ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第141話

 そっと扉から中を覗き込む。

 

 「うっ・・・こっちも結構いるな・・・。」

 

 続くグリーン車を攻略していくことになったが、そこもまた地の底を歩くように暗く不潔で、敵がうようよといる。

 

 1階には死体から這い出てきたマゴーが蛹から孵ったと思わしきサピエン・ゼバブが、2階には天井から侵入してきたのであろうアラニア・ゼバブが跋扈している。ヒト型かクモか、二者択一ということだ。

 

 「どっちを相手にするかって言うと、まあヒト型かな・・・。」

 

 巨大クモを相手にした時の生理的嫌悪感というのは筆舌に尽くしがたく、出来るなら避けたい。それに1階は行きも通った道、ある程度把握できている。

 

 それに、こういうところの攻略には定石がある。

 

 「へいへーい!」

 

 『ンボボボボボ?』

 

 「そりゃっ!」

 

 道幅の狭さを利用して、敵を一匹ずつ誘い出して潰していく。新武器ゴルフクラブの切れ味は抜群だ。傘ではロクなダメージを見込めなかったが、タイマンでは十分に相手を追い詰められるほどのノックバックを与えている。

 

 「やっぱこっち選んで正解だったな。」

 

 2階にはアイテムの取りこぼしがあるかもしれないが、危険を冒してまで取りに行くようなものはないだろうと考えることにした。こういうところに限ってキーアイテムや情報があるものだが・・・。

 

 これはあくまで遊馬のポリシーのようなものなのだが、『行けるロケーションが限られているうちは寄り道はしない』。要はアイテムや鍵が必要になってから、探しに行くという事だ。

 

 明確にゴールが見えない内にあっちこっち歩き回るのは効率が悪い。どこへ行ってもいい自由度が高いゲームであれば、風の向くまま気の向くままに自分のペースで楽しみたい。

 

 クソゲーとは言わないが、こうも閉塞的な世界観だと効率を重視してさっさとクリアしようという気にしかならなくなる。しっかり味わう暇があるのなら、フレーバーたる情報やファイルも回収するのだが・・・。命懸かってる状況でそこまで回収する余裕は正直無い。

 

 「この戦いだって作業ゲーだしな!」

 

 のそのそとやってくる障害をすべて叩き伏せて、12号車をクリアする。

 

 「やれやれ、この調子で残り12両か・・・。」

 「おつかれ、アスマ。」

 「うん、ありがと。」

 

 座席に腰かけて一息ついて、ふと考える。どんなゲームも楽しむと確かに言ったが、ゲームを楽しめなくなった自分は一体なんなんだろか。楽しめないゲームが悪いのか、それともどんなゲームでも楽しめるのが真のゲーマーなのか。

 

 少なくとも僕の人生はクソゲーではない。こんなに変化に富んだ、飽きることのない刺激の連続がある人生なんて幸せだなぁ・・・と思わずには、現状を悲観せざるをえなくなりそうだった。ホラーゲームは嫌いだ。

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