ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第185話

 ともかく、こちらも同じように武装させてもらう。

 

 「フォノンライフルはもう無いの?」

 『品切れだよ。』

 

 向こうの世界も品切れならしょうがない、ここいらに落ちているものを装備させてもらおう。アーマーライフルを手に、ソリッドバズーカは腰の後ろに横一文字にマウントさせてもらおう。

 

 「コンバットパターンを銃撃戦に変えて・・・よし、いくぞ!」

 

 『シュルッ!』

 

 物陰から飛び出してすかさずライフルを構えるダークリリィの足元を敵の銃弾がかすめる。バエルとしてはボディを狙ったつもりだったのだろうが、細かく機敏に動き回るダークリリィには一発も当たらない。

 

 「動きながら照準を定めるより、照準に入った瞬間にトリガーした方がいいって知らないのかな?」

 『またそうやって調子乗る。』

 

 3点バーストで小刻みに弾をバラまく。そのうちいくつかは壁に弾痕を作るがおかまいなしにトリガーを引き続ける。

 

 『コンピューターが当たるところに撃ってくれるから!』

 「落ち着いて偏差射撃ィ!」

 

 弾が切れたら物陰に隠れて落ち着いてリロード、息を整える。汗は重力に従って落ちてはくれないので袖で拭う。

 

 『シュルゥ!』

 

 「うわぉうっ!?いきなり出てくんな!」

 

 飛び出してきたバエルのボディに数発弾丸をぶち込んでやった。一瞬バエルがひるんだのを見て、これ幸いと弾倉の残りを叩き込む。

 

 「弾切れェ!カートリッジ!」

 

 『シュルル・・・。』

 

 おしいところで弾幕が途切れた。慌てて遊馬も音声認識でリロードを指示するが、敵の目の前でリロードなどする新兵のすることだ、と脳内で舌打ちした。

 

 その様を見てバエルは素早く身を退くと、つたない動きでライフルの弾倉を交換して再び銃撃をかましてきた。

 

 そういえば、さっきからバエルが弾丸を飛ばしてきていなかったと思い出した。

 

 『敵はトリガーを引くだけじゃなくて、弾薬のリロードまでできるようになってるのか?』

 『そのようだね、あの一瞬で武器の構造まで理解したらしい。』

 

 しまったな、と再び脳内で舌打ちをした。きっとバエルは今のダークリリィの動きを見て学習したのだ。あのまま隠れながらリロードをしていれば、バエルもリロードを学習することもなかったのだ。敵に塩を送ってしまった、失策だった。

 

 敵と同じ武器を装備しているなら、必然的に弾薬の奪い合いも覚悟しなければならないか?そうなるならばまず弾薬の位置を把握したい。

 

 「替えの弾もいるな・・・エルザ、なんかいいのある?」

 『ちょっと待ってー、統一規格(グローバルスタンダード)ならサーチするのも可能!っと。』

 

 パッとレーダーには武器弾薬の位置情報が光点となって追加される。情報アドバンテージはこっちが一歩リードといったところか。

 

 しかしこれでバエルも替え弾倉の重要さを理解したはずだし、さらにバエルの動きはさっきから俊敏になっている。どうやら無重力空間での動き方にも慣れ始めているようだ。時間をおけばどんどん学習して強くなっていく。

 

 『だが逆に考えるんだ、学習したということは行動にパターンが生まれるということだと。』

 「そうか、逆に何をしてくるかわかるようになった!」

 

 ここからは銃撃、弾を拾ってリロードする、近接戦闘の3つの行動パターンを仕掛けてくるだろう。

 

 「弾を拾いに行く瞬間を狙うか、この中でチャンスがあるとすれば。」

 

 残弾は数えながら撃つのがセオリーだが、おそらくそこまでは『学習』しきっていない・・・ということを祈ろう。リロードの隙をついてドデカいのをぶつける。

 

 アーマーライフルからソリッドバズーカに持ち替え、物陰から飛び出して攻撃を誘う。

 

 「うっ、狙いも正確になってきてやがるな!」

 

 単純に、バエルは4本腕があるからダークリリィの倍の火力があることになる。そこへさらに反射神経もロボットの比ではない。

 

 「けど、フルオートで撃ってるならすぐに弾は切れる・・・そこ!」

 

 弾幕がやんだのを確認すると、空中で上下に反転してある一点へ向けてソリッドバズーカを放つ。

 

 『ジュッ!?』

 

 弾薬の置かれているスペースへと走っていたバエルが気づいた時にはもう遅かった。一筋の噴炎が、自分の行く方へ先んじるように向かっていくのが見えたことだろう。

 

 弾薬に使われている特殊炸薬が一斉に引火、誘爆を起こしてバエルの体を焼いていくのだ。

 

 「やったぜ!」

 『やった?』

 「いや、やってないんだと思う。」

 

 確証が持てない。レーダーからバエルの姿は消えたが、これだけでくたばるはずもない。

 

 爆風が消えた後、ドッと空気の流れが生まれた。爆発によって格納庫の壁に穴が開いたのだろう。次々と警備機や物資が、大きく開いた風穴に吸い込まれていく。

 

 「ううっ、吸い込まれる!バエルは?うわっ!?」

 

 確認する間もなく、大きな資材コンテナに背を押されてダークリリィも外へ飛び出す。

 

 『アスマ!後ろだ!』

 「しまっ・・・ぐわあああああああ!!」

 

 またしてもだ、またしても背後からの強襲を受けてしまった。

 

 『しまった、メインスラスターをやられた!』

 

 半身を焼かれながらも、破断した壁にへばりつくバエルの姿が見えた。最後の一発を撃ったライフルを捨てると、無重力に溺れるダークリリィに飛びついてきた。

 

 「くそっ!エレクトロ!」

 『今はまだダメ!スラスターにオーバーロードする!』

 

 バキバキと最初に失った2本の腕を再生させて、バエルはダークリリィに組み付く。そして抵抗することもままならぬまま、オ-ビタルの外壁へと叩きつけられる。

 

 『頭部損傷率79%・・・マズい!』

 「モ、モニターが、死ぬ!」

 

 遊馬は目の前が砂嵐となった。それから衝撃を吸収するマルチ・サスペンションも機能を停止し、コックピットを衝撃の嵐が吹き乱れる。

 

 「く・・・う・・・ぉおおお・・・アシュリー?」

 「だい・・・じょうぶ。もこもこで助かった。」

 「らぴ・・・。」

 「ラッピーが守ってくれたか・・・。」

 

 やがて一層大きな衝撃を受けて、嵐も収まる。どこかに墜落したようだ。

 

 『ダークリリィ、沈黙・・・。』

 『やられた・・・。』

 

 砂嵐はやがて暗黒に変わり、それが『敗北』の二文字を雄弁に語っていた。

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