ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
「さて、パイロットのあいつはどうなったんだ?」
「これぐらいじゃ死んでいないとは思うけど・・・。」
言われてみれば、倒れたロボットを前にして、内輪揉めをしている場合ではなかった。
「おーい、出てこい。」
「お前はもう完全に包囲されている。」
「大人しく投降すれば命までは取らん。」
「あなたのお母さんが泣いていますのよ。」
「らぴ!」
と、言葉を羅列してみるものの、カサブランカのコックピットは反応しない。
「ならしょうがない、こっちから出向いてやるとするか。」
「気を付けて!」
モンドは武器を携えながら、のしのしと歩を進めていく。近づいてもやはり反応が無い。
「スイッチはどこだ?これかな。」
「開いた・・・。」
仰向けに倒れるカサブランカの胸が開かれる。だが、中には誰もいない。
「いない?」
「いつの間にか抜け出してたとか?」
「そんな気配はしてなかったが・・・。」
「騒いでたからわからなかったのかも。」
危険はないと判断したのか、全員がカサブランカの周りに集まる。そして先頭にいたモンドが、空っぽのコックピットに転がるものに気づいた。
「なんだこれ、ゲームカセット?」
「これ、ゲームPODのゲームカセットだ。」
「ゲームPODの?」
「ゲームPODはゲームPODネクスの前世代機で、ネクスにはゲームPODのソフトを同時に挿して、連動させる機能もあるんだ。対応ソフトはそんなに多くなかったと思うけど。」
背面の上側にはネクスの、下側には前世代機のカセットを挿入できる。
「タイトルは・・・『カサブランカ』。」
「なんかカサブランカって言葉がゲシュタルト崩壊してきた。」
「カサブランカもユリなら、ダークリリィと関係あるのかな。」
ゲームPODネクスにカサブランカのカートリッジを挿入する。そこでふと、遊馬はつぶやく。
「思い出した。」
「何を?」
「カサブランカって名前。」
「今度はなんのゲームなんだ?」
「ゲームじゃない、アニメなんだ。たしか『開造機士カサブランカ』だったかな。」
「どんなアニメ?」
「火星に入植する話なんだけど、その火星から宇宙人がやってきて・・・。」
「やってきて?」
「そうだ、たしか太古の昔に栄えていた火星人のナノマシンによって、人間が改造されて、先兵にされるんだよ。」
「たしか?」
「よく知らないんだよ、僕が生まれる前のアニメだから!」
「じゃあなんで知ってるの?」
「ハイパーロボットウォーズって、色んなロボットアニメがクロスオーバーするゲームがあって、その中に参戦してたことがあるんだ。それでちょっとだけ知ってた。」
あとで調べたあらすじとしては、主人公『
「その主人公機が、カサブランカだった。」
それが今は無残な状態で放置されている。オブジェクトが消えないという事は、また何かで利用する機会があるんだろうか。
「アスマはアニメには詳しくないの?」
「アニメはそんなにかな・・・。と言うか、カサブランカの影がものすごく薄かったし、印象に残らなかっただけかな。」
ともかく、これで一件落着だろう。次のイベントが発生するまで、拠点で待機していよう。