ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第156話

 土は土に、灰は灰に、塵は塵に。

 

 土で出来たゼバブの巣を灰に変え、後塵を残して飛び立つのを繰り返すこと数回。とりあえずレーダーに映る熱源はあらかた片付け終わった。残るは、施設内にカビのように不潔に不快にこびりついた『根』の部分。

 

 この根がある限り、ゼバブは無節操に伸びる雑草のようにわっしわっしと湧いてくることだろう。早いところ完全に根絶してしまいたいところだ。カビ用漂白剤のようにバラまくだけの簡単な装置があれば楽なのだけれど。

 

 まあ、メタンガスなどの死体の分解によって発生した可燃性ガスに、フレイムスローワーの炎が面白いように引火して、花火のように弾けるのだから見る分には楽しかった。

 

 これもダークリリィという圧倒的力を持って、そのコックピットという安全圏にいるが故の慢心、愉悦。拳銃や傘などの貧弱な武器を持ってビクついていたのがウソのよう、これもゲーム終盤の装備が纏まってきたという余裕だ。

 

 実際デッドソイルにもそういう面がある。最初の武器が貧弱なうちには逃げたり隠れたりすることで恐怖を味わい、武器やアイテムがそろってくる中盤以降はアクションゲームとしての面が強くなる。

 

 「だとしても、いきなりSFロボットアクションになってしまうとは、開発者も思っていなかったろうけど。」

 

 ロボットアクションゲームでも火炎放射器が使えるものは少数かもしれないが。ともかく、適当な通路を見つけて灯火代わりに噴射して小バエどもを焼き払い、重たい金属の足音を立てながら進んでいく。その音に震え、怯えて逃げればいいものを、小バエどもは光に向かってくる。

 

 『燃料は大丈夫?』

 「まだ70%はある。」

 

 さすが未来の燃料ジェル、軌道エレベーターが完成した今、倉庫で死蔵されていくだけだったろうロケット燃料と同じものが使われている。このままラスボスを倒しに行ってもまだ余裕だろう。秘密兵器のビームもあるし。

 

 不安要素とすればやはり、

 

 

 『それでアスマ、何か思い出した?』

 「ぜーんぜん。」

 『ひとつも?』

 「なんにも。」

 『全く?』

 「ちぃとも。」

 

 肝心なゲームの知識が思い出せていないという事だろう。適当に巣をつぶしていけば、そのうち思い出すだろうとタカを括っていたが、このありさま。

 

 「このまま倒しに行って、うっかり変なフラグを踏むんじゃないぞ?」

 

 自分に言い聞かせる。セーブできるならこのあたりでリセットポイントを一つ作っておくのだけど。

 

 ・・・つくづく、卑怯な人間だなと自嘲する。男なら正々堂々と挑むものだろうが、生憎遊馬はそこまで漢が出来ていなかった。

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