ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第170話

 「よし・・・。」

 

 あとは最後の弱点を撃つだけ。すべての触腕を失ったバエルだが、それだけで終わる生物ではない。

 

 「! 脱皮する気か!」

 

 赤い複眼と牙の並んだ口を持つ頭が突如硬質化すると、先端をバリバリと割りながら一回り小さな新しい頭が出てきた。第二形態ということか。

 

 羽化したばかりでその表皮はまだ柔らかだが、代わりに軽量化された体で跳ねまわりながら、新しく生え変わった腕を振るう。

 

 「やはり、すんなり勝たせてはくれないか・・・。」

 

 脱皮した抜け殻がエレベーターから落ちていくのを尻目に、レーザーキャノンを連射して撃ち落とさんとするが、それらはかすりもしない。逆に消化液を吹きかけて反撃してくるのを遊馬は驚きよろめきながら躱す。

 

 「おっと!一発当たれば死にそうなものを!」

 

 脱皮したばかりで表皮が柔らかそうだし、そうでなくとも軽量化した影響で、どんな攻撃でもダメージを与えられそうだ。

 

 「ならこれで決める!エルザ!」

 『修復率79%、十分イケるよ!』

 

 エレベーターの下から、バエルと同じく黒いボディに赤い目の機体が上がってくる。ハッチは開け放され、遊馬が乗り込むのを待っている。

 

 「アシュリー、大丈夫だった?」

 「うん、エルザがずっといてくれたから・・・。」

 「今度はベビーシッターにでもなる?」

 『ベビーシッターというか今はチャイルドシートというか。』

 「らぴ?」

 

 エアーカーテンのおかげでコックピット内の気圧は一定に保たれているので、少し息苦しいマスクを外しても問題ない。よく深呼吸をして心を落ち着かせると、レバーを握る。このコックピットに帰ってきて安心感を覚えた。ここにいれば絶対ではないが安全だという信頼がある。

 

 「よぉし・・・一発で決めてやる・・・!」

 『エネルギー充填率、70・・・80・・・90・・・100・・・!撃てるよ!』

 

 今度は遊馬の視力だけでなく、コンピューターによる補助も受けられる。敵の動く先を突くことも出来る。

 

 『今!』

 「いっけぇええええええ!!!」

 

 跳びかかってきたバエル第二形態を迎撃するように、ダークリリィは頭部からビームを発射する。

 

 その真紅の稲妻は、一切の欠片も残さずに醜悪な怪物を焼き払った。

 

 「やった・・・。」

 『やったね!』

 『やりましたわね!』

 『今度こそやつもくたばったな。』

 「だからフラグ。」

 

 まだ生きてるフラグの集団詠唱はやめていただきたい。が、さすがに遊馬もこれだけやれば大丈夫だろうと安堵した。肉片どころかチリ一つ残っていないのだから。

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