ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第96話

 「よーし!楽しくなってきた!ビーム!!ってあれ?」

 『撃ちすぎ厳禁だっての。』

 

 2発、3発と連射した結果無人機軍団を9割方減らし、残すところワスプ本体が身を守るための防御陣形を張るだけとなったが、ビーム発振装置がオーバーヒートを起こした。

 

 「エネルギーはまだ残ってるけど、しばらくおあずけか。」

 『闇雲に売ったところで、あの防御を貫通するのは難しいかもしれなかったわね。私は最初から格闘で戦えと言っているのだけれど。』

 「さりとて、格闘戦は分が悪いでしょう?」

 

 いよいよ戦いも大詰めと言ったところか。必殺技が打ち止めとなったものの、依然こちらが優勢と言っていい。だが、手持ち武器もないままにワスプの防御陣に突っ込むのは遠慮願いたい。

 

 ワスプの展開する障壁は、レーザーネットと電磁フィールド、さらにチェーンソーやドリルのように駆動する物理防壁の三重の鉄壁だ。殴りに行けば手がヤスリにかけられたように削り取られてしまう事だろう。

 

 それは壁というよりも球のよう、ミツバチが作る蜂球のようだ。蜂球は主にミツバチがスズメバチを蒸し焼きにするために作る陣形だが、これは女王を守る兵士、さながら古代ギリシャのファランクスのようだ。

 

 「ゲームにもファランクスみたいな陣形を組む雑魚敵がいるんだけど、これがまた厄介で、攻撃の当たり判定が盾に吸い込まれるせいで全然ダメージが入らないんだよ。」

 『その知識は果たして突破口になるの?』

 

 さて、古代マケドニアが多用したそんなファランクスにも、弱点があった。単純に言うと、陣形を組んだまま動く必要があるので、車のように急には止まれないし、側面攻撃にも弱かったという。そういう相手には騎馬隊のように足の速さを生かした高機動戦術が役に立つ。

 

 「つまり、高速機動でスキを突くのが正解だ!」

 『まあ、セオリーには乗っ取ってるわね。』

 

 ひたすら後ろを突くように、ダークリリィはワスプの周囲を高速移動する。軍団が大規模であればあるほど、統制は取れにくくなる。

 

 しかし今のワスプには、軍勢全体で言えばごく少数ながら、自身の身を守るだけであれば十分に可能な数が常駐していた。数が少なくなれば、その分だけ統制も取りやすい。

 

 『つまり、これだけじゃダメってこと。』

 「くそっ、せめてさっきライフルを落とさなければ・・・。」

 

 ひたすら守りを固めていれば、その内に無人機のおかわりが飛んでくる。生憎時間は遊馬の味方をしてくれないらしい。

 

 「イチかバチか突撃するか・・・いや、それこそ思うツボだ。どうすれば・・・。」

 『さしあたって、冷却完了するまでの我慢比べになるかな。』

 「それなら得意な方だ。」

 

 ゲームも戦いも、駆け引きが大事。チャンスを見極め、確実な一撃を叩きこむ。

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