マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート   作:みみずくやしき

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パート58 伝説の終わり、光の果て 前編

 

 電話で呼び出されるRTA、はーじまーるよー。

 

 充実した神浜ライフを過ごして寝ていたら唐突にフランスから呼び出し。忙しい!

 シャワーも浴びずに緊急出動したら謎の白い洞窟みたいな場所で目覚めました。

 

 うわぁここが煉獄ですかぁ。こんなに死者が揃ってるなんて思わなかったぁ。

 ここが入り口で、向こうに現世への扉があるんだ。あとで、そこに行こうよ。

 

 あの世一歩手前とはいえ、くれはちゃんが唐突にお亡くなりになったわけではなく、最後のタルトイベント『伝説の終わり、光の果て』が発生したためです。もちろんクリアに失敗されると神浜が壊滅します。こんなんばっかかよぉ!

 

 例のごとく参加条件があるイベントでありながら、『停止』くんなどの魔法で干渉を止めないと『時を超えて鳴らす鐘』の途中で強制呼び出しを受けてしまいます。

 すると『常夜の国の叛乱者』に参加できなくなりフランスに来る意味が消滅するので、『停止』くんが頑張る必要があったんですね。

 

 さて出現場所は……。

 

「痛ったー……」

 

 あっ……あっラピヌお姉さまだ。

 となると金の鍵の配置位置ですね。 

 

 このイベントでは、記憶の花びらを集めて幼い姿のタルトを元に戻し、ラピヌとコルボーが持つ金と銀の二つの鍵を使って天国の扉へ向かい、その先にタルトたちを送り込む必要があります。

 あとは関連イベントの結果により変わりますが、今回はそれだけで十分なんて短いですね(建前)。いやぜんぜん短くない!(本音)

 

 当然RTAでそんなことやってられないので短縮します。もうしました。

 例えば鍵。ラピヌお姉さまが現代からの召喚なので渡されておらず、コルボーを倒すだけでよくなります。

 

 残りはおいおい話すとして……行くぞラピヌ、煉獄に突撃ー!

 

「あ……コルボー! コルボーだ!」

「ラピヌお姉さま!?」

 

 一歩前に進むと笑顔で迎えてくれたのは聖女たちではなくコルボーで、しかも敵っぽい。

 やられたぜ! 隣に銀の鍵を配置したな! ハメられたぜ! ミヌゥはカジュアル勢と走者を落とすのが趣味のプロ級魔法少女だ!

 

 前方の烏、後方の兎、使える戦力はくれはちゃんだけ。

 ハードモードはこれだから完走できればランカー入りなんだよな!

 

「お前は……緑の」

 

 なんて言っている場合ではありません。既に戦闘突入直前。リセットのリセッぐらいまで来ています。

 

 あっ(察し)。

 今リセすると『常夜の国の叛乱者』の終了後まで戻る? ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい! 待って! 助けて! 待って下さい! お願いします!

 

「待ってコルボー、殺す前に――」

「……ほらよ」

 

 なんとコルボーが銀の鍵をくれました。もうこのイベントほとんど終わりです。

 へっ、甘ちゃんが! 命乞いした甲斐があったぜ。

 

 と言っても急に慈愛に目覚めたわけでもなく、ラピヌお姉さまが味方にいること、そして影の世界から引っ張り出してることが関係しています。

 実のところ、コルボーは姉妹が第一なのでフラグさえ立てておけば協力してくれます。対イザボーにも来てくれるとかこいつすげぇ姉妹愛だぜ? 無論、イザボー第一のミヌゥとは相容れませんし、家族が大事なラピヌお姉さまも対イザボーはアウトです。

 

「これでお前への貸しもなしだ。さあ、戦おうぜ!」

 

 中世魔法少女は戦うことしか考えないのか(偏見)。

 渡してくれただけマシですが当然の権利のように戦闘に入るのはやめろ繰り返す当然の権利のように戦闘に入るのはやめろ! 誰か―! 助けて―! 

 

「くれは!」

「チッ、聖女様の仲間か!」

 

 生きてる~!

 乱入してきたエリザご一行によりくれはちゃんは無事生還。でも追っ手のモブ従者魔法少女まで引き連れてくるトレイン行為はやめれくれよな~頼むよ~。

 

 まあいいや。味方がカバーしてくれるので負ける要素はありません。

 出てくる敵魔法少女は斬っても消えるだけなのでばっさばっさいきましょう。なんかまたソウルジェムが濁り始めてますが知らねーよ、そんなの。

 

 なんやかんやでラピヌお姉さまを連れてコルボーも退散しました。生きてるって素晴らしい!

