ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第129話

 「ちょっと離れてて。」

 「はい。」

 

 難なく先ほどの虫壁のところまで戻ってきた一行。さっそく遊馬は火炎瓶に火をつける。

 

 「これでうまくいってくれるといいが、それっ!」

 

 勢いよく投げ飛ばされ、宙を舞う瓶は火の弧を描く。勢いよく地面に叩きつけられたガラスが、中身のアルコールを蟲の大群のなかでぶちまけると、あっという間に引火して火柱を上げる。

 

 ブンブンと羽虫が炎にまかれて落ちていく。火が自然と消える頃には、あれだけいたゼバブの大群も消え失せていた。

 

 「よし、進もう。」

 

 アシュリーの手を引いて暗闇の道を進む。途中明かりを少しだけ着けて足元に注意を払ったり、気配を感じるとすぐに消して息をひそめること数分、ようやく乗り込めそうな車両に到達した。

 

 「ドアコックはどこかな?これか。」

 

 非常用のドアの開閉機を捻ると、空気が抜けるような音とともにドアが開いた。塞がれてはいなかったようだ。14号車のようだ。 

 

 「もう少しで16号車、最後尾・・・。」

 

 ここからはまた列車内を歩くことになる。どうやらここは比較的綺麗なようだ。錆も肉もなく、歩きやすい。 

 

 「アシュリー、疲れてない?」

 「大丈夫、です。」

 

 子供にはショッキングなものも見てきているはずなのに、中々にタフだこの子は。原作でも元からそういうところはあるが・・・。

 

 ここから先は危険は少なそうだし、頭の中で少し情報を整理してみよう。

 

 デッドソイルは4人の主人公が同じ時間、違う場所で活動している群像劇のシナリオ形態をしている。ある1人が先頭車両でブレーキをかけた時、ある1人は屋根の上にいて停止を確認する、と言った具合に。

 

 そしてそれぞれの主人公が、アシュリーと出会う時系列も異なる。順番的には①テロリストの一味のザイン、②テロリストに着いてきた科学者のマウザー、③たまたま乗り合わせた新聞記者のジミー、④事態の鎮圧のためにきた軍人のレイチェル、という具合だ。

 

 時系列に当てはめると、今は③のあたりになる。しかし、アシュリーは今まで『誰にも会わなかった』と言っていた。ということは、やはりゲーム通りの展開ではないと考えるべきだろう。

 

 あるいは、遊馬が第5の主人公として扱われているのか。しかしゲームの知識が半端にしか通じなくて、戦闘も綱渡り、今の遊馬はあまりにも中途半端だ。もっと強くならなければならない。

 

 「くっそぉ、ゲームPODさえ通じれば最強になれるのに・・・。」

 

 あれさえあれば、少なくともゲームを数度周回しただけの戦力は得られる。しかしそれが欲しい場所を通って、使えるようにしにいくとはなんとも歯がゆい話だ。

 

 まあ、最初から最強装備の手に入るゲームなんぞ面白くない。ほどほどの緊張感を得るんだと考えて進もう。

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