ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第13話

 「さて、パイロットのあいつはどうなったんだ?」

 「これぐらいじゃ死んでいないとは思うけど・・・。」

 

 言われてみれば、倒れたロボットを前にして、内輪揉めをしている場合ではなかった。

 

 「おーい、出てこい。」

 「お前はもう完全に包囲されている。」

 「大人しく投降すれば命までは取らん。」

 「あなたのお母さんが泣いていますのよ。」

 「らぴ!」

 

 と、言葉を羅列してみるものの、カサブランカのコックピットは反応しない。

 

 「ならしょうがない、こっちから出向いてやるとするか。」

 「気を付けて!」

 

 モンドは武器を携えながら、のしのしと歩を進めていく。近づいてもやはり反応が無い。

 

 「スイッチはどこだ?これかな。」

 「開いた・・・。」

 

 仰向けに倒れるカサブランカの胸が開かれる。だが、中には誰もいない。 

 

 「いない?」

 「いつの間にか抜け出してたとか?」

 「そんな気配はしてなかったが・・・。」

 「騒いでたからわからなかったのかも。」

 

 危険はないと判断したのか、全員がカサブランカの周りに集まる。そして先頭にいたモンドが、空っぽのコックピットに転がるものに気づいた。

 

 「なんだこれ、ゲームカセット?」

 「これ、ゲームPODのゲームカセットだ。」

 「ゲームPODの?」

 「ゲームPODはゲームPODネクスの前世代機で、ネクスにはゲームPODのソフトを同時に挿して、連動させる機能もあるんだ。対応ソフトはそんなに多くなかったと思うけど。」

 

 背面の上側にはネクスの、下側には前世代機のカセットを挿入できる。

 

 「タイトルは・・・『カサブランカ』。」

 「なんかカサブランカって言葉がゲシュタルト崩壊してきた。」

 「カサブランカもユリなら、ダークリリィと関係あるのかな。」

 

 ゲームPODネクスにカサブランカのカートリッジを挿入する。そこでふと、遊馬はつぶやく。

 

 「思い出した。」

 「何を?」

 「カサブランカって名前。」

 「今度はなんのゲームなんだ?」

 「ゲームじゃない、アニメなんだ。たしか『開造機士カサブランカ』だったかな。」

 「どんなアニメ?」

 「火星に入植する話なんだけど、その火星から宇宙人がやってきて・・・。」

 「やってきて?」

 「そうだ、たしか太古の昔に栄えていた火星人のナノマシンによって、人間が改造されて、先兵にされるんだよ。」

 「たしか?」

 「よく知らないんだよ、僕が生まれる前のアニメだから!」

 「じゃあなんで知ってるの?」

 「ハイパーロボットウォーズって、色んなロボットアニメがクロスオーバーするゲームがあって、その中に参戦してたことがあるんだ。それでちょっとだけ知ってた。」

 

 あとで調べたあらすじとしては、主人公『天野川雄二(あまのがわゆうじ)』は、火星開拓団の唯一の生き残りで、古代火星人『アダム』から奪取したロボットで戦うという物語。

 

 「その主人公機が、カサブランカだった。」

 

 それが今は無残な状態で放置されている。オブジェクトが消えないという事は、また何かで利用する機会があるんだろうか。

 

 「アスマはアニメには詳しくないの?」

 「アニメはそんなにかな・・・。と言うか、カサブランカの影がものすごく薄かったし、印象に残らなかっただけかな。」

 

 ともかく、これで一件落着だろう。次のイベントが発生するまで、拠点で待機していよう。


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