ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
最初に目覚めた3号車を通り過ぎ、4号車へ。ここもやはり誰もいない。だが、その空気には違和感を覚えた。
「なんだ、この臭い・・・。」
土のような、何かが腐っているような臭いが鼻をツンと刺す。臭いの元はこの車両には無いようだが、それが一層先へ進むのをためらわさせる。絶対死体とかあるよこの先。
臭いに辟易としながらも、頭を回す。列車内という閉鎖空間で、悪臭のもとを歩きたくはない。それなら外の方が空気が解放されていてまだマシかもしれないが・・・まあ、どっちにしろ探索をするなら両方を一度は歩く必要があるのだが。
などと、考えるふりをして一時休止していた歩みを続け、5号車、グリーン車の扉に手をかける。
「・・・うっぷ。」
少し隙間が開いた時点で、もわっとした熱の籠った空気が入ってくる。強い刺激臭を伴ったそれが顔を撫でるのが、より一層不快感を示す。
ええいままよ、と扉を開けてくぐると、そこは錆と泥の地獄絵図が広がっていた。
「ぼ、ぼぇえええええ・・・。」
その凄惨な光景と鼻も目も刺激する刺激臭に、自身の胃からガスがこみあげてくる。かろうじて内容物までは噴き出さなかったが、思わずくぐった扉を引き返す。
「な、なんだったんだあれは・・・。」
考えたくもない、があれはおそらく死体だろう。死体『だろう』というのは、もはや原型を留めないほどにドロドロな泥に変わってしまっていたから。
喉の奥がなんだか酸っぱくなり、口の中が乾いている。汗が吹き出し、心臓がバクバクと拍動を強める。
いや、自分の血だまりで溺れかけたことはあるが、実際に死体を見るのは初めてだった。しかし遊馬はどうしてか正気でいられた。むしろ泥のようになった死体『だった』もので済んだから、死体の現物を見ずに済んでマシだったのかもしれない。
あまり気は進まないが、とにかく進むしかない。この状況の元ネタが何なのか、察しは着いた。それは先ほど言った、生まれ変わり先に選びたくないゲームワーストで5本の指に入る。
「『デッドソイル』か・・・。」
ぐちゃぐちゃになった死体を踏み、その辺で拾った傘の先端でつつく。骨すら残っていないそれは、『土に還る』途中というところ。もう少しすれば、臭いも色もなくなり、ただの土になってしまうところだろう。
その土のなりそこないが、山のようになって乗り降り口を塞いでいる。それらが元は人間だったものだと考えれば、どうしてそうなっているのかも想像に容易い。
遊馬も、この仲間入りしたくなければ、前へ進まなければならない。