ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第153話

 意を決して、明るい学園ゲームの世界から暗いホラーゲームの世界へと戻ってきた。

 

 ダークリリィの整備は終わっているから、いつでも召喚できる。けど、ラスボスを倒すための装備を別に用意してもらっているから、戦いに行くのはまだ少しかかるだろう。

 

 それに、ただラスボスを倒して、通常エンドをクリアするだけでは不十分だろう。

 

 「っと・・・アシュリーは、まだ寝てるか。」

 「らぴぴぴ?」

 「ああ、向こうは変わりなかったよ。」

 

 無防備に眠るアシュリーを守るように、ラッピーは傍らを固めていた。まるでナイトのようだ。

 

 「今度はラッピーが休みなよ、働きっぱなしでしょ。」

 「らぴ?るぅ・・・。」

 

 ラッピーはずっと起きているし、時には戦いもしていた。疲れていたのだろうかひとつあくびをすると、その場で元のぬいぐるみに戻った。あれだけ暴れまわったのに、新しく汚れなどはついていない。

 

 「そういえば、セシルさんの借り物だったなこれ・・・。汚したら怒られるな。血の染みってなかなか落ちないし。」

 

 キックを繰り出す足を入念に確認するも、何も問題はないようだ。虫の体液とか、もっと気持ちの悪いものとかついてそうだったけど、そんなことは無い。

 

 「ううん・・・。」

 「あっ、アシュリー起きた?」

 「うん・・・あれ、ラッピーどうしたの?」

 「今は休んでるだけだ。そのうち戻るよ。」

 

 アシュリーは、軽く抱きしめたラッピーをやさしく横にしてあげた。

 

 「これからどうする?」

 「そうだな・・・けど、その前に。」

 「?」

 「うーん・・・なんて言ったものかな。」

 

 ちらり、とアシュリーの瞳をみやる。髪と同じ金色だが、疲れの色も見える。それに、その奥には何者にも攻略され得ぬ複雑な迷宮が広がっている・・・。

 

 「アシュリーはさ・・・。」

 

 ダメだな。なんと言ったものか、言葉が見つからない。きょとん?とした顔でこちらの顔を覗き返してくる。

 

 引きこもっていたころの自分は、どんな言葉をかけてほしかったものか、どうしてほしかったか、何を思っていたか。

 

 「あっ・・・。」

 

 自然と、その金髪を撫でていた。アシュリーは少し驚いたようだが、特に何も言わずに受け入れていた。

 

 何が欲しかったかというと、こういう人の温かさだった。

 

 「アシュリーは、こうされるの好き?」

 「わかんない・・・こんな風に撫でてもらったことないから。」

 「そうか・・・。」

 

 遊馬も、随分スキンシップとはご無沙汰だった。シェリルはちょっと情熱的というか、近すぎるものがあるけど、とにかく飢えていた遊馬の心にはとても染み込んできた。ならば、やはりこれが正しいのだろう。

 

 「アシュリーは・・・僕と似ている気がする。」

 「アスマと?」

 「僕も、両親からは見放されていたから。」

 

 父は仕事にかまけて、母は遊馬に興味が無かった。

 

 「気を引きたくって、色々やったっけ・・・今思えば、それが原因で出ていったんじゃないかな。『ダメな子』だって。」

 「ダメな子・・・?」

 

 それでもお母さんには『母親』をやってほしかった。

 

 「アシュリーも、寂しいんじゃないかな?」

 「うん・・・。」

 「だから、僕はアシュリーの『兄』になるよ。」

 「お兄ちゃん?」

 「うん、イヤかな?」

 「ううん、嬉しいな・・・。」

 

 ギュッと抱き着いてきた。それがまた可愛くて、愛おしくて・・・。

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