 

「ふっ、逃げていきましたわね。しかし、はあ、いると思ったら……やちよが言ってた通り、本当にすぐ首を突っ込んでるのですわね」

「お怪我はありませんか? 相手は仮面の魔法少女でしたし」

 

 ヘーキヘーキ。合流メンバーはエリザとメリッサ、謎の白い魔法少女(?)。あと気絶中のタルト(幼女Ver)ですね。

 そんなことよりその白い魔法少女(?)のことを早く教えてくれよな!

 

「こうして顔を合わせるのは初めてですね。私がペレネル・フラメルです」

 

 でたわね。

 彼女こそ今まで声だけ参加だった年齢不詳のペレネル先生です。珍しいことに煉獄では共に戦ってくれます。

 

 性能は完全な防御特化。白い結界でボスクラスの攻撃さえ防ぎきれる随一のメイン盾です。

 真価はただのタンク役ではなく、ついでに飛べる、ワープできる、治療できる、武器もアイテムも作れる。じゃあなにができないんだお前はよぉ! と言いたくなるほどの最優サポート系魔法少女(?)です。

 なお、彼女を超える防御力を持つのはタルトしかいません。ちょっとジャンヌ・ダルク強すぎんよ~。

 

「あなたが呼ばれることは想像できました。実は――」

 

 ペレネル先生の説明は長いので聞き飛ばします。

 簡単に言うと、煉獄にはタルトと深いかかわりを持つ者が召喚されるので、『時を超えて鳴らす鐘』と『常夜の国の叛乱者』でタルトとの信頼度を一定値以上に上げないと参加できないという話です。満たしているのはくれはちゃんだけなので他にいないんですね。

 

「――このように幼い姿になったタルトは、リズを失った絶望で眠ったまま。呼び戻すための記憶の花びらはあなたが持っているはずです」

 

 というか、他にいると集めないといけない花びらが増えるので時間がかかるので、単騎で行くのが一番早いと思います。

 

 にしても弱った心を生かさず殺さず煉獄に閉じ込めるとかチョーSだよな!

 1年後に死ぬと予言してしまったためこんな回りくどいこと面倒……面倒じゃない? それまでに心を消して操り人形にしてやろうって画策してるらしいっすよ。

 

 で、タルトはどう? 戻った? 戻らない? 絶望深いからね、仕方ないね。

 

「どういうことですの? これで全部集まったはずでは?」

「ミヌゥから得た花びらも、くれは嬢から得たものでも、タルトの姿は戻らない……もしや、私の術が届かない場所に他にもいる?」

 

 あっそっすかぁ!? 

 想定済みなので慌てません。対処してあります。シャワーを浴びてる最中も肌身離さず持っていたスマホを渡しましょう。

 

「これは……白紙の予言書!?」

「なるほど、これならば……」

 

 足りないと言われた場合、本来は『時を超えて鳴らす鐘』で参加した魔法少女の分も必要となります。

 こちらは信頼度の条件を無視して白紙の予言書を触媒に召喚しますが、煉獄への参加者が0人だったり、携帯電話を不携帯(激ウマギャグ)だった場合、失敗に直結します。だからくれはちゃんが呼び出されたうえでスマホを持っておく必要があったんですね(メガトンスマホ)。

 

 ここまで来たらリセしても大丈夫なのでお祈りタイム。

 選ばれるのは天音姉妹とみふゆさんの中から1~3人ですが、みふゆさんだけが呼ばれるまでやり直します。だって天音姉妹が来てもやられるだけですよ。

 

 なぜみふゆさんならいいかと言うと、なんと煉獄は夢と同じ。未来の人々の夢とも繋がっています。

 つまり……最強のパーフェクトフリーダムみっふがまたもや味方にいてくれるわけです。フィールドが夢ならこっちのもの! ガハハハ、勝ったな!

 

「どっ……どこですかここー!? まだこの見た目ですし!」

 

 フランスです(無慈悲)。

 いいですかみふゆさん、ペレネル先生がかくかくしかじかと説明してくれるので一発で理解してくださいね?

 

「――と、いうわけです。おそらくあなたが最後の花びらを持っているはず」

「は、はぁ……わかりました。くれはさんもいますし協力しますが……」

 

 こんな状況なので普段勉強が進まないみふゆさんも超スピード!? で理解。

 呼び出される人数を最小にすることで花びら集めをスキップ。ラピヌを現代からの召喚にすることで鍵集めをスキップ。あとは天国の扉にタルトたちを送り込むだけなので、はいタルト復活……しませんね?

 

「……タルト」

 

 なんで? なんで? なんで?

