ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第147話

 特に支障はなく管制塔のふもとにたどり着き、首尾よくエレベーターに乗り込んだ。

 

 その間、2人の間に会話はない。エレベーターに入った時点で遊馬は手を放し、アシュリーは隅に座り込んでしまった。

 

 「らぴぃ・・・。」

 

 ただラッピーだけはアシュリーのそばに居続けている。心なしか眉間にしわを寄せて、居心地が悪そうにしている。

 

 ホラーゲームでこういうエレベーターとか、狭い密室は敵襲フラグだけど特に何の問題もなく管制室に止まる。エレベーターの扉が開いた瞬間に、敵がなだれ込んでくるということもなかった。先が見えないところでエレベーターに乗り込んだのはちょっと迂闊だったかもしれない。

 

 「ここは・・・安全そうだな。」

 

 最低限の明かりしか点いていない室内を、ライトひとつを頼りに歩いていく。相変わらず人の気配こそないが、ここには腐臭も敵の気配もない。

 

 「さて・・・、ここなら通信できると思うけど。」

 

 どうやって通信するのか。原作ではたしか、助けを呼ぶためにあらゆる電波帯に呼びかけるんだっけか。

 

 「・・・いや、救援を求めるのは外伝の話か。」

 

 1の主人公たちとは違う、複数人の生存者の中からプレイヤーキャラを選び、生存を目指す『デッドソイル/サバイバル』という外伝作品がある。ステージの数もさることながら、クリアとなる手段も複数あり、非常にやり込み性の高いゲームだ。

 

 デッドソイル1とは違って話の本筋には関わらないが、その分明るいハッピエーエンドを迎えるのでこっちは好きだった。

 

 「・・・そういえば、ネプチューンの秘匿回線を教えてもらっていたな。」

 

 一度使った周波数はもう使わない、使い切りのコードを緊急用として教えられていた。他に持っている情報もないし、とりあえず使ってみようということにした。

 

 「えーっと・・・本日は晴天なり、本日は晴天なり。」

 

 マイクテストなんかしてどうするのか。何度問いかけてもノーリアクション、ノイズひとつすら返ってこなかった。

 

 「・・・ダメか。」

 

 手詰まりだ。もう使える情報が一つもない。後出来ることとすれば、原作通りにラスボスを倒すしかない。

 

 だが、そのボスがどこにいるのか・・・思えば、行き当たりばったりで行動し過ぎていた。最低限のフラグを立てないまま進めるというのはまさしくバッドエンドフラグじゃないか。今からいくつか拾いに戻れるか?戻れたとして、敵とどれだけ戦う羽目になるのか・・・考えたくもない。

 

 「・・・あれ、アシュリー?」

 「らぴ!」

 「ラッピー、アシュリーは?」

 「らぴぴ。」

 

 管制室の隅、椅子に腰かけもせずにアシュリーはうずくまっていた。具合でも悪いのだろうか?と遊馬は近づく。

 

 「寝てるのか?」

 「らぴ。」

 

 ちょっと心臓が縮み上がったが、何の問題もないことに胸をなでおろす。よほど疲れていたのだろう、目を閉じて動かない。

 

 「僕も、ちょっと休もうかな・・・。」

 

 思えば、ここまで気の休まる場所が全くなかった。体も脳も心もクタクタだ。安全なうちに休めるだけ休んでおこう。

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