ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第110話

 「う~み~は~ひろい~な~大きい~な~。」

 「ら~ぴ~!」

 『他の歌は無いのかよ。』

 

 もう何回も同じ歌を歌ってるけど、ステレオがついていない以上自前の歌しかない。

 

 ダークリリィがマッハ5で飛んでも、沖縄~ソロモン諸島間は1時間弱かかる。初めはその綺麗さに心打たれていた景色も、だんだんとその変わり映えの無さに飽き飽きしてくる。さりとて運転しているからには居眠りも出来ない。故に歌うのだ。

 

 「だってモンドの方がよっぽど音痴だって。」

 『俺はただ歌を知らないだけだ。』

 『記憶喪失になってから歌を聞いたりしてないの?』

 「BGMはいいんだけど、ボーカル曲は英語だからなぁ、タイムライダーって。」

 

 特定のボス戦ではボーカル付きのBGMが流れるけど、ふふふふふ~んとしか遊馬も歌えない。

 

 『ゲームの歌は何かないの?』

 「んー、それを言ったらトビーのレッドパーカーの中では、MDをBGMに出来るけど、トビーなら歌えるんじゃないの?」

 『うーん、ボクもそんなに歌は知らないかも。』

 「古き良き『SING』とか『カントリーロード』とかもあるのに?」

 『それなら私にもわかりますわ。』

 「なら、今度は美鈴が歌ってよ。」

 『そうだよ、アイドルやってるんでしょ?そっちの世界では。』

 『えっ?!』

 

 ちょっとパスが急すぎだったか。けど正直美鈴には一番期待してたんだ。

 

 「おじょボクの主題歌を歌っているのも美鈴だったし。」

 『主題歌とか知りませんわ!』

 『そりゃそうだわな。』

 『じゃあ私が歌おうか!』

 「エルザが?」

 

 混ざるタイミングを今か今かと待ち受けていたエルザが割り込んできた。たしかにエルザもいい声をしている。期待は出来る。

 

 「じゃ、エルザなにか一曲お願い。」

 『任された!』

 

 エルザの喉から発せられる清流のような透明感のある声は、リラックス効果をもたらす。

 

 『~♪』

 

 「うん、すごくいい気分だ・・・なんだか・・・眠く・・・。」

 「らぴ・・・。」

 

 機首がゆっくりと下を向いていく。

 

 『起きろバカ!』

 「はっ・・・あぶなっ!」

 

 危うく海面に地獄の抱擁をされるところだった。退屈は人を殺すというが、物理的に殺されるとは思わなんだ。

 

 『こんなことなら、やっぱりステレオは着けておくべきだったかな。』

 「それよりもオートパイロットつけて。」

 

 思わずレバーを握る力が強くなるが、余計な力が入りっぱなしだとその分だけ無駄に疲れることになる。

 

 『じゃあマッサージ機もつけようか。』

 『アロマフレグランスも必要ですわね。』

 「エステじゃないんだっつの。」

 

 ともあれ、これが地球上での移動の話だから1時間弱で済んでいるが、もしも宇宙の移動となれば、なにかしらの暇つぶしの手段が必要になるだろう。とりあえずオートパイロットだけは導入してもらわない事には、ゲームもできない。

 

 フライトとはこうも過酷なものだったとは、遊馬も見通しが足りなかった。しかし、こうして繋がっているうちは本当の窮地ではない。本当の孤独を味わうのはまた別の話。

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