 全部集まったじゃーん! 鍵も確認したし、今だって、花びら集まってるじゃーん! この超難易度! フラグまでイカれてるんじゃないだろうな!

 

 ……まさか。

 

「お聞きしたいのですが……ラピヌは、死んでいないのですよね?」

 

 これかぁぁぁぁ!

 ラピヌは生きたままぁぁぁぁ! そのまま逃してたぁぁぁぁ! ふーざーけーるーなー!

 

 落ち着きました。

 

 ラピヌは生者判定であり花びらを持っています。急にコルボーが来たせいですっかり回収を忘れていました。これ事故だよな? 事故ってことにしようぜ? 

 

 通しだとこういうミスはありますね、ありますあります(自己弁護)。

 リカバリーのために急いでラピヌを追いかけるので今回はここまです。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 煉獄――そこは、自ら心を閉ざしたタルトを閉じ込める終わりの場。

 そう聞かされた私とエリザは、ペレネル様の助けを借りて自ら乗り込みました。タルトを救うためならば、なにが待ち受けていようと恐れるものはないのですから。

 

 しかし、暗く、冷たく、清廉な白で覆われたそこは、さしずめ棺桶のようで、嫌な予感をさせるには十分だったのです。

 

「メリッサ、今さら戻れませんわよ」

「ええ、わかってます。戻る気なんてありませんよ」

 

 されど、リズが消え、タルトが捕まったあの日から、私たちは諦めるつもりはありませんでした。

 

 闇に閉ざされたフランスでの記憶。絶望させるための策略であり、本来は消えるはずだったそれは、ペレネル様が言うには「未確認ではあるものの有益なもの」という魔法により確かに残されていて、希望の未来があることを知っていたのです。

 

 煉獄では魔女や呼び出したらしき傀儡の魔法少女たち、時にはミヌゥが襲ってくる。

 それらを蹴散らし、ミヌゥを追い払い、タルトの心そのものである幼い姿のタルトを保護した時、エリザが共に来てくださったペレネル様に食い掛りました。

 

「ペレネルの術で召喚された者から祈りの花びらを集めればタルトは目覚める……そのはずでしたわよね」

「間違いなく。気絶しているままなのは、まだ足りないからでしょうね」

「それが後どれぐらいかと聞いていますわ! 生きているからと、ミヌゥの物まで使っているのです! すべて集めてみせますが、無策よりも――いえ、召喚魔法。確か、呼ばれる条件は……」

「タルトと縁がある方……ですよね」

 

 脳裏に浮かんだのは、あの未来から来た方でした。

 誰よりも強かったわけではない。精神が固く皆を引っ張っていたわけでもない。それでも確かに仲間であり、手助けをしてくれたあの方。

 

 そう――くれはさん。

 私とも、リズとも、エリザとも違う関係を、タルトはどう思っていたのか。楽しかったのでしょうか。それとも、()()()()()()のでしょうか。

 

 いいえ……考えることではなかったですね。

 答えは助けたあとに直接聞けばいいのです。いなかった間にあった出来事を織り交ぜながら、ただただ平和な時間を過ごして。

 

 それに、少なくとも答えへの手がかりを持っている人物には会える。確信を持って煉獄を進むと、やはり彼女はいました。

 

「どうしても戦わないといけないの」

「乗り気じゃなくてもいいぜ、死ぬ気で抵抗させるまでだからなッ!」

「コ、コルボー!」

 

 ……にしても、あまりにも危険な状況すぎではないでしょうか。

 

 片や接近戦に長け、死の病を振り撒くコルボー。もう一人は仮面をつけてないものの、魔女になっても魔法少女に戻る不死身の身体を持つラピヌ……のはず。死者を呼び出す魔法で現れたのでしょうが、どちらかだけでも厄介なのに、なぜ両方と鉢合わせているんでしょう。

 

 既にこちらは戦闘態勢。自然と一行を率いていたエリザが気勢のある声を張り上げました。

 

「わたくしが前に出ます。メリッサ、援護を! ペレネルは後続の傀儡を抑えてもらいますわ!」

「いいでしょう、こちらは心配なく」

「ですが、あの数では……」

「この錬金術師はそれぐらいなんとかしますわ!」

 

 その言葉には確かな信頼がありました。

 エリザはペレネル様との付き合いは長いらしい。幼い頃、天使様と共に彼女の前にやってきて魔法少女の契約をした時からだと聞いていました。

 その彼女が大丈夫というのなら信じられます。事実、私たちの後方で攻撃をあしらい続けていたのですから、正しかったのです。

 

 ならば、仮面の魔法少女たちは私たちが倒せねば。

 実力差があろうと、為さなければならないのだから。

 

「くれは!」

「チッ、聖女様の仲間か!」

「あなたたちはここで倒します!」

「うわっ、うわわ!」

 

 ……どうしてでしょう?

