マギアレコードRTA ワルプルギス撃破ルート南凪チャート   作:みみずくやしき

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パート59 伝説の終わり、光の果て 後編

 

 

 遂にタルトイベントが終わるRTA、はーじまーるよー。

 

 どれかひとつでも失敗されると神浜がゲームオーバーのタルト系列イベントも今回でラスト。やっとRTAらしくなります。

 ずっとフランスにいたので離れるとなるとさみしくなりますね(建前)。いやこんな修羅の国もう嫌じゃ!(本音)

 

 そんなことよりラピヌお姉さま追いかけんだよ! 止まるんじゃない、犬のように駆け巡るんだ!

 

「ちょ、ちょっとくれはさん急に全速力出さないでください! ここ神浜じゃないんですよ! そういう変な行動したらみなさん困惑――」

「にょわほほほ! もう慣れましたわ! どれ、わたくしに付いてこれますこと?」

「そうです、急げばその分早く助けられますから!」

「とはいえタルトは気絶してるままですのでお気をつけて」

 

 オラオラついてこい! こんなんじゃ日が暮れちまうよ。

 

「ところでみふゆ嬢……あなたの幻覚魔法は移動にも使えるのでは?」

「あ、そうでした。今のワタシならワープできますよ」

 

 そう言うことは早く言わねぇかオォン!?

 みふゆさんがどこまでパーフェクトかは場合によるのでスルーしてましたが、できるんなら飛ばしてもらったほうが早いです。ペレネル先生が魔力を探知、その場所まで満月ワープ。お前デカゴンボールみてぇだな?

 

 オッス(到着)。

 

「チッ、追いつかれたか……! お姉さま、私の後ろに」

「で、でも……」

 

 変身できないラピヌを抱えちゃあ満足に戦えねぇな! こんな煉獄だからさ、誰も助けに来ないんだぜ? ええ? 

 げっへっへ、皆様方やっちゃってくだせぇ!

 

「そうですわね。一思いに――いや、これではこちらが悪者みたいですわ!」

「ラピヌを狙えばコルボーにも隙ができるでしょうが、ワタシもいささかそれは……」

「魔法少女であれば思いっきり叩くんですが、変身できないようですし」

 

 状況が状況なのでダメみたいですね(既知)。

 

 本来、フランス勢のみなさんは見た目幼子のラピヌでも一切容赦しません。

 エリザがライフルで腕を撃ち抜き、メリッサが腹部にメイスを直撃させて打ち上げ、リズが影で拘束し、タルトが真っ二つとそれはもう見事なコンビネーションでズタボロにしてくれます。いや僕もう大いに戦慄ですね。

 

 しょうがないのでチャート通り祈りの花びらだけ貰いましょう。

 

「……わかった」

 

 ちゃんと聞いてくれるなんてあ~ら良い子だねあんた!

 その後はコルボーに任せておけば確実に守ってくれます。良い姉妹愛だぁ……。

 

 見てくださいよこれ、リセとロスを天秤に掛けてラピヌお姉さまを追いかけたところ、祈りの花びらをくれたので大成功。リセするよりも早かったです。リカバリーはねぇ、自信あるんですよ!

 

 お二人を見送ったあとは激ツヨ聖女系魔法少女を起こすだけ。

 教科書に載るレベルの因果フルパワーがあれば煉獄も楽勝なんだよな!

 

 起きるか……?

 

 起きないか……?

 

 起きるか……?

 

「……お待たせしました、もう、大丈夫です」

「タルトっ! 良かったですっ!」

「ふぅ、ようやく元の姿に戻りましたわね」

 

 しゃあっ! 完全復活だっ。

 こうなったらもう阻むものはありません。最終ポイント天国の扉に突撃ー!

 

 

 

 ~少女移動中~

 

 

 

 やってきました天国の扉前。立ちはだかるのは20人以上30人以下の侍女たちと仮面三姉妹に特大サイズの激デカ魔女。

 

 記憶の花びら集めを短縮するとここの戦力が著しく減るのが問題ですね。鍵集めも飛ばしたのでコルボーとラピヌも健在ですし、最低戦力で戦わないといけない地獄です。あっ、ここ煉獄だった(激ウマギャグ)。

 

 まあこのルート以外はロスなので頑張りましょう。みふゆさんもいますし、ひたすら避ける練習をしてあるので大丈夫いってぇ! 本気で撃ちやがったな!?

