ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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 宇宙行く列車にカサの忘れ物ってなんだ。


第122話

 ドアの近くに非常用の懐中電灯があったので、それを拝借して外に出てみることとした。が、ゼバブの性質上、というかゲームシステムの都合上、あまり光には頼りたくない。

 

 「光を点けっ放ししてると、成虫が寄ってくる・・・羽音が聞こえたら切る、と。」

 

 普通ホラゲーなら光のある場所は安全地帯だが、このゲームでは光に敵が寄ってくる。ホラゲーなら音を小さくしてプレイしたいところだが、小さくすると敵の接近に気づけなくなる。視覚、聴覚を研ぎ澄ませて挑まなければならない。

 

 なお光もそうだが、温度・体温にも気を付けなければならない。体温を下げればEADの作用を抑えられるが体力を消耗する。アルコールを摂取すれば同じくEADを抑えられるが、代わりに視界がボヤける・・・といった具合に取捨選択を迫られる、いいゲームなのだ。画面越しにプレイする分には。

 

 「・・・行くしかないか。」

 

 そこを歩くという恐怖。ライトをつけている時間を最小限にとどめるため、先の方を一旦確認する。照らしている分には、怪しいものの姿はない。さすがリニアレールの非常用ライトというだけあってその光は非常に強いが、今はその強さが恨めしい。

 

 壊れた壁から足を踏み出すと、コツンッと硬いコンクリートの感触が返ってくる。蒸し暑く死臭漂う密閉空間からやっと解放されたというのに、嬉しさはない。

 

 地面に穴は開いていないようだが、万が一足を踏み外せばそこでゲームオーバーだ。足元には細心の注意を払いつつ歩み始める。

 

 線路上にはところどころに外灯はあるが、数は少ない。もとより期待はしていなかったが、懐中電灯は消して進んでいても支障はない程度の明かりを供給してくれている。

 

 「うっ、あれはもしかして・・・。」

 

 そんな安心も束の間、先に見える外灯に何かが群がっている。近づきたくないが、道はこっちしかない。

 

 近づいてみると、それは光に群がる虫の大群のようだった。一匹一匹は先に見たハエ、ゼバブのようだが、夥しい数が飛び回っている。まるで壊れたラジオがノイズを発し続けているかのような、大音量の不快音を放っている。

 

 夏の前の道端に、蚊柱が発生していることがあるが、あれを数万倍不快で危険にしたようなものだと考えれば、その嫌さがお分かりいただけるだろう。あれ一匹一匹がEADのキャリアである。ゲーム上でもあれは敵というよりは障害物、壁のような物だ。突破するにはアイテムが必要になる。

 

 「・・・取りに戻るか。」

 

 必要なアイテムを探しに戻るしかない。なに、探せばあるだろう。

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