ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
・・・けど、アシュリーはゲームのこととかわかってない様子だった。
「少なくともゲームの世界だってことを自覚するのは無理じゃないかな。ボクたちもそうだったし。」
まあ、自分がフィクションの存在だなんて普通は思わないわな。事実、今遊馬の目の前にいるみんなは確かにここに存在している。
「じゃあ、仮にアシュリーがあの世界を作っているとしたら、それは無意識でのことということになる。」
「そもそも、オレらはそのアシュリーがどんなキャラなのか知らないんだが。」
「そういえばそうか。」
軽くアシュリーについて振り返ってみよう。デッドソイルのヒロインで、両親が死んで叔母の家に引き取られることになって一人で列車に乗っていた。AEDの抗体を体内に持っていて、各主人公たちから守られながら進む。実は父親を拳銃で撃ち殺している、と。
「最後のなかなか衝撃的だね。」
「そう?トビーは割とそういう事件に詳しそうだけど。」
「探偵ですものね。」
「犯罪心理学とか、詳しくないのか?」
「ウーン・・・専門家じゃないから正確なことは言えないよ?」
と、前置きしつつもある種の確信めいたものを持ってトビーは推理を披露する。
「遊馬の記憶では、アシュリーは罪を告白しなかったのかもしれないけど、それは違うと思う。正直に言ったんじゃないかな。」
「そう?」
「普通に警察の捜査の手が伸びて、凶器の拳銃だって指紋を調べられるでしょ?」
「たしかに・・・。」
「お前の記憶は信用ならないな。」
「だって、本当にプレイした覚えないんだもん。」
何年も前の話なら、記憶があやふやになってもおかしくはない。けど、やっぱりプレイした記憶そのものがないというのはなんだか変だ。
「アスマの記憶については置いておくとして。アシュリーはきっと、悪いことをして裁かれることを望んだんじゃないかな。」
「えー、私なら裁かれるとか叱られるとかならイヤで隠しちゃうんだけど。」
「逆だよ、叱られたい、こっちを見てほしいためにわざとイタズラをすることってあるでしょ?自衛のためとはいえ、自分の罪と存在を見てほしかったんだよ。」
「自分を見てほしい・・・。」
ちくり、と遊馬の心に何かが刺さった。
「けど、子供の犯罪って罪に問われないことも多いじゃない?だから誰もアシュリーを正しく見てくれなかった。」
「叔母に邪険にされるわけだ、そんないわくつきの子。」
遊馬がシナリオに感じていた違和感を、こうしてトビーは言い当ててしまった。おそらくこれで正解だろう。
「7割くらい合ってる自信はあるけど、遊馬がちゃんとデッドソイルを最後までプレイしていたら、こんな推理しなくても一発で正解にたどり着いていたんだけどね?」
「うっ、ゲーマーの名折れだ・・・。」