 

「ああ、お母さま、なんと崇高な……」

 

 ミヌゥがお母さまと呼ぶあれがラ・レーヌの黄昏もといイザボー。

 名前でなんとなくお分かりかと思いますが、ワルプルギスの夜やヒュアデスの暁と同じラスボス枠のやべーやつです。なんでイベントで戦わなくちゃいけないんですか?

 

 ラスボスだけあって攻撃力は尋常ではなく、タルトでさえ危険域。さらに防御面はミヌゥの『母をいかなる魔法少女からも脅かされぬように』という願いにより魔法少女に分類されるキャラの攻撃は完全無効。マチビト馬のウワサ以上の超チート仕様とかこれマジ?

 

 ん? 今いかなる魔法少女からもって言ったよね?

 つまり魔法少女でなければいいので、魔女の力であるドッペルや、ウワサである桜子、ウワサを使って戦うねむちゃんなどであれば普通にダメージを与えられます。まあドッペルは使えませんし、そもそも桁違いに強いから無理なんですけど。

 

 なので、さすがのハードモードとはいえ別に倒す必要はありません。僅かな優しさ感じるんでしたよね?

 つまるところ天国の扉までタルトを送り届ければいいだけのイベント戦です。自分も突入すれば直接対決ルートに入れますがくれはちゃんが勝てるわけないだろいい加減にしろ!

 

 そしてこんな大混戦やってられないのでパーフェクトみふゆさんに任せます。おう、やっちまいな!

 

「はあッ!」

「なッ――」

 

 ワープできるなら相手も飛ばせるのでラ・レーヌの黄昏以外全部どこかに吹っ飛ばしてもらいました。オタッシヤデー!

 あとは最短ルートを駆けてタルトを誘導! 練習と下調べの成果、見せてやるぜ!

 

「ここまで大丈夫です。後は私が」

 

 あっそっすかぁ!?

 タルトさんが辿り着くまでくれはちゃんが回避に四苦八苦してるのを見ててもつまらないので、この後のことでも解説します。

 

 天国の扉を通り現実に戻ると、タルトさんはなんとver.2からさらにパワーアップ。影の中にあったリズのソウルジェムの力を借りて、光と闇が合わさって最強に見えるタルトver.Finalが誕生します。

 ここまでにフラグを立てていれば登場してくれますが、リズを助けた場合Finalの助力はありません。だから生存フラグをスルーする必要があったんですね。

 

 そのパワーは強力無比。並みの魔女であれば触れただけで消滅という魔法少女を超えた存在のエクシードタイプです。ラ・レーヌの黄昏にもダメージを与えられるどころか無双ですよ無双。

 ただ、代償としてソウルジェムがグリーフシードじみた物になってしまい浄化を受け付けなくなります。見られるのはその一戦だけです。

 

 そして魔女化されると未来が変わって神浜市が壊滅します。またか(諦観)。余計な手出しをしなければ忠実通り自ら火刑に処されてくれるので安心!

 

 一応タルト生存ルートもあることにはあるのですが、RTAにまったく関係なく難易度も非常に高いのでスルーです。しょうがないね。

 

 あっ、そうだ。

 この煉獄、呼び出されている人に実体はありません。イメージとか記憶の投影ってやつです。

 なのでさっき一緒に吹っ飛んだラピヌお姉さまの実物は現代で元気にしてます。ガバではありません。これだけははっきりと伝えたかった。

 

 タルトさんが天国の扉に入ったのでこれでタルトイベント終わりっ!

