ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第164話

 「よし、まずはありったけの武装を施してから向こうに戻るか。」

 「そんな悠長にしてていいんですの?」

 「ラッピーとアシュリーがピンチなんじゃ?」

 「大丈夫、どうせ向こうで時間は経過してないだろうし。」

 

 こちら側、ゲーム世界の時間は経過しても、向こうの時間は変わらないだろう。

 

 「正直な事を言うと、戻ったらひどい状況だってわかってるから戻りにくい。」

 「そんな状況に2人を置き去りにしてるってわかってる?」

 「うん・・・。」

 

 ホラーゲームの嫌なところはこういうところだ。自分の意志でそういう嫌な世界に戻らなければならない。もう一回あの世界に行くなんて、出来るなら御免こうむりたい。

 

 「1人じゃイヤだなー。」

 「そもそもホラーゲームなら一人用じゃない?」

 「いや、外伝なら協力プレイも・・・。」

 

 ネット通信でお家にいながらもみんなで遊べるモードがある。

 

 「そうだ、みんなをこっちに呼ぶことって出来ないのかな。」

 

 逆に言えば、なにかしら用意があれば通信プレイできるかもしれない?

 

 「ゲームの参加にはゲームPODが必要で・・・。」

 「それが今は1台しかないからな。」

 「そうか・・・いいアイデアだと思ったんだけど。」

 

 だが着眼点は悪くなかっただろう。何かしらの方法で他のゲーム機を用意できれば、あるいは。

 

 「トビーはゲーム機とか作れないの?」

 「そりゃあ、設計図とかあれば作れるけど、作ったところで違う世界とをつなぐことができるとは限らないよ?」

 「そこはほら、僕のゲームPODを仲介するとか。」

 「フーム、そういうことなら。」

 

 出来なくはなさそうだ、と言った面持ちだ。

 

 「まあ考えておくよ。それよりも、ひとつ確認したいことがある。」

 「何?」 

 「アシュリーの持ってる抗体って、本当にEADを絶滅させられるの?」

 「???というと?」

 

 なんか引っ掛かるような物言いだ。ストレートにものをいうトビーにしてはちょっと珍しい。

 

 「普通ウイルスの研究っていうのは、同時にワクチンの研究も行われるものなんだ。というよりも、ワクチンの研究のためにウイルスを研究するっていうのが正しいかな。」

 

 武器の調整をしていたモンドや、いざという時のためにカサブランカに乗り込む用意をしていた美鈴も、その話を聞いて寄ってくる。

 

 「けど、EADはシベリアの氷の中から見つかった原始ウイルスで、研究も途中だったって言ったよね?」

 「うん、そのはず。アシュリーは偶然その抗体を持ってて、研究材料にされたりするんだけど。」

 「そこだよ、アシュリーのせいでEADの脅威はむしろ増えるんじゃないかな?」

 「なんで?」

 「無差別に誰も彼も土に変えてしまうようなウイルスなんて、危険すぎて誰にも扱えないよ。なにせ使う当人が真っ先に危険にさらされるんだから。」

 「けどもしもワクチンが作れれば、その問題は解決するという事ですわね。」

 「そういうこと。」

 

 まあ、使うやつは使うんだろうけども。けれど、それがもっと大きな組織、国家によって研究プロジェクトとして立ち上げられたら?まるで冷戦時の核開発のように。

 

 その時が、真にEADが世界に蔓延る、第5の絶望のエンディングというわけだ。

 

 「じゃあ、どうしたらいい?」

 「一番いいのは、アシュリーを『ころす』こと。」

 「そんな!」

 「おいおい、それはないだろ?」

 

 モンドの言う通り、それはない・・・とも言い切れないと遊馬は思い当たった。

 

 「ジミーのエンディングではアシュリーがいなくてもEADの研究が続けられることが決まって、ザインの時はアシュリーを庇って自分が死んで、マウザーの場合はアシュリーを研究材料に、レイチェルはアシュリーを守れずに終わる・・・。」

 

 一つずつ、クリアしては陰鬱な気分に落ちていったことを思い出していく。

 

 「これらを総ざらいするのが第5のエンディングなんだ。」

 「作ったやつはどれだけ絶望が好きだったんだ。」

 

 これでわかった。ハナっから救いのルートなんてなかった。電源を入れた時点で底なし沼に足を踏み入れ、その中でもがいてもがいて、もがき続けた結果力尽きて沈んでいく。それがデッドソイルだ。

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