ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

19 / 307
第19話

 「・・・綺麗。」

 

 美鈴は思わず口にしていた。人の容姿を軽々しく口にすることはすごい失礼にあたることだと、幼少の頃より教えられていながら。

 

 『彼女』は人の姿でありながら、人ならざる者のような妖しい色気を湛えている。

 

 だがそれ以上に、『彼女』は『綺麗』であった。その髪は空に架かる天川のようで、その瞳は渦巻く銀河のようで。さしずめ、纏うオーラは星雲のようだ。

 

 特に目を引く点として、アンテナのような、あるいは白い羽のようなカバーが両耳に備え付けらており、時折ピクピクと動いて周囲の情報を集めているようだ。

 

 「おい、お前。何者だ。」

 

 そんな近寄りがたくもある雰囲気の持ち主であろうが、モンドは構わずに警戒心を露わにする。彼女が今回の敵という可能性もあるのだから、この反応は正しいのかもしれないが。

 

 「・・・?」

 

 が、彼女は返事をする代わりに小首をかしげて答えた。

 

 「モンド、ステイ。」

 「俺はイヌか!」

 「ひょっとして言葉が通じていないのでは?」

 「・・・?」

 「どうだかな。そういうフリをしているだけかもしれないぞ。」

 「考えすぎじゃない?いくらなんでも。」

 

 さて、遊馬は考える。この彼女も、何かのゲームの登場人物だったような・・・。だが、ビジュアルに見覚えは無い。

 

 「えーと、Hello?」

 「?」

 「ボンジュール?」

 「??」

 「ナマステ。」

 「???」

 

 いずれの言葉の挨拶にも、彼女は反応しない。

 

 「らぴ!」

 「りー?」

 「りっぴぴ!」

 「らぷ!」

 

 ただ1人、ラッピ-の言葉を除いて。

 

 「意思疎通出来てるみたいだね。」

 「いや、何語だよ。俺達には出来てないから。」

 「ラッピーのらぴ語だけはわかるのですね。」

 「らぴ語ってなんだ。」

 「まるで宇宙人と話しているような感覚だ・・・。」

 

 唯一話が通じると思ったラッピーとだけ、彼女は話(と言うよりもオウム返しのように聞こえる)を始めた。

 

 それにしても宇宙人か・・・。

 

 「あっ、そうだ。」

 「おっ、なにか思いついたアスマ?」 

 「ひょっとして、『エイリアンは恋ウサギの夢を見るか?』のレイ・リープじゃないかな。」

 「彼女はアンドロイドなの?」

 「エイリアンだって言ったじゃん。」

 

 それは、地球人のことを勉強しに来た宇宙人が主題のノベルゲーだ。泣きゲーとしての面が強く、遊馬も初プレイ時はラストのレイが宇宙に帰るシーンには大いに泣いた。

 

 「レイもウサギ型宇宙人だから、月ウサギのラッピーとシンパシーがあるのかもしれない。」

 「なるほど。なるほど?」

 「エイリアンってことは、危険な存在なのか?」

 「たしかに超能力は持ってるけど、そこまで危険ではないかな。」

 「超能力って、どんな?」

 「例えば・・・星を降らせたり、天候を操ったり、地球上から空気を消し去ったり。」

 「十分危険に聞こえたんだが。」

 

 「らぴらぴ!」

 「るーぷ♪」

 

 レイは指の先を光らせて、ラッピーとじゃれ合うように踊っている。願わくば、あの光を貫くのが僕らでないことを祈る。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。