ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第172話

 「どっ?!なんだ!」

 『後ろになにかいる!』

 「このっ!離せ!!」

 

 背後から組み付くそれを、ダークリリィは高マニューバ軌道で振り落とさんとするが、強靭な腕でもって喰らいついて離そうとしない。

 

 「こんのっ、こうなったら!」

 『ぶつけちゃえ!!』

 

 もといたエレベーターシャトルに向けて突進すると、背中に張り付いたそれをこそぎ落とす。

 

 「被害状況は!?」

 『・・・関節部に少々のダメージが。けど回路に問題はない!」

 

 組み付かれたダメージは大したことは無い。むしろぶつけてこそぎ落とした時のショックの方が大きいかもしれない。だがそろそろビームの再充填が完了する。

 

 「ならばっ、リオンビィイイイイイイイイイム!!」

 

 もはや容赦はしない。再充填完了したビームを、エレベーターシャトルに隠れた『それ』目掛けて放つ。

 

 仮想世界のものとはいえ、人類繁栄の象徴たる軌道エレベーターを攻撃してしまった。あわれシャトルは一切の抵抗をも許されずに破壊しつくされ、スペースデブリと化す。

 

 「やったか?!・・・って、自分で言っちゃどうしようもないな。」

 

 自分の発言に自嘲するまでもなく、爆発するシャトルと、燃え上がるバエルの抜け殻の中にヒトガタを見た。

 

 ようやく、敵の姿を確認できた。『蟲』としての姿を捨てた、より『人間』に近づいた存在。人間と同じように頭脳を発達させながら、その姿は人間とは似ても似つかない。

 

 『人間に腕が6本もあるかよ!』

 『足と合わせれば8本、昆虫ですらない別の何かだ!』

 

 黒光りしながらも、筋肉質でどこか艶めかしさすら感じられる体躯。8本足の生物なら蜘蛛もそうだが、あの腕にはれっきとした指がついている。それらが一斉に奇怪なポーズを組む様子は、一見すると阿修羅のようにも見える。

 

 そしてその頭、顔には眼がある。蟲特有の複眼もそうだが、額の部分には怪しく光る第三の目が開いている。

 

 そしてもうひとつ驚くべきことに、口に値するようなものが見当たらない。代わりに頬の部分が魚のエラのように開閉する機構になっている。魚のエラを参照するのなら、あれで気体からエサをこしとって食べるのだろうか。疑問は尽きない。

 

 そんなやつが、垂直なエレベーターシャフトに『立って』重力すら無視しているようなそぶりを見せている。

 

 「さらに進化した・・・のか?」

 『どこまで強くなりやがるんだ!どいつもこいつも強くなったら黒くなりやがって!』

 『こいつの場合は元から黒かったような気がするけど。』

 

 そういうモンドだって黒いコートを着ているだろうに。まあそれはともかく。

 

 バアル・ゼバブが進化したバエルが、さらに進化した。『スーパー・バエル』とか『ネオ・バエル』とかそんなちゃちな名前しか思いつかないが、あれも人間の殻を破り、人間よりも進化したものだとすれば、いわばゼバブにとってのレベリオンなのだろうか。

 

 『じゃあ『バエル・レベリオン』だな。』

 『あれと一緒にしてほしくはないかな。蟲とは。』

 「ただの蟲じゃなさそうだけど・・・。」

 

 赤い複眼が、ダークリリィを捉えている。一体どれほどの戦闘力をその黒い体に秘めているのか。ゾクゾクとしてくる。

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