ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第136話

 敵、サピエン・ゼバブは3体入ってきた。列車の通路に真っ直ぐ並んで、餌を求めてゆっくりと歩いてくる。

 

 「アシュリー、下がってて。」

 「うん!」

 

 歩く速度は遅いが、ふらふらと左右に揺れて頭を狙いにくい。落ち着いて銃を構えて、照星に重なった瞬間にトリガーを引く。

 

 『ブワァアアアア・・・』

 

 確かに当たった。頭の一部に穴が開き、そこから血液とは違う黒い液体が吹き出した。手応えは感じたが一発程度では倒れそうにない。

 

 「弾がもつか?」

 

 確かにポケットにはストックが有り余っているが、リロードするためにはまたマガジンに詰めなおさなければならない。戦闘中にそんな暇はない。つまり、何発も弾を持っていても、実質使えるのは弾倉に入っている12発だけ。こういうのゲームだったら一瞬でリロードも済むのに。

 

「こういうとこリアルでもあんまい面白くないな・・・。」

 

 3発、4発と続けてトリガーを引くと、ようやくサピエン・ゼバブの一体は倒れて動かなくなった。倒れてうごかなくなったゼバブは、グジュグジュの液体になって溶けていく。それを踏み越えて2体目のゼバブが迫る。

 

 (近づかれると、余計に照準がブレるじゃないか・・・。)

 

 一体倒すのに4発必要となると、外すことが出来ない。じりじりとにじり寄ってくるプレッシャーに気圧されて手元が狂いそうになる。

 

 死体から漂う異臭に鼻を覆いながら、息を整えて照準をつけなおす。

 

 (倒せた・・・けど。)

 

 5発撃ってしまった。乱数の問題で最少のダメージで倒せなかったのか?泣いても笑っても3体目がまだ残っている。

 

 「らぴ!」

 「・・・そうだな、気持ち悪がってる場合じゃないな。」

 

 残った3発を胴体に撃ち込むと、両手を座席の背もたれにつけて、飛び蹴りをお見舞いする。

 

 「おらっ!おっ死ね!おっ死ね!」

 

 倒れたゼバブを、傘で殴打する。もう敵は一体しか残っていなかったのだから、強気にだって行ける。

 

 「でりゃああああああああ!!」

 

 最後はその切っ先を胸に突き立てる。とんだバーサーカースタイルだが、人間もどきの化け物に立ち向かうには多少無謀な姿の方がちょうどよかった。

 

 ともあれ、この場は切り抜けられた。アシュリーと、名セコンドを見せてくれたラッピーを連れて先に進むとしよう。

 

 「よし、行くか。」

 

 嫌な液体にまみれた傘を引き抜き、軽く払う。ここまでやって折れないのは、ゲームの世界のものだからなのか、それともよほど高い傘だったのか。

 

 「・・・。」

 「アシュリー?」

 

 物陰からアシュリーが顔を出すが、ちょっと距離を置かれていないか?怖がられてしまったんだろうか。

 

 「アシュリー、大丈夫?」

 

 膝をついて目線を合わせながら語り掛けるが、アシュリーはふるふると首を振るだけで応えてくれない。

 

 「・・・怖い!」

 「あっ、待って!」

 

 遊馬が手を伸ばそうとすると、アシュリーは逃げるように走り去ってしまった。

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