 神浜がやっと壊滅の危機から脱したので今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思えば――くれはさんと出会ったのは、リズのほうが早かった。

 

『あなたたちも二人で来たでしょう? 私もそうよ』

『ということはもしかして、リズはもう会ったんですか?』

 

 初対面で交わした言葉はほとんどなく、まだ見ぬ魔法少女への関心のほうが高かったのでしたね。

 それがあなたから話しかけてくることで、次第に仲良くなっていった。

 不思議でした。リズにメリッサ、エリザの三人にはないなにか。その共通の感覚が、心に触れていっていたんですから。

 

『こう?』

『そうです、剣の柄は強く握りすぎない。その調子です!』

 

『おいしいわね、これ』

『メリッサの料理はどれもすごいんですよ。いつも楽しみで……』

 

『軍旗の刺繍……あなたが?』

『はい! 自由にしていいとのことでしたので天使様を!』

 

 戦いのことではなく、その間の僅かな期間の日常ばかりを思い出す。

 リズが教えてくれたことを教えるのも、メリッサの料理をおいしそうに食べてくれるのも、私の刺繍を褒めてくれるのも、しっかりと私の記憶に刻まれている。

 

 ああ……"それ"に気づいたきっかけは、リズとの話でしたか。

 

『妹って、思うよりもしっかりしていて、守ってあげたくても助けられたり、不思議なものよね』

『はい、本当に……私はお姉ちゃんだったのに』

 

 私は妹にカトリーヌを持つ姉であり、姉のように慕うリズがいる。

 同じく、彼女も姉であり妹の身だったのです。

 

 言葉にしてしまえばそれだけのこと。同じ境遇の方は特段珍しくもなく、私には他にも兄がいることといい、違いはたくさんある。もっと似た方がいると言われれば、実際そうなのでしょう。

 

 それでも。

 多くの人たちと同じでも、彼女でなくともよくても。

 彼女は、ドンレミ村での出来事を思い出せてくれたんです。

 

 それはラピヌの相手をリズと帆奈さんに任せて、エリザを探しに二人で向かった時のこと。異変の影響かもぬけの殻になった私の故郷を見て、くれはさんは言いました。

 

『ねえタルト、あなたに夢はあるの』

『夢、ですか』

 

 たぶん、気遣ってくれたんです。誰もいない村を見た私の顔はそれは酷いものだったでしょうから。

 

 夢とは、目標のことでしょう。達成すべき、目指すべきもの。

 考えることもなく浮かんだのは決意の言葉でした。そのために戦っているのですから、すぐに口から出るのは当然のことです。

 

『フランスを救うこと。戦いも、聖女として讃えられることも、そのすべてが大切で重く思ったことはありません』

 

 そう答えると、彼女は真顔のまま、もう一度問いかけました。

 

『それはそうだけど、全部が終わった後よ』

 

 今度は、すぐ答えられなかった。

 

 すべてが終わったら、なにをしたいのか。

 暗雲を晴らしてもそこで終わりではなく世界は続いていく。

 

 自分でも忘れかけていたのかもしれません。取り戻したい帰るべき日常は私にもあったのではないでしょうか。

 誰もいないドンレミ村ではなく、あの頃のようにみんながいて、幸せだった世界が。

 

『ただひとつ、あるとすれば……()()()ドンレミ村に帰ることでしょうか。普通の少女に戻って、羊の番をして、家族と共に暮らすこと。みんなが笑って出迎えてくれる……そんな、日常です』

 

 ……しかし、カトリーヌは私を守り、剣で命を絶たれた。

 リズも、私たちを救うためラピヌと共に影へと堕ちた。

 

 もう戻らない日常は世界の色を失わせる。太陽が食われてしまったような暗闇が心を包む。

 

 ――だけど、私は決めたのです。それさえも、忘れていたのでしょうか。

 

 同じような悲劇をもう二度と起こさせない。

 この国に、この世界に、光をもたらすと。

 

『やっぱり、あなたはすごいわ。……私は強くはないし、足手まといだろうけど。いつか、あなたみたいになりたい』

 

 彼女がいる未来に確かに希望はある。

 それに、私は約束したのです。

 

『なら、いつか私からも――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゆっくりと意識が浮き上がる。指と足に確かな感覚が生まれ落ちる。

 水中から浮上したような夢から覚める感覚が、私を包み込んでいく。

 

