ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
さて、物事は一つ進展した。いよいよゲームも佳境に入るだろう。ここまで来ると、というかゲームPODネクスが解禁されたことで、戦闘はもうラクショーだ。
なにせ隠し武器、というかネタ武器の領域に片足突っ込んでいる威力カンストなレーザーキャノンに、防御力も筋力も格段にアップの強化服。もう9ミリピストルやゴルフクラブの出番じゃない。
「どうだすごいだろう!」
「すごいすごい!」
そして極めつけには今まさにコックピットに乗り込んで宙を舞っている漆黒の巨大ロボット、ダークリリィ。まるでバーベキューパーティで豪快に肉を焼いてみせる陽気な父親とそれを見る子供のように、2人のテンションはブチ上がっている。
「アシュリー、座り心地は大丈夫?」
「うん!ダークリリィってすっごくはやい!」
「らぴ!」
さすがに3人も乗ると元から手狭なコックピットもぎゅうぎゅう詰めだ。アシュリーは背中側に増設してもらったチャイルドシートに、ラッピーは遊馬の肩に収まっている。
軌道エレベーターの周囲の空を試運転がてら飛び回りつつ、変わったところがないか探し回る。
変わったところというのは、敵が密集していたり、巣を作っているような場所の事を言う。もっとも、月のわずかな光しかない施設上空をただ飛び回って目視だけではよく見えない。
「赤外線バイザーならどうだ。」
ゼバブの巣は熱がこもっているから、熱源として見えるだろう。
「うっ、結構いるっぽいな・・・。」
施設を遠巻きに眺めてみると、赤く光る塊がそこかしこに見えた。武器のチェックがてら、ちょいとつついてみてもいいかもしれない。
「トビー、例の物は?」
『使えるよ、多分。テストをしていない。』
「今からテストする。」
ゲームPODを操作して、ダークリリィに新しいアイテムを装備させる。すると、ライフルの上にタンクを取り付けたような銃器が、ダークリリィの右手に出現した。
「悪いウイルスは消毒だ!」
手近な熱源に近接すると、トリガーを引く。銃口からはオレンジの炎がほとばしり、ゼバブの巣を消し炭に変えていく。そう、火炎放射器だ。
『ゾンビものではチェーンソーと並んで定番だね。』
「どっちも本当ならヒトに向けるものではないと思うけど。」
『ゾンビはヒトじゃないから問題ない。』
しかし、この火炎放射器も元はアダムの基地にあったものだ。高温の炎で焼くこの兵器が猛威を振るう相手というのは、熱を感じない機械ではなく、簡単に焼け死ぬヒトであることには違いない。つくづく業の深い武器と言えよう。
「よし、あっという間にウェルンダンに出来た。」
とりあえず、見えている障害をすべて潰していくこととしよう。