ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第98話

 「あがぁあああああ!!!???」

 『遊馬!』

  

 遊馬の肺から空気が絞り出され、脳がショートする。視界がどんどん狭まっていくのを止められない。

 

 『こっちから何かアイテム使えないかな・・・。』

 『この強化服使う?耐電耐熱耐油だけど。』

 

 4分割された画面に、トビーの顔が映りこむ。続いてモンドと美鈴の顔も現れる。

 

 『よし、それを遊馬に装備させるぞ。脱げ。』

 『え、いくら出す?』

 『アホ言ってんじゃねえよ!』

 『ハイハイ。』

 『キャー!いきなり破廉恥な!』 

 

 トビーは、自身が着ていた強化服を脱ぐと、それを遊馬に『使用』することで装備させる。

 

 「あぁああああああ・・・んっ!?」

 『うまくいったようだな!』

 

 途端に、遊馬の体を襲っていた痺れは途切れ、レベリオン用パイロットスーツから、ベルトがいくつもついたレトロな飛行服のようなトビー謹製の強化服に変わる。

 

 「おお、これはトビーの?」

 『使ったらクリーニングして返してね。』

 「でもこれウールとかじゃないよね?ドライクリーニングで大丈夫?」

 『トビー特製の合成繊維は、普通に洗濯も出来るよ。』

 

 洗濯したら縮んだり、色移りしたりする心配はなさそうだ。では今は目の前の問題に集中するとしよう。

 

 痺れは収まったが、両手足を拘束されていては、このままじゃ動けない。

 

 『自分の手足の動かし方を忘れたか?』

 「いいや。じゃあ今度はモンドの銃を貸して。」

 『俺の腕が必要か?』

 「まず握手から始めようか。」

 

 モンドが自身の片腕を外すと、それは遊馬の手に収まる。その手のひらを握ると、ライフルモードへと移行する。それはコクピットの中に置いておくには多少手狭だ。

 

 「よーし、ハッチ開け!」

 『こっちから開けるよ、タイミング合わせ、3.2.1。』

 「ゴー!!」

 

 合図と共に、エルザが遠隔操作でハッチを開くと、すぐさま遊馬がライフルのトリガーを引く。

 

 特に照準も合わせずにぶっ放したそれは、幸運にも接近してきていたワスプの頭を打ち抜いた。コントロールを失った無人機は力を失い、容易くダークリリィに振り払われた。

 

 「やった!」

 『安心するのはまだ早いわよ。』

 「わかってる、けど、これで逆転だ!」

 

 ハッチを閉じるとライフルを投げ捨て、ビームの照準を合わせる。

 

 (けど、このまま撃っただけじゃ躱される可能性もある・・・よし!)

 

 頭を潰したが、それでもワスプの機動力は変わらない。ならばここはひとつ、レベリオン戦闘のセオリーを見直してみよう。

 

 「けど普通に殴り掛かるのも味気ない、ここはいっちょ『遊んで』みようか。」

 『普通に撃ってもいいと思うけどなぁ。』

 「どっちだよ!まあいい、撃ちはするよ、ただし・・・。」

 

 仰角を思いっきり下げて、ボタンを押す。

 

 『何もないじゃん!』

 「海面がある!」

 

 着弾、と同時に爆風のように水蒸気が吹きあがる。マイクロウェーブ着弾と同じ、水蒸気爆発だ。

 

 「思った通りこちらを見失ってくれた!」

 『成程ね。』

 

 爆発の勢いにレベリオンは耐えられるが、無人機は飛んでいく。露払いは出来た、あとは中央突破するだけだ。

 

 「格闘のマニュアルは?」

 『こっちでやるよ!美鈴ちゃん!』

 『えっ、私ですか?』

 『あなたなら出来る!さぁ!』

 『うう・・・あまり瀟洒な役柄ではないですが・・・ちょりゃー!!』

 

 美鈴のモーショントレースによって、格闘のパターンが作られる。いつの間にか箱入り娘だった美鈴もたくましくなったものだ。ひょっとして並行世界の自分であるイングリッドの影響を受けているのだろうか?

 

 『肘打ち、掌底、マーシャルアーツキック!!』

 『トドメだ!ワイヤーガンを使え!右腕だ!』

 『よーし!』

 

 トビーがひとつだけつけていた腕の隠し武器、ワイヤーショットで吹っ飛んだワスプの胸を捕まえると、手繰り寄せる。

 

 『チェス、トォオオオオオオオオオオオオオ!!!』

 

 手繰り寄せた右腕でラリアットを放つと、それはワスプの首を刈り獲る。

 

 『勝ちましたわ!!』

 

 途端にワスプはスパークを起こしたと思うと、しばらくすると機能停止した。同時に、無人機もポトポトと殺虫剤を撒かれたムシケラのように落ちていく。

 

 『やりましたー!』

 『さすがお嬢だ。』

 『さすがね!』

 『遊馬もよく頑張ったね。遊馬?』

 『おーい、聞いてるかヒーローさんよ?』

 

 「うっ・・・ぐっ・・・。」

 

 一同が勝利に湧く中、遊馬は呻き声をあげた。

 

 『アスマ?!』

 『どこかやられたのか?』

 『傷が開いたの?!』

 

 遊馬は青い顔をして何も応えない。否、応えられなかった。脂汗が額から湧きだし、酸素を失った金魚のように口をパクパクとさせる。

 

 『あー・・・みんな、一旦通信を切った方がいいかも。』

 『なんでだよ、仲間が苦しんでいるのにお前は見捨てるのか?!』

 『あえて放っておいてあげるのも友情だと思うよ、ウン。』

 『それって、どういう?』

 

 「オロロロロロロ・・・。」

 

 『ね?』

 『あーうん・・・。』

 「キツすぎ・・・オボボボボ・・・。」

 『せっかくカッコよく決まってたのになー。』

 『決めたのは私ですわ。』

 『そうだったね。』

 『あっ、お前俺の腕を汚してるんじゃねーよ!』

 「ごめんモンド、トビーも・・・洗って返すわ。」 

 『いやー、別に返してもらわなくってもいいかな?服にはスペアあるし。』

 

 このままでは自分の吐瀉物で溺れる。換気のためにハッチを開くと、快晴の空が広がっているではないか。

 

 「うっぷ・・・とにかく、勝った。ネプチューンは無事だろうか?」

 『呼びかけてみればどうだ?』

 「ダメ、応答がない。相当深く潜ってるのか、それとも・・・。」

 

 とりあえず呼びかけは続ける。と、その前に撃墜したワスプをワイヤ-で縛って回収しておこう。

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