ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
「ここだ。」
「うわあ、すごいな。ドアが壊されてる。」
「鍵が見つからなかったからな。」
職員室のそばの地下への続く扉は、錠前部分が黒く焦げて、ドアが開け放されている。
中は一見倉庫のようだが、その奥にスイッチがあって、そこからさらに地下へ向かえるようだ。
「まさに秘密基地って感じだね。」
「中は一通り踏破しているが、アイテムは探していない。敵もいなかった。」
「そっか、じゃあさっそく・・・。」
と、いざ乗り込もうというちょうどその時、チャイムが鳴った。
「・・・イベント進行?」
「そのようだね。目的地は・・・ここ。」
「ここ?」
「正確にはこの先、かな?イベントフラグが挟まったっておことは、多分アイテムや敵も再配置されてるかも。」
「なら、気を引き締めて行く必要があるな。」
~10分後~
「敵のバリエーションに変化はないのかな?」
「ステータスがそんなに変わってないから、敵も変わらないのかも。」
出会う敵をなぎ倒しながら、一行は施設の奥へと進む。戦闘には早速ブーケが役に立っている。
「ここが、グラウンドの下なのかな?」
「多分そうだね。」
地上行エレベーターがある。ここがカサブランカのハンガーなのであろう。ちょうどゲームPODのランプは緑、安全を示している。ここには敵は出ない。
「さて、このあたりを手分けして調べてみよう。」
「OK!」
ここならきっと、武器らしい武器が手に入るに違いない。
「で、結果は?」
「あったよ、レンチ!」
「鈍器か?」
「どう見たって工具でしょう。」
「武器だよ。」
大きなモンキーレンチをトビーは持ってきた。レッドパーカーは、身の回りのものを武器に変えるけど、レンチもそのうちの一つである。やけに大きいのは、ロボット用のボルトのサイズだからだろう。
「これ気に入った!貰っていい?」
「いいんじゃない?誰も使わないだろうし。」
まあアイテムの分配はそこそこにして、本題に入ろう。
「みんな、これを見てほしい。」
「どれ?」
格納庫の階段を上がり、制御室へと一行は移動する。よくわからない機械やレーダーが並んでいるが、そのいずれも電源が入っていない。
「ここで整備や、敵の『アダム』の接近を見張ってたんだろうね。」
「それがどうしたんだ?」
「見て、この施設の、見取り図だ。どうやらこの学校自体が、アダムと戦うための基地らしい。」
「学校が基地・・・。」
「一体何故?」
「ゲームの中のシナリオによると、生徒たちの中からアダムと戦う戦士を選ぶためらしい・・・コックピットがものすごく狭いから、子供にしか乗れないらしい。」
「設計ミス?」
無論、それだけが理由と言うわけではないだろうが・・・まあ今はそれは重要ではない。
「それでだ、このカサブランカのゲームに出てくる学校がイコール、僕たちのいる世界だと考えていいらしい。」
「なるほど、という事は・・・どういうこと?」
「それだけ。」
どっ、と全員がすっころぶ。仕方がないだろう、確信が一つとれたというだけなのだから。
「だから、このまま探索を続けて行けば自ずとクリアの目標も見えてくると思う。」
「そうか・・・まあいい。用がないならもう脱出するか?」
「それなら、あのエレベーター使ってみない?きっとグラウンドに出るリフトだよ。」
「いいね、楽しそう!」
格納庫の広場に、エレベーター制御装置が置いてある。ここがそのまませりあがるのだろう。
「わざわざ乗って楽しむようなものか。」
「モンドは乗り慣れてるかもしれないけど、ボクたちはそういうのに縁が無いからね。」
それはつまりモンドの未来世界よりも平和な世界に住んでいるということで、幸せなことなんだろうけど。まあ、男の子ならメカには目が無いというものだ。嬉々として遊馬は乗り込んだ。