 身体を起こして周囲を見渡すと、そこは白い洞窟でした。

 そしてメリッサ、エリザ、ペレネルさん、くれはさん、みふゆさんが私を見つめている。次第に状況を理解していくにつれて、随分と心配をかけてしまったようで。

 

「……お待たせしました、もう、大丈夫です」

「タルトっ! 良かったですっ!」

「ふぅ、ようやく元の姿に戻りましたわね」

 

 涙ぐみながら私に抱き着くメリッサの様子に、みなさんの苦労が伺い知れました。 

 話を聞くにここは煉獄という場所。私の心が閉じ込められていたようで、祈りの花びらという物を探して仮面の魔法少女たちと戦っていたそうです。

 

「しかし、あのラピヌ……花びらを渡したと思ったらまた逃げていきましたわね」

「大きな問題ではないわ。こうして心を取り戻せたのですから、後はタルトに天国の扉を通り抜けさせるだけです。開くための鍵ももう集まっています」

 

 なんでも天国の扉というものを通れば、現実の私が目覚めてこの煉獄から脱出できるのだとか。

 となれば、もちろん仮面の魔法少女もそこを守っているはず。そして戻れば、フランスを闇に包んだ元凶、イザボー・ド・バヴィエールとの決戦が待っている。

 

 戻った手の感覚を確かめるようにグッと力を込める。ブレも迷いもない。

 決意はした。覚悟もした。このまま進めばいいだけ。

 

 しかし。

 

 どうしても、くれはさんのことが放っておけなかったのです。

 彼女の表情は今までと同じく不思議なほど真顔で変わらないのに、どこか悲しみを帯びていて、痛みを抱えていたように見えたのですから。

 

「みなさん、少しだけくれはさんと二人っきりにさせてもらえないでしょうか」

 

 私のわがままであった提案は、メリッサもエリザもわかっていたのか快く了承してくれました。ペレネル先生とみふゆさんも同様。受け入れてくれたことには感謝しかありません。

 

 ちょっと離れた場所でくれはさんと向き合う。

 そこで、やっと気づく。彼女の瞳が潤んでいる。

 

「……ごめんなさい、リズを助けられなかった」

「それ、は……」

「手を伸ばしたの。だけど、届かなかった。もう、そこにいなかった」

 

 あの地獄の門を開くことができたということ。そして、その結果どうなったか。

 さらには、原因であるはずのラピヌを助けたいと思ってしまったと、彼女は続けました。

 

 ……きっと、私に告げるのは辛かったはずです。

 だってこんなにも泣きそうになって、自責の念に駆られているのですから。私の胸の苦しみを感じ取り、共鳴するように苦しんでいるようにも見えました。

 

 けれど、あなたが自分を責める必要はないんです。

 

「その気持ちだけで十分、私は救われます。あなたがしたことは間違いじゃありません」

「……それだけじゃないの」

「というと……」

「未来を変えようとする行為を、悪いとは思えないの」

 

 彼女が話してくれたのは、仮面の魔法少女たちがなにを思っていたかでした。おそらく、ラピヌから聞いたのでしょう。

 

 長女、ラピヌは家族を愛している。

 次女、コルボーは姉妹を愛している

 三女、ミヌゥは母親を愛している。

 

 だからこそ、私たちと戦っている。守りたいものと大切なものがあって、非道で残虐な行いをしようと、その根底にあるものは同じだと気づいてしまったと。

 

「もちろん彼女たちは止めなきゃいけないわ。だけど、もっと良い未来は……」

 

 そこで、くれはさんは言葉を止めました。

 悔しがるように唇を噛み締め、視線をそらし、届かない希望を探すように。

 

 この姿を他の方は見たことがあるのでしょうか。みふゆさんややちよさん、帆奈さんならば放っておかないはずなのに。

 

 きっと、もっと私が賢ければ諭すことができるのでしょう。

 あるいは、誰一人残らず犠牲を出さずに救うことができる力があれば、こんな悲しみを与えないのでしょう。

 

「私にはその答えはわかりません。こうして闇を払い戦うことが正しいと思って進んできたのですから――」

 

