ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第127話

 やがて、遊馬は先ほど休憩した売店へと戻ってきた。

 

 「ここまで来れば、大丈夫。」

 「はい・・・あの、ありがとうございます。」

 「らぴ!」

 「ウサギさんも、ありがとう。」

 

 火災はスプリンクラーによって無事に消火されたようだ。だが天井に穴が開いて、火も消えたとなるとあそこもまた危険地帯になるだろう。

 

 「えっと、僕は遊馬。君の名前は?」

 「アシュリー、『アシュリー・バーンウッド』。」

 「らぴ!」

 「こっちはラッピー。体はぬいぐるみだけど、中身は魔法のウサギなんだ。」

 「魔法?」

 「まあ、信じるかどうかは別として。」

 「らぴっ!」 

 

 とりあえず、このぬいぐるみは電池で動いてるわけではないということは理解してくれた。

 

 それにしても、この見た目でアシュリー、ということは・・・。

 

 「アシュリーは、一人で乗っていたのかな?」

 「はい・・・。」

 

 年はまだ10歳ぐらいだろう、こんな小さな女の子が一人で列車に乗っているなんて、なにかのっぴきならない理由があるに違いない。あまり聞くのも野暮というものだし、それ以上の詮索はしないが。

 

 というか、例によって遊馬にはこの子に心当たりがある。

 

 (この子、デッドソイルの登場人物だ。)

 

 登場人物、というか立ち位置はメインヒロインに近しい。4人の主人公はアシュリーに出会い、そのそれぞれのエンディングでアシュリーは別々な顛末を迎える。共に脱出して、普通の女の子として暮らすようになったり、あるいは研究所送りになったり・・・。

 

 また、そのそれぞれのエンディングで、別々の真相が発覚する。その中で特筆すべきことは、この子には体内にはEADの活動を抑制する抗体があるということだ。そのおかげで最初のバイオハザードの中、唯一の生存者として生き残ることが出来たのだ。

 

 (という事は、僕が主人公としてこの子を守るのが目的になるのかな?)

 

 座ってジュースを飲むアシュリーの周りをラッピーがピョンピョンと跳ね回ってはしゃぐ。自然とアシュリーも笑みを浮かべている。とても可憐な、将来美人になるだろうという上品な笑い方だ。言葉遣いといい、育ちがいいのだろう。

 

 「そのラッピー、今はアシュリーに預けておこうかな。」

 「いいんですか?」

 「うん、ラッピーもキミが気に入ったみたいだからね。きっとキミを助けてくれるだろう。」 

 「ありがとう・・・えへ、ラッピー。」

 「らぴっ!」

 

 遊馬は守られている側から、守る側に移る時が来た。それはゲームの目標としてではなく、一人の人間としての意志だ。

 

 今度こそ、全力でプレイするのだ。この現実というゲームを。

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