ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第125話

 さて、ひとまず第一目標はクリアできた。このままさっさと戻って、先のロケーションを目指すのもよし、それとももう少し探索を続けるもよし。

 

 本当にゲームを楽しむだけなら、探索した方が色々と実りはあるだろう。が、これ以上闇雲に危険の中にいたくない。さっさと先を進んでクリアしたい。さりとて、まだキーアイテムが残ってたりすると結局二度手間で戻ってくる必要もあるな・・・と思案していた。

 

 「うっ、揺れた!」

 

 突然、地鳴りのような破砕音が遠くで聞こえてきた。どこかに敵がポップしたのか・・・これはかなわん、さっさと離れた方がいいかも。

 

 『キャアアアアアアアア!!』

 

 「らぴっ!」

 

 その悲鳴を聞きつけるのが早いか、ラッピーはリュックから飛び出て駆け出して行った。そんなにかちかち山が嫌だったのか。

 

 などと冗談言っている場合ではない。誰か生存者がいるようだ。どこもひどい状況で、そんなものがいるとは思いもしなかったが・・・。

 

 そうこうしているうちに、ラッピーはドアを蹴破って隣の車両に行ってしまった。急いで遊馬もその後を追う。

 

 「こ、こいつは・・・やはりゲーム通りの!」

 

 その先で出くわしたのは、八本足で壁や床を這いまわるクモ。だがその大きさは、世界最大のクモであるタランチュラなどと比較にならないほど大きい。人の腰ほどの高さがある。ゼバブがクモのDNAを取り込んで進化した『アラニア・ゼバブ』、序盤のボスである。

 

 そのアラニアが向かう先には、飛び出していったラッピーと、そのラッピーが守るように前に立っている腰を抜かしたようにへたり込んでいる金髪の女の子。

 

 じりじりと近づいていくアラニアは、後ろにいる遊馬には気づいていないようだった。天井に穴が開いていることから、さっきの音の源もこいつだろう。そして穴が開いているということは、ガスに引火する心配もないということ。

 

 「なら、さっそく火炎瓶を一本使ってみるか。」

 

 出し惜しみはしない。アラニアは、毒の棘毛を飛ばして攻撃してくる。真っ向から立ち向かうのは避けたい。

 

 「それっ!」

 

 割れたビンから漏れ出したアルコールを浴びて、さらに引火する。突然自分の体に熱を感じたアラニアは、しばし苦しむようにもがく。

 

 「やったか?」

 

 だがその巨体を焼き切るには、いささか火力が足りなかったようだ。煙を上げながらもアラニアは立ち直り、攻撃の主である遊馬に向き直る。

 

 「くそっ!逃げるか?」

 

 そう考える暇もなく、腐った死体に火が燃え移り、やがて列車のシートや床も燃え始める。ちょっと考えが足りなかったか。

 

 「らぴ!らぴぃ!」

 

 っと、ラッピーも火を警戒する。どうやらかちかち山の話を恐れているらしい。ウサギなのだから、自分が火をつける側なのに。

 

 「ラッピー!お前はその子を守れよ!」

 「らぴ・・・らぴ!」

 

 遊馬もラッピーも、おびえている暇はない。このクモの化け物に殺されたくなければ、火で燃えたくなければ、倒して逃げるしかないのだ。

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