 兵士を、心を失い傀儡となった魔法少女を、魔女を、敵を斬ってきた。

 世界を闇に包む悪意に対し、託された人々の希望を背負い戦う。

 これしか方法を知らず、これしか救える方法がなかったから……などと、言い訳をするつもりはありません。私は私の信じる道を歩んだだけ。

 

 それだけに、かつて焚火の前で言ってくれた、くれはさんの言葉が嬉しかったのです。

 

「あの時確信しました。未来には希望があるのだと」

 

 未来には、誰にも死んで欲しくないと思える世界がある。

 彼女のように優しい考えができる人が他にも多くいる。今まで話してくれた未来の中にもそう思える方がいました。だからこそ、なおさら途絶えさせるわけにはいかない。

 

 すると、くれはさんもなにかを思ったのか、一度下を向いて顔を上げると元の真顔に戻っていたのです。

 

「みふゆが言ってたの。あなたのことは未来でもよく知られているって。帰ったら調べてみるわ。もっとあなたのことが知りたいから」

「ふふっ、でしたら私がもっとお話しましょうか――」

 

 少しとは言ったものの、みなさんはわかっていてくれたのか好きにさせてくれました。

 

 きっと、これが彼女との最後のたわいない話になる。

 本当はもっと一緒にいたかった。見たがっていた本来のドンレミ村を紹介したかった。彼女もまた、私の大切な仲間のひとりなんですから。

 

 されど、私は"乙女(ラ・ピュセル)"。

 託された想いと希望を果たすため、光を取り戻すと誓ったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――そう、たとえ、どんな敵を前にしても。

 

「ああ、お母さま、なんと崇高な……」

 

 天国の扉に立ち塞がる芋虫のような姿のかくもおぞましき化生。離れていてもわかる魔力の凶悪さ。あれが魔女、イザボー・ド・バヴィエール――またの名を、ラ・レーヌの黄昏。

 

 エリザが先んじて放った『デア・ドラッヘ・リンドヴルム』すら弾き、メリッサの『消滅』を用いた一撃すらも効果がない。ペレネルさんの話では、フランスを丸ごと包む結界を持ち、その強大な力もほんの一部にしかすぎないという。

 

 間違いなく、今まで戦ったどの敵よりも強い。

 そしてイザボーだけではなく、傀儡の魔法少女や、ミヌゥ、コルボー、ラピヌまでいる。

 

 されど、私にあるのは信念のみ。

 背負っているすべてのため、退くわけにはいかないんです。

 

「いいですこと? 天国の扉にタルトを送り届ければこちらの勝ちですわ。最短距離で行きますわよ!」

「でしたら、ワタシがサポートします」

 

 そう言うと、みふゆさんが一歩前に出て集中し始めました。

 相手もそうはさせまいと突進してくるものの、両手の紫の魔力が一気に解き放たれると――なんということか。ラ・レーヌの黄昏以外のすべての敵を泡のようなものが包み込み、消してしまったんです。

 

「一時的に隔離しました。転送魔法の応用です。しばらくは帰ってこれないでしょう」

「すごいです! これなら道が!」

「おのれ小癪なッ!」

 

 同様に転送魔法が使えるミヌゥが即座に戻ってくると、鞭を握って自ら攻撃を仕掛けてくる。先ほどまでと異なりなりふり構わず攻めて来る姿を見るに、あの魔法は想定外だったのかもしれません。

 

 ミヌゥは策を得意とする相手。私では考えが及ばないかもしれない。

 しかし、私の前に出て攻撃を防いだ二人……メリッサとエリザが振り向いて言ったのです。

 

「私たちが足止めします! みなさん、タルトをどうか……」

「任せましたわよ! ペレネルも!」

「いいでしょう。ならばラ・レーヌの黄昏の攻撃は私が防ぎます。ただ、私の魔力も無限ではありません……みふゆ嬢、できる限り天国の扉からあの巨体を引き剥がしてくれますか?」

「やってみましょう、タルトさんが通れるように……!」

 

