ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第171話

 しかしチリ一つ残さず消滅させてしまったんでは余韻もなにもないな。さっきまで動いていた、あるいはまだ動くかもしれない怪物の死体を前にした時のムービーというのは、もう安心できるのか、それともまだダメなのかという恐れや震えというのも乙なものだ。

 

 「こうして現実で相まみえるのは御免こうむるけどね!」

 

 何回でも言うぞ。ホラーゲームの世界に転生はしたくない。絶対にしたくない。

 

 『死体には2度撃ち、親兄弟にだって容赦はしない、一人でトイレには行かない、これがゾンビ映画でのセオリーだね。』

 「ゾンビとはちょっと違うのかもしれないけどね。」

 『死体への二度撃ち、出来てないんじゃないのか?』

 「だからその死体がないんじゃないかって。」

 『抜けていった抜け殻は?』

 

 瞬間、遊馬の背筋にゾワッとした悪寒が走った。そういえば完全に失念していた。

 

 「って、下に落ちていったんじゃないか。ビックリしたな。」

 『まだわからんぞ、本当に落ちていったのか確認するべきだ。』

 『心配性だなモンドは。とはいえ、確認するべきだとはボクも思うよ。』

 「確認する、つったってなぁ・・・。」

 

 落ちていく物体は、落ちる時間の二乗に応じて早くなっていく。重力加速度という考え方だ。空気抵抗の問題でその速さに天井はあるかもしれないが、とにかく天空を目指すこの軌道エレベーターから落下した生物が、生きていられるはずもない。

 

 『だがバエルは飛べるんだろう?』

 『そうでなくとも羽根を拡げてパラシュートに出来るかもしれませんわ。』

 「わかったわかった!もうわかったから・・・よし、確認しに行こう。」

 

 たしかに、ラスボス戦にしてはいやにあっけないものだと思った。いくらダークリリィが強力とはいえども、一度は不覚をとった相手だというのに。

 

 『不覚をとったのは遊馬だけどねー。』

 「言わないで。」

 

 だが倒したのも遊馬なのだ。その後始末はキッチリつけるべきだ。

 

 「とはいったものの、どこまで落ちていったのか見当もつかないんだよなぁ。」

 『風も吹かないなら、風に流されたってこともないでしょ。まっすぐ落ちていったんじゃないかな。』

 「エレベーターの施設にでも引っ掛かってるかな・・・。」

 

 今なお上昇を続けているエレベーターシャトルから飛び降りると、センサーを前方、もとい下方へと向けながら自由落下に身を任せる。

 

 「・・・?」

 「アシュリー、どうかした?」

 「・・・!アスマ、あれ!」

 「どれ?」

 

 あまりに短絡的すぎて気づかなかった。『下に落ちた』という情報だけを鵜呑みにして、実際のところは『落ちたフリ』をしていただけだったと。

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