 ラピヌは変身する素振りすら見せず、ただコルボーに守られているだけ。それが足枷となり、戦闘は終始こちら側が有利でした。危惧していた不死身は発揮されず、ついにはコルボーに連れられて撤退していったのです。

 

「ふっ、逃げていきましたわね。しかし、はあ、いると思ったら……やちよが言ってた通り、本当にすぐ首を突っ込んでるのですわね」

「お怪我はありませんか? 相手は仮面の魔法少女でしたし」

「平気」

 

 無事に合流できたものの、ラピヌが変身しなかったことは仮面をしていなかったことと合わせて奇妙。さすがのペレネル様も理由が見つからないようで、先にいたくれはさんが知ってないかと聞いたのですが……。

 

 ――「私が影の牢獄から出した」、と。

 

 まったく、予想外の答えでした。

 

「はぁぁぁぁぁ!? 引っ張り出して現代に連れてった!? なに考えてますのあなたは!」

 

 固有魔法をコピーできる帆奈さんの力があれば、リズがラピヌと共に堕ちていった門を開けるのではないかとは思っていましたが、本当にやっていたなんて。

 リズを助けようとしたものの、既にいなかったというのは……悲しいですが。

 

 話を聞いていて一番喜色の面を見せたのは、驚くべきことにペレネル様でした。

 

「いえ、なるほど……考えたわね。既にイザボーがいない未来に連れて行けば、契約は解除され、こうして呼び戻されても戦力にはならない。事実上無力化したのと同じです。情報源にもなる。リズを助けられない以上、プラスになる行いでしょう。さすがです」

「そうだったの」

「……くれは嬢? そういった算段はなく?」

「ええ」

 

 とは言うものの、まったくの考えなしだったわけではないはずです。きっと。

 それに、エリザはなんだか納得しているようで、頭を抱えて呆れながらもそれ以上は言わなかったのですから。

 

 ただ、くれはさんが持つ祈りの花びらでもタルトは目覚めませんでした。

 白紙の予言書を持って来ていたおかげで、みふゆさんとも再会できたのですが、それでも足りない。

 

 ならば、ラピヌが持っているのではないか――と判断したペレネル様の言葉が正しければ、取り逃がしはしたものの結果的に見れば前進したでしょう。大きな失敗はしていない。

 

 しかし追う道中、エリザはまたもやなにか考え込んだ様子だったのでした。

 

「思ったのですが、ペレネルの術が行使された時点で未来が変わったのですわね?」

「そうなのペレネル」

「くれはさんでは話がややこしくなるのでワタシが聞きますね。未来がとは……夢のフランスでの出来事では防げなかったのですか?」

「残念ながらその通りです。この煉獄は未来の方たちの夢とも繋がっています。ミヌゥが呼び出されたことにより、影響を与えてしまったのです」

「そこですわよ。未来が変わったのなら希望は消えたということ。されど、その象徴たるくれはたちは消えていませんわ。これはおかしいのか……それとも、まだ希望が残っているのか。答えてもらいますわ」

 

 未来が変われば、未来で生まれたはずの方がいなくなる。

 なのに彼女たちはここにいる。考えてみれば、当たり前の疑問。

 

 皆さまの視線を受けたペレネル様は、穏やかに微笑んで「その両方ですよ」と不思議な回答をなさいました。

 

「説明しましょう。くれは嬢とみふゆ嬢の存在基盤は未来が変われば揺らぎ、消えることに違いはありません。しかし、ミヌゥは防げる物を意図せずに渡してしまっていたのです」

 

 そう言ってくれはさんから受け取ったのは、白紙の予言書と呼んでいた薄いの長方形の箱でした。

 

「あなたたちはスマートフォンと呼んでいましたか。これのおかげです。かつて歴史を確定する強力な魔法を付与されていたこの機器により保護され、存在が揺らがない状態になっている。くれは嬢が持っていたおかげでみふゆ嬢も呼び出せた。お手柄ですね」

「そうなのね」

「……くれは嬢? もしや、またなんの算段もなく? そもそも聞いていましたか?」

「ええ」

「あの、もしかして内容が……」

「わかってるわ」

「どうして言い方は平静ですの!? こんなバレバレなのに!」

「すみません、くれはさんは未来でもずっとこんな感じなんです、頼れるときは頼れるのですが……」

 

 自分のことを言われているのにくれはさんは真顔のまま。

 結局その場はそれで話が終わりましたが……ペレネル様が言った"その両方"とは、すべて答えてくださったのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 再会したラピヌお姉さまは、魔法少女ではなくなっていた。