 巨体が放つ光線をペレネルさんの白い結界が防ぎきり、その間隙でみふゆさんが幻惑で空間を歪めて私を視認できないようにしている。

 

 ……ありがとう。

 

 一人一人の想いと力が、確かに託されているのを感じる。

 それがさらに私を力強く進ませる。

 

 見えます。天国の扉への通り道が。

 あれを通り抜ければ私は現実でも目覚めて、イザボーとの決戦に赴くことになるでしょう。

 

 くれはさん、あなたは自身を足手まといだと言いましたが、それは違います。

 今も共に走っていてくれるあなたの横顔。夢でも旅の中でも見て来たそれが、いつだって未来の希望を思い出させてくれたんです。

 

「――ッ、くれはさん!」

 

 突如差し込む邪悪な光。

 いくらペレネルさんとみふゆさんでも攻撃を捌くのにも限界があったんです。射線上に彼女がいると気づいたとき、咄嗟に押し出して、「無事ですか?」と声をかけました。

 こうやって彼女を守ること。それは幾度も繰り返したことで、でも、もう最後で。

 

 ……別れというのは、いつも、心に響くものですね。

 

 だけど、押しとどめる。

 今はただ、私にできるかぎりの笑顔を。

 

「ここまで大丈夫です。後は私が」

「待って、私はまだ……! あなたは私の――!」

「それは、またいつかの日に。今までのように、ここでの出来事を私が忘れてしまうとしても……」

 

 背後に彼女を残して、全力で前方に跳ぶ。

 光線を捌き、ただひたすら突き進む中、私の口は彼女への言葉を紡いでいました。

 

「メルシー・ヴレモン。初めて会った時のことを思い出しました。一度は忘れた夢の中で、あなたは感謝を述べてくれた。そして、私も感謝を返した。それは私たちだけでなく、多くの人たちの歴史にあったとても大切なことなんです」

 

 これは独り言。聞こえるかわからない言葉の羅列。

 

「これも同じ。リズが見てきた魔法少女たち、私に希望を委ねてくれたみんな。誰もが続けて紡いできた道。今度は私の番なんです」

 

 でも、きっと伝わるのでしょう。私を見つめる、あなたなら。

 

「想いを託します。未来に私はいませんが、こうして受け継ぐことはできるんです。そうやって人は生きてきたんですから」

 

 忘れないからこそ、覚えていてほしい。どうか、届いてほしい。

 

「だから、約束しましょう――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「素敵な未来を、生きてくださいね」

 

 

 

 




■今回の内容
 『伝説の終わり、光の果て』

■タルトver.Final
 完璧なる「不規則(イレギュラー)」。魔法少女を超越したエクシードタイプ。
 グリーフシードによる浄化さえ受け付けず、もう魔女化するしかないため火刑に。その時の姿はまどマギ最終話にも映っている。

■くれはちゃん
 このあと好きな有名人:ジャンヌ・ダルク、尊敬する偉人:ジャンヌ・ダルクになったとか。
 世界史がほんの少しだけ得意になったらしい。

■イザボー
 この状態の彼女はイザボー(魔女ver)として実装。
 他に原作にいない魔法少女衣装のイザボーも実装されている。子持ちの魔法少女ってなんだよ(哲学)。

■ラピヌお姉さま
 みっふのインチキワープで吹っ飛ばされた。詳しくは次回。
 召喚に実体はないので現代にそのままいる。

■満月ワープ
 アニレコでやっていた謎の魔法。幻覚ってなんだよ(哲学)
 姿を消して走って逃げているだけかもしれない。

■超マギア
 タルトver.Finalのような特殊なキャラはドッペルではなく上位版である超マギアを所有している。
 設定的にドッペルが使えなかったりその理由は様々。

■タルト生存ルート
 ラ・レーヌの黄昏討伐までに賢者の石の生成に成功していること。
 ペレネルMSSにて『賢者の石の生成に成功していれば違った未来もあったのかしら……』と記述がある。ので、この小説ではそういうことになっている。 

■約束
 「素敵な未来を、生きてくださいね」
 本来は『常夜の国の叛乱者』でのセリフ。


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