ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第169話

 窪みから飛び出すと、バエルの攻撃を誘うため、反復横跳びのようにステップを踏む。追尾性は高くとも、落ち着いて判断すれば決して難しくはない。と思いたい。

 

 「あふっ!!」

 

 幸いなことに避けた先に攻撃を置いておくような真似はしてこないだけ、敵は温情なのかもしれない。ともかく、敵の攻撃はこちらの攻撃のチャンスでもある。すかさず反撃に出る。

 

 撃ったら戻る、真ん中へ。まるでテニスのようだが、対応のしやすい広い場所を陣取るのは基本だ。それにスポーツゲームも遊馬は得意だ。

 

 『ゴバァアアアアアアアアアアアア!』

 

 「よっし!」

 

 まずは一本、切断された触手はウネウネとしばらくのたうち回った後、黒い液体を吹き出しながら溶けていった。明らかにこれはダメージを与えていると言っていいだろう。

 

 「よしよし、一旦退避だ!おっと!」

 

 切断された一本以外の、残り3本の腕を叩きつけてくる。駄々っ子のように不規則に無造作に振るわれ、エレベーターシャトルは揺れる。

 

 「落ち着けよ、自分が落ちるだけだぞ?」

 

 もれなく遊馬も空を燃え尽きる流星になるのだが、そうなる前にダークリリィが拾ってくれることだろう。

 

 「っと、そういえばダークリリィが置いていった火炎放射器もあったんだったな。」

 

 どうせならあれも使ってやろう。ゲ-ムPODが無くても通信できる端末を用意してもらっておいた。

 

 「エルザ、聞こえてる?」

 『・・・聞こえる聞こえる、何?』

 「例の作戦を実行する!」

 『アイアイサー!・・・』

 

 試作品の端末なので、上手くいくかどうかは未知数だったが、不明瞭ながらちゃんとエルザの声が聞こえてきたので安心した。生きて帰れたらもっと改良してもらおう。

 

 まずは落ちている火炎放射器を立て、強化服の袖に入っているワイヤーを使って、床を走っているパイプやらに固定する。全長3mもあるが、強化服のおかげでただ立たせるだけなら出来る。

 

 「あとは攻撃を誘発させて・・・。」

 

 やってることは、ゲーム本編でのラスボス戦でのオブジェクトを使った戦い方と同じ。

 

 『グロロォオオオオオオオオオオオ!!』

 

 「今!!」

 『OK!!』

 

 合図を受けたエルザがトリガーを遠隔操作で引くと、銃口から高熱が吹き出す。間近で見ている遊馬にも、薄くなった空気を通じてその熱が伝わってくるようだった。あまり近くにいると赤外線で焼き魚のようにグリルされてしまうだろう。

 

 「羽虫のムニエルなんてバターをいくら盛っても食べられたもんじゃないだろうけど。」

 

 弱点を露出させていた触手が次々に焼け落ちていく。もはや勝機は決したと言っていい。

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