ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
「それじゃあ、僕は何をすればいい?」
「ちゃんと叱ってあげることだね。ダメなことはダメだって。」
「でも、僕はアシュリーの家族でもなんでもないし・・・。」
「家族だとかは別に関係ないだろ。」
「・・・僕でいいんだろうか?」
「というと?」
いや・・・と口ごもる遊馬に視線が集まる。少し頬を掻くと、すぐに言いなおる。
「けど、なんて言ってやればいいかな。」
「そういうのは遊馬自身の言葉じゃないと響かないと思うな。」
「僕自身の言葉・・・。」
「アシュリーがどういう子なのか知っているのは、この中ではお前だけだ。オレたちがどうこう出来る話でもなし。」
「なにより、アシュリーはアスマのことを信じてるんじゃないかな。」
思えば、アイテムを探して持ってくるアシュリーはとても楽しそうだった。まるで人の物を隠すイタズラをしているようにも見えた。撫でられることを期待していたようだった。だったら、叱る役目も僕が担うべきなんだろう。
「単純に自信がない。」
「・・・遊馬。」
「なに雄二?」
それまでずっと押し黙っていた雄二が声をかけてきた。その声はとても重く、腹の底に響くようにだった。
「自分がかけられたい言葉を選べ。」
「自分がかけられたい言葉?」
「お前がアシュリーの中に自分を見たのなら、自分を励ますためだと思え。」
「・・・そう思う?」
「俺も最初は、人に認められたいと思いながら戦っていたものだ。」
どうやら、雄二には遊馬の内心をお見通しだったようだ。
「見られたい、認められたいってこと、間違ってるのかな?」
「承認欲求もまた動機の一つでいい。だが、認められたからと言って得になるとは限らない。より無心にされることの方がよっぽど多い。」
どれだけ地球のため、人類のために戦ってきても、雄二たちは搾取され続けていた。時にはすべてを投げ出して、逃げ出したくなることもあったろう。
「それでも戦い続けられたのは、俺にはエルザがいたからだ。大切な人な人のためだけに自分の命を使う、たったそれだけで満足できた。」
文字通り生涯の伴侶たるエルザの存在が、雄二にとって心の支えであり続けた。そしてそれと同時に、エルザもろとも自分たちを焼こうとした人類に深い憎しみを抱かせることとなった。愛するが故に執着し、執着から憎しみが生まれる。愛憎とは常に隣り合うものだ。
「だから、お前が何かに対して抱いている憎しみと、アシュリーの復讐心は同じものだろう。そういう意味でも、お前にしかできないだろう。」
「僕にしかアシュリーは救えない?」
「いや、それは別の誰かにもできる。」
「え、じゃあどっちなの?」
「お前を救えるのはお前だけだ。アシュリーを救うのも、アシュリー自身の心だ。」
「・・・わかるような、わからんような。」
「んもー、また雄二ったら難しい言葉使って。」
「いや、わかった。」
「今ので?」
雄二の言いたいことが、言葉ではなく心で理解できた。アシュリーのために、そして自分のためにも、遊馬がやるしかない。
「だから、行ってくる。」
「ああ、がんばれよ。」
全身を冷たい黒一色に染めても、心はとても温かい雄二だった。