ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
「あれ?」
「『あれ?』じゃねえよ。この展開も何回目だ。」
「大丈夫アスマ?」
視界が暗転から回復すると、そこには見知った顔がいた。
そうか、また負けたからこっちに戻ってきたのか。ホラーゲームなら一撃死の攻撃を持ってる敵もそう珍しくなく、たまーに道中のザコが使ってきて、ほどよい緊張感を与えてくるだけだったのに。が、まさかラスボスまで使ってくるとは。そこまで来て即死級の大ダメージならまだしろ、即死攻撃とか萎える要素にしかならないと思うのだが。
いや、正確には遊馬の記憶にあるラスボスとはまた別な存在なのだが。少なくともバアル・ゼバブは使ってこなかった。攻略自体は全ルート共通のパターンがあるのだが、キャラクターごとによって微妙にステータスが異なるので、手順が前後してそれなりに緩急はあったと記憶している。・・・その記憶も今となっては怪しいものなのだが。
「あれ、アシュリーとラッピーは?」
「来てないですわ。」
「ってことは、向こうに置き去りか。」
正直今まで以上に戻りたくない光景が広がっているが、当然そんなところに2人を置き去りにしたままなんて出来ない。
「しかし、どうやってクリアしたものか。普通に倒せればそれでよかったのに、ダークリリィがやられてしまっては・・・。」
「というかダークリリィを使っておいて負けるなんて、遊馬本当にゲ-ム上手いの?」
「うっ、うぅ・・・なんだか自信無くなってくるな・・・。」
エルザに言われて、いや言われなくても自身の強みにすら自信がなくなってきた。遊馬にとってゲームの腕だけが、なけなしのプライドを保ってきたのに。
「あのなぁ、もっと自分を信じろよ。少なくとも今まではお前のゲーマーの勘でうまくやってきてただろう?」
「けど、それは一度プレイしたことがあるゲームだったからで・・・やってないところは自信が・・・。」
「ゲームだろうが戦闘だろうが、最初は『やったことがない』まっさらな状態だろ。」
後ろ向きになっていた遊馬に、モンドのお叱りの言葉が刺さる。
「そうですわね、誰だって初めては初めてですわ。私だって初めてカサブランカに乗った時はそりゃあ緊張したし、大変でしたわ。」
「美鈴?」
「けど、初めて動かした時の感動はそれはもうすごかったですわ。」
ふんす!と美鈴も胸を張る。
そういえばそうだ。初めてプレイするゲームにはいつもワクワクしていたじゃないか。そして、どんなゲームも全力で楽しむと。
「よし、自分の可能性を信じよう。」
「それでいい。」