因果を背負ったそう。今回も同様の事例なのでしょう。

 

 フランスが、運命が、タルトを後押ししている。その勝利を疑うことはない。

 

 ただ……おかしいのは、()()()()()()はずのミヌゥが断章の防衛に来なかったこと。

 魔女化しても元に戻るなんてバカげた力を持つラピヌを連れてこられたら時間がかかる。それだけで相手は有利になるというのに、してこなかったのです。

 

 他にも幻術。リズから聞いた魔力を消費させる焼きゴテ。正面きって戦う姿は珍しく、小細工を得意とするタイプのはず。それがただ戦うだけだなんて、裏に策があるようなものだこと。

 

 その理由は、見えた正史にあった。

 

 逃げた魔女を追って少し離れた森に行っていたくれはが戻ってくると、真顔が青く、冷や汗をかいている。異常があったことに違いない。

 

「……なにを見たんですの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミヌゥが、コルボーを殺してた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




■今回の内容
 『常夜の国の叛乱者』

■メリッサ
 ブチギレ従者系魔法少女。神浜に連れてくるとバランスが壊れる近接火力担当。
 その固有魔法は『消滅』と一撃必殺の威力を持つ。 

■ラピヌ
 仮面の魔法少女。長女。
 見た目は子供。頭脳も子供。そんなに強くない(フランス基準)。

■全員火力担当じゃない?
 公式です。

■泣きウサギの魔女
 たるマギで名前は出てない(多分)ものの、ラピヌのドッペル説明から推測できる名前。
 魔女は『〇〇の魔女、その性質は□□』。ドッペルは『□□のドッペル、その姿は〇〇』と入れ替わっており、真名は同じ。彼女に限らずドッペルから魔女化時のことがわかる。

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