ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第107話

 「さて、行ってらっしゃいをする前に。これを。」

 「これは?」

 

 と、格納庫で渡されたのは一本のメガネ。黒ぶちで、セシルが普段使っているものと同じに見える。

 

 「変装用だ。君は顔がヤツらに割れてしまっているからね。気休め程度だが。」

 「これには、認識阻害とかそういうものが?」

 「いや、ただの伊達メガネだ。お守り程度の餞別だと思ってくれ。」

 「前言ってた勲章代わりに貰っておきますね。」

 「そうしてくれ。」

 

 ゲーム好きという割には、遊馬の目は悪くない。それどころか、シミュレーターでも動体視力が追い付いていたり、いい方かもしれない。そういうわけで、メガネとは無縁な生き方をおくっていた。初めてかけるのが近視用でもサングラスでもなく、伊達メガネというのは御洒落かもしれないな。

 

 「他にも餞別があるそうだ。」

 「他?」

 「情報室、司令室、メカニックからもそれぞれ変装用のコスチュームを預かっているから、どれか選んで着ていくといい。」

 

 この中から一つを選ぶのじゃ、と3つの紙袋を用意された。せめてメガネに似合うコーデであってほしい。

 

 「まずは、情報室からかな・・・。」

 

 この中なら一番メガネなイメージがある。きっとメガネに似合うアイテムも入ってると、期待半分で紙袋を開ける。

 

 「ん?柄物のシャツ・・・?」

 

 しかし期待に反して出てきたのは黒地に白い線の入ったTシャツ。

 

 「柄物かな?うっ?!」

 

 否が応でも目に入る、『唐揚檸檬』とやたら達筆な漢字、いや日本語がデカデカとしたプリント。これは・・・ダサTじゃな?そりゃあ外国人が変な日本語のTシャツ着てたら日本人には面白いかもしれないけれど、遊馬はれっきとした日本人だ。というか何故唐揚げレモン。味の雰囲気を変えるのにレモンを絞るのは嫌いじゃないけど。

 

 「まあいいや次、メカニックいこうかな。」

 

 メカニックのおっちゃん達には色々とお世話になったり、お世話したりしている仲だ。きっとそんなに変なものは入ってないだろう、多分。

 

 「えーっと、ズボンかな?」

 

 青くて頑丈そうな生地、おそらくジーンズだろう。ならいい物だろう。ジーンズもある意味作業着の一種だし、メカニックらしいと言えばらしい。

 

 「・・・って、破れてるじゃないか!」

 

 ダメージジーンズという文化なら知っている。だがこの穴はダメージを通り越して致命傷レベルだ。いわゆる『大ダメージジーンズ』というやつなんだろうが、遊馬の趣味じゃない。

 

 「肝心なところが守れてないよコレは。」

 

 はっきり言って処分品である。ここまでは着古されたのなら、捨てられるズボンの方も満足だろう。リサイクルしてバッグにしてもいい。ただ続けて履くのは勘弁。

 

 「最後、オペレーターさんの。」

 

 どうかまともに装備できるものでありますように。まともな物が出てくる確率は、ガチャで星5つとかが排出されるよりも高いと思うのだが。ひょっとしてたばかられているんじゃないのか。

 

 「最後は・・・帽子?」

 

 丸っぽい帽子。キャスケット、ハンチング帽などと呼ばれるものだ。変装に帽子はつきものだ。これはありがたくいただいておこう。

 

 しかしここにきて普通なものが来てしまった。確立としては三分の一で最初に引く可能性もあったのだろうが、正直唐揚げレモンに比べるといささかインパクトに欠ける。

 

 「どうかな、楽しんでもらえたかな?このサプライズ。」

 「何のためのサプライズ?」

 「サプライズジョークというやつだ。開けるのは楽しかったろう?」

 「うーん・・・まあ、確かに。」

 「またやるために生きて帰ってきてくれたまえ。」 

 

 もっとましな激励はなかったものか。とりあえず親父の部屋から普通のシャツを強奪してくることにした。

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