ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第133話

 「・・・ひょっとして、ここもゲーム世界と同じく切り離された世界なのかな?」

 「ゲーム?」

 「ううん、こっちの話。」

 

 衝撃を受けて間もなく、すぐに立ち直った遊馬はまた考えをめぐらす。アシュリーが頭にハテナマークを浮かべているが、それに構わずぶつぶつと独り言をつづる。

 

 まるでここの周辺だけがくりぬかれたかのように架線橋がポツンと浮かんでおり、辺りには何も見えない。前照灯の向きを変えて照らしてみても島影や、波の一つも見えない。あるのは月明りだけ。

 

 「月・・・そうだ、月は?」

 「らぴ?」

 

 現実の月は、ラッピーのゲームの影響でおいしそうなスポンジケーキに変わっていたはず。それが今は、ドクロのような模様の浮かぶ武骨な月に戻っている。やはり、この世界は現実じゃない。

 

 世界から孤立しているどころか、文字通り切り離されてしまっている。自分たちが今どこにいるのかすらわからないほどに、次元の海を漂流しているのだ。

 

 また、海を泳ぐのも危険だろう。何が潜んでいるか分かったものじゃないし、子供一人を背負ったまま泳ぐなんて芸当はインドア派の遊馬には荷が勝ちすぎる。そうでなくとも落ちたら死ぬと考えていいだろう。

 

 ちょっと立ち返って考えてみよう。今この状況には、ゲームの要素と現実の要素がまじりあっている。そしてここは現実でも、ゲームの世界でもないどっちつかずの場所だ。

 

 そしてこの世界に死体こそあるが、死体はヒトではなくモノだ。つまり生きている人間は遊馬以外に一人もいない。アシュリーはゲームの登場人物だし。

 

 (ステージだけを作って、そこにオブジェクトやキャラクターを配置したってことか?)

 

 そこへ遊馬という駒を置いた。そう考えた方が腑に落ちる。遊馬もいつの間にかこの世界に寝落ちしてきていた。まるでゲームのオープニングのように。

 

 「ってことは、やっぱり僕が主人公のゲームなんだなこれは。」

 「ゲーム??」

 「なんでもない。」

 

 やはりどうにかして、このゲームをクリアするしか脱出できる方法はないらしい。思考が二転三転したが、結局ここに戻ってきた。疲れてるのかな・・・。こういう時はコントローラーを一旦置いて、トイレに行ったり風呂に入ったりしたいところだが。

 

 というかマジで風呂に入りたい。この世界は清潔とは程遠すぎる。劇中のテロリストも清い世界を謳う環境テロリストだったけど、こんなに不潔で暗い世界を作る生物兵器が、そんな清い世界を作れるはずもない。

 

 事実、科学者のマウザーのエンディングでは、閉鎖空間からやっと脱出できた先では、ゼバブの大群が空を雲のように覆いつくし、すでに文明そのものの崩壊が始まっていたという、絶望的な終わり方を迎える。

 

 というか、遊馬がこの世界のクリアに下手な手を打ってしまえば、それがエンディングのリザルトとして現実に反映されるのでは・・・。

 

 「現実世界もバッドエンドにさせるわけには・・・。」

 

 そしておそらく、この勘は当たっている。原作が絶望的なゲームだっただけに、ありえない話ではない。どうやらこのゲーム、本当の本気で本腰を入れて挑まなければならないようだ。

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