ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第100話

 「まさか、生きている間にオリジナルクラスの機体を見ることになろうとはな。正規軍ならば、勲章ものだろう。ここは正規軍ではないけれど。」

 「コックピットが臭いですけどね。」

 「今度からはエチケット袋と消臭スプレーを持っていきたまえ。」

 

 マスクをした作業員が、ダークリリィの清掃・点検を行っている。潜水艦の中という密閉空間で、ニオイの問題は深刻だ。よく入念にクリーニングしている。

 

 遊馬もゲロまみれになったトビーの強化服とモンドの腕をクリーニングしている傍ら、その作業の様子を見ていた。

 

 「変わった装備だね。それがゲームの中のアイテム?」

 「はい、借りものですけど。・・・返さなくていいって言われちゃったけど。」

 「ならば貰っておきたまえ。ヘイヴンではそんなものは支給できないからな。」

 

 さて、そのダークリリィと対面する形で、もう一機のレベリオンが鎮座している。その頭部や腕は大きく破壊され、見るも無残な形となっていながら、発信機や盗聴器の類を取り除くため、または調査のためにさらに解体が進んでいる。

 

 「僕はグロッキーになってたから見てないんですけど、パイロットはどうなったんですか?」

 「ちゃんと生きてるよ。あとで尋問が必要になるからな。」

 「それが終わったら?」

 「・・・さてどうしたものかな。正規軍ではないから銃殺刑にはならないけれど。」

 

 遊馬とダークリリィの手によって撃墜され、捕獲されたワスプは、パイロットが独房に入れられて主を失い、手も足も出なくなっていた。最初は遊馬を捕らえるつもりだった者が、逆に囚われの身となってしまったのは皮肉なことだろう。

 

 「ともかく、現在のエヴァリアンの動向を探る貴重な情報源となってくれるだろう。キミの協力に感謝する。ネプチューンを救ってくれただけでなく、新しい機体を持ってきて、そのうえ捕虜を1人と一機連れてくるとは、勲章はやれないが、かわりに・・・。」

 「代わりに?」

 「拍手をあげよう。」

 

 パチパチとまばらな手拍子が格納庫に響くが、機械や道具の音にかき消されそうなぐらいに小さい。

 

 「ははは・・・。」

 「まあ冗談はさておき。なにか欲しい物とかはあるかな?勲章が欲しければ何か手作りのものを渡すことになるが。」

 「おっさ・・・男の人から手作りの物を貰ってもなー。」

 「うん?こう見えても私はハンドメイドにはうるさいぞ。セシルの道具袋は私が仕立ててあげたものだし・・・。」

 「子供の頃の話?」

 「うん。あのぬいぐるみもな。」

 「既製品じゃなかったのかアレ・・・。」

 

 ちょっとした衝撃だ。こんなおっさんが縫い物をしている姿はちょっと想像できない。

 

 「じゃあ、ラッピーグッズを収集していたのも?」

 「あれは妻の趣味だったんだが、どうしても捨てられなくてね・・・。」

 

 まあ、ワケありというわけだ。

 

 「とにかく、今日はお疲れだった。ゆっくり休んでくれ。」

 「そうさせてもらいます・・・三半規管を休めたい。」

 「ならゲームをせずに眠ると良い。」

 

 さすがに、ゲームでさらに目を酷使するつもりにはなれない。ゲームPODネクスからゲーム世界に一旦戻るのもいいかもしれないが、それでもちょっと休みたい。

 

 「・・・うん?」

 

 居住スペースにやってきた時、なにやらドンドンと壁を叩くような音が聞こえてきた。

 

 「こっちかな?」

 

 今の字かな、誰もいないはずだったので気になって見に行くことにすれば、その音の発生源の部屋に難なく行き着いた。

 

 「セシルの部屋?」

 

 そこは何度かお邪魔したことがある部屋だ。部屋主は今いないはずだ。ドアにはカギがかかっているので、中を確認することはできない。けどこのまま置いていくのも気になる。

 

 マスターキーがわりに何か無い物かとゲームPODネクスを動かしてみる。

 

 『なに?なんか問題発生?』

 「ああ、トビー実はね・・・。」

 

 『らぴ!らぴ!!』

 

 「・・・え?」

 

 と、しばし逡巡していた時、今度は聞き覚えのある声がしてくる。そんなまさか・・・いや、そういえばゲーム世界ではしばらく見ていなかった。

 

 「トビー、こういう扉の開け方のウラワザってない?」

 『電子ロックか、ならちょっと配電をいじれば開けられると思うよ。』

 

 違法行為だけれど、今はとにかく時間が惜しい。足元近くにある小さな扉を開けて配電盤を露出させると、ちょっとコードをいじらせてもらう。

 

 「らぴっ!!」

 

 すると扉が労せずして開く。それと同時に中から飛び出してきたのは、白い毛玉のようなキャラクター・・・だが、ちょっと色あせてボロっちい。

 

 「ラッピー?!なんでここに!?」

 「らっぴ!!」

 

 返ってくる返事は相変わらず理解不能だった。

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