ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第112話

 さて、ソロモン諸島はパプアニューギニアに属しているが、リニアレールステーション周辺はそういうお国柄とはまたちがった様子が見れる。

 

 「ふーん、イギリス料理か。」

 「らぴ?」

 「顔出しちゃダメだぞ。」

 「らぴぃ・・・。」

 

 ソロモン諸島は、重力の関係がいいということで、最初に軌道エレベーターの建設予定地として注目されていたところだったが、環境問題の都合でおじゃんとなった。代わりに、ここにはオーストラリアとエレベーターを繋ぐ道としてのリニアレールステーションが置かれた。そのために自然が開発されたのでは本末転倒な気もするが、エレベーターを建造するよりかははるかに小規模に収まっている、ってお偉いさんは言っていた。

 

 ともかく、ステーション内のモールは異国情緒あふれる、というか様々な国の料理店が並んでいる。それらはオーストラリアからの影響が強い。

 

 「ふーん、第二次大戦以降にいろんな国の民族が流れ込んできたんだな。」

 

 調べてみると面白いものだ。第二次大戦以前はイギリスが主流だったが、その後にはオ-ストラリアには南ヨーロッパ、東ヨーロッパ、中東、アジアなど、様々なところから移民や難民がやってきて、文化が混ざり合った。その結果がここのレストラン街の多様性に現れているという事か。

 

 「この店だな。」

 

 イギリス料理ってあんまりおいしくなさそうなイメージあるけど、日本人になじみ深いカレーライスだって、インドからイギリスを経由して日本に伝わってきたものなので、イギリス料理のひとつだ。なんでもかんでもイメージだけで語るのはよくないだろう。

 

 さて、これが観光旅行だったらじっくり食べ比べだってしたいところだが、今回に関してはそうも言ってられない。イタリア、ドイツ、トルコと様々な料理店が立ち並び、かぐわしいニオイで手招きしてくるが、それらの未練を断ち切って遊馬は一軒の店に入る。

 

 本当に観光だったら興味本位でワニ肉の料理を食べていたことだろう。

 

 「いらっしゃいませー!」

 

 選んだのは、牛丼屋でした。日本でも全国展開しているチェーン店に看板がよく似ているので、遠く離れた国にもかかわらず日本人には親近感や安心感が湧くだろう。ワニよりも牛だ。

 

 「大盛りネギだくギョク。」

 「・・・お新香はつけますか。」

 「えーっと、ダブルで。」

 

 そして流れるように注文をする。早い安い美味いという看板通り、1分もしない内にお盆に乗せられた牛丼がやってくる。

 

 「ごゆっくりどうぞ。」

 「いただきます、さて・・・。」

 

 箸よりも先に、まずは伝票を手に取る。注文した品の一番最後には『水』と書かれている。なのでちょっとだけ水をかけてみる。

 

 『11番ゲートのトイレ。奥から2番目。』

 

 それを確認すると、手早く牛丼を喉奥に掻き込んで会計を済ませる。

 

 「990円になります。」

 「ツリはとっといて。店長によろしく。」

 「ご武運を。」

 

 たかが10円だが、それには作戦が無事進行しているという報告の意味が込められている。

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