 

「ねえねえコルボー、聞いてよー。未来ってすっごい変なんだよ」

 

 奇妙な物が多く存在するさながら異世界のことを、移動中に話してくださった。

 砦よりも高い四角い建物が並んでいること。鉄の馬が走っていること。空気が悪くて星が見えないこと。お菓子がおいしかったこと。口の中で弾ける飲料があったこと。他にも様々。そのどれもを楽しげに語る姿は、いつか見なくなっていたものだったかもしれない。

 

 それだけに、魔法少女でないと気づいた時――私は安堵したのだ。

 

 身体能力が見た目相応になっていることを理由に、前線に出るのを引き止められる。戦力の低下や共に戦えない寂しさは、失うことと比べたら幾分も軽い。お姉さま自身の楽しみも未来ではたくさんあったようだ。

 それに、今のお姉さまは……聡明だ。

 

 不死身の能力を得たせいか、お姉さまは魔女から戻ると契約当時の姿になる。

 既に大人と呼べる月日が経っているのに、見た目は過去のまま。身長は……昔から私のほうが高かったか。記憶は引き継がれるものの、精神が見た目に引っ張られているのか、言動はらしいもの。

 

「えっへっへ、みんなにも食べさせたかったな。ほんとに甘いんだよ」

 

 だというのに、会話の節々から知らない成長を見た気がした。

 魔法少女でなくなったことで、今までの成長がすべて戻ってきているのだろうか。

 

 だとしたら――私は、なにをすべきか?

 

 願いの効力はそのまま残っている。またお母さまのために契約してもらう必要はない。

 そして、この身は既に()()。最期になにが起きたかは知っている。

 

「そういえばさ、どーしてくれはに銀の鍵……だっけ? あげたの? あいつは敵なのに」

「私は愛する姉妹のためならば、いくら憎まれようと恨まれようと尽力するつもりです。そのちょっとした共感と、為すためにはこの手が最善だと思えた……それでは、答えにならないでしょうか」

 

 家族を愛するラピヌお姉さまですらも、ミヌゥは愛想をつかすだろう。

 私に仕向けたように葬ることを考えるかもしれない。姉妹が殺し合うなど、見たくない。

 

 既に死した身でもできることはある。ラピヌお姉さまを生かすことはできる。

 そのためにしたことは、ミヌゥへの裏切り行為に違いない。

 

 そう、ラピヌお姉さまを助ければ、ミヌゥを裏切る。

 しかしミヌゥを助ければ、ラピヌお姉さまを殺すことになりかねない。

 

「どしたのコルボー、難しい顔してるけど」

「少々考え事を。答えが出ないものですから」

「そっかー、じゃあ私も一緒に考えてあげる。お姉ちゃんだもん」

「いえいえ、お姉さまの手を煩わせるほどでは……」

 

 ……。

 

 ああ、だが、ミヌゥ。

 

 それでも私は――たとえ世界のすべてが裏切ろうとも、お前の味方だ。

 

 




■今回の内容
 『伝説の終わり、光の果て』
 『仮面生徒会の逆襲』(一部分)

■ペレネル先生
 第一弾では声だけ、第二弾では特殊モブグラときてついにこのイベントで固有の見た目が実装された。
 原作では明かされてない設定がどんどん追加で出てくるのは外伝組のお約束。

■メリッサとエリザ
 この時期もこの後もコンビを組み戦い続ける魔法少女たち。
 リズのような髪型となりマントを羽織った大人メリッサ、本来の武器である籠手と尻尾を装備した大人エリザが並ぶメモリアがマギレコに存在する。たるマギがもしも6巻構成だったら原作にも出てたとか。

■タルト(幼)
 妹のカトリーヌにそっくりの専用グラフィック付き。
 前髪にかかるアホ毛は変わらず。この特徴は仮面を外したミヌゥも同じであり、彼女たちは異様に似ている。その理由は……没になったとか。そのうち明かされるかもしれない。

■コルボー
 ラピヌが家族、ミヌゥがお母さまのために行動するのに対し、姉妹のために行動するので実は一番味方フラグが立てられる。
 イザボーを倒して姉妹を戦い続ける魔法少女の宿命から解放するルートもあるとかないとか。

■仮面生徒会の逆襲
 タルトイベント第4弾。単行本3巻の巻末の聖乙女学園が実現してしまった謎イベント。
 なぜかたるマギ組全員に制服衣装が存在しメタネタもギャグも盛りだくさん。しかし、このイベントにはかなり大事